ディスクブレーキ

【ディスクロード】シマノ ロード用ディスクブレーキパッド(パット)はレジンとメタルどちらを選ぶか

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さて前回はブレーキパッドを交換しました。

キャリパーブレーキ用のパッドにも、シマノ純正だけで色々な種類が存在しています。同様にディスクブレーキ用も色々な種類のパッドが用意されています。今回はロード用のシマノ純正のブレーキパッドのラインナップの紹介と、選び方について確認します。

■パッドはレジンとメタルの2種類

まずブレーキパッドはレジンとメタルの2種類に大別されます。

レジンパッド

オーガニック(有機)とも呼ばれています。主に有機系の材料を樹脂で固めたものです。

レジンパッドの特徴

  • 効きがマイルドで、強く握ってもガツンと効きません。スピードコントロールに向いています。
  • 経済的です。ローターは金属、レジンパッドは樹脂なので安価なパッドの方が減っていきます。
  • 音鳴りが少ない。メタルのように金属同士が擦れる訳では無いので、『キー』という音鳴りが少ないです。

メタルパッド

シンタード(焼結)とも呼ばれます。主に金属系の材料を焼結させた合金です。

メタルパッドの特徴

  • 制動力が高い。ローターとパッドの金属同士が擦れる感じがして、ガッツリ効きます。
  • 雨に強い。金属なので水を吸収せず雨の中でも初期制動力の低下がほとんどありません。
  • フェードしにくい。金属なので熱で分解されづらいです。

一般的にレジンはメタルと比較すると効きがマイルドで安価、メタルは効きが強くカチっとしたフィールで、雨にも強いですが高価です。

特性レーダーチャート

シマノカタログに、パッドの特性をレーダーチャートにまとめたものがありますので紹介します。各項目の意味ですが『モジュレーション(または調整)』というのはスピードコントロールの特性、『耐フェード性(または減衰防止)』はフェードのしにくさを表しています。

メタルです。ちゃんとチタンバックプレートも載っていますね。制動力、耐久性、耐フェードに優れています。パッドの耐久性が高いというのは、代わりにローターが減っていくというのと同義な気がします。静粛性が3点しかありませんので、やはりメタルは『キ~』というブレーキ音がしやすいということですね。モジュレーションがレジンよりも低いのは、最初からガツっと効くという特性があるためです。微妙なブレーキのコントロールをしやすいのはレジンですが、メタルのガツっと効くのが適した場面もあります。優劣ではなく、特性ですね。

レジンです。当初は『K02Ti』と『K02S』という『02世代』がラインナップされておりましたが、GRXシリーズのの登場に伴い『K03Ti』と『K03S』の『03世代』にバージョンアップしました。何が変わったのかというと、どちらも耐久性の数値が4⇒5にアップしています。亜鉛の含有量を増やして、耐摩耗性が40%向上したそうです。レジンの特性としては、やはり静粛性とコントロール性に秀でているということですね。

以前(02世代の時)、この図は下記の様に色々間違っていたのですが修正されました。パッドのイラストがフィン付き版が載っていたのと、K02Tiの素材がメタルになっていましたね。スクショを取っておかないと、相変わらず黙って修正されます。間違った情報をあてにしたユーザーもいるでしょうから、修正履歴を公表して欲しいところです。念のためもう一度言いますが、下記の図は古い製品のもので、しかも間違っていますのでご注意。

ここにあえて掲載しておきます。

最後にメタルとレジンのフィン付きバージョンです。フィンが付くことでメタルの場合は静粛性が『3⇒4』にアップ、レジンの場合は耐フェード性が『3⇒4』になっていますね。こちらもレジンがL02AからL03Aにバージョンアップして、耐久性が『4 ⇒ 5 』になりました。

フィン付き/フィン無し

レジンとメタルという素材分けの他に、パッドにはフィン付きとフィン無しがあります。レジンとメタルのどちらにもフィン付きの設定があります。フィン付きはラジエーターのように空気と接する表面積を増やして、ブレーキングの際に発生する熱を速やかに放出するためのものです。当然ながらフィン付きだと長時間のハードブレーキングに強いですが、その分価格も高くなります。

フィン付きパッド
フィン付きパッド

フェード現象とは

フェード現象とは主にレジンパッドで起こりやすいのですが、ブレーキ時はパッドとローターに物凄い摩擦熱が発生しています。ブレーキを連続で使用してパッドの耐熱温度を越えてしまうと、パッドの樹脂が高熱により分解・ガス化されます。このガスがパッドとローターの間に滞留し、潤滑剤の役割をして摩擦係数を低下させる現象です。

■ラインナップの紹介

以下にシマノ ロード用(BR-R9170/BR-R8070/BR-R7070)のディスクブレーキパッドのラインナップを紹介します。先程述べたように、パッドには素材別にレジン/メタル、フィン付き/フィン無しがあり、合計4通りの選択肢があります(正確にはチタンバックプレートモデルを加えて6通り)。

マトリクスはこんな感じになります。型番の末尾がTiのモデルは、バックプレートがチタンのモデルです。チタンモデルは軽量・高剛性で、カッチリした効きになりますとのこと。

レジンパッド

レジン:K03S(フィン無し)

レジンパッドのフィン無しです。パッドのみのバージョンで、最も安価です。ロードで平坦メインであれば、普通はこれで十分です。メタルと比べると初期の制動力は8割程度(当社体感比)ですが、それでもキャリパーブレーキと比べるとはるかに効きますので、全く問題ありません。逆にガッツリ乱暴にブレーキをかけても『ガツン!』と効く訳ではないので、微妙なコントロール性にはレジンの方が優れています。

ちなみにプレート部分がチタンになった『K03Ti』というモデルもあります。チタンのプレートになると、軽くなって剛性も高くなり、ブレーキのフィールが良くなるとのことでした(シマノ談)。

当初は流通が少なかったのですが、現在はyahooなどでも普通に買えます。パッドは単価が低くAmazon以外は送料がかかるので、Amazonのプライム会員の人はAmazonから買った方が良いでしょう(Amazonでも在庫状況に波があるので注意)。

レジン:L03A(フィン付き)

レジンのフィン付きです。放熱性を高めてありますので、長い下り(例えば10km以上とか)でもフェードしにくくなります。ブルベ向きですね。L03Aも同様なので、Amazonへのリンクのみ。

ブレーキは如何に摩擦熱を空気中に放出するか?というシステムです。フェードしてしまうところまで加熱しなくとも、パッドが高温になるにつれて効きは徐々に落ちていきます。なのでウェットの下りが多い場合はフィン付きがおススメですね。

メタルパッド

メタル:K04S(フィン無し)

メタルパッドのフィン無しモデルです。レジンパッドと比較すると、ガリガリと金属同士が擦れあう感触があり、初期制動力が高いです(ローターとの当たりが出ると若干マイルドになります)。一気にレバーを握るとその分リニアに効きますが、レバーの握り方で調節出来ますので特に心配は不要と思います。メタルは水を吸わないので雨でも制動力があまり落ちず、雨の日でも先読みして手前から減速を開始する必要がありません。そのため平均速度の向上に明らかに役立ちます。ちなみに、こちらにもバックプレートがチタンになったモデル『K04Ti』があります。

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メタル:L04C(フィン付き)

メタルのフィン付きです。現在の最高級モデルですね。アルテグラのBR-R8070についていたので実際に使っていましたが、雨の日のダウンヒルでも全く心配要りません。最初から最高級品が付いていると、レジンのフィン無しなどにダウングレードするのに非常に勇気が要ります(笑)

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実は雨の日の方がブレーキの負荷が高まるそうです(程度の差はありますが、リムブレーキと同様の話です)。散々『雨の日でも制動力が落ちない』と言ってきましたが、全く落ちない訳ではありません。やはりほんの若干ですが、ブレーキング時にはレバーを強く握っています。その分、より多くの熱が発生してローターとパッドが熱を持つ訳です。そのため雨の日に容赦なく長距離のダウンヒルをするブルベこそ、メタルのフィン付きという高級パッドの活躍の場ではないでしょうか(笑)

■ディスクローターについて

また放熱性はローターによっても高めることが可能です。ブレーキは運動エネルギーを熱に変換して空気中に放出するシステムです。ハードなブレーキングを繰り返すとパッドとローターが熱せられます。この熱が逃げるヒマが無いと、うまく温度が下がらなくなりブレーキが徐々に効かなくなります。

放熱はパッドのフィンだけでなく、ローターを立体的にして表面積を増やしたり、単純に直径を大きくして面積を増やす(160mmのローターは、140mmよりも面積が1.3倍もあります!)ことで放熱をローター側により多く担わせることが可能です。その辺りのベストマッチを探っていくのも、面白いところだと思います。

ちなみにローターには『メタルパッド不可』というものがあるので注意しましょう。具体的には105以上は確実にメタルが使用OKです。NGな型番は、具体的には『SM-RT500』『SM-RT54/30/10』(センターロック)、『SM-RT56/26』(6ボルト)となります。キャリパーやコンポが105でも、ローターだけダウングレードされているケースもありますのでご注意。

■まとめ

パッドの紹介をしましたが、一概に『体重xxkg以上 or xxkmのダウンヒルをするならフィン付きを使う』などと線を引くことは出来ませんので、『長い下り』『雨』『トレイル』などの悪条件が重なるシチュエーションで不安があればフィン付きを使用して対策されることをお勧めします。

また河川敷のCRをメインに走るならば、主な役割はスピードコントロールなのでレジンのパッド(フィン無し)で十分です。一方、ブルベでは楽なメタルがお勧めだと思います。雨・長い下りでは効果てきめんですし、例え晴れていたとしてもカッチリしたブレーキフィールは長距離の疲労を確実に低減してくれます(もちろんお財布と相談ですが、上手にブレーキングするとパッドは意外と長持ちします)。

ディスクブレーキのパッドは交換が容易なので、コースによってパッドを使い分ける、前後ブレーキで使い分ける、と言った運用がロードでも一般的になるかも知れません。色々試してみて、自分なりの組み合わせを見つけるのが良いと思います。

パッドの交換方法については、こちらの記事があります。

【ディスクロード】シマノ ロード用ディスクブレーキパッド(パット)の交換方法・やり方

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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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