ディスクブレーキ

『ディスクブレーキにすると、どの程度重くなるの?』気になる重量増の中身を検証してみる

フォーク先端

今日もディスクブレーキに対するネガティブ面を調査していきます。ディスクブレーキを使う/使わない、は別にその人の自由で良いと思います。ただし、

  • 重そう
  • 輪行でピストン閉じちゃうじゃん
  • 逆さにしたらエア噛むんでしょ?

など『興味があるのに、不確かで曖昧な情報だけを元に敬遠してしまう』という不幸な方を少しでも減らしたいと思っています。リムブレーキとディスクブレーキはどちらも一長一短だと思うのですが、大きなメーカーは完全にディスクに舵を切ってしまっています。2019モデルですらこれなのですから、もはや好みに関わらず、ユーザーとしてはある程度付いていかないといけない状況です。

そりゃメーカーとしてはリムブレーキモデルとディスクブレーキモデルの両方を開発・製造し続けるのはあまりにも効率が悪いですから、どちらかにしたいですよね。両方のモデルがそれぞれ従来と同じだけ売れて売上が2倍になるならともかく、市場の大きさは変わらない訳です。従来リムブレーキで10だった売上が、リム:6・ディスク:4みたいになるだけですから。メーカーとしては投資回収出来ませんのでどちらかに絞っていくのだと思いますが、ユーザーとしては迷惑な話です(もちろんメリットもありますが)。

ということで、ディスクブレーキが気になる人のために今回は『ディスクブレーキになると、一体どの程度重くなる(重量増)のか?』を検証してみます。

■ディスクになると重くなる?

ディスクになると重くなるのは本当か

まずディスクブレーキになると、現時点では全体としては自転車の重量は重くなります。これは皆さんご存知のことと思います。従来はある程度の剛性があれば良かったフォーク先端にキャリパーが移動するので、フォーク先端の強化が必要になる、などなど。理由はいくつかあります。この重量増が『どの部分が』『どの程度』重くなるのか?を調べていきます。

フォーク先端こんなのを付ける必要がありますので、頑丈にする必要があります

重量増になる部分

リムブレーキと比較すると、重量増になる部分は大きく3つです。『ホイール』『フレーム・フォーク』『コンポ』ですね。ホイールは制動力の発生する場所がリム外周部からハブ付近に移動したため、スポークの本数増加やローターを固定するハブの剛性強化が必要になります。

フレームとフォークは、ディスク用キャリパーの装着される位置をこれまでとは別に強化する必要が出てきてしまったので、その分が重量増となります。特にフォークはフォーククラウンという元々剛性の高い場所にキャリパーが付いてるという合理的な構造だったものが、しなりを主に担っていたフォーク先端にキャリパーが移動してきたため、かなりの重量増です。

一方で、軽くなる部分もある(シートステーの間に見えるものはフェンダー固定用のブリッジなので、通常は必要ありません)

コンポは、主にSTI(エルゴ)レバーにオイルタンクが増えるため、その重量増です。後ほど検証しますが、ブレーキキャリパーのみだとディスク用の方が軽量だったりします。

■キャノンデールのUSモデルを元に比較してみる

比較するモデル

検証の方法は、同一モデルのリムブレーキ版/ディスクブレーキ版を比較し、内訳を順に確認してみたいと思います。対象のモデルは、キャノンデールの2019モデル『シナプスカーボン105』と『シナプスカーボン ディスク105』です。日本にはディスクのモデルしか輸入されていないのですが、本国のUSサイトを見るとリムブレーキのモデルも併売されています。ホイールとコンポ、フレーム以外は同一構成という非常に分かりやすいモデルです。

まず全体の重量について、リムブレーキ版:8.6kg、ディスクブレーキ版:9.4kg となっており、その差は約800gです。1kg以上の差があると思っていたのですが、意外と差がありません。この800gの内訳がどうなっているのか、確認していきます。

ホイール比較

まずはホイールの比較です。リムブレーキ版は『フルクラム レーシングスポーツ(Fulcrum Racing Sport)』という完成車用の激重ホイールです。こちらの重量はフルクラム2019カタログによると1,892g。なかなかの重量ですね…。次にディスク版ですが、こちらはMADDUXのRD2.0というホイール。重量を色々調べましたが、『2kg以上ある』という掲示板の書き込みを見つけられただけでした。CAAD12のディスクブレーキ完成車についているため日本にも入ってきているのですが、流石にホイールの重量を計測している人は少ないようです。

そこで先日のホイール調査でシマノやマヴィックのモデルを色々調べましたので、それを元に比較するとリムブレーキ版とディスク版では概ね100g~200gの重量差があることが分かります。どちらも同じモデルの完成車付属のホイールですから、ホイールにかける原価は同じレベルということで、ここでは仮に150gの重量差があるということにしておきたいと思います。

コンポ比較

次はコンポです。これはシマノなので、重量がかなり明らかにされています(残念ながら全てでは無かった…)。どちらもR7000系105を使用しています。

まずはリムブレーキから。

STI ST-R7000 500g
FD FD-R7000-F 95g
RD RD-R7000-SS 225g
ブレーキ BR-R7000 379g
合計 1,199g

次はディスクブレーキです。合計で1,486g。
※BR-R7070(前後)の重量が分かりませんでした。R9170、R8070との重量差から考えて仮の数値にしてあります。パッドの重量は含まず

STI ST-R7020 590g
FD FD-R7000-F 95g
RD RD-R7000-SS 225g
ブレーキ BR-R7070(F/R) 310g※
ローター(160mm) SM-RT70(F/R) 266g
合計 1,486g

重量差は287gです。結構大きな差、というかローターの分だけ増えているという感じです。コンポの差と言っても、FDやRDは共通なのですから当然ですね。

これ以外にも、厳密にはブレーキのアウター/インナーワイヤー、オイルホース/オイルの重量を比較する必要があります。ですが重量が明らかになっていないこと(使用する長さによっても異なりますし)、オイルホースは両端のジョイント部分が金属製なので重いのですが(ホース自体は軽い)、リムブレーキのアウター/インナーワイヤーも金属製なので意外と重いです。差異があっても数十gな気がするので、ここでは同等の重量ということにしておきたいと思います。

ちなみに、同じ部分をDi2にするとこの重量差は結構縮まって、わずか111g差となります。Di2だとグレードがアルテグラになりますので対等な比較では無いですが、ご参考まで。ローターやキャリパーなどは、105グレードでの比較です。

STI ST-R8070 360g
FD FD-R8050 132g
RD RD-R8050-SS 242g
ブレーキ BR-R7070(F/R) 310g
ローター(160mm) SM-RT70 266g
合計 1,310g

フレーム比較

残りがフレームのリムブレーキ版とディスクブレーキ版の差ということになります。

ホイールの重量差で150g、コンポの重量差で287gでした。これを合計して800gから差し引くと、437g。色々と不確かな部分もあるのですが、フレームとフォークの重量だけでディスクブレーキ版は400g前後が増えているということになります。ちなみにこのノーマルモジュラスカーボンのフレームは、シナプスのアルテグラ版にも使われているものです。

リアブレーキキャリパーこの台座のために強化が必要に

この差を大したことないと考えるかは人それぞれですが、私は結構大きな差と感じます。しかし実際に乗ってみた場合、1kgや2kgならともかくフレームの400gの重量差を感じられるのか…?と言われると、私は恐らく分からないと思います…。この差には、あのごついスルーアクスル自体の重量差も入っていますし、非常に微妙なところですね。

■まとめ

シナプス105の場合、全体の重量の差は約800g。正直なところ、これはもうフレームによって全く違うと思いますので、一概には言えません。軽さを追及するなら、もちろんリムブレーキになるでしょう。ただ最近は単なる重量だけではなく、ディスクでもVENGE(ヴェンジ)のようにあれだけエアロにしながらフレームとフォークで1kgを下回っていると豪語するモデルもありますので、重量の差もそうですし、最終的な速さの差は埋まりつつあります。

シナプスのノーマルモジュラスカーボンを使ったフレームで現時点で800gの差なので、ハイエンドのカーボンを使えばその差は更に少なくなります。またホイールとコンポの部分については、お金さえかければ後からいくらでも軽く出来ますしね。既にディスク用ホイールも1,500g台は珍しくないですし、全体の重量で7kg前半なら容易に作れます。実際に、同じシナプスのHi-MODディスク デュラエースDi2の重量は、完成車で7.2kgです。

ということで、過渡期である2019モデルでは105グレードだとリム⇒ディスクで800g重量が増える。ざっくり言うとフレームが半分の400g、残りがコンポとホイールで半々といった感じ。ハイエンドのカーボンを使ったフレームにして、コンポはデュラ、ホイールも良いものを使えば800gの差は恐らく300~400g程度までにすることが出来そう。というのがとりあえずの結論です。

これをどう捉えるかは、人によるでしょう。重量至上主義の人からすると受け入れ難いでしょうし、『ディスクでエアロ』になったVENGE(7.1kg)やSystemsix(7.6kg)を見ると、多少の重量増があってもトータルでは速そうで、乗りたいという気にさせてくれます。レースをやる人ならともかく(レースでも使われてますが)、ブルベやロングライドなら気にならない重量差では無いでしょうか?この程度の重量差であれば、下りや雨でのディスクブレーキのメリットが上回っていると思います。お悩みの方の参考になれば。

最近ようやくこの本を読了しました。非常に参考になる部分が多かったです。トレーニング、機材、補給など内容は多岐に亘ります。

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