シミー現象について

【あわや落車】下りでシミー現象が発生。シミー現象とは?対策はあるの?

先日、ロードバイクで下りを走行中にシミー現象が発生。一歩間違えるとダウンヒル中に落車という事態になりかねませんでした。『この様な現象が起こる』という知識の有無が、とっさの判断の助けになることもありますので、記録として残しておきます。

ちなみに週末はAJたまがわの忘年会でした。今年の集合場所は群馬の伊香保温泉です。2日目(日曜)の帰路、伊香保から高崎への下りを走っているときにシミー現象が発生します。

■シミー現象とは

シミー現象とは何?

そもそもシミー現象とは何でしょう?長く自転車趣味をやっていると定期的に出てくるワードなのですが、ウィキペディアによりますとシミー(shimmy)現象とは

走行中にバイクや自動車をはじめとし航空機や自転車などにおける車輪、車軸を含む舵取り装着全体の振動のことを称する。シミー現象が大きくなると舵取り装着が激しく首ふり振動するようになり操縦困難に陥る。主に速度が80キロメートル毎時以下の低速度走行時において発生しやすく、40キロメートル毎時から50キロメートル毎時で発生したシミー現象を低速シミー、100キロメートル毎時から120キロメートル毎時で発生した場合は高速シミーという。

という現象。単にシミーとか『wobble(speed wobble)』とか呼ばれたりします。検索すると約33,000件の結果がhitしますので、自転車だけでなく、バイクや自動車の業界でも有名な現象です。

発生するとバイク全体が徐々に振動をはじめ、数秒の内に激しく揺れるように。私は即座にブレーキをかけて、何とか停止出来ました。もしも恐怖からパニックになりブレーキをかけずにいると、そのうちに制御しきれなくなり、ハンドルが直角に切れたりして吹っ飛ぶことになると思います。

また以下の動画の1:15あたりから、シミーが発生している様子が出てきます。

後ろを走っていたベイさんによると、私のバイクこの人とほぼ同じ挙動をしていたとのこと…。私の体験とも一致します。動画でもバイク全体が激しく振動し、リアホイールは『お兄さん!QRを締め忘れてますよ!!!』というほど激しい揺れです。しかし私のバイクはスルーアクスルです。停車後に何度も確認しましたがホイールはしっかり固定されており、緩みなどもありませんでした。

このリアホイールが揺れるというのが厄介で、この時点で真っすぐ走ることが困難になります。おまけにハンドルも激しく揺れているので、ブレーキをかけるのも大変です。

今回の状況

ちなみに発生の状況について。週末はAJたまがわの忘年会に参加(伊香保温泉に一泊)。そしてその前週に、実はフロントタイヤのみチューブレスに交換していました。その為、たまがわ忘年会会場への自走がチューブレスタイヤのテスト走行となったのでした。空気圧は5.0barにセットして、初日は40kmほど走行。交換したばかりのフロントタイヤの挙動には注意を払っていましたが、この日は特に問題は無し。

そして2日目。伊香保から高崎への下りを走行中にそれは起こる。そこは非常に見通しのよい直線の道路でした。道幅も広く、交通量も少なくダウンヒルは快適そのものです。舗装が荒れているということもなく、こんなよい道はなかなか無いのでは?と思うほど。そこを40km/h程度の速度で下っていると、突如バイクがガタガタと揺れ始めます。

2日目も(初日よりは)安心して下っていましたが、引き続きフロントタイヤの挙動には注意を払っていました。にも関わらず、対処する暇もなくあっという間にリアホイール(を含めた自転車全体)が激しく揺れ始めます。『これはアカン!』とブレーキをかけます。落車しないようにバランスを取りながら止まるので精一杯。

この時点ではこれがシミー現象という事までは思いがいたらず、ホイールやタイヤの固定状況、空気圧などをチェックしました。当然ながらどこにも異常はなく。原因が分からず腑に落ちないままゆっくりと下ったのでした。

■ロードバイクでシミー現象が発生する原因は?

この様に発生するとコントロール不能になるという非常に恐ろしいシミーですが、ロードバイクでシミーが発生する理由は何でしょう?

いくつかのサイトでは『発生メカニズムは不明』などと書いてあります。確かに原因を特定することは難しいのですが、メカニズムとしては『共振現象』でしょう。

共振とは

共振現象が広く認知されているのは、建築業界です。地震が発生した時に建物の揺れの周期と地震の揺れの周期が一致すると揺れが大幅に増幅され、大きな被害が出ます。この共振を理解するために、次に必要なワードは『固有振動数』です。

固有振動数とは

検索結果から引用します。まず『SUUMO住宅用語大辞典』から。

固有振動数とは、外部からの力を加えなくても、その物体自身が振動を続ける現象(固有振動)の振動数のこと。
固有振動数の単位はHzで表され、1秒間に物体が振動する回数のこと。例えば、50Hzとは、1秒間に50回振動することをいう。建築物についても、それぞれに最もゆれやすい固有振動数を持っており、例えば発生した地震のゆれ(振動数)と一致すると、建物のゆれが著しく増大するという性質がある。このゆれの増大現象を「共振現象」という。

物体は固有の振動数を持っており、外部から力が加わって振動した場合に運悪く固有振動数と一致してしまうと、共振が起こるということですね。次に株式会社テクノソルバの『構造解析事例』のページから。

物体は皆ある固有の振動というものを持っています。例えば木琴の音板は一つ一つの長さが違うために(固有)振動数が異なり、そのために異なる音色が発生します。一般に大きいあるいは重いほど振動数が低くなります。
この”固有振動数”と同じ周波数で構造物を揺らすと共振と言って振れ方が非常に大きくなり、異音や振動が発生し、最悪の場合には構造物が破損します。例えば車に乗っていてあるスピードで振動や騒音が大きくなりそれより低い速度や速い速度ではあまり音や振動が大きくないことがありますが、これは車のどこかがその時のエンジンやタイヤの回転による振動と共振していることが原因です。

答えが書いてありますね。

シミー現象の原因

恐らく、路面から受ける振動の周波数がホイールなどの固有振動数と運悪く一致すると振動が増幅されシミー現象になるものと思われます。

舗装路を走っているロードバイクに振動を与える要因としては、舗装からの振動くらいしかありません。今回走っていた道路の路面ですが、舗装直後ではありませんがかなり綺麗な状態でした。逆に綺麗な路面が長く続く方が、一定の周波数で振動を受け続けるのでシミーが起きやすそうです。たまに穴やわだちがあった方が、周波数が変化してシミーになりにくそうですね。

実は今回新たに使用したチューブレスタイヤですが、特に装着の状態には問題が無かったと書きました。確かにタイヤはがっちりと装着されており、問題はありません。むしろチューブレスの場合、少しでもハマっていない部分があったらそこから空気が漏れてきます。ところが初日に自宅を出発する前は5.0barにセットした空気圧ですが、自宅に戻ってから計測してみると4.0barまで低下していました。

今回のシミーは、この空気圧の変化が原因だった可能性があります。確かに5.0barでは大丈夫なものが4.0barだとダメということもあるでしょう。何しろ1.0barも違うのですから。そもそも4.0barではいくらなんでも低すぎな気がします…。この空気圧でダウンヒルしちゃダメですよね、冷静に考えたら(エアゲージを携行すべきだった)。

これについては、いかにチューブレスとはいえ一晩で1.0bar抜けてしまうのはおかしい気がします。一般的にチューブレスの場合は一週間で1.0bar抜けると言われています。シーラントが定着するまで、空気圧のチェックを怠らない様にしないとダメですね。でもラテックスチューブも24時間で1.0bar低下しますから、こちらも同様に危険性がありそうです。空気圧の管理大事。

また、チューブレスバルブも有力な容疑者です。しかしクリンチャーで運用していた時もバルブは付いていたわけです。私が使っている47mmのディープリムだとバルブの長さは最低でも60mmは必要ですから、いずれにしてもそれなりの重量になります。

念のためチューブレスバルブの重量を計測したところ、9gでした。バルブ長は63mmのタイプですね。これだけの重量があれば、しっかりホイールバランスを取ってあげた方が良さそうです。でも今までは問題無かったんですよね…。

■シミー現象を防ぐには

それではシミー現象を防ぐにはどうしたら良いのか?を考えてみます。再び先ほどの株式会社テクノソルバの『構造解析事例』のページに教えを請います。

固有振動数は最も単純な1自由度のバネ・マス系で考えると下記の式になります。
f=(K/M)^0.5/(2π) ・・・(1)
f : 固有振動数 [Hz]
M : 質量 [kg]
K : バネ定数 [N/m]
この式は非常に単純ですが、設計を行う上では大変に有用です。この式を考えると固有振動数を上げるためにはM(※質量)を小さくするか、K(※バネ定数)を大きくするしかないことが分かります。

説明文の()内はこちらで補足しています。要するに軽量化するか剛性を上げるかすると固有振動数を変化させることが出来ます。逆に重くしても固有振動数が変わることになりますが、重くすると前述の説明のように固有振動数が下がり、共振しやすくなってしまうと考えられます。そのため共振を避けるには『軽量化』もしくは『高剛性化』することになります。

軽量化する

軽量化の方向に質量を変化させると、共振が起こりにくくなります。ただしヘタに軽量化すると剛性が下がります。軽量化した一方で剛性が低下したらプラマイゼロ、もしくは固有振動数が下がってしまう可能性もあり意味がありません。

またホイールの場合を考えると、回転の外周部であるタイヤやリムを軽量化することが有用であり、ハブを軽量化してもあまり意味が無いと思われます。これはホイールの軽量化で必ず出てくる慣性モーメントの話と共通ですね。

剛性を上げる

剛性を上げることでも振動の影響を受けにくくなります。これも軽量化と同様に、剛性を上げた一方で安価な材料を使って重くなったら意味がありません。スチールやアルミからカーボンに変える、カーボンならより高剛性の素材にする、などです。またリブを追加したり断面積を増やすというのも有効と書かれていますね。いずれも剛性を上げるために一般的に行われていることです。

今回の私のケースですが、フロントタイヤの空気圧が4.0barと低圧になってしまった事で、1つの構造体としてのホイールの剛性が低下。そのためダウンヒル中にシミーが発生してしまう事態になったのではないか?と推測しています。

また私のフレームはキャノンデールのシナプスというエンデュランスモデルです。フォークはストレートで細く、少々頼りない印象です。

確かに振動吸収性は良さそうなのですが、剛性という視点からはヘッド部分の作りも含めて高くはない、というのが正直なところ。以前から下りでは挙動に不安を覚える場面があったのですが、エンデュランスロードで下りで飛ばすことは設計意図から外れているということなのでしょう…。この前に乗っていたsupersixでは不安は無かったですから。このフォーク周りの剛性が低め、というのもシミーの発生に一役買っていそうです。

また私の知り合いに聞いた範囲ではシミーを経験している人が一定数いましたが、ミニベロ乗車時の下りに発生したという証言が多かったです。これもミニベロでは剛性不足だったことが一因でしょう。

■その他、一般的な対策

その他、シミー現象を防ぐ一般的な対策をまとめます。

ホイールが斜めに装着されている

リムブレーキのロードバイクだと、慣れていてもやらかすミスです。この状態でダウンヒルしたら、そりゃ変な振動が発生してシミーにもなるというものです。ブレーキシューとリムが接触していたら、ホイールの装着がおかしいかどうかもチェックしましょう。

重心が後ろ・もしくは前

私がTwitterでシミー現象に遭った事のある人を募ったところ、『フロント荷重だったことが原因でシミーが起きた』という人がいました。この方はリア荷重気味にセッティングを変えたら、それ以来発生していないようです。逆にリア荷重が原因でフロントがフリー気味になり、シミーが起きやすいという人もいます。

この辺はフレーム・フォーク・ホイールのキャラクターとの総合的なマッチングの結果なので、正解は無いのでしょう。重心の偏りによってもシミーが起きやすくなるというのを覚えておけば良さそうです。また下りであろうとしっかりと前後のタイヤに荷重をかけて(前後の配分は平地とは変える必要がありますが)、バイクを安定させておくことが重要だ、という指摘もありました。

タイヤの摩耗、バランスの崩れ

タイヤが偏摩耗していると、バランスが崩れて発生することがあるそうです。バランスの崩れで発生するということは、ホイールにバランサーをつけてバランス取りをしっかりやってあげれば、防げるということでもありますね。タイヤもケチらずに、早めに交換しましょう…。命を預けているのですから。

タイヤの摩耗でシミーが発生するというのであれば、バルブによる重量バランスの崩れも確実に影響しているはずです。フロントについてはチューブレスタイヤの装着も終わりましたし、後日ショップに依頼してしっかりバランス取りを行う予定です。

ということで、シミー現象とはなんぞや?という説明と、経験の共有、予防策の考察でした。皆さんも『おかしい』と思ったら放置せずに対策を講じることをお勧めします。パーツの交換なんて簡単に出来ませんが、私のように下り大好きな人間は、後悔する前に。。。

ということで、何度も言っていますがまずはタイヤからです。ケチってはいけません。自分が納得出来て、信頼出来る機材を使いましょう。一般的にはGP5000を買っておけば間違いないですな。

私は転がり抵抗よりも荒れた路面でのしなやかさを重視しているので、コルサ使いです。

旧モデルのGP4000SⅡなら多少ですが安いです。在庫がなくなれば終わりでしょうから、激安というほどでもありません。

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