ディスクブレーキ

ロード用油圧ディスクブレーキ パッドとレバー引き代の調整方法

今回は油圧ディスクブレーキの調整方法を改めてまとめます。対象はブレーキパッド(キャリパー)とSTIレバーです。

ロードバイクでも油圧ディスクブレーキがやっと一般的になってきました。1年前から油圧ディスクブレーキの記事を書き溜めてきた甲斐があるというものです。基本的な調整方法はロードでもMTBでも一緒です。

まずはパッド位置、当たり具合の調整方法からです。

■油圧ディスクブレーキのパッド位置調整方法

まずディスクブレーキのパッドの位置調整ですが、油圧の場合はパッドが減っても基本的に微調整は不要です。リザーバータンクというオイルタンクがあり、そこからパッドが減った分だけのオイルが補給されることでパッドとローターのクリアランス(隙間)は常に一定に保たれます。非常に良く出来た仕組みです。

その代わりにパッドとローターのクリアランスは1mmもありませんので、初期のセッティングは非常に繊細です。パッドの位置調整が必要になるケースは、主にローターやパッドを交換した場合やパッドとローターが擦れる(こすれる)場合、ブレーキングすると『ブオーン』と変な音がする場合(パッドのクリアランスが左右均等でない)などです。ホイールが回転するたびに『シュッ、シュッ』という音がするのは非常にストレスですよね。

シマノは歪みやすい

特にシマノのローターは熱で歪みやすいと言われています。理由は『アルミ(放熱性が高いが柔らかい)』を『ステンレス(耐久性が高い)』で挟んだ3層サンドイッチ構造だからです(3層クラッド鋼板と呼ばれます)。いわゆるバイメタルなので、走行中のブレーキングにより高温が発生すると熱膨張率の違いで歪みが生じます。その代わりに冷却性能は高いので、放っておくとそのうち元に戻ります。

このあたりのローターの特性については、下記の記事で詳しく書いています。

装着完了
【ディスクロード】走行中のディスクブレーキの音鳴り・擦れの原因についてディスクロードに乗っていて、主にダウンヒル中などで突然キャリパーから『シュッ、シュッ』というローターとパッドが擦れる音がする・音鳴りがす...

パッドの位置調整の方法

油圧ディスクの場合、リムブレーキの様なクリアランスそのものを調整する仕組みはありません。またパッドも位置が決まっており調整は出来ませんので、位置調整はキャリパー本体の位置を微調整することで行います。

油圧ディスクブレーキの場合はパッドとローターのクリアランスは均等に調整するのが基本です。機械式ディスクブレーキの場合は、動作がVブレーキのように『片方のパッドが動く』仕組みとなりますので、片方はローターに接触寸前、もう片方は隙間を空けておくというセッティングになります。

それでは油圧ディスクブレーキのパッド位置調整方法です。作業の概要は以下の3ステップ。これを詳しく解説します。

  1. キャリパーの固定を緩める
  2. ブレーキレバーを握る(これでセンターが出るが、コツがある)
  3. キャリパーを固定する

ネジを緩める

まずはキャリパー本体のネジを緩めます。位置の調整だけなので少し動く程度に緩めればOKです。対象のネジはフラットマウント部を固定する2本のネジです。

次に道具が登場です。無くても調整は出来ますが、あると確実&時短になります。その道具とは『ディスクローターセンタリングツール』。

この独特な形状のツールを最初に見た時にはどのように使うのか想像すら出来なかったのですが、Amazonのレビューを見てみるとえらい絶賛されているではありませんか。苦労するのが趣味の人以外は、とりあえずポチっておきましょう。私は今でも使っています。楽なので。

実物は下記の画像です。画像でビニールがかかっている部分をキャリパーに突っ込んでクリアランスを均等にする道具なのですが、キャリパーに突っ込む部分が汚れているとパッドやローターに油分が付着しかねないので、このようにビニールで保護されています。扱う時も要注意です。

このうすーい金属部分をキャリパーに差し込みます。この商品は持ち手がついているので、類似商品と比べると非常に扱いやすいと思います。

センタリングツールをローターに装着

このセンタリングツールをキャリパーに差し込むのですが、まずはローターにかぶせます。

そのままローターを回転させ、キャリパーの中に入れます。リムブレーキの時にも、このようなクリアランス調整用のアイテムがありましたね。

ブレーキをかけてキャリパーを固定

このキャリパーがフリーな状態のままブレーキをかけて、キャリパーとツールを固定します。すると自動的に左右のクリアランスが均等に調整されるわけですね。そしてそのまま先ほど緩めたキャリパー固定用のネジを『必要トルクの8割ほどで』締めます。2本のネジは一気に締めずに、交互に少しづつ締めましょう。

なぜ一気に固定しないのかと言うと、一気に締めるとキャリパーが『本締めした時のトルク』でズレてしまう場合があるからです。リムブレーキのキャリパーでも同様の経験をした方がいると思います。

油圧ディスクブレーキの場合は特に調整幅がシビアなので、ここは丁寧に締めましょう。丁寧に作業すればそうそうズレることはありません。8割ほど締めて仮固定出来たら、本固定を行います。

本固定でどうしてもズレてしまう場合は、最後は目視で調整します。仮固定が完了した段階でセンタリングツールを外します。そして手でキャリパーをつかみ、わずかに左にずらしておきます。ネジは時計回りに回すと固定されますから、本固定のトルクをかけるとどうしても右にズレがちなので、予めその分をズラしておくという事です。

ただ、通常はセンタリングツールを使っていればそれだけで均等に調整が終わります。

調整完了です

通常は目視で調整せずとも、これで調整が完了します。センタリングツールだけを使って調整したのが下記の状態です。

拡大するとこうです。コンマ数ミリの隙間しかありませんが、ほぼ左右均等になっています。ホイールを回転させてもパッドとローターの擦れは全くありません。

これでパッドの位置調整は完了です。長期間、調整をしていないとパッドが偏摩耗したり片方だけ減りが早くなったりします。そのような状態を発見したら、基本的にはパッドの交換をお勧めします。安いものならペアで1000円程度ですし、命に関わるパーツです。リムブレーキの時のように目視で簡単に確認が出来ませんので、ストックしておきましょう。

一番安いのはレジンのフィン無しですね。通常はこれで全く問題なし。

雨ブルべなどで、強力なストッピングパワーで楽したい場合はメタルがお勧め。

パッドの選び方はこちらの記事を参考にされて下さい。

レジンパッド K02S
【ディスクロード】シマノ ロード用ディスクブレーキパッド(パット)はレジンとメタルどちらを選ぶかさて前回はブレーキパッドを交換しました。 キャリパーブレーキ用のパッドにも、シマノ純正だけで色々な種類が存在しています。同様にディ...

次はSTIレバーのストローク調整です。

■油圧STIレバーのストローク調整

以前は油圧ブレーキレバー(シマノ)のストローク調整は出来ないモデルも多かったのですが、最近のモデルは調整が可能になっています。調整可能な部分はレバーの位置(握り幅)とフリーストロークの2つです。フリーストローク調整機構は、上位グレードのみなので注意しましょう。

レバーの位置調整

まずはレバーの位置調整からです。シマノのマニュアルには『握り幅』とありますが、レバーの初期位置の調整が出来ます。手の小さい人、指の短い人はレバーを手前に来るように調整してしっかり指が届くようにしておきましょう。

基本的にはSTIレバーにある『位置調整ネジ』を2mmのアーレンキーなどで回します。位置調整ネジの場所、ネジをどちらに回すとどう動くのか、というのは型番によって全部異なっています。ここでは全てを書ききれませんので、シマノのマニュアルサイト(Manuals & Technical Documents)でSTIレバーの型番を検索し、調整方法を確認して下さい。

例えばDuraAceの油圧+Di2(ST-R9170)の場合はこの位置にあります。レバーを近づけたい場合は、反時計回りにネジを回します。ちなみに油圧+機械式変速のST-R9120、アルテグラのST-R8070、ST-R8020、ST-R8025(ショートリーチ)も同じです。

回転の方向は、上の画像と同じです。

私は下ハンの時に少し指が届かない感じがあったので、ちょっとだけ手前に引き寄せました。

こんな場所にあります(ST-R8070)
アーレンキーが届きづらいですが、ネジをナメないように確実に回しましょう

フリーストロークの調整

次はフリーストロークの調整です。いわゆる『空引き量』です。どれ位レバーを引くとブレーキがかかるのか、という動きの量の調整です。シマノのサイトにもちゃんと機能の紹介があります。⇒シマノ『Free Stroke』

これも型番によって調整ネジの場所が異なりますので、先ほどのマニュアルサイトから型番で検索してみて下さい。レバー位置の調整と同じ場所に記載されていますから、先ほどマニュアルを確認している人は検索不要です。

Di2系のST-R9170、8070はここにあります。ほとんど同じ場所ですね。使用する工具は先ほどと同じく2mmのアーレンキーです。

機械式変速のST-R9120、R8020、R8025はこの位置です。

105クラス以下のグレードは、このフリーストローク調整機構はありません。

またフリーストロークの量を変更すると、レバーの位置も動きます。先ほどの位置調整でせっかく位置を決めたのに、再度調整する必要が出ます。そのため両方調整する必要がある場合は、まずフリーストローク調整から実施した方が良いでしょう。

カバーをめくると、位置調整ネジへのアクセスもやり易くなります。

ただフリーストローク調整は基本的に不要であり、レバー位置の調整だけで大丈夫な場合が多いはずです。私は左レバーだけが動きの量が大きかったので、狭くなるように調整しました。リアの方がオイルラインが長いのでエア抜きが難しい傾向があるのでしょうか。

今回は油圧ディスクブレーキのパッドの位置調整、レバーの調整方法の紹介でした。参考にされて、ちょっとした調整なら自分で出来るようになると良いですね。特にブレーキの調整は個人差がありますので、好みのフィールに調整してみましょう。

 

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