【ディスクロード】走行中のディスクブレーキの音鳴り・擦れの原因について

ディスクロードに乗っていて、主にダウンヒル中などで突然キャリパーから『シュッ、シュッ』というローターとパッドが擦れる音がする・音鳴りがする場合の原因と対処法です。

■走っている最中にも、音鳴りは発生する

平地で強めのブレーキをした場合や、下りで長時間ブレーキをかけた場合にパッドとローターが擦れる例の『シュッ、シュッ』音が発生することがあります。本人としては特に何もしていないつもりなので、何の前触れもなく突然発生する感じで非常に気になるのですが、当て効きで軽め・長めにブレーキをかけたり、しばらく放置していると解消します。

私も平地を走っていて強めにブレーキングした後や、SR600四国山地で雨の中を2時間ひたすらダウンヒルした時などに発生した記憶があります。覚えていないものも合わせると、もっと頻繁に発生しています。放置すると収まるので、これはローターが高温になった場合に熱で歪んでしまうためか?と想像していたのですが、この想像は半分正解といったところでした。

原因は?

これの原因は、

『ハードブレーキングによる熱でローターの『反り』が発生するが、反り具合が左右均等でないためパッドとローターが一時的に接触する』

ということだそうです。これ以外の要因もあると思いますが、経験的にコイツが主犯格と見て良いと思います。

『だそうです』というのは、先日PAXサイクルさんがつぶやいていた事だからです。その内容をまとめると、このような事でした。

『クラッド鋼板のローターは、単一鋼のローターよりも熱で反りやすい』
『2ピースのローターは、1ピースのローターよりも曲がりやすい』

とのこと。これで全てを理解出来てしまう方は、そもそもこの記事を読む必要がありません。

■まずは用語と構造の理解

まずクラッドやら2ピースやらの用語の内容から確認します。

クラッド鋼板

クラッド鋼板とは、2種類以上の異なる金属を貼り合わせた材料のことです。シマノのアイステクノロジーローター(だいたいアルテグラ/XTグレード以上の製品)は、このクラッド鋼で出来ています。シマノの場合は3層のサンドイッチ構造になっていて、中心がアルミ(放熱性重視)、両側がステンレス(耐摩耗性重視)になっています。住友金属(から2度社名が変わって今は日本製鉄)の昔のプレスリリース(2011年)を見ると、シマノ向けの3層のクラッド鋼板を提供開始したというのが見つかります。
※ちなみに下記の画像はクラッド+フィン付きの最高級モデル仕様『アイステクノロジーFreezaローター』のものでして、デュラエースクラスの製品になります。

shimanoデジタルカタログより

2ピース/1ピース

ピースというのは、ローターがざっくり何個のパーツから構成されているのか?ということです。1個のパーツで出来ているよりも、2個のパーツから構成されている方が構造的に歪んだり曲がったりする可能性が増えるという事です。シマノのSM-RT800/900は2ピース。

デオーレのSM-RT66は1ピースですね。

というか、センターロックのローターは全部2ピースになりますよね。でもここでの主旨は、世の中のローターを2ピースと1ピースに分類する事ではありません。構造によって歪みやすいローターと歪みづらいローターがある事を理解しましょう、ということです。

シマノ クラッド鋼板仕様のローターの構造

上記の通り、クラッド鋼板は柔らかいが熱伝導率が高いアルミをステンレスで挟む構造になっています。ところが、この両側のステンレスは実はそれぞれ厚さが異るそうです。その理由は、ズボラな人がローターを全く交換せずに何年も使用し続けた場合に…ステンレス部分が摩耗して完全に無くなってしまうケースを想定しているからだそうです。

ステンレス部分は削れて徐々に減っていきますが、ここが無くなると中心部のアルミが露出します。アルミは柔らかいことで有名な金属ですから、アルミ部分だけでブレーキの役割を担わせるなど危険極まりない話です。そういった事態を未然に防ぐために、ステンレス部分の片方を薄くしておいて、両方同時に無くならない様にする…。その目的で左右の厚みを変えているとのことです。

ちなみに厚みについてはシマノお客様相談室に電話して聞いてみましたが、下記のような回答でした。

  • 2枚のステンレス部分の厚みは変えています
  • 厚みを変えている理由は、パッドを押し付けるピストンの動きが左右で完全に均等では無いため。その他の理由は、(その他の理由があるか無いかも含めて)公式にはオープンにしていないのでお伝え出来ない

厚みが異なるということは確認出来ました。理由については、幾つかあるのでしょうね。お客様相談室のスタッフの方も、メーカーとして答えづらい質問については個人の裁量で(問題にならない範囲で)なるべく回答してくれる人が多い印象です。なので電話に出た人により微妙に回答や言い回しが異なる場合があったりします。なので『シマノからの回答』ではありますが、マニュアルやカタログに掲載されているレベルとは異なり、あくまで『お客様相談室』の回答であることを頭に入れておいて頂きたいと思います。

ともあれこの厚みが異なるという点が、ハードブレーキングで熱を持った時に左右で変形度合いが異なるという結果になります。どちらか片方に反ってしまい、パッドと接触してしまうということです。しかしローターの厚み自体が1.7mm程度しかありませんので、ステンレスの厚みが異なると言っても、本当に0.1mm異なるかどうか?というレベルの話です。

■冷却性能と歪み発生のしやすさの間で

ということで、歪みという観点からするとローターにはサンドイッチ構造のクラッドタイプ、また中心部分と外周部分で別部材になっている2ピースと、そうでない1ピースがあるという分類を行うことが出来ます。

冷却性能でいうと、一般的に性能が高いのはクラッドの方です。しかし歪みやトラブルの起きづらさでいうと、クラッドでもなく、1ピースのシンプルなローターがその観点では優れているということになります。

ロード用のローターはMTB用のように岩や木にヒットすることを想定していませんから、どうしても軽さと冷却性能優先の構造になるのでしょう。しかし一般のライダーがその辺の平坦な一般道を走る用途で、最高レベルの冷却性能と軽さ(と価格の高さ)が必要か?と問われると、そうでは無い人の方が多いのではないでしょうか。
(趣味で買うのはもちろん自由です!)

このような音鳴りが気になるという人は、単に軽さと冷却性能だけでローターを選定するのではなく『構造のシンプルさ』という観点でローターを選択すると、音鳴りの要因を1つ減らす事が可能だということです。ただ、ハードブレーキングをすればかなりの熱を持ちますから、素材が金属である以上は少なからず反ってしまうことは避けられないと思います。反りの程度が異なる、というお話ですね。

しかし私もPAXサイクルさんのツイートを見て初めてこのような事を意識したのですが、センターロックのローターはもれなく2ピースですよね…?ということは、1ピースのローターを使いたいという場合は最初から6ボルトタイプのローターを使う必要があるということか?

既にセンターロックのホイールを買ってしまった、という場合は…ホイールを買い替える!というのはあまり現実的では無いので(どうしても買い換えたい人はどんどん買いましょう)、こんな感じのセンターロックハブに6ボルトのローターが使えるようにするアダプターを使いましょう。普通にシマノから出ています。

ローターはセンターロックか?6ボルトか?という話になると、それなりに壮大なテーマとなってしまい結論が出ませんので、その話はここではしません。センターロックと6ボルトはそれぞれ一長一短があり、どちらが優れているという訳ではありません。この記事の主旨であった走行中の歪みの他に、状況や好みで選択すると良いと思います。

6ボルトの1ピースだとは熱では歪みづらい…と書きましたが、そもそも6ボルトだと取付が適当だと真っすぐ装着されない可能性もありますからね(ちゃんと取付すれば済む話ではありますが)。

ローター1つ取っても奥が深い…。ロードのディスク化ですが、キャリパーブレーキの時に痛い目に遭いながら蓄積した知見を、ディスクでも蓄積しないといけないということですね。我々ユーザー側も、変化についていく必要があるということですね。私は、今度カンパのローターを試してみるつもりです。

その他の音鳴り、擦れについてはこちらの記事をどうぞ。

ロード用 油圧ディスクブレーキ パッドの調整とレバー引き代の調整方法

コメント(2件)

  • ろーまん より:

    通常の走行ではローターの擦れる音はしませんがやはり長いダウンヒルの場合ローターが高温になりブレーキをかけてなくてもリア側からプオーンと音鳴りします。こうゆうものなのでしょうか?
    XTRローターで音鳴りしなくなったという話をよく聞きます。
    乗っているバイクはドグマF12でブレーキ周りは全てデュラエースで前後とも160mmのローターです。

  • morou2 より:

    ろーまんさん
    なんてことは無いダウンヒルでも、長い距離(ちなみにろーまんさんの言う長いとはどの程度の距離でしょうか。私の中では10km以上連続して下りが続けば長いというイメージです)であれば熱で歪むことが有ると思います。また距離が10kmなくても下りの斜度がキツイとか、ライダーの体重が重いとか、そういった条件でもローターには負荷がかかります。むしろ距離よりも斜度や体重の方が影響度が大きいと思います。

    ちなみに距離が原因と言う前に、

    ・キャリパーの取り付けがしっかりとなされている
    ・ローターの取り付けがしっかりとなされている
    ・キャリパーとローターの位置についてセンターが出ている
    ・ローター自体が歪んでいない

    など取り付けやパーツの状態に問題無いということが大前提です。
    その上で音が鳴るというのであれば、それはディスクブレーキはそういうものだと初めて言えると思います。実際に、取り付けがしっかりなされていても高温になると反って音が鳴りますので、そういうものと言えるでしょう。

    もし音鳴りを低減させたければ、ローターやキャリパーの取り付け状態を可能な限りベストにしたうえで、構造がシンプルなカンパにするとか、ローターの径を140mmにして反り具合を相対的に小さくするなどが選択肢になるのではないでしょうか。
    XTRローターと音鳴りの関連性ですが、XTRの方が剛性が高いそうです。放熱性はDURA ACEが高いそうですが、剛性の高さで歪みにくいらしいです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください