ロードの油圧ディスクのブリーディング(エア抜き)を行う。簡単にやり方を紹介 準備編
ロードの油圧ディスクブレーキのブリーディング(エア抜き)を行いました。オイルを扱うのが面倒そうで、ブリーディングキットは買ってあったのですが半年ほど放置していました。ようやく重い腰を上げて作業をしましたので、簡単にやり方を紹介します。
今回の作業ですが、完成車の状態で受け取ったものに対してブリーディングを行うものです。作業編はこちらから。
■今回の目的
今回の目的は、
- 左(リア)の効きが微妙に甘く、オイルラインにエアが残っている様な気がするので確認したい。エア抜きもする。
- 新品オイルへの入れ替え(前回オイルを入れ替えてから1年ほど経過したので)
この2つです。エア抜きをするのが主目的で、オイルの入れ替えは副産物と思っています。ただ作業はほぼ共通なので、一緒にやってしまいます。
特にリアについてですが、当初から左右のブレーキタッチが微妙に異なるという状態が続いていました。フロントは完璧だと思うのですが、リアが微妙に甘いのです。フロントに比べてレバーを気持ち多く引かないと効かない。SR600四国山脈の際に飛行機輪行したらエアが噛んで効かなくなったのもリアです。
その後、店長さんにリアだけブリーディングをしてもらったのですが、多少改善したもののやはりフロントと同じではない。本当に少しの差なのですが。
油圧ディスクブレーキの場合、フロントはオイルラインが非常にシンプルです。距離が短い上にフォークからハンドルまで真っ直ぐ上に上がっています。なのでエアも上がって来やすいですね。それに対してリアは、オイルラインが長い上に登りや下りがあったりしてエアが滞留してしまいやすい。こういった前後の差があるため、リアは作業の難易度が上がる傾向があります。トラブルも発生しやすいですよね。
ちなみにハードに乗っていると、オイルはこんなに汚れます。
■作業の概要
まずブリーディングとは何かといいますと、リザーバータンクを含むオイルラインに残っている気泡(エア)を抜くことです。作業工程にフレーム全体を傾けたり、ハンドルの角度を色々変えたりする内容がありますが、全て『エアを抜くため』です。オイルラインのどこかに残っているであろう気泡を何とか移動させて、キャリパーやハンドルからエアを出してあげます。
作業の手順としては、大まかに
- キャリパーからオイルを注入してエアを押し出す。ついでにオイルも入れ替える
- キャリパー側からエアを抜く
- レバー側からもエアを抜く
3つの作業に分かれます。それでは説明に入ります。
■必要な道具
必要な道具を揃えます。ちなみに私の使っているSTIレバーは、アルテグラ油圧ディスクブレーキのDi2なのでST-R8070です。
マニュアルのダウンロード
まずはマニュアルのダウンロードです。マニュアルに従って作業しましょう。マニュアルはシマノのwebサイト『マニュアル&技術資料』からダウンロードします。自分の使用するSTIレバーの型番で検索すれば出てきます。これから紹介するスペーサーなどのスモールパーツの型番を確認したい場合も、上記リンクで検索して部品展開図を確認すれば載っています。
ブリーディングキット
最初にブリーディングキットを調達します。シマノからは以下のキットが出ています。

またデュラ、アルテ、105、ティアグラ、GRXはファンネルアダプターというものが必要になります。他は調べていないので分かりません。これはST-R8070を買うと付属してきたのですが、完成車で買っても付いてくるのでしょうかね?
ファンネル(じょうご)とアダプターはこのようなものです。小さいのがアダプターですね。左側のものはじょうごを置く台です。

キットには、他にじょうごに栓をするオイルストッパーと

チューブのついたシリンジが入っています。

ミネラルオイル
こちらも必須アイテムのオイルです。シマノの場合はミネラルオイルですね。容量は50mlと100ml、500mlと1000mlがありますが、値段はそれほど変わりません。
ただし50mlの方は『Y83998010 ミネラルオイル ブリードキット』という名称になっていまして、オイル排出用のホースとビニール袋が付属してきます(ファンネルアダプターは付属しません)。量としては、慣れてきたら1回のブリーディングで50mlあれば足りるという感じです。オイルを前後とも入れ替えたい場合で、こぼすなどの無駄遣いが心配な人は100mlを用意した方が良いでしょう(笑) また慣れていないのに残量を気にしながらオイルをちまちま使って作業すると、エアを追い出し切れないこともあります。最初は多めに買っておくのが良いと思います。

ブリーディングスペーサー
作業中はブレーキパッドを外しますので、このスペーサーが必要になります。レバーを握る工程がありますが、ピストンが出来ないようにするためです。パッドごと外すのは、オイルがかからないようにするためです。
ブリードスクリュー&Oリング
STIレバー内部にあるオイルリザーバータンクに蓋をしているパーツです。Oリングでシールしているので、安い部品ですし定期的に交換した方が良いでしょう。劣化するとオイルが漏れてきて、STIレバーのカバーの裏が知らない内にオイルまみれになります(経験者談)。

7mmレンチ
ブリードニップルの開閉に必要です。レンチをかけたままにするので、スパナではなくめがねレンチが適しています。工具箱にあるとばかり思っていたのですが、『さて使うか』と工具箱を開けるとありませんでした。急いで買いに行きました…。私の家はホームセンターが500mくらいのところにあるのでこの様な事が出来ますが、事前に準備しておきましょう。私はそれなりに自転車をいじっていますが、それでも7mmレンチを使う機会が無かったという事です。
オイルを扱いますから、他にウエスやキッチンペーパーがあると良いでしょう。またオイルをぶちまける可能性もありますので、下には新聞紙などを敷いた方が良いですね。私はこぼしました。急に風が吹いたんですよ。屋外だったので汚れは気にしませんが、オイルが勿体ない。。。
長くなりましたので作業はその2へ続きます。
こんにちは。私も大好きなブリーディングですね。
ふと思ったのですが、交換方法の手順として
> キャリパーからオイルを注入して古いオイルを押し出し、オイルを入れ替える
…は、キャリパー側から抜くのが正攻法ではないでしょうか?
(シマノのマニュアルにはそうあります)
次編で明らかになる…?
impactdiscさん
ご指摘ありがとうございます。結論から言いますと、マニュアルの記載を見逃しておりました…。
『ミネラルオイルの注入と気泡抜き』だけ見ており『ミネラルオイルの交換』が末尾にあるのに気づきませんでした。おかしいなとは思っていましたが…(汗
『ミネラルオイルの注入と気泡抜き』には最初にキャリパーからオイルを注入する手順がありますが、エア抜きのついでに(ある程度)オイルも入れ替わりますからオイル交換も兼ねているものとばかり。『エア抜きのついでにオイルもある程度入れ替わる』というのが適切と思いますので、修正させて頂きます。
ブリードネジからのにじみって使用してどれ位でしたか覚えてます? つい最近ネジ付近ににじみがあったので漏れなのかOリングの劣化なのか特定させたいので覚えていたら教えて下さい STIレバー交換は高価なんで違う事を願ってます
daidaiさん
私の場合は、STIのフードカバーの裏全体にオイルがうっすら付着しているという感じでした。カバーと本体の間には隙間がありません、漏れは少量だったが全体に広がったという感じです。
ティッシュで拭いておけば当分は大丈夫だろう、という程度です。