【レビュー】新型アルテグラ(R8100)を使ってみて ドライブトレイン編(後編)

新型アルテグラのレビュー3回目です。前回に続き『使ってみて分かった』点を中心に紹介します。今回はドライブトレイン関連の後編としてクランク、スプロケットを紹介します。

前回の記事はこちらから。

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■クランク(FC-R8100)について

重量について

今回はデュラエース、アルテグラとも重量が増加しています。クランクアームが折れる、剥離するなどのトラブル対策のためでしょうか(少なくともデュラエースでは、これまでの接着をやめて一体構造になっている)。アルテグラの場合、クランク長170mm、50-34Tの組み合わせでR8000は674g。R8100は700gなので26g増加しています。

歯数、クランク長について

クランクに関して、R8100になって変わった大きな点は歯数とクランク長です。R8100アルテグラの場合、歯数の組み合わせは52-36Tと50-34Tの2つ。R8000では更に53-39T、46-36Tという組み合わせがありました。確かに53-39Tと46-36Tは売れなさそうです。またクランク長は160、165、170、172.5、175の5つです。クランク長については、逆に160が追加されています。

R9200デュラエースでは、上記のバリエーションに加えて54-40Tおよび167.5、177.5のクランク長が追加されています。

変速について

前回の記事でフロントの変速が速くなったと書きましたが、フロントの変速を速くするにはチェーンリング側の加工も重要となります。具体的には刃先と、裏側のスパイクピンおよびチェーンの通り道の形状です。手元にR8000クランクの現物が無いので正確な比較が出来ませんが、これらの加工も前作から進化しているそうです。

ただ変速ポイントが増えたならともかく、ピンの数は4本で同じです。変速ポイントが同じなのですから、変速の速度が上がったのはFDの改良が大きいと思われます。

パワーメーターについて

今回はアルテグラにもパワーメーター内蔵モデル(FC-R8100)が登場したのも大きなポイントです。前作ではデュラエースしか設定が無かったうえ、評価がいまいちであまり普及していません。R9200、R8100ではパイオニア買収の影響か、ベクトル表示も出来るようになっているとのことなので、今回は競争力のある製品になっていることを期待します(出たら買うつもりです)。

パワーメーター内蔵モデルになると、価格はノーマルよりも約10万円アップ(デュラ/アルテとも)。内臓パワーメーターとしては妥当な価格です。選択可能なクランク長のバリエーションは少し減ってしまいますので、その点は注意が必要です。ちなみにチェーンリングが不要という人はクランクのみ購入することも可能です。

現在(2021/12)のところ、まだパワーメーター内蔵モデルは出回っていません。半年程度は時間がかかるのでは?と言われています。そのためフルセットで購入した場合、今までクランクタイプのパワーメーターを使っていた人はパワメが無くなってしまいます。私も4iiiiを使っていましたので、同様の状況です。

私はペダルにスピードプレイを使っていますので、Garmin Rallyのようなペダルタイプを使う事も出来ません。しばらくパワメ無しの生活になるかと思っていたところ、クランクの嵌合方式は従来と同じくホローテックⅡであることに気が付きました。要するに、今までのクランクが付きます(少なくともFC-7900や6700もホローテックⅡ)。私は組み換えするまで使っていた4iiiiのR7000(105)の左クランクと交換してしまいました。

早くも死蔵される左クランク
もうしばらく働いてもらいます

■スプロケット(CS-R8100)について

重量について

歯数の組み合わせは11-30Tと11-34Tがありますが、私が購入したのは11-30T。12速化に伴って、前作CS-R8000の11-30Tと比較すると16Tが増えています。CS-R8100の重量は291g(実測294g)ですが、CS-R8000は269g。16Tの追加により22g増えています。

歯数構成について

現在販売されている歯数構成は、デュラエース/アルテグラとも11-30Tと11-34Tの2種。11-28Tも発売されるという話でしたが、上記2種の生産が優先されている為か、今のところシマノのwebサイトにも載っていません(2021/12現在)。

アルテグラのスプロケットにトップ11Tのみというラインナップは初めてです。ただ、私のような体重の軽い人は、下りですら11Tはおろか12Tも使いません。12速化したと言っても、実質は10速です。11速時代は実質9速でしたが(笑) そのため私は14-28Tというスプロケットを使っていたのですが、この高体連ギアが出るのは当分先になると思います。

チェーンリングに48Tあたりを出して欲しいところですが、先ほど書いたように46-36Tは無くなってしまいましたし、48-31Tという組み合わせがGRXにありますのでGRXを買ってねということなのでしょう。実際は9割以上の人が52-36Tか50-34Tだと思いますので、口では欲しいと言いつつも売れないというのが実際なのだと思います。

11-34Tの存在について

先ほど書いた通り、デュラエースにもアルテグラにも今回から11-34Tがラインナップされています。ところがです。デュラエースのフルセットをフロント52-36T/50-34Tで組んだ場合、11-34Tのスプロケットは使えません(フロントが54-40Tなら使える)。

なぜか?それはデュラエースのRDは、トータルキャパシティが37Tしかないからです。アルテグラのRDは39Tとなっているので、フロントが50-34Tでもリアに11-34Tを使用可能です。今回からデュラエースもアルテグラもRDはロングケージのみになってしまったのですが、実はデュラとアルテでケージの長さが異なります。

こちらはアルテグラのRDですが、デュラのケージはアルテとほぼ同じ長さに見えて実は違います

ちなみにトータルキャパシティとは、RDがどれだけの長さのチェーンを巻き取る能力があるか?ということです。例えばキャパシティ37Tであれば『フロントのアウターとインナーの歯数差』+『リアの最小と最大の歯数差』を合計して37以内である必要があります。

例えばフロントが52-36Tだと歯数差は16です。リアが11-34Tだと歯数差は23です。合計すると39になるため、デュラエースのRDではこの組み合わせはNGということになります。デュラエースのRDはキャパシティが37Tなので、これに収めるにはフロントを54-40Tにするか、リアを11-30Tにする必要があります。もしくはRDだけアルテグラにしてもOK(アルテRDのキャパシティは39なので)です。

要するに一般的なフロント52-36Tだと(50-34Tも)、自動的にスプロケットは11-30Tの一択になるのです。11-34Tはラインナップにありますけども、使う事が出来ません。使いたかったらRDをアルテにする必要があります。またはフロントを54-40Tという漢ギアにするかです。

(ただしそこはシマノ製品ですから、実際には52-36Tと11-34Tの組み合わせでも変速自体は出来ると思いますが…)

11~13Tの取り付けについて

また12速化に伴い、トップ側3枚の取り付け方法が少し変更になっています。具体的には以下の2点。

・11Tはフリーボディではなく12Tに取り付ける。
・スペーサーの厚みが2種類(1mmと2mm)ある。

この2つは関連していますので、順にみていきます。まずは11Tの取り付け方法。

まずこれが12Tです。下にあるのは13Tです。この2枚は従来通りフリーボディに装着します。12速化に伴ってスプラインが細かくなっていますが、従来のフリーボディにも使用可能です。

装着後です。ここに11Tを付けなくてはならないのですが、既にフリーボディにはスペースがありません。

そこでシマノは12Tに11Tを嵌合させる方式を採用。先ほどの12Tを別の角度から見てみると、11Tを嵌合するたためのスプライン形状になっています。

11Tを嵌合させるとこのようになります。高さの異なるスプラインにしっかりはまっています。

このように12Tは11Tにかかる力を受ける必要があるため、スペーサーと一体化したかのような厚みのある造りになっていると思われます。

13Tはこのように少しオフセットした構造になっています。12Tがあれだけの厚みになってしまったため、やむを得ず最小限のオフセットを行ったと思われます。

13Tがオフセットした構造になったことで、厚みが増しました。そのため、13Tと14Tの間のスペーサーは1mmタイプ(Aの刻印がある)を使用します。他のスペーサーの厚みは2mm (Bの刻印がある) です。

Aのスペーサーは1mm。
Bのスペーサーは2mm。

このことは、製品展開図やディーラーマニュアルにも記載があります。展開図に記載のある型番と名称は以下の通り。

・1mmのスペーサー:名称『スペーサーA』、型番『Y0MV40020』
・2mmのスペーサー:名称『スペーサーB』、型番『Y0NR00200』

■まとめ

今回はクランクとスプロケットでした。クランクは頑丈になりアルテグラにもパワーメーターが登場。歯数のバリエーションは減りましたがクランク長の選択肢は増えました。パワーメーターモデルが出るまでは、旧モデルのクランク型パワーメーターを取り付けて代用することも可能です。

スプロケットについては11Tの嵌合方法が特殊になり、スペーサーも異なる厚みの2種類が使用されています。スプロケットの脱着の際は要注意です。またデュラエースの話になりますが、フロントが52-36Tと50-34Tの場合でRDもデュラエース(RD-R9250)だと、スプロケットに11-34Tが使えません。

前回のFD、RDと合わせてドライブトレイン周りも着実に進化しており、アルテグラでも十分な変速の速さを体感出来ます。R9200デュラエースも乗りましたが、変速の速さは両方乗り比べてやっと分かるレベルと感じました。レースを走るならデュラエースですが、そうでないならアルテグラでもはや十分です。価格も25万しますしね…。

早くパワーメーター内蔵モデルが発売されて欲しいところです。

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スプロケットも種類が増えて欲しい。来年であるであろう105に期待。

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次回は残りのSTIレバー、ブレーキ編です。