【レビュー】新型アルテグラ(R8100)を使ってみて まとめ編

新型アルテグラのレビュー5回目です。これまでは細部の紹介をしてきましたので、最後にまとめの記事を書いておきます。

前回の記事はこちらから。

■シマノにとってのアルテグラ

アルテグラとデュラエースのポジショニングが変わった?

R8100アルテグラに組み替えて300kmほど走った後、R9200デュラエースにも試乗の機会があって乗り比べをすることが出来ました。

最初に感じた事は、ここまでコンポの性能が向上してしまうと、もう多くの人はアルテグラで十分なのでは?ということ。

シマノはこれまでデュラエースをまず最初にリリースし、それを基準として翌年以降にアルテグラ、105と続く商品展開を行ってきました。

ところが今回はデュラエースとアルテグラを同時に発売したこともあり、基準がアルテグラに移ったように感じます。

趣味でロードバイクを乗る多くの人には、性能面はアルテグラでもう十分。デュラエースは『レースで良い機材を使えばその分だけ有利になる、だから価格がいくらであろうと買います。』という人にだけ売れたらそれで良い…という割り切った位置づけのように思えます。アルテグラの性能はそれ位に高いです。
(日本の場合、現実には皆が割と普通にデュラエースを使っているので、買わないとむしろ不利になるという感じですが…)

冷静に見ると、アルテグラの性能が良過ぎてデュラエースは18万円の価格差の説明が難しいとも感じます。差額をホイールやフレームに投資した方が費用対効果は高いでしょう。雑誌では書きづらいことだと思いますけど…。

ただあくまでも費用対効果のお話です。性能差は確実にありますから、差額の18万円なんて金額的に誤差という方はすぐに買うべきと思います。

アルテグラとデュラエース、機械式変速とDi2

今回から機械式変速が選択出来なくなってしまったため、R8100アルテグラのコンポ一式を買う場合は油圧ディスク+Di2で約25万円という選択肢しかありません。組み換えの工賃が入ると概ね30万円です。アルテグラも高くなりましたね。

ここで価格の推移を確認するため、1つ前世代のR9100/R8000と、R9200/R8100の価格差を見てみます。ブレーキシステムは全て油圧ディスクの場合です。Di2の価格にはワイヤレスユニット、ジャンクションAを含みます。

R9200(Di2):約430,000円
R9100(Di2):約400,000円
R9100(機械式変速):約280,000円

R8100(Di2):約250,000円
R8000(Di2):約220,000円
R8000(機械式変速):約150,000円

今回のR9200/R8100は高くなった…という印象がありますが、同じDi2の構成で比較するとデュラエースもアルテグラも前世代から約3万円しか値上がりしていません。むしろこれまでは機械式変速という選択肢があり、それがDi2の7割ほどの価格で買えました。その機械式変速という選択肢が無くなってしまったために『高くなった』という印象が先行しているのだと思われます。

こうして並べて見ると、偶然かもしれませんが世代間、グレード間の価格が良くコントロールされているなと感じます。

ただこれだけ価格が上がってしまうと、今後は多くの人の『上がり』はアルテグラという位置づけになり、ロングライドで使い倒したい人は105という選択肢にならざるを得ません。

105も性能と質感を向上させれば、従来のアルテグラ(の機械式変速)の位置と入れ替わるのは大いにあり得ると思います。ワイヤレス化して高級品になったアルテグラが誰でも買えるとはシマノも思っていないでしょうから、アルテの機械式変速のポジションに105を当てはめてくるのではないでしょうか。

更に初心者向けというイメージの強かったティアグラも性能を底上げしてあげれば、Di2は不要という人向けの新ラインナップが完成です。個人的にはティアグラはもっと売れても良いと思っています。裾野を広げるために、105とティアグラに広告宣伝費をかけるべきでしょう。

■レビュー

ここからはR8100アルテグラのレビューのおさらいです。

変速について

12速化したうえ、変速速度が明らかに向上しています。使い始める前は『これ以上速くしてどうするのか?』と思っていましたが、一瞬で変速完了するのは純粋に楽です。『変速したい』と思ったら、もう変速完了しているのでロングライドにも明らかに役立ちます。本当に楽ちん、ストレスなし。

ワイヤレス化について

ワイヤレス化でハンドル周りの配線がスリム化しました。ケーブル内装ハンドルの組付けも、ワイヤレス化で劇的に楽になります。

ただし私の様にトップバースイッチを付けるとケーブルが必要になるので、台無しになりますが…。それでも従来はトップバースイッチやスプリンタースイッチを使うとエレクトリックケーブルが2本必要になり、油圧のホースと合計すると3本になるという悲惨な状況でした。それと比べると、エレクトリックケーブルが細くなったことと合わせて作業性は格段に向上しています。

ブレーキについて

ブレーキもコントロール性が向上し、フィールが良くなりました。『ああ、今まではいきなりガツンと効いていたのだな』ということが改めて分かりました。

制動力は前作も今回も必要十分なので同等ですが、とにかくまずガツンと効いてからコントロール出来るようになるのが前作でした。今回はガツンと効かせようとすればそれも出来るし、当て効きの領域を保ったままコントロールしようと思えば出来るようになったのが大きな違いです。

まとめ

完成度の非常に高い今回のR8100アルテグラですが、ワイヤレスという機能としてはSRAMに遅れること数年、やっと出してきましたかという印象が拭えません。ただしワイヤレスにも関わらず、あの変速性能(と恐らく信頼性も)は確実にSRAMを大きく引き離していると思います。

1つだけ残念なのは、これまでのように、他社を大きく引き離すような先進性は無かったところ。もっと攻めた製品を出して欲しかったですね。差別化できるとすれば、恐らくそれは機械の面ではもう無理で、アプリやソフト面しか無いと思います。ここはこれからに期待したいところ。

セミワイヤレスは現時点での最適解と思いますが、次回はもっとガーミンなどフィットネス分野の企業と連携して、攻めた製品を出して欲しいですね。