さて暖かくなってくると走りやすくなってきますが、それにつれて雨も増えてきます。中には2・3月のブルベで晴れ予報であったにも関わらず、ゲリラ豪雨にあったり雹が降ったりして大変なことになることもありますが…。
それは一部の人の話なので置いておいて、ブルベの雨対策・雨装備・防水について綴りたいと思います。
ブルベの距離が長くなればなる程、当初は晴れの予報でもどこかで局地的に雨雲に遭遇する確率が上がります。慣れない内は保険として、また夜間・ダウンヒル時の防寒にも使えますのでレインウェアの携行をお勧めします。
■タイプ分け
私の経験からすると、まずは『雨に対しての考え方』が大きく4つに分かれます。自分がどのタイプなのか考えておくと、同じタイプの他人のやり方を参考にしたり、対策が立てやすいです。
1、ちゃんと雨対策(雨装備)をする人
予報に基づいてレインウェアを携行し、マッドガードもつける。レインウェアは上下をちゃんと持っていく。『濡れるのは嫌』という普通の人。※実際は好き・嫌いよりも、濡れると体力の消耗が激しくなったり股の皮がむけたり色々実害が発生しますので、基本的には濡れないことが大切です。特に体幹を冷やしてしまうと胃腸がやられてカロリーを摂取出来なくなります。そうするともうアウトです。
2、最低限の装備で突破する人
200kmなら7時間未満で走ってしまう人とか、ファストラン的な考えの人に多い。荷物が増えると負荷も増えるので、ウィンドブレーカーが雨具代わり。停車時間を最小限にするため、雨が降ってきたからといってわざわざ停車してレインウェアを着たりしない。信号待ちでウィンドブレーカーをさっと着てそれで何とかする。『心拍数を上げれば大丈夫』が口癖。
3、何もしない人
特に何もしない。600kmのブルベで最初から最後まで雨の予報だったり、台風だったりしても気にならなず、普通にスタート地点に現れる。どうしてもダメと思ったら、通りがかったコンビニでカッパを買ってしのぐ。
4、雨なら一切走らない人
雨の予報なら容赦なくDNSして走らない。途中で降ってきたら容赦なくDNFして輪行。
3と4の人には雨装備は必要ありません(笑) ここからは1と2の人を想定して話を進めます。
■1のタイプの場合
まずは1の場合。これが最も一般的ですね。ブルベを始めたばかりであれば、レインウェアは持っておいて損はありません。問題はどこまで投資をするか?です。
雨対策(雨装備)をする箇所
雨対策をする箇所は、大きく頭・体・脚・シューズ・手の5つあります。まずは一番お金のかかる体(上半身)から対策をします。
選ぶポイントは『今後もブルベに出たいかどうか』。
これは装備全般に言える事ですが、特にレインウェアについては『今後もブルベに出る』という気が少しでもあれば、最初から一番高いレインウェアを買う事を勧めます。悪い事を言わないので投資して下さい。特に、脇のベンチレーションの有無が大きいです。これが無いとヒルクライムをした時に汗の排出が追い付かず、内側が結露して結局びしょ濡れになります。
『安いものを買って、高い製品が必要か判断します』という考えは非常に真っ当に見えるのですが、結局満足出来ずにここに挙げた製品を順番に全部買う事になります。もちろん、最終的に使うのは一番高い製品だけ。そういう人を何人も知っています(笑)
予算1万円未満
最初は『レインウェアに1万円以上出すなんて、ありえない』と感じると思います。なので『そんなに何度もブルベに出ないし…』という方は、最初は1万円未満の商品から始めましょう。これなら重量も260gと価格の割に軽量なのでお勧めです。何度も出たいという方は、1万円前後の商品を買うと間違いなく後に買い換えることになりますので最初から一番高いものを買いましょう。しつこいですが。もし不要になったらヤフオクやメルカリで売れば良いのです。
予算1万円前後
『ウルトラライト サイクルレインジャケット』と『スーパーストレッチサイクルレイン ジャケット』では、
・ウルトラライト:軽い(たったの161g)。脇のベンチレーション付き。
・スーパーストレッチ:生地に伸縮性がある。透湿性はこちらの方がある。重量は305g。
という違いがあります。とりあえず最初はこのどちらかを買っておけばよいと思います。モンベル製ですので、透湿性などはどちらもかなりの高性能であることは変わりありません。私なら軽さを取ってウルトラライトサイクルレインジャケットですね。しかも安いし。重いと気軽に携行しなくなってしまうんですよね。そして降水確率30%くらいの時に悩んだ末に家に置いてきて、見事雨に降られてコンビニでカッパを買うという経験を何度もしています…。家にレインウェアがあるのに…。
予算2万円
ここから先のモデルは、生地にゴアテックスを使用しています。
シーズンを通してブルベを走るのであれば、最初からこのあたりを買っておくことをお勧めします。中途半端に1万円くらいのレインウェアを買っても、結局はこのどちらかを買う羽目になります。しつこいですが。
まずはトレントフライヤー
179gと非常に軽量です。とりあえずこれを買っておけば大丈夫です。
もう1つはサイクルレインジャケット
こちらは細かい部分が自転車専用になっています。その分、252gと重量が増えています。
トレントフライヤーとサイクルレインジャケットの重量70gと定価2,000円の差は、
・前傾姿勢に対応して裾が長い
・脇に大きなベンチレーションジッパーがある
・全体のカッティングも乗車姿勢に対応
・ロゴなどが反射素材
あたりです。特に脇のベンチレーションは非常に役に立ちますので、重量が70gの差であれば私はサイクルレインジャケットを買います。雨の中で峠越えで心拍数が上がったりすると、結局透湿が間に合わなくなって内側が結露するんですよね。ベンチレーションを開けていても、脇から浸水することは特にありません。面倒なので、私はむしろ常に開けている位です。
ちなみに汗の排出が上手くいかないとどうなるか?はコンビニカッパで走ると良く判ります。コンビニカッパは透湿性がゼロの単なるビニールです。そのため走れば走るほど内側が結露します。結露した水分がウェアを濡らしますので、カッパを着ているにも関わらず体はびしょ濡れになります。私はそのせいでガタガタ震えながら走った記憶があります、小雨になってカッパを脱いだらあっと言う間にウェアは乾き、震えも無くなりました。
誰も教えてくれないレインウェアの基本的な使い方
またレインウェアを着用する時は、必ず腕も含めてしっかりしたアンダーウェアを着用しましょう。どういうことか?と言うと、レインウェアが行ってくれることは『水蒸気を放出する』ことだからです。つまり一度アンダーシャツやアームカバーに汗を吸わせて、シャツ等から水蒸気として放出するようにしないとレインウェアの水分排出機能は機能しないということです。同じことは雨用グローブでも言えます。
またレインウェアの表面はもちろん裏側もドライに保っておかないと、水蒸気が通過する穴が水分でふさがれることになってしまい、これもまた透湿性が失われます。表面の撥水性能は重要なのです。また裏側も濡れてしまっては意味が無いので、アンダーシャツの他にもう1枚ジャージなどを重ね着します。レインウェアの裏側に接する衣類もなるべくドライに保つ努力をした方が良いです。
ということで、変な装備を買うなら高性能のレインウェアを買った方が余程楽に走れます。次はその他の部分です。
■ブルべ雨装備・雨対策・防水編は他にもあります
- レインジャケット編
- レインパンツ編
- グローブ編
- シューズ編
- レインウェアは洗濯するの?