パイオニアSGX-CA600を2か月使い込んだインプレ キューシート機能は使えるのか?
さてパイオニアのSGX-CA600が届いて早2か月。ペダリングモニターも念願の両脚になりましたし、実際に使い込んだインプレをお届けします。機能の概要はさんざん色々なところで紹介されていますので、メインはキューシート機能とやらは使えるのか?です。
■パイオニア SGX-CA600の概要
SGX-CA600の『さわり』のインプレはこちらを見て下さい。
パイオニアのSGX-CA600は、価格は定価36,800円。ついこの間まで人気で品薄だったので、今でもあまり値引きされておらず実勢価格も定価に近いものがあります。機能面・価格面で競合となるのは、代表的なメーカーとしてガーミンを例に取るとEdge820・520の2つになろうかと思われます。
SGX-CA600、Edge820と520のいずれもサイコンとしての基本機能は申し分の無い製品です。どれを買ってもサイコンとして使うには全く問題がありません。ちなみに日本国内での実勢価格(消費税抜き)を並べて見ますと、
- SGX-CA600:36,000円程度
- Edge820:44,000円程度
- Edge520:32,000円程度
となります。SGX-CA600はEdge820と520の中間の価格帯です。ところが使い込んでみた感触ですと、Edge820と遜色のない機能を持っています。820の売りであるナビ機能もSGX-CA600ではごく普通に使えますので、Edge820との価格差は何?というのが正直なところ。
もちろん全ての機能において820にキャッチアップしている訳ではありませんが、820最大の特徴のタッチパネルもスマホに慣れてしまった身からすると、逆にストレスを感じる使い心地ですし(1030Jは画面が大きいのでまとも)、8,000円を追加で出すならSGX-CA600を買うなぁ、というのが感想です。
■SGX-CA600のインプレその1:非常に使える点
それではSGX-CA600のインプレです。私はレースは走りませんのでそちら方面は別の方に任せまして、ランドヌール視点での感想です。
[box04 title=”非常に使える点”]
- キューシート機能が使える
- ルートの同期が簡単すぎる
- 表示項目の設定も簡単すぎる
[/box04]
キューシート機能は使える!恐ろしい程の見やすさ
ランドヌールならまず気になるのがこの機能ではないでしょうか。『コースナビ』とか『ナビゲーション機能』などではなくて『キューシート』です。これ、海外でもキューシートという名称なのか?海外でもそんな需要あるの?と気になってパイオニアの日本以外のサイトを見てみましたが、そもそもSGX-CA600がまだリリースされていませんでした(笑)
ランドヌールで無くても十分に使う場面のある機能と思いますが、まずこの機能はRide with GPSで作成した『キュー情報(右左折ポイント)』を含むルートデータを取り込んだ場合に、その地点に来ると画面に右左折の案内を出してくれるというものです。STRAVAやルートラボではキュー情報が無いので出来ません。
実際の画面がこちら。最初はマップのみを表示していますが、
曲がるポイントが接近すると、音と共にかなり手前から教えてくれます。この場合は1.4km手前でアラートが出ていますね。
同じポイントで、直前まで近づくと再度アラートが出ます。
マップ画面を表示していなくてもアラートは出てくれますので、見落としがありません。連続して曲がるポイントがある場合ですと、アラートが出まくって少々うるさかったです…。
ルートの終点に到着すると、ゴールですと教えてくれます。
欠点としてはアラート表示が出ていると表示項目の1列がつぶれてしまうので、トレーニングしながらだと表示が減ってしまい少々ストレスでした。しかし道案内もさせながらトレーニングもするという状況はあまりないと思いますので、実際は心配不要でしょう。
表示もさすがカーナビのパイオニアで、地図にはアドバンテージがありますね。eTrexとは液晶の性能(大きさ・解像度)は同じなのですが、比較にならないほどの見やすさです。Edge820と比べても確実に見やすい。道が不安なライドでもスマホを取り出して確認する回数が確実に減ります。これは便利。ぜひ使いましょう。
私はDi2のリモートスイッチでマップ画面と通常の項目を切り替えながら使っています。ブラケットから手を離さなくても画面切り替えが出来るので、大変重宝しています。ただし、レスポンスは本体のボタンを直接押した方がさすがに速いです。
ルートの同期があまりにも簡単
ルートデータの取り込みではなく『同期』と呼んで良い程、あっけなくルートデータを本体に入れる事が出来ます。ルートの取込みには『コントロールアプリ』を使います。ルートの取り込みをする場合は、各サービスとの連携を事前に行っておいて下さい。コントロールアプリから簡単に出来ます。
例えばSTRAVAの場合ですと、自分で作成したルートは『Myルート』に保存されます。
下記は私のMyルートの中身ですが、3つしかコースがありません…。コースの右上にスターを付ける場所がありますので、クリックしてスターを付けます。これだけでOKです。これで、次回SGX-CA600とBluetoothで接続した際に勝手にコースが共有されます。RidewithGPSでも、ほぼ同様の手順でコースの転送が出来ます。
ちなみにルートラボの場合は有線接続してフォルダに直接入れないと、コースの転送が出来ません…。悲しい。
各サービスの具体的な転送手順は、下記のパイオニアのサイトにあります。
『⇒コース転送手順』
データフィールドの項目設定が容易すぎる
こちらも同じくアプリの『コントロール』を使用するのですが、スマホを使うとサイコンに表示させる項目の設定が異様に簡単です。表示項目の変更をするにはスマホとBluetoothでペアリングした状態で行いますが、スマホで変更した項目がSGX-CA600側の画面にもリアルタイムに反映されます。
スマホの画面で、この項目のいずれかをタップして
変更したい項目から選択します。一覧性が高く、非常に見やすいので選択も早い。スマホ画面でいじれるのがこんなに楽だなんて(この点に関しては、Wahooも同様の事が出来ます。むしろ、Wahooと提携したから出来るようになったのでは?と思います)。
なので、こんなに項目数を多くしてもサクサク設定が終わります。パイオニアのサイコンは表示可能な項目が異様に多いのですが、スマホの画面から設定する方式にすることで一覧性や操作性の悪さは見事に克服されています。
■SGX-CA600のインプレその2:地味だけど使える点
次に、地味ながらも使える機能として以下の3つです。
[box04 title=”地味に使える点”]
- 色々な電池の残量表示が可能
- 充電しながら使いやすい
- wahooとマウントが共通
[/box04]
各パーツの電池残量が表示される
これは地味に便利な機能です。Di2やパワーメーターなどバッテリーを使用する各パーツの電池残量が表示可能です。今まではパワーメーターに100均のCR2032電池を使っていて、いつ切れるかひやひやしていましたが、これで残量を確認しながら走ることが出来ます。突然の電池切れとは無縁ですし、ペアリングの調子が悪くなっても電池切れの問題なのか判別することが出来るようになります。
私の場合は、3つ目の画面にトレーニングとは関係ない情報を集約して表示させているのですが、そこに『SGX-CA600本体バッテリー』『Di2バッテリー』『左パワメ』『右パワメ』の4つの電池残量を表示させています。
またetapを使っている人は、無線の左右シフター(CR2032を使う)、前後ディレイラーのバッテリー残量をそれぞれ管理可能です。ここまでやるなら、ハートレートモニターやスピードセンサーの電池残量も確認出来るようにして欲しかったw
充電しながら使いやすい
ランドヌールとしては、このサイコンの一番のネックは持続時間(12時間)。と言っても他のGarminもせいぜい20時間程度ですし(Edge520は13時間)、400kmや600kmを走るなら、どちらにせよモバイルバッテリーから給電しないと持ちません。Edge1030J+拡張バッテリーの組み合わせですら、40時間がMAXです。
ということでブルベでは給電しながら走行したり、PCのコンビニごとに給電するのが必要になってくるのですが、その際に重要なのが充電のしやすさ。これまではその辺りが全く考慮されておらず、マウントに載せたまま充電する際にはmicroUSBの端子の周りやマウントを削って干渉しないようにしていた場合もありました。
ところがSGX-CA600ではその辺はしっかり考慮されているのか?マウントとは全く干渉せずにスマートにmicroUSBのケーブルを挿すことが出来ます。これでフードポーチやフロントバッグ、トップチューブバッグやフレームバッグからスマートに給電可能です。『キューシート機能』とか微妙にブルベを意識しているように、この辺の細かい作り込みも地味に心を捉えてきます。
wahooとマウントが共通
パイオニアはwahooと提携しており、マウントも共通に使えるというのがウリの1つです。SGX-CA600のデフォルトのマウントにも何ら不満は無いのですが(SGX-CA500のマウントは不満だらけだったw)、『選択肢は多い方が良いよなぁ』というのが人情というもの。
そこでwahooのマウントを見てみると、このようなものが売られていたりします。
これはGarmin用のアウトフロントマウント(これはサードパーティ製)をwahoo/パイオニア対応に変換するインサートです。マウントの中の部分だけを交換すれば、パイオニア用に流用する事が出来ます。ちなみにこのサードパーティー製のマウント自体ですが、カラーが8色展開だったりします。グリーンが欲しいw
もちろんGarminの純正マウント用も出ていますので、手持ちのGarmin純正マウントをそのまま使いたい場合はこちらを買えばOKです。元々、この中身の部分はハンドルが垂直方向に伸びるTTバーに装着する目的用に、取り付け回転角度を90度変えるためのものとしてGarminから販売されているものです。中身は交換する事が出来るんですね。
マウント自体を交換するのは角度の調整やら、シムの交換やらで地味に面倒だったりします。ランドヌールのハンドル周りはただでさえ密度が高いですから。むしろこの中身だけを交換する方が楽だったりしますので、これは嬉しい機能ですね。
ということでSGX-CA600を使い込んだインプレでした。基本的なサイコン機能は何ら不満がありません。今回はその他の部分で差別化出来ている部分はどこなのか?ということに焦点を当てて紹介しました。気になっている方はぜひ買いましょう。