定峰峠でエベレスティングを達成しました!準備編
2022年の6月にエベレスティングを達成しました。今回は準備編です。前回のまとめ編はこちらから。
■エベレスティングの準備
場所
さてエベレスティングの実行にあたり、最重要のファクターは『場所』。どこでやるか?ということです。エベレスティングのルールは割愛しますが、エベレスティングにおいて条件の良い場所というのは以下の通り。
- 直線:特に下りで減速が不要になり平均速度が上がる
- 出来る限り街中:夜間も明るい、深夜でも気温が極端に下がらない
- 補給ポイント:コンビニなどがあること
- 駐車場、トイレ:トイレはコンビニでも可。駐車場は荷物置き場として必須。
しかし私がチャレンジしたのは定峰峠。埼玉県の東秩父村にあります。『頭文字D』の聖地の1つとして有名な峠ですね。書いていて自分でも驚きましたが、最後の1つしか条件を満たしていないじゃないですか。
それでも定峰峠を選んだのは、以下の理由からです。
- 『峠』と名の付くセグメントで挑戦したい。
- 九十九折の下りは全く苦にならない。
- 登りの斜度が5~6%程度であり、程よい強度で運動を継続出来る。
- ランドヌールなので明るいライトを多数持っており、街灯が無くても困らない。
- 頭文字Dのおかげで走り屋が出るので、実は夜間も無人にならない(=動物が出にくい)。
峠を走りたいというのはモチベーションですね。街中のxx坂を150往復したりするのは確かに楽ではありますが、作業感があり過ぎて辛そうでした。コーナーが連続する下りも、私は特にストレスではありません。確かにブレーキングは位置エネルギーの無駄遣いですが、高速で下れば良いのです。コーナーリングの練習が出来て楽しかったです。
また反対側にある白石峠と異なり、緩い斜度で構成されている点も大きい。9,000m近く登るのですから、長時間継続可能な強度である必要があります。
その白石峠ですが、定峰峠と同程度の距離でありながら2倍の530mもの獲得標高があります。たったの17往復で終わるため効率は良い。斜度があるので下りも速度が出ます。私も好きな峠で何度も走っているので、最初は白石峠でのチャレンジを考えました。
しかしその改めてエベレスティングの観点で試走したところ、斜度が10%を超えるポイントではいつの間にかFTPを超えて踏んでいます。抑え気味に走ってもこれなので、後半は間違いなく脚に来るということで諦めました。白石峠で達成されている方は本当にすごい。
また定峰峠のピークには駐車場があり、車を停めておくことが可能(峠の茶屋の了承を得ています)。トイレも上下に完備。
なかなか条件の良い峠です。
ちなみに埼玉県では都合の良い坂が本当に少なく、エベレスティングが達成されているセグメントはこれだけしかありません。日本達成1号の大東坂、白石峠、定峰峠、くぬぎ村、山伏峠、山王峠くらいです。山伏峠など飯能方面は我が家から非常に行きづらいので、候補には入りませんでした。
セグメント
定峰峠セグメントのプロファイルは以下の通り。標高差265mなので、34往復すると8,848mを超える計算です。距離は1往復で約10km、34往復で340km。300kmブルべよりも長い…。
ちなみに定峰には全く同じ区間に別名称のセグメントがあります。こちらは248mしかありませんが、申請時に前述の265mのセグメントで申請を行えば問題ありません。最初にサイコン画像のところで注記しましたが、達成の可否はセグメントの標高と往復回数で判断されます。サイコンが計算する標高は全く当てにならないので、達成には関係ありません。高度表示の機能が無いサイコンでログを取っても構いません。
日程
奇跡的に週末から連続した平日に休みを2日取れました。直前まで変則的スケジュールのBRMの運営がありましたが、この4連休にチャレンジするしかないということで強行。
土曜日:0時からBRM611大洗銚子300の開催。スタートを見送った後、2時に家に帰って少し寝る。エベレスティング用補給食の買い出しをして、13時に家を出て15時からゴール受付の開設。20時にゴールを撤収して22時前に帰宅。
日曜日:自転車の準備をして9時過ぎに自宅を出発。11時半スタート。
BRMの開催と連荘は少々ハードでしたが、日程と天気予報的にここしか無かったですね。案の定、出力が出ずに苦労しました。
装備
エベレスティングは一般的に車などを使いベースキャンプを設営しますので、走行時の装備は最小限で済みます。そのため特別な装備などは不要なのですが、私はその他に以下の装備を投入しました。
MAVIC SLR32
PBP用に目を付けていたものです。6月下旬からMAVICが値上がりするということで、前倒しで引き取ってきました。店頭在庫だったので卸価格の値上がりとは関係ないのですが、私と同じような駆け込みで確保する人が出ると困るので。公称1,390gの完組にしては軽量ホイールです。リムにニップルホールが無く、チューブレステープが不要になりその分も軽くなります。今まで使っていたENVE45(1,540g)からテープも含めて一気に160g程度の軽量化。
パナレーサー アジリストライト(AGILEST LIGHT) 25c
エベレスティングのためだけに購入した軽量クリンチャータイヤ。25cで公称170gという軽量タイヤです。本当にトレッドがペラッペラで怖かったですが、パンクせずに340kmを走り切りました。トレッドが薄いとしなやかになるので、下りも走りやすかった。チューブレスからの変更なので、ホイールと合わせて約300gの軽量化です。
iGPSPORT iGS320
ログのバックアップ用として。iGPSPORTさんから提供いただいたものですが、小型軽量の割にGPSの精度が良くバックアップ用として十二分に役割を果たしてくれました。72時間という超ロングなランタイムも、充電不要で助かります。
特に途中でスピードセンサーの電池が切れた場面では、GPSによる速度計測がGarmin Edge530よりも圧倒的に正確でした。
ライトは当然ながら全部を車に積んでいきます。バッテリーを気にせずミドルモードで点灯。夏至が近かったので埼玉でも19:30まで明るく、3:30になると夜が明けてきたため夜間走行は最小限で済みました。
補給
補給は10,000kcalを目安に準備し車に積んでおきました。付近にコンビニは無く、エベレスティング中は買い出しに行けないため、多めに持っていく必要があります。色々な選択肢が無いと、エベレスティング中の嗜好の変化に対応出来ないからです。
私は以下のものを用意しました。
おにぎり、カロリーメイト、エナジージェル、バナナ、エネもち、薄皮あんぱん、カステラ、アルフォート(チョコ)。これらのカロリーを調べ、10,000kcalになるまで適量を用意します。前半はおにぎりとカロリーメイト、中盤はアルフォート、後半はジェルが役に立ちました。
飲み物はポカリスエットを4Lにオレンジジュース。他にアミノバイタル、ビタミンのサプリメントを各種。その他、峠には茶屋があり営業時間中はラーメンやそばが食べられます。自販機もあります。
個人的に良かったのはアルフォートですね。私はアルフォートが大好物なのですが、1枚で50kcalもある(しかも脂質が多い)ので普段は食べません。しかしエベレスティング中は好きなだけ食べられるわけです。1度の登りで4枚(200kcal)づつトップチューブバッグに入れて食べていました。
これが大変気分転換になったので、全部食べてしまいました。脂質は吸収に時間がかかるため中盤に摂取。ただ1つ位は効率を無視して自分の好きなおやつを持っていって良いと思います。コンビニスイーツなんかも1個で400kcalくらい余裕でありますからね。
ウェア
一般人がエベレスティングを行うと、20~24時間はかかります。どうやっても明るいうちには終わりませんので、早朝や深夜の寒い時間帯の下りに対応するウェアが必要になります。また夜間走行のために反射ベストも忘れないようにしましょう。
私のチャレンジは6月でしたが、峠ということもあり夜間は8度まで気温が低下しました。夜間の下りは更に寒く、ロングフィンガーのグローブが必要なレベル。ところが荷物に入れてなかったため、非常に寒い思いをしました。
どうせ車に積んでいくのですから、ちょっとでも不安であれば使いそうなウェアは全て持っていきましょう。
準備としてはこんなところでしょうか。それでは実走編に続きます。