スマートローラー全盛の中、あえて3本ローラーでZwiftをやる理由。
緊急事態宣言が出され外出がままならないため、Zwiftが全盛です。今回はZwiftについて『高額なスマートローラーを買わないと楽しめないのか?』『他のローラー台じゃダメなのか?』ということを考察します。今回はスマートローラーと3本ローラーの比較です。
■Zwiftはスマートローラーでやるべきなのか?
まずスマートローラーとは、Zwift(やその他のソフト)内の斜度と連動して自動的にローラー側の負荷が変動する機能を持ったローラー台の事です。双方向の通信機能を備えたローラー台ですね。
世の中を見ると『Zwift=スマートローラー』みたいな風潮になっていますが、スマートローラーが無くてもZwiftは十分出来ます。ちなみに私もスマートローラーを持っていませんが、決してひがんでこの記事を書いている訳ではありません。
Zwiftで検索すると出てくる記事は『Zwiftするならスマートローラー!おすすめ5選!』みたいな記事ばかりです。Zwiftを始める前に悩んでいた『スマートローラーが無くても出来るのか?出来たとして楽しいのか?』という疑問に答える記事が無いので、自分で書くことにしました。
スマートローラーは高いし、重いし、電源が必要だし、一度設置したら設置の面倒さと重量から半永久的に設置することになるため場所も必要です。誰でも買えるものでは無いですよね。
スマートローラーを借りてZwiftをしてみた
まずスマートローラーに乗ったことが無いと話にならないので、乗ってみる事にしました。私も、置く場所があるなら欲しいのです…。行きつけのお店で貸し出しプログラムがあったので、それを利用します。借りたのは中華スマートローラー『ThinkRider X7』。LenovoのThinkPadみたいな名前と外見です。これでメーカーがLenovoだったら即買いなのですが(笑)
このスマートローラーの性能自体は至って普通だと思います。一般の人にはパワー値の精度とか、最大ワット数が2000Wまで対応とか、細かいスペックはあまり関係ないと思います。むしろThinkRiderは安いし、畳むと非常にコンパクトになるので利点も多いです。上下左右にスイングするのでフレームへのダメージが少ないのも良いですね。今回はこの機種の評価の話ではないので、感想はここまでとします。
私もスマートローラーは購入を検討していたので色々な情報を集めていました。人から話も聞いていました。そして1泊2日でThinkRiderを借りて、都合3時間ほどZwiftに参加。結構楽しかったです。
Zwiftをするならどちらが良いのか
私は、元々3本ローラーを持っているのでそちらでもZwiftをやっていました。始めたのはちょうど1年前のGWですね。
3本ローラーなので、もちろんスマートローラーのような負荷連動はしません(最新の3本ローラーは負荷連動するものもありますが)。個人的には3本ローラーには3本ローラーのメリットがあるので、これはこれでZwiftを楽しめますし、十分トレーニングになります。
もちろん、高額にも関わらずこれだけスマートローラーが普及しているのは理由があります。しかしそれだけの投資をするならば、自分の使い方で回収出来るのか?という事が気になるところです。手持ちの3本ローラーを活用したい人、ペダリングスキルを身に付けたいから3本ローラーが良いと思っている人、等がいましたら参考にして下さい。
■スマートローラー
まずスマートローラーのメリット、デメリットです。
メリット
- 負荷連動するのでトレーニングにメリハリがつく
- 固定ローラーなので誰でも乗れる
- パワーメーター内蔵なので、パワーメーターを買わなくて良い
まず負荷連動するというのは非常に大きなメリットです。このために10万近い費用を払う価値があると言っても良いでしょう。
例えばZwiftで用意されているトレーニングメニューの中に、段階的に負荷が高まるメニューがあります。その時、ギアはそのままなのに強制的に負荷が高まるためサボれません。コースを走っていて峠に入った場合も同じ。また高負荷で2分とか頑張った後はクールダウンが入り、そこでは自動で負荷が軽くなるので心拍数を下げる事が出来ます。峠の後も下りでも同様です。ずっと頑張ることは出来ませんからね。
固定ローラーなので誰でも乗れる点もメリットです。3本ローラーのようにスキルが不要です。クールダウンの時に脚を止める事も可能(止めずに脚を回した方が回復しますが)。逆に高負荷の時に下ハン持ってもがいても落車のしようがありません。しっかり追い込めます。
パワーメーターを持っていない人にとっては、追加で買う必要が無い点もコストダウンになります。古いセカンドバイクでも使えるということですね。
デメリット
- 非常に重い
- 実走がヘタになる
次にデメリットです。まず重量。とにかく重い。一度設置したらそうそう動かせません。恒久的に設置が可能なスペースが必要になります。脚が収納出来るタイプが多いですが、自転車を装着したまま脚を収納するだけでも結構な気合が必要です。では自転車を外せば良いのかと言うと、リアホイールを外して装着するわけですからこれまた面倒です。
しかしこの重量のおかげで、どんなにもがいても安定している点はメリットではあります。でもまぁ恒久的な設置スペースが無いと難しい。我が家もスマートローラーをやるとすれば↑の画像のウッドデッキになるのですが、外なので設置しっぱなしには出来ません。デカい収納ボックスを設置して、都度その中にしまおうかと思っていましたが無理ですね。そのうち腰を悪くしそうです…。毎回自転車を装着するのも結構な手間ですし…。
また3本ローラーと比較すると『実走感が無い』。実走がヘタになると感じました(固定ローラーは全部当てはまりますが)。何故なら、バランスを取るという自転車にとって基本的な動作が無いためです。
どんなにもがいても絶対に落車しない反面、気を付けないと実走ではあり得ない体の使い方が身に付いてしまう場合があると思います。
スマートローラーで走りこんでいくらFTPを上げても、実走するとスマートローラーで出せていたパワーが出せない…と言っていた人がいました。原因は、やはり実走と異なる体の使い方でパワーを出すようになってしまったためでは?と考察されていました。
目的がZwiftで速くなる事なら良いのですが、そうではないならたまにはお外を実走して『自転車はバランスを取りながら進む乗り物』ということを体感しておいた方が良いのではないかと感じます。
■3本ローラー
次に3本ローラーのメリット・デメリットです。
メリット
- 乗るだけでペダリングスキルが身に付く
- 片付けが楽
- 省スペース
3本ローラーのメリットで最たるものは、乗るだけでペダリングスキルが身に付くことでしょう。適当にペダリングしていると落車しかねないので、嫌でもペダリングスキルが向上します。この『常にバランスを取り続ける』という動作自体が体幹のトレーニングになります。
乗る事自体にそれなりのペダリングスキルが要求されますが、1週間も乗っていればコツが掴めてくるので大丈夫です。
3本ローラーだと『もがく』という動作がやり辛いので、どうしても一定ペースで淡々と走りがちになります。その点、Zwiftと組み合わせるとメリハリを付けてくれるので非常に相性が良いと感じています。
また軽いので片付けが楽なうえ、恒久的な設置スペースは不要。全長も自転車の大きさと変わらないのでさほどスペースを必要としないのも良いです。
デメリット
- Zwiftをやるならパワーメーターがあった方が良い
- 脚を止める事が出来ない
- それなりに乗れるようになるまでに時間がかかる
デメリットですが、Zwiftをやるなら3本ローラーでもパワーメーターがあった方が良いです。最近はパワーメーターを持っている人も多いですから、これはあまり心配要らないかもしれません。
3本ローラーではトレーニングの間に脚を止めて休むという事が出来ません。スマートローラーだと下りになると勝手に負荷が軽くなり、正に現実の下りのように休むことが出来ます。3本だとある程度はトルクをかけてローラーを回してあげないといけないため、短時間でしっかり心拍数を落とすことが難しい人も出てくるかなと思います。
最後に3本ローラーは、それなりに乗れるようになるまでがそもそも面倒だったりします。乗りながら片手を離してボトルの水を飲むとか、額から滴る汗を拭くとかも難易度が割と高いです。この辺はペダリングスキルに依存すると思いますので、すぐにハンドルから両手を離せたりダンシングが出来てしまう人もいるでしょう。
■3本ローラーでのZwift
ここまでお話ししたようにスマートローラーにもメリットは多いですし、場所とお金があるなら優先的に買うべき機材でしょう。何よりローラに乗るモチベーションが続きますからね。『固定ローラーは退屈なので続かない』というのが最大の問題でしたから。
かと言って3本ローラーが劣るという訳では無く、ペダリングスキルを高めつつトレーニングも行う点では最適と思います。ありきたりな言葉になりますが、目的によって選びましょうという事ですね。
最後に3本ローラーでのZwiftがどのようなものか紹介します。まず私が使っている3本ローラーはこちら。ELITEのARION AL13。ドラムがアルミ製で非常に安定して回転します。3段階の負荷調整が可能なので、Zwiftでは負荷を中間の『2』にして使っています。
ちなみにスマートローラーを買う予算があり、かつ3本ローラーにも興味があるという人はこれ。スマート3本ローラーの『NERO』。Zwiftと連動して自動負荷調整する上に、ドラム自体が前後にも動くのでもがいても落車しません。11万円位なので、Tacxやwahooの最上位機種よりは安いですよね。
まぁここまでしなくても、パワーメーターが付いていれば3本ローラーでもZwiftで十分トレーニングになります。ちなみに負荷連動しない状態では、Zwift上で登りになろうが下りになろうが一定の負荷で淡々とペダリングし続ける事になります。その時にアバター(Zwift内の自分)は登りであれば速度が低下し、下りであれば速度がアップします。
一定ペース、例えばケイデンス95・170Wで走っていたとします。登りにさしかかるとアバターの動きが遅くなるのですぐに分かります。Zwiftでは、しばらく走っていると『脚の合う人』と一緒になることが多いのですが、登りでその人にちぎられないためにはこちらも出力を上げる必要があります。
要は自動で負荷連動しなくても、登りになったら誰かとバトルをすれば良いのです。ちぎられない為にはこちらもギアをかけて250Wとか出し続ける必要がありますので結構なトレーニングになります。意外と相手も頑張ってきて、抜いたり抜かれたりのバトルになります(但し、相手がちゃんとパワーメーターを装着してパワーを実測しているかは分かりません)。
また私は使っているスプロケがシマノの14-28T(11速)というクロスレシオです。これだと14~21Tまで1T刻みになっているので、負荷の調整が非常にやり易いです。トップ側に1枚シフトアップすると、同じケイデンスを維持した場合に大体13Wほど出力が増えます(チェーンリングは50T)。
例えばケイデンスを維持したまま4枚シフトアップすれば、50Wほど出力を増やせます。普通はこれだけあれば十分でしょう。意外と細かく負荷調整出来ますので、特に困ることもありません。
これで負荷が3段階のうちの中間です。負荷を最高にすると、最低でも200Wは出さないとローラーを回すことが出来なくなります。FTPがある程度高い人でも対応可能です。さすがにスプリントで2000W出したいとなると、スマートローラーの方が良いと思いますが…。
この様な感じで負荷連動しなくても坂になったら勝手に頑張りますし、3本ローラーだとそれなりの速度で回し続けないと姿勢を維持出来ませんので、飽きずにZwift出来ます。
3本ローラーを活用してZwiftやりたいという方は、ぜひ。
ちなみに3本ローラーを買うなら、絶対に負荷装置が付いたものを買いましょう。無負荷の3本ローラーはすぐに物足りなくなります。
ミノウラのこの辺ですね。ミノウラは負荷機能が無いのですが、オプションで負荷ユニットを追加するという思想になっています。