【レビュー】Garminのリアビューレーダー Varia RVR315
Garminのリアビューレーダー『Varia RVR315』を買いましたのでレビューします。コンパクトで検知精度も高く、使いやすいレーダーです。
■総合評価
- 検知精度とロジックが非常に優れている
- 価格は高いが納得の性能
- ライト機能が無いのでコンパクトで軽量
- Garminのレーダーの中では機能を絞った安価なモデル
■購入動機
リアレーダーの入手は3台目となります。1台目はiGPSPORTの『SR30』で、iGPSPORTから提供いただいたものです。これをきっかけにリアレーダー沼に足を踏み入れました。2台目はMageneの『L508』。3台目がGarminの『RVR315』です。
SR30やL508も価格を考慮すると優れた製品ですが、使ううちにレーダー機能に関する不満を感じるようになります。
この製品ジャンルはGarminが先駆者ですが、Garminはいかんせん価格が高い。その価格差の理由が分からないゆえに敬遠していましたが、既に使っている人に話を聞くと、SR30やL508で感じていたような不満点がそもそも存在しないとのこと。
発売後のアップデートで解消された…ではなく、そもそも不満点が無いとのことなので、そのソフトウェアの完成度を体感すべく買ってしまいました。
個人の勝手な想像ですが、Garminは船舶用のレーダーなども販売しています。自転車用のレーダーとは比較にならない水準の性能が要求されますので、この辺りからのノウハウの共有などがあるのかもしれません。
■製品概要
パッケージ
まずはパッケージの紹介です。箱はいつものGarmin箱です。
製品構成
箱の中身は以下の通りです。本体の他は、マウント、マウント用シム3種(丸ポスト用・D型ポスト用・エアロポスト用)、ゴムバンド、microUSBケーブル。
各国語マニュアルとステッカーも入っています。
重量
重量は以下の通り。本体は公称重量は51gのところ50gでした。秤が小数点以下を表示しないので、公称重量通りですね。
マウントは29gです。合計で約80g。
外観
ライト機能が無いため、小判型のシンプルな外観です。
裏面に充電用ポートがあります。端子はmicroUSB。防水規格はIPX7で、蓋はかなりしっかりと密閉される印象です。技適マークも本体にプリントされています。
上部に電源ボタン。
サイドにステータスを表示するLEDが付いています。稼働中は青点滅になります。
充電中は緑に点灯します。
スペック
製品スペックです。
- サイズ:40×72×20mm
- 本体重量:51g
- ランタイム:最大7時間
- 通信規格:ANT+、Bluetooth
- 防水規格:IPX7
- 充電用ポート:microUSB
- 最大検知距離:140m
- 検知する車両の速度:10~160km/h
- 水平検出角度:40度
ライト機能が無いためサイズはコンパクトで軽量です。バッテリーの容量が少なくランタイムが7時間と短めであること、ポートがmicroUSBであることがウィークポイントでしょうか。
■レビュー
製品レビューです。
取付
シートポストへの取り付けは、マウントをゴムバンドで固定する方式です。
本体は、地面からの高さ250~1200mmの位置に取り付けするよう指定があります。本体から発する電波が妨げられる可能性がありますので、可能な限りシートポストの高い位置に装着します。
私はiGPSPORTのレーダー装着時、cannondale純正カーボンシートポスト上部のくびれ部分を避けてポストの円形部分に取り付けたたところ、本体が長いこともあり、タイヤと干渉して精度が少し悪くなった経験があります。
そのためシートポストにある程度の長さが必要になりますので、購入時には注意が必要です。RVR315に限っていえば全長が72mmと他社製品よりも20mmほど短く、その分だけ取付はしやすいでしょう。
シートポストの長さが足りない場合の解決策の1つとして、レックマウントなどからサドル後方にマウントするためのアダプターが出ています。そういった製品を利用するのも選択肢だと思います。
サイコンとのペアリング
本製品はANT+に対応していますので、その他のセンターと同様にセンサー追加メニューから登録を行います。
登録が完了すると、右上にレーダーのアイコンが表示されるようになります。
iGPSPORTのiGS630では、画面中央にアイコンが表示されます。この辺りはサイコンの仕様に依存するようです。
センサー登録した後は、他のセンサーと同様に細かな設定が可能になります。設定可能な項目は以下の通り。
- レーンを左右どちらに表示するか
- 車両検知時のトーン音設定
レーダーの表示について
後方から接近する車両を検知すると、アラートが鳴ると共にオレンジ色のレーンと車両を示すアイコンが表示されます。アイコンは検知した車両の数だけ(最大8台)出ます。画像のサイコンはiGS630ですが、矢羽根のマークが車両を示すアイコンです。
車両との速度差が大きい場合には、赤い表示となります。
車両が検知外となった場合には、レーンがグリーンに変わったのち、数秒後にレーン自体も消えます。
使い勝手について
レーダー自体の使い勝手についてです。
私はこれまで、後方の状況把握についてはハンドルバーエンドに付けたミラーを使ってきました。レーダーも完璧では無いため、今のところレーダーとミラーを併用する運用を行っていますが、実際にレーダーを使ってみて便利だと感じた点は以下の通りです。
-車両に早く気付くことが出来る
まずはミラーよりも圧倒的に早く車両に気づくことが出来る点。
道路が直線であれば、確実に約140m後方の車両を検知します。検知するとビープ音で知らせてくれますので、サイコンをチェックする必要はありません。
140mも離れていると、ミラーでは豆粒のようなサイズで映っており視認することが難しいレベル。正直なところそこまで早期に検知する必要は無い(こちらに接近する前に、右左折して消えてしまう場合も多々ある)のですが、やはり早く認知することにデメリットはありません。
後方の車両は漏れなく検知してくれますし、ミラーだけに頼っていると車両が接近するまで気が付かない場合もありますのでかなり安心です。
-車両の台数を把握できる
次に後方の車両の台数を把握できること。車両の台数表示も正確で『しばらくは車両に追い越される状況が続くのだな』『あと2台で終わりだな』ということが判断出来るようになります。
どんなに自転車歴が長くなっても、車に抜かされる瞬間は緊張します。サイコンに車両の接近状況が表示されていれば『今から抜かれる』ことが一目瞭然で分かりますので、少しだけ道路の端に寄るなど、準備を行う事が出来るようになります。路上駐車の車両を回避する場面などでも安心感が全く違います。
ちなみにミラーと併用するメリットについては、自分の後ろにいる車両がどんな車両なのか確認できる点。後ろにいるのがバスなのかトラックなのか、バイクなのかでこちらの回避行動も変わってきます。これを確認できる点は大きいですね。
またマニュアルに記載のある通り、レーダーが検知可能なのは車両との速度差がある場合です。例えば狭い道路で後方にいるトラックが自車を追い越し出来ずに自車と等速で走行する状況では、すぐ後ろにトラックがいるのに画面から消えてしまうことがあります。そのような場合に、後ろを振り向かずとも現況の確認が可能な点もミラーと併用するメリットです。
検知精度について
レーダーの検知精度について。
Garminは、私がこれまで使ってきた他社製品(iGPSPORTのSR30、MageneのL508)と比較すると、車両の検知精度と表示ロジックが頭一つ抜けて優れていると感じます。具体的には以下の通りです。
まずGarminは誤検知が一切ありません。他の2社では後方に車両がいなくても、誤検知して車両マークを表示することが割とあります。特に、道路の狭い住宅街を走っていると5分に一度は誤検知が発生します。私はミラーと併用しているので検知音が鳴る度にミラーを確認していますが、車もバイクもいないのに何かに反応しています。
狭い住宅街では何かに反射して誤検知している可能性が高いと考えられますが、堤防の上を通るCRでも誤検知が発生します。Garminはこれらの現象が一切無い点が素晴らしい。
次にいったん検知した車両について、自車と等速になった場合でも表示が消えることがありません。
例えば前述のように狭い道でトラックが自車を追い越し出来ずに、後ろに付いて等速で走る状況があったとします。他の2社では2~3秒ほどで検知外となり車両マークが消えてしまいます。すぐ背後には相変わらず車両がいるのに、です。
Garminの場合は上記と同様の状況でも、車両マークが消えずに表示され続けます。これは非常に有難い仕組みです(ただし10秒ほどその状況が続くと、さすがに消える)。
ちなみに発生頻度は低いのですが、Garminでも等速になるとすぐに消えてしまう場合があります。色々試してみましたが、どのような条件で動作が変わるのか分かりませんでした。
SR30とL508を使っていて感じる要改善事項がGarminではほぼ発生しませんので、非常に快適に使用することができます。
アプリについて
Garminではレーダー関連のアプリとして『GARMIN CONNECT』アプリの他、Varia専用の『Varia』アプリも用意されています。
GARMIN CONNECTアプリでは、Edgeなどのサイコンと接続した際にセンサーの1つとして表示されます。使い道としてはバッテリー残量が確認できるくらいでしょうか。画面では4つのセンサーが表示されていますが、バッテリー残量表示の表現が全て異なっているので統一して欲しいところ。
Variaアプリはスマホの大画面を使い、検知した車両を表示するというものです。アプリではより詳細なバッテリー残量が表示されるため、バッテリー残量を把握したい場合はアプリをインストールしておいて損はないでしょう。
レーダーの表示に対応したサイコンは、一定以上の高機能モデルになります。対応していないサイコンを使っている場合や、サイコンは不要なのでレーダーのみ使いたいという場合に、アプリを使うのは便利です。
■まとめ
RVR315はGarminから販売されているレーダーのうち、レーダー機能のみに特化したモデルです。これまで説明したようにGarminのレーダーは高価なのですが、価格に見合う高い機能を備えています。
Garminのレーダーを使いたいがなるべく安く済ませたい、リアライトは既にたくさん持っているのでレーダー機能だけ欲しい、という場合に最適な選択肢です。
レーダー機能そのものの有用性は言うまでもなく、気になっていたらGarminに限らず買ってみることをお勧めします。Garmin以外のブランドでも、初めてレーダーを使う分には満足できる性能はあります。
しかし使いこなす内に感じるかもしれない不満点を、RVR315を始めとするGarmin製品は既に解決しています。Garminのデメリットはランタイムの短さと端子がmicroUSBであること位なので、予算が許すのであれば最初からGarminを買ってしまうのも良いでしょう。
私も実際に使ってみるまではGarminの価格の高さが理解できませんでしたが、実際に使ってみるとGarmin以外はストレスに感じてしまうほど。他社は価格が安いのは良いですが、せめて誤検知は無くして欲しいと切に願います。
今回はRVR315のレビューでしたが、ライト付きのモデルはRTL515となります。
iGPSPORTのSR30、MageneのL508のレビュー記事も書いています。