【レビュー】迷ったらこれ!冬のド定番ビブタイツ カステリ『SORPASSO RoS BIBTIHGT』
カステリのビブタイツ『SORPASSO RoS BIBTIGHT』を買いましたのでレビューします。
■総合評価
カステリのラインナップの中で、冬期の基本となる高性能ビブタイツです。
- GORE-TEXなどの防風フィルムは不使用ながら、-2度まで対応する高性能ビブタイツ
- 多数のパネルから構成されており、動きやすさとフィット感の高さを同時に実現
- フィット感の高さにより保温性も高い
■購入動機
これまでメインで使っていた『NANOFLEX PRO2 BIBTIGHT(廃番)』のパッドがへたってきたので、買い替えのためです。SORPASSO RoSはカラー展開が豊富(5色もある)なのですが、正月にたまたま見たら欲しかったカラーがセール対象だった…という理由もあります。
マイナス気温に対応する冬用ビブは他に『ENTRATA WIND BIBTIGHT』を持っていますが、1着では足りないので2着必要なのです。その他に、マイナス気温に対応しないビブタイツとして『FREE AERO RC BIBTIGHT』も使っています。
■製品概要
製品スペック
まずは製品スペックから紹介します。
- 価格:30,800円(税込)
- 重量:358g
- カラー展開:5色
- サイズ展開:XS、S、M、L、XL、XXL、3XL
- 生地:NanoFlex3G+Nano Flex Xtra Dry
- パッド:Progetto X2 Air Seamless
- 対応温度帯:-2~10度
価格は約3万円。現時点ではカステリの中で上から2番目に高いビブタイツです。しかしながらカラー展開が5色、サイズ展開が7つあります。この製品だけで型番が35種類。在庫も大変な量だと思いますが、逆にどれだけ売れ筋なのかが伺い知れます。
対応温度帯は-2~10度からとなっており、真冬をメインに春秋シーズンまで使える万能なビブタイツとなっています。
ちなみに『SORPASSO』とは『追い越す』という意味のイタリア語で、速さと快適さを求めて改良されたとあります。
カステリビブタイツ製品の中でのポジショニング
カステリのタイツ製品は、主だったものだけでも9アイテムあります。ここではメインの6アイテムについて比較して、FREE AERO RC BIBTIGHTのポジショニングについて確認します。
※商品名の『BIBTIGHT』は省略しています
※価格は税込みです
名称 | 断熱 | 防水 | 防風 | 通気 | 軽量 | 温度帯 | 重量 | 価格 |
SORPASSO RoS | 4 | 4 | 4 | 4 | 3 | -2-10 | 358 | 30,800 |
SORPASSO RoS WIND | 5 | 4 | 5 | 4 | 3 | -5-8 | 327 | 34,100 |
POLARE3 | 5 | 3 | 5 | 3 | 3 | -5-5 | 332 | 29,920 |
ENTRATA WIND | 5 | 3 | 4 | 4 | 3 | -2-6 | 319 | 24,200 |
FREE AERO RC | 3 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2-12 | 338 | 28,270 |
SEMIFREDDO | 3 | 4 | 4 | 4 | 4 | 6-15 | 271 | 24,420 |
メインの6アイテムは上記の通り。まずSORPASSO ROS WINDとPOLARE 3は防風性を高めるためGORE-TEX INFINIUMを使っています。ENTRATA WINDは防風性を高める目的で生地前面にポリウレタンコーティングがなされていますが、GOREではないので防水性は低いです。
カステリに聞いたら『普通の人は雨の中を走らない』と言われました。おっしゃる通りです(笑)
今回紹介するノーマルのSORPASSO ROSは、メイン生地はFREE AERO RCと同じNano Flex 3Gです。更に防風性を高める目的で、前面の生地にNano Flex Xtra Dryを使用した構造となっています。
FREE AERO RCはメイン生地がNano Flex 3G、SEMIFREDDOはメイン生地がThermoflexとなっています。膝下はどちらもNanoflex伸縮素材(薄手のNano Flex)を使っています。Nano Flex 3GとThermoflexの違いは撥水性の有無となります。
このように防風/防水機能の違いで大きく3タイプに分かれており、SORPASSO RoSはGORE-TEXほどの防風機能は無いものの、その分、生地はしなやかで動きやすい製品になっています。
細部の紹介
外観です。今回のカラーは『ROVER GREEN』を選びました。
製品は複雑なパネリングで構成されています。前傾姿勢に最適化され、適度なコンプレッションをかけてペダリングをサポートするためと、狙った個所にだけ防風機能を付加するためにパネルの枚数が多くなっています。
以前レビューした『FREE AERO RC BIBTIGHT』もパネル枚数の多いビブタイツでしたが、その更に上を行く多さです。
パネルの枚数を増やしているのは、この画像中央にある『castelli』ロゴ専用パネルのせいだったりするのですが。
着用時、後ろから。殿筋群をサポートするような、縫い目が描くカーブが良いですね。後方のパネルも上下で別になっており、伸縮性が異なっています。パッドは上位モデルの『Progetto X2 Air Seamless』が使われています。
正面のパネル構成です。腹部から大腿四頭筋にかけて1枚のパネルになっていますが、ここがNano Flex Xtra Dry生地で防風性が高くなっています。生地は全て裏起毛なのですが、このNano Flex Xtra Dry部分だけは起毛が短くなっています。
ちなみにNano Flex Xtra Dryは、通常のNano Flexを更に改良した生地とのこと。生地の密度が高く、改良された撥水処理がなされているそうです。
背面です。レーシングモデルである『ROSSO CORSA』には、ストラップの着圧を分散する幅広タイプが採用されています。背中部分は大きなメッシュで、若干の保温性があります。無線用のポケットはなし。
前側です。全天候モデルを示す『RoS(Rain or Shine)』のタグが付いています。幅広ストラップですが、実は1本のストラップ(左右で2本)が背中を経由して脇腹を通り、腰部分で繋がっています。これが高いホールド感の秘訣。
ふくらはぎには大きな反射素材とカステリのロゴマーク。
ジッパーは信頼のYKK製です。最近は、確認せずとも基本的にYKKが使われているので嬉しいですね。
■レビュー
実走レビューです。
サイズ感について
今回はカステリの返品の送料無料制度を利用してMとLをオーダーしました。私の体型は身長170cm、体重57kg。試着の結果、Lサイズを購入しました。これで非常に快適に走れています。
数か月前に購入した『FREE AERO RC BIBTIHGT』ではMサイズでしたが、今回はLサイズ。試着とは言え何度も履くわけにはいかない(試着の際は下着を着用しています、念のため)ので非常に悩みましたが、とにかくMサイズではふとももがきつい。
どうもFREE AERO RCとは伸縮性が異なるため、SORPASSOではLサイズが適性でした。確かにFREE AERO RCは生地も薄く、追加の防風加工なども無いので1サイズ下でも入るのでしょう。
しかしポリウレタンの防風加工がある『ENTRATA WIND』はMサイズなのです。私の基本サイズはMで良いと思うのですが、今回の要因としては
- キャノボ達成の後で、走り込みにより大腿が太くなっている。
- ENTRATA WINDは2年前に買った製品なので、生地が伸びている。
などが考えられます。しかし試着の前にこんな事は分かりません。やはり試してみるしかないですね…。
暖かさ
最初に紹介したとおり、本製品は『マイナス基本に対応するが、GORE-TEXなどの防風フィルムまでは装備していない』製品です。
このように書くと、(GOREを装備した上位モデルがあるため)暖かさはさほどではないような印象を受けてしまいますが、さにあらず。
- しっかりした裏起毛のある厚手のNano Flex 3G生地
- 前面の風を受ける部分はNano Flex Xtra Dryで防風
と十分な性能を持っています。
そもそもNano Flex 3Gを使った製品は、生地の密度が高くある程度の防風性(に加えて防水性)が備わっています。前面に防風機能を付加することでこんなに暖かくなるのか…というのが最初の感想。
ROSSO CORSAはレースモデルという立てつけですから、高強度での使用が前提です。対応温度帯の上限は10度ですが、10度では暑い場面もあるのでは?と思ってしまう暖かさです。
また複雑なパネリングでフィット感が非常に高く、タイツの密着度が高い点も保温性の向上に一役買っていると感じます。
動きやすさ
重要な項目が最後になってしまいましたが、動きやすさです。
既に何度か結論らしきものを書いていますが…私がレビューしたカステリビブタイツの中で最もパネル枚数が多いにも関わらず、前傾姿勢に最適化されたカッティングでペダリングは非常に快適です。
これだけ縫い目が多いのに、それを全く感じさせない縫製技術は素晴らしいところ。カステリ製品の製造国表記は東ヨーロッパを中心に多岐にわたります(SORPASSO RoSはチュニジア)が、品質管理の高さが伺えます。
カステリの強みは、ALPHA RoSジャケットのような『よくこんな手の込んだ製品を作るな』という開発力と、アイテム数の多さゆえに多国籍に分散した製造工場の品質管理力(しかも縫製が面倒な製品が多い)にあると感じます。
他に書き残しておきたいこととしては、パネルのカッティングは前傾姿勢に最適化されているものの、FREE AERO RCで感じた『半ば強制的に前傾姿勢を取らせようとしてくる』ほどの肩ストラップの存在感はありません。
その意味では、SORPASSOは『冬のベストセラービブタイツ』と謳うだけあって、バランスの取れた製品だと感じます。
■まとめ
非常に多いカステリのラインナップの中で、高強度に対応した定番・ベーシックなビブタイツです。
GOREなどの防風フィルムを使用せずに、冬期のほとんどをカバレッジする温度帯対応力を実現しており、快適なペダリングを実現しています。
縫い目だらけの見た目ですが、見た目に反して快適かつ暖かいというこの性能をぜひ体感して欲しいと思います。価格だけ見ると3万円前後とやや高めですが、他ブランドには無いそれだけの性能があり、むしろ安いとも感じます。
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