【ファーストインプレッション】iGPSPORTの新型ライト『VS1800』

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2024年6月21日にiGPSPORTから発売されたスマートライト『VS1800』のファーストインプレッションレビューです。

iGPSPORTはサイコンの他にライトにも注力しており、2024年2月にリリースされた『VS1200』、2024年5月にリリースされた『VS800』に続く3作目となります。

モデル名の『VS』に続く数値は最大ルーメン数を表しており、本作『VS1800』はLEDを3つ搭載し、最大で1,800ルーメンを照射するライトです。

2024年5月に開催されたサイクルモードのiGPSPORTブースで話を伺ったところ、iGPSPORTでは事業部として『サイコン』『ライト』『ウェアラブル』の3つを組織しているということでした。ライトが事業部として組織されているとのことで、力を入れて開発していることが伺えます。

■総合評価

主な特徴は以下の通りです。これまでのVS1200やVS800とは少し路線が異なっており、某C社の製品で言うとVOLT1700(既に廃番ですが)のようなポジショニングの製品です。

その他、搭載するセンサーやアプリとの連携により従来機種と同等の機能を備えるほか、いくつかの新機能を搭載しています。

  • LEDを3つ搭載し最大1,800ルーメンの高出力と広大な照射範囲
  • 300lmで約12時間、90lm(推定)で28時間弱という実用的なランタイム
  • アプリから輝度を設定することで、ランタイムの調節が可能
  • リバース充電機能を搭載してモバイルバッテリーとして利用可能
  • アプリやサイコンに概ね正確なバッテリー残量を表示
  • 環境光センサーを搭載し、トンネルでの自動ON/OFFに対応
  • サイコンと連携することで、速度に応じて輝度の自動調節が可能

兄弟モデルであるVS1200、VS800のレビュー記事はこちらからどうぞ。

■入手経緯

今回はiGPSPORTさんよりVS1800を提供いただきました。そのため通常は『購入動機』とするところ、今回は『入手経緯』としています。いつもありがとうございます。

■製品概要

スペック

主なスペックは以下の通りです。

  • 価格:14,960円(税込)
  • 明るさ:最大1,800lm
  • 重量:194g(実測195g)
  • 本体材質:アルミニウム合金
  • 本体サイズ:110×44×29(長さ/幅/高さ)
  • 使用温度範囲:-10~50度
  • 防水等級:IPX6
  • バッテリー容量:6,700mAh
  • ロービームのランタイム:300lm/12h、450lm/6h、900lm/3h
  • ハイビームのランタイム:600lm/6h、900lm/3h、1,800lm/1.5h
  • 通信規格:Bluetooth
  • 充電ポート規格:USB Type-C
  • 搭載センサー:環境光センサー、加速度センサー

VS1200、VS800とのスペック比較

兄弟モデルとなるVS1200およびVS800とのスペック比較表です。

バッテリー容量がさらに増えて6,700mAh。その分、バッテリーを2本搭載していますという重厚なデザインで、本体横幅が増えたほか重量も40g弱増加(VS800比)しています。

VS1800VS1200VS800
公称重量194g160g155g
実測重量195g160g156g
サイズ(mm)110×44×29108×31×29108×31×29
ランタイム(lm)別途参照1200:1.45h、600:4h、300:8h800:2h、400:4h、150:8h
バッテリー容量6,700mAh5,000mAh4,000mAh
防水等級IPX6IPX6IPX6
搭載センサー加速度、環境光加速度、環境光環境光
充電ポートType-CType-CType-C
通信規格BluetoothBluetoothBluetooth
使用温度範囲-10~50-10~50-10~50
マウント独自マウントGarmin互換独自マウント
基本の使用形態上置き/下吊り下吊り上置き

ハンドル上のスペースが厳しいランドヌール的には、標準で上置きと下吊りに対応している点が有難い。例によってアプリから明るさをカスタマイズ可能ですので、好みに合わせてランタイムを伸ばすことも出来ます。

パッケージと同梱品

パッケージはこちら。iGPSPORTの他製品と同様に白基調のシンプルなパッケージです。

パッケージ裏面には、モードごとのルーメン数とランタイムが記載されています。LEDを全部で3灯搭載しており、ロービーム(2灯使用)と、ハイビーム(3灯使用)で以下のランタイムとなります。

同梱品はライト本体の他、USB Type-Cケーブル、C社風マウント、マウント用ゴム2種、Goproアダプター、2mmアーレンキー、マニュアル、iGPSPORTアンバサダーであるフルームのフライヤーが入っています。フルームファンとしては何気に嬉しい。
※webサイトの情報では『3mmアーレンキー』となっていますが、誤りです

マウント用ゴムは2つ入っていますが、違いはここ。端の厚みが異なっています。

VS1200はGarmin互換マウントを使った下吊り専用仕様でしたが、VS800からC社方式のマウント+Goproアダプター方式に変更されています。

外観、実測重量

外観はシンプルです。いかにも18650バッテリーが2本入っていますというデザインで、VOLT1700を彷彿とさせます。インジケーターを兼ねた電源ボタンの他、マウント設置用のプレートがあります。

電源ボタンの長押しで電源ON/OFF、クリックでモードの切り替え、ダブルクリックでロービームとハイビームの切り替えを行います。また新機能として、電源ボタンをトリプルクリックするとSOSモードに入ります。こちらは後半のレビュー部分に動画を載せています。

裏面です。恐らく放熱効果を高める目的の溝が成型されており、ハンドル上設置用のマウントが備わっています。

後端部は半透明の樹脂となっており、環境光センサーはこの部分に設置されています。充電に関する仕様も記載されており、INPUT/OUTPUTとも『5V-2A』となっています。

前面のレンズ部です。中央がハイビーム、左右がロービームです。ロービームは2灯セットで点灯します。

実測重量は195gでした。ほぼ公称通りで優秀です。

充電ポート

後端部にある充電ポートはUSB Type-C。フタは1mm程度の薄いゴムです。ブルべでライトを散々水没させてきた経験からすると、数時間の雨ライドであれば問題はなさそうな密閉度に感じます。

ちなみに防水等級は、VS800もVS1200もIPX6。IPX6は『あらゆる方向からの強い憤流水による有害な影響がない』と定義されています(VOLT800NEOはIPX4)。
※数字が大きければ一概に優れているというわけではなく、実際にロードバイクの雨ライドで使用して浸水しないかは、また別の話です

マウント部

先ほど紹介したマウント部は、2mmのアーレンキーで取り外し可能です。上部のプレートも同様に取り外せますので、Goproマウントで下吊りにする場合はマウントを交換するという運用です。

VS800では下吊りにすると本体の上下が反転して電源ボタンが裏側になるというネガがありましたが、VS1800では解決されています。ネジの取付穴は特に防水対策がなされていない様子なので、雨ブルべにどこまで耐えられるのか?が不安要素です。

マウント部は12gです。

アプリからの設定

この製品の最大の特徴が『アプリとの接続が前提である』ことです。アプリとの接続なしでも使えますが、それではこの製品の価値が半減します。

アプリとの接続後は以下のようなメニューが使用可能になり、本製品の性能をフルに活用することができます。

スタンバイモードなのでランタイムが1000h

バッテリー残量および仮想ランタイムが表示される他、カスタマイズモードの編集、オートON/OFF、オートスリープのON/OFFなどの設定が可能です。詳しくは後述します。

■レビュー

配光について

レンズは以下の配置になっています。左右のロービームについてはレンズ表面が平面になっており、裏側には防眩を目的とした拡散用の細かな凹凸加工がなされています。中央のハイビームについてはロービームとは逆に表面に凹凸上の加工がなされており、中央部に集光する仕組みになっています。

前述の通り、ロービームは2灯セットで点灯します。これを先ほどのハイビーム/ロービームの明るさと合わせて考えると、ハイビームは1灯で最大900lmの出力を、ロービームは2灯で最大900lmの出力があることになります。

壁に照射した場合のパターンは以下の通り。こちらはロービームのローモードの場合で、300lmです。2灯+レンズの拡散加工により、かなりの広範囲を照射しています。

こちらはハイビームのローモードの場合で600lmです。ハイビームを選択すると3灯全て点灯し、範囲は変わりませんが中央部がかなり明るくなっていることが分かります。

※アプリのカスタマイズ機能を使うと、ハイビームのみを点灯させることも可能です

こちらはVS1200のローモードの場合です。照射範囲が全く異なることが分かります。VS1200はLEDが1灯、VS1800のローモードはLEDが2灯なので、照射範囲については比較になりません。

アプリとの連携、カスタマイズについて

アプリに関する機能です。

先ほど紹介した通り、Bluetoothを使いアプリと接続するとバッテリー残量および仮想ランタイムが表示されます。これまでのテスト結果から、実際のランタイムは仮想ランタイムより1割ほど短くなります。恐らくですが、発熱等による電力ロスを考慮していないためと思われます。

『ヘッドライトモード』はライトのモード切替をアプリから行うもの。モードの切り替えは電源ボタンをクリックしても可能ですが、順番に切り替えることしか出来ません。アプリでは各モードを指定してダイレクトに変更することができます。

デフォルトの状態では上記の6つのモードとなっていますが、右上のトグルスイッチアイコンをタップするとモードの追加/削除が可能なメニューに移ります。フラッシュモードやカスタマイズモードの追加はここから行います。

VS1200とVS800で存在していた『待機モード(スタンバイモード)』はメニューとしては無くなりましたが、カスタマイズモードで『待機モード』を作れるようになっています。

『ヘッドライトモード』画面の『カスタマイズ1』の右側にある『>』マークをタップすると、カスタマイズ画面に移ります。ランドヌールにとってはこのメニューの価値が非常に高いです。

ロービームとハイビームが別々に調節可能になっており、VS1200とVS800では明るさの最小値は『10%』でしたが、VS1800では『0%』です。両方『0%』にすると待機モードを作ることが出来ます。輝度は1%刻みで設定することが可能です。『ちらつき』はフラッシュで、点滅の間隔も調節が可能です。

そこそこの明るさを確保しつつ、状況(距離)に応じてなるべく長時間使いたいというのがブルべにおけるニーズ。『600kmなら(深夜は仮眠するため)12時間点灯すれば良いので25%にしよう』など、表示されるランタイムを見ながら少しでも明るさを上げて安全性を向上させることが可能になります。

『インテリジェントな関数構成』(関数=functionの誤訳と思われます)は各種オート機能の設定です。

VS1200/VS800も優れた自動機能を搭載していましたが、VS1800では新機能が追加されています。主な項目の概要は以下の通り。

  • 自動ライト感度:環境光センサーを利用して、起動後に周囲の明るさを感知し、明るければ消灯し、暗ければ点灯します。これまでの自動点灯/消灯機能です。
  • 速度による明るさ:サイコンとペアリングしている場合、サイコンから速度情報を取得して速度に応じた明るさに自動調節します。速度向上と共に明るくなります。
  • オートスリープ:サイコンのスリープと連動させられる他、自律性を選択すると設定した時間でスリープモードになります。
  • 静止した低輝度:静止状態を検知すると、設定した時間が経過後に輝度が下がります。

サイコンとの連携について

iGPSPORTのサイコンとペアリングさせると、バッテリー残量とランタイム情報をサイコンに表示することが可能になります。手元にあるサイコンで試したところ、iGS800/iGS630S/iGS630はペアリングができました。これらの3機種は、ここ1ヶ月の間にVS1800に対応するファームが配布されていましたね。

サイコンとペアリングさせると、このようにバッテリー残量と残りのランタイムをサイコンの項目として表示可能です。スマホを取り出さなくてもランタイムが確認できるのは大変便利ですね。

接続可能なサイコンは現在のところ上記3機種の他、BSC300も対象とのこと。Edge1040でテストしたところ接続は出来ず、iGPSPORTのサイコンのみが接続可能となっています。

数分経過しても『接続中』のままです

ランタイムについて

ランタイムについては、デフォルトのモードにおける公称値では以下の通りとなっています。

  • ロービーム:300lm/12h、450lm/6h、900lm/3h
  • ハイビーム:600lm/6h、900lm/3h、1,800lm/1.5h

ランタイムと明るさの関係ですが、ローモードのエネルギー効率が良い点が目につきます。例えばロービームの場合、ローモードからハイモードは明るさが3倍になるのですが、ランタイムは3倍ではなく4倍。効率が向上しています。

また比較として、メジャーどころの製品におけるカタログスペックは以下の通り。

  • VOLT800NEO(キャットアイ):200lm/12時間(4,800mAh)
  • RN1500(OLIGHT):300lm/12.5時間(5,000mAh)

※RN1500が非常に優れているように見えますが、実際は300lmを維持するのは最初の30分程度であり、以降は200lm弱になることが知られています。

VS1800は300lm/12hですので、上記2製品と比較すると1.5倍の明るさで同等のランタイムを実現しています。またロービームは2灯を使用するため照射範囲が非常に広いことがVS1800の優位な点です。

また参考として、カスタマイズモードで明るさを調節した場合に表示される仮想ランタイムは以下の通り。

  • ロービームの20%(180lm前後):13h50m
  • ロービームの10%(90lm前後):27h40m

明るさを抑えるとかなりのランタイムとなります。

SOSモード

ひっそりと追加されている新機能『SOS』モードです。電源ボタンをトリプルクリックするとSOSモードに入ります。例の『トトトツーツーツートトト』ですね。実際の様子を撮影しましたので確認ください。これを使う日が来ないに越したことはないですが、知っておいて損は無いでしょう。

■まとめ

VS1200、VS800に続くiGPSPORTの3作目のライトです。

豊富な自動機能を搭載しており、アプリを使って任意の明るさ、任意のランタイムに調節が可能です。

6,700mAhというバッテリー容量を活かして300lmで12時間という実用的なランタイムを誇るほか、LEDを3つ搭載してハイ/ローに役割を分担させることで、非常に広い照射範囲と中心部の明るさを両立させています。

明るさを100lm程度に下げると24時間以上のランタイムとなります。明るい街中では明るさを下げてランタイムを最大化するという運用も容易。

アプリでiGPSPORTのデバイスを一括管理可能な点も大きなメリット。私はV1200とVS800を使っていますが、信号待ちの最中にささっと設定を変更出来るのは大変便利です。ここはキャットアイが全くキャッチアップできていないポイントですね。

バッテリー容量が増加した分だけ重量も増加していますが、それでも200g以下に収まっています。VS1200との重量差はわずか35gですから、ハンドル上にスペースさえあれば積極的にVS1800を採用していきたいですね。

それでいて定価14,000円台という驚異のプライス。私は35gの重量差であれば、今後のブルべでは圧倒的な照射範囲の広さからVS1800を使っていくことにします。特に林道などではハイビームを使うと、3灯の明るさと照射範囲の広さが圧倒的。それでいて上手くバッテリー管理をすれば2晩は持続するランタイムを誇ります。

唯一の不安は、マウントでしょうか。重量が40g軽いVS800と同じマウントを使っていますので、固定力が不足しないか今後確認していきます。

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ABOUT ME
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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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