【メンテナンス】撥水透湿ウェアとの付き合い方。正しい洗濯方法と、柔軟剤がNGな理由

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2025シーズンにリリースされたカステリの新素材『AirCore』を使ったウェア(ALPHA150 JACKETなど)が好評のようです。

本記事では、AirCoreを使った製品の洗濯方法と、『柔軟剤はNG』などの洗濯時の留意点およびその理由について紹介します。

■きっかけ

本記事のきっかけは、『AirCoreを使った製品の洗濯方法が分からないな~』というもの。

カステリには、公式サイトの下部に『ウェアの取り扱い』という項目があり、そこには推奨される洗濯方法や、撥水性の回復方法などが記載されています。

ところがこの内容は従来のGORE-TEXがメインだった時代から変わっておらず、AirCoreを使った製品向けの内容が載っているわけではありません。よって、紹介されている内容は『PFAS(フッ素)を使った製品向けなのだろうな…』と判断する人が一定数いると思われます。

AirCoreを使った冬用ジャケットやタイツはそこそこ高額であり(GORE時代から高額でしたが)、表面には『DWR(Durable Water Repellent):耐久撥水』加工も施されていますから、せっかくなら大事にしたいですよね。

ついでに、以前から言われている『柔軟剤はNG』は今回も同様なのか、また柔軟剤がNGな理由についても深堀してみたいと思います。

■撥水加工がなされたウェアの洗濯方法について

まず結論から。

『AirCore』を使用した製品を始めとする、カステリの撥水ウェア(DWR加工製品)を洗う際の基本ルールは以下の通りです。カステリに確認しましたが、従来と同じですね。

  • ジッパーやベルクロを閉め、製品を裏返す。
  • ぬるま湯を使い手洗いもしくは洗濯機の標準モードで洗濯。出来ればネットに入れる。特にすすぎが重要。
  • 必ず液体洗剤を使用する。粉末洗剤や柔軟剤、コンディショナーや漂白剤の入った洗剤は使用しない。
  • 室内での吊り干し、または平干し推奨。
  • 乾燥機を使う場合、低温で20分ほど運転すると撥水性の回復に一定の効果がある。

裏返すのは、生地表面の加工にダメージを与えないためですね。他の要素については、この後に説明します。乾燥機がない場合は、当て布をして低温でアイロンをかけるのも有効です。

そもそもDWR(耐久撥水)とは何か?

洗濯方法と共に、ウェアに施されている『DWR(耐久撥水)』についても確認しておきます。

DWRは、生地に撥水性を付与するアプローチの総称です。生地自体に物理的な性質を持たせている場合もあれば、化学的な加工を施す場合もあります。

例えばカステリの『Nano Flex 3G』は、生地表面に水に対する表面張力を発生するようなナノレベルの加工(トゲ)がなされています。これに加えて疎水基による化学的な撥水コーティングも施しています。

洗濯や摩擦によりこのトゲが倒れてしまうのですが、乾燥機などで加熱するとこのナノフィラメントを活性化することが可能です。このあたりはNano Flexに限らず、他社製品においても同様で、従来から言われていたことです。

AirCoreメンブレンの場合ですが、3レイヤーの生地表面にはリサイクルポリエステルが使われており、まずこれが非常に吸水性が低いという性質を持っています。次に高密度な織り方をすることで、表面張力により水を弾きます。また非フッ素系の撥水剤による撥水コーティングもなされています。

柔軟剤や粉末洗剤を使ってはいけない理由

本題です。カステリは、なぜ『柔軟剤』と『粉末洗剤』の使用をNGとしているのでしょうか。そこには明確な理由があります。

柔軟剤がNGな理由

柔軟剤がNGな理由、それはDWR加工による撥水層を『親水性』で上塗りしてしまうためです。

柔軟剤の主成分である界面活性剤は、1つの分子の中に『親油基』と『親水基』を持っています。

柔軟剤を使うと、繊維の表面が界面活性剤の分子によりコーティングされてしまいます。すると、本来は水を弾くはずの『ナノレベルのトゲ』が膜で埋まって平らになります。さらに表面の一部は、一定の確率で『親水基』が露出した状態になり、水分と馴染むようになってしまいます。

結果として、撥水性が大幅に損なわれてしまうというわけです。撥水性が損なわれると生地表面が水分で覆われてしまいますから、透湿性も低下します。これが柔軟剤はNGと言われる理由です。

粉末洗剤がNGな理由

粉末洗剤は液体に比べて溶け残りやすく、ぬるま湯を使って洗濯をしたとしても微細な粒子が残りがちです。汚れ落ちは抜群なのに、粉末洗剤が敬遠される理由はこれですよね。

AirCoreを使用したカステリのウェアはもちろん、GOREなどの高機能な防水透湿ウェアは汗を逃がすための非常に小さな『孔』が開いています。液体の水はブロックするが、気体の水は透過するという構造ですね。

粉末の粒子がこの隙間に入り込むことで、物理的に撥水や透湿の構造に悪影響を及ぼすためです。

■カステリ製品に適した洗剤の選び方

では、何で洗うのが正解なのか。基本は『余計な成分が入っていない液体洗剤』ということになります。

アウトドア専用洗剤

結局は専用洗剤。撥水性を維持しつつ、汚れだけを落とすように設計されているからですね。

私も今までは、GOREのジャケットでも家族の他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗っていたことがあったと思います。私が洗濯機を回すときは柔軟剤は絶対に入れませんが、カミさんは柔軟剤派なので…。

これからはどんなに面倒でも、専用洗剤を使用して単独で洗濯するようにします。

その専用洗剤の有力候補はここらでしょうか。シンプルに汚れだけを落とし、その他の余計な成分は入っていません。

まずはNIKWAXのテックウォッシュ。

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続いてグランジャーズのパフォーマンスウォッシュ。

どちらも非常にメジャーなブランドで性能は申し分ありませんが、洗濯後の手触りや香りで好みが分れるようです。私はとりあえずNIKWAXをポチってみました。

その他、身近な有名どころではモンベルのマルチクリーナーですね。

市販の洗剤を使う場合

専用洗剤が無い場合は、市販の中性液体洗剤でも代用できます。ただし、以下の条件をクリアしているか必ず成分表を確認するようにしましょう。

  • 「中性」であること(アルカリ性はポリウレタンを傷めます)
  • 「柔軟剤・漂白剤・蛍光剤」が無配合であること

その他、洗濯時の留意事項として以下が重要です。

  • しっかりと洗濯&すすぎを行うこと
  • しっかり乾燥させること

とにかく基本は、良く洗って良くすすぐ。余計な成分がウェアの表面や内部に残留してしまうと、ナノレベルで設計された防水性、透湿性を阻害することになります。また乾燥が不十分だと空気による断熱性が低下します。可能であれば乾燥機を低温で使い、撥水性を回復させておきましょう。

今までは大して汚れも付いていないことから、冬ジャケットも時短コースで洗っていました。しかし時短コースはすすぎも短時間なので、避けた方が良さそうですね。

■まとめ

冬用のジャケットは高額ですが、その性能を維持するためには適切な洗濯が重要というお話でした。

柔軟剤は絶対NGであるほか、液体洗剤を使い、出来れば乾燥機を使うことが日頃のメンテナンスには大切…ということが分かりました。

これからの冬シーズン、過酷な状況で自分を守ってくれるウェアは相棒です、正しいメンテナンスで長く付き合っていきたいと思います。

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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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