【レビュー】汗をかかないバックパック。ドイター(deuter)RACE AIR(レース エアー)

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サイクリストの定番、ドイター(deuter)のバックパック『RACE AIR(レース エアー)』を買いましたので、レビューします。『エアコンフォート』という、エアストライプスより高機能な通気構造を備えていることが特徴です。RACE Xを調べるうちに気になってしまい、気づいたら届いていました。

■総合評価

  • 独自の『エアコンフォート』構造で、背中の発汗が非常に少ない
  • メイン荷室を2つ持っており、意外と使いやすい
  • アーチ状の形状により、見た目より容量が少ない

■購入動機

サイクリストにはおなじみのドイターのバックパックです。使っている人も多いと思います。先日は『RACE X』を購入してレビュー記事を書きましたが、調べるうちに『RACE AIR』が気になってしまい追加で購入。

ドイターのバイク用バックパックは、いずれも『エアストライプス』という背面の通気性を高める機能が搭載されています。これでも背中の汗濡れがかなり減るのですが、RACE AIRには更に高機能な『エアコンフォート』を備えています。『エアストライプス』は背中と接触する2本のパッド部分にどうしても汗をかくのですが、『エアコンフォート』ではどこまで汗をかかなくなるのか試したくなってしまいました。

ロードに乗っている時は汗を多少かいても気になりませんが、私はドイターのバックパックを普段の街乗りでも使っています。そのため背中はなるべく汗で濡らしたくないのです。サイクルジャージはすぐに乾きますけども、コットンのシャツは乾くのが遅いですからね…。

またドイターのRACEシリーズは、容量が10L前後であり、ちょっとした荷物をコンパクトに運ぶ目的に適しています。私はいつもブログを書くためのノートPC、マウスにケーブル類、財布、スマホを入れていますが、RACE AIRは(RACE Xも)丁度良いサイズ感です。

■製品概要

今回購入したのは、ドイターのレースシリーズ『RACE AIR』です。RACE Xの記事でも紹介しましたが、こちらの記事でも改めて概要について紹介します。

ドイターとは

アウトドアブランドとしてはかなり有名だと思いますが、改めてドイターを紹介します。ドイターはドイツのブランドで、1898年にドイツのアウクスブルクでハンズ・ドイターにより創業されました。

当時からバッグやテントを作製しており、アルプスやヒマラヤなどに遠征する登山家に製品をサポート。一気に年代が飛びますが、自転車用バックパックの販売を開始したのは1990年とあります。それ以来、機能とデザインが両立したブランドとして世界で高い人気があります。

日本のマーケットでは、ガス会社の岩谷産業とプリムス(アウトドア用ガスカートリッジで有名)の合弁会社であるイワタニプリムスが輸入代理店となっています。

レースシリーズ四兄弟

2022年現在、ドイターの自転車用バックパックには20種類近いラインナップがありますが、その中で中程度の容量と軽量さを兼ね備えているのが『RACE』シリーズです。容量の違いで『RACE』『RACE AIR』『RACE X』『RACE EXP AIR』の全部で4種類あります。

今回は容量の大きさでは3番目となる『RACE AIR』を購入。容量は10L、重量は800gです。容量12Lの『RACE X』の方が重量が550gと軽いのですが、これはRACE AIRが採用している『エアコンフォート』の重量がかさむためです。『エアコンフォート』の通気性は非常に高いのですが、その代償として重くなり、容量が若干減ってしまうのです。

名称容量(L)重量価格(税込)
RACE85309,900
RACE AIR1080012,100
RACE X1255010,450
RACE EXP AIR14+389013,200

重量について

RACE AIRの公称重量は前述の通り800gですが、実測すると835gでした。35gもの差がどこからくるのか、ちょっと分かりません。

細部について

細かな点の紹介です。まずは外観。微妙におにぎりの様な形状で下側が広かった前作から、長方形の形状になりました。容量が同じであれば、現在の形状の方が荷物が収納しやすいです。ノートPCは特に入れやすくなりました。

中央に2本あるラインは反射素材です。上部に2本あるループは、ヘルメットホルダーを装着するためのものです。

下部にもループが付いています。リアライトを装備するためのループもあります。

バイクシリーズの定番装備、レインカバーもあります。このイエローの発色が良いんですよね。視認性も抜群です。

上部には小物用ポケットを装備。3つあるジッパーのうち、一番下が小物用ポケットです。鍵や診察券など、使用頻度の高いものを収納しています。

このバックパックは、メイン荷室が2つに分かれていることが特徴です。こちらは外側に位置する方。中にもジッパー付きのポケット、メッシュポケットを備えています。

ポンプなどの長尺物を固定するホルダー。折りたたみ傘を綺麗に収納するのに非常に便利です。

深さは十分です。

内側のメイン荷室です。こちらの方が若干大容量になっていますが、弓なりの形状になっており平らでは無いという独特の形状。そのためPCやタブレットなど大きな板状のアイテムを入れると上下に隙間が発生します。ポケットはハイドレーションのタンクを入れるためのもの。

オレンジ色のループは、ハイドレーションのチューブ(ホース)をガイドするためのものです。

チューブはこの部分から出す構造です。

通気性を高めるため、メッシュ状になったショルダーストラップ。幅は細めですが、薄くクッションが付いており食い込み感は少ないです。サングラスホルダー、ハイドレーションのガイド、可動式チェストストラップも装備しています。

バッグの容量の割にしっかりとしたウエストベルトを装備していることも特徴です。余ったベルトをまとめるためのゴムバンドも装備。

最大の特徴である『エアコンフォート』はこのようになっています。クッションは上部に1つ、腰のあたりの下部に2つが配されています。他の部分はメッシュ状のネットになっています。

RACE Xとの比較。パッドの面積が全く違います。

横から見ると、荷室がアーチ状であることが分かります。背中に入った板状の補強材と、金属製のフレームでこの形状を維持しています。

再びRACE Xとの比較。荷室全体がアーチ状に湾曲していることが良く分かります。

■レビュー

使用感

RACE Xに続き、8~9月に1か月ほど使用しました。背負いやすさなど、取り回しはノーマルの形状であるRACE Xと変わりません。ショルダーストラップの内側にあるパッドのおかげで、幅が細くなっても食い込み感は少ない。

容量については、13インチのノートPC、同じサイズの液晶モニター、電源ケーブル一式、マウス、財布、スマホなどを入れていますが、問題なく入ります。荷室が分かれているため細かいものを収納する分には便利ですが、内側に高さのある物を入れると外側は使えなくなってしまうと思います。

このバックパック、前述の通り形状がアーチ状のためPCやタブレットなど板状のものを入れると上下にデッドスペースが生じます。メイン荷室を2つに分割している点は、収納の効率を上げて容量の少なさを補うための苦肉の策といったところでしょうか。

この点を理解した上で、ケーブルや電源アダプターなどの小物類はポケットの多い外側の荷室に、大きなものは内側の荷室にと使い分けが出来るとむしろ便利です。

使用頻度の高いサイドポケットですが、こちらもアーチ形状のせいで入口が狭くなっており、物の出し入れがきつい。RACE Xではバッグを背負った状態のまま、手をポケットに回してスマホの出し入れが問題なく可能なのですが、RACE AIRでは無理。

信号待ちなどでスマホを取り出してちょっと道を確認したいということがあるのですが、取り出せずにゴソゴソやっている内に信号が青になってしまいます。先ほどのRACE Xと並べた画像のポケット部分を見比べると、明らかに入口が狭いことが分かります。

エアコンフォート

さて最大の特徴であるエアコンフォートです。結論から言うと、確実に発汗量を抑える効果があります。エアストライプスとは別物です。

サイクルジャージの場合はそもそもあまり汗で濡れずに違いが分かり辛いので、綿のポロシャツを着て街乗りをした場合の感想です。季節は埼玉の8~9月。気温は30度、湿度は60%以上あります。

まずRACE Xのエアストライプスですが、上下方向に通気があるものの、パッド部分はがっつりとシャツが濡れます。中央部分は濡れませんが、中央以外は全て汗で濡れます。それでも一般のバックパックと比較すると遥かにマシです。

次にRACE AIRのエアストライプスですが、パッド部分は同じく汗で濡れます。しかしパッドの面積が非常に少ないので、汗濡れの被害を受ける面積はエアストライプスの半分以下です。エアストライプスの肝であるネット状の部分ですが、背中がネットで覆われるためほんのりと汗で湿りはしますが、その程度で済みます。濡れの程度も浅いので、冷房の効いた建物に入ると10分もすると乾いています。

以上のようにエアコンフォートは確実に発汗量を減らす効果があると言えます。恐らくですが、左右の他に下方向にも通気が可能な構造が効果を発揮していると想像しています。

またフィット感ですが、RACE AIRはパッドの面積が小さいため、安定感に欠けると想像していました。ところがネット状の部分が柔軟に変形するため、意外にもフィット感にも優れていました。実際に日頃から汗かきなのでRACE AIRを使っているという人や、RACE AIRとRACE Xを使い分けているという人も多く、使うと手放せなくなる効果があると実感します。

■まとめ

ドイターの販売するRACEシリーズのバックパックです。『エアコンフォート』という通気性に優れた独自構造により、発汗量を確実に抑えてくれます。初夏から秋まで、ツーリングはもちろん街乗りなどでも効果を発揮します。

一方、バッグ自体がアーチ状になるという独自の形状とのトレードオフで、使い勝手がスポイルされている面もあります。そのため汗をかかない冬には使うメリットがありません。夏場はRACE AIRを使い、それ以外は『エアストライプス』を備えたRACE Xを使うという人もいました。実際、使い分けが出来ればベストの製品だと思います。

とにかく暑い時期の汗濡れ対策には最強のバックパックです。汗は血液中の水分が原料なので、発汗するという現象自体が疲労の原因になります。そのためロードバイクのツーリングであっても、街乗りであっても、汗をかかないことに越したことはありませんし、ウェアやTシャツの背中が汗でびっしょり…というあの現象をかなり低減できます。

凶悪な夏場を少しでも快適に過ごすために、気になっている人は購入して損はない商品です。

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ABOUT ME
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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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