【新製品レビュー】小型サイコンの完成形か。iGPSPORTのサイコン『BSC300T』
iGPSPORTから2024/10/08に新たに発表されたサイコン『BSC300T』のレビューです。
■総合評価
2023年4月発売のiGPSPORTのサイコン『BSC300』の正常進化版です。価格はそのままでタッチパネルなどの機能が追加されました。
- 66gと小型軽量
- レスポンスの良いフルカラータッチパネルを搭載
- ページフィールドの編集など、アプリに関する機能は上位機種と同等
■入手経緯
今回はiGPSPORTさんからBSC300Tを提供いただいきました。いつもありがとうございます。
今までiGSシリーズは3機種を使用してきましたが、BSCシリーズを使用するのは初めてです。iGPSPORTアプリのデバイス登録枠が10枠しかないのですが、私は13製品ほど使用しており、不足しているのが悩みの種です…。
■製品概要
スペック
基本スペックの一覧です。
- 画面サイズ:2.4インチ(320×240)
- タッチパネル搭載
- 本体サイズ:82×53×14.5mm
- 重量:66g(実測66g)
- 価格:21,560円
- メモリ:8GB
- ランタイム:20時間
- 防水規格:IPX7
- 最大表示項目数:8
- インターフェイス:USB Type-C
タッチパネルが搭載されたことでBSC300から大幅に進化を遂げました。物理ボタンについてもBSC300と同じく6つとなっており、iGPSPORTのiGS800やGarminのEdge840のように、状況に応じてタッチパネルとボタンの使い分けが可能です。それでいてお値段据え置きとかなりお買い得な機種です。
iGS630SおよびiGS630とのスペック比較
BSC300TとiGS630/iGS630Sとのスペック比較です。iGS630シリーズはフラッグシップ機種と位置付けられていますので単純な比較はできませんが、その分だけ価格も安価になっています。ちなみにBSC300TとBSC300のスペックは同一です。
BSC300T | iGS630S | iGS630 | |
公称重量 | 67g | 100g | 90g |
実測重量 | 66g | 96g | 90g |
サイズ(mm) | 82×53×14.5 | 92×52×16.5 | 92×52×16.5 |
ランタイム | 20h | 45h | 35h |
バッテリー容量 | 600mAh | 1,700mAh | 1,300mAh |
充電の高速化 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
画面サイズ(inch) | 2.4 | 2.8 | 2.8 |
メモリ | 8GB | 16GB | 8GB |
GPS | シングルバンド+衛星5つ | デュアルバンド対応+衛星5つ | シングルバンド+衛星5つ |
防水等級 | IPX7 | IPX7 | IPX7 |
価格 | 21,560円 | 39,380円 | 29,480円 |
開封の儀(パッケージと同梱品)
開封の儀です。
箱を開けると、本体が鎮座しています。
箱の中には、以下のものが収まっています。本体の他、Garmin互換のマウントとゴムバンド、各国語のマニュアル、検査証です。充電用のケーブルは付属しません。
実測重量
実測重量です。公称重量67gに対して66gと優秀です。
外観
本体サイズは82×53×14.5となっておりBSC300と同じですが、タッチパネル化に伴ってロゴの位置など細かな点が異なっています(左がBSC300、右がBSC300T)
注目は薄さ。BSC300T(左側)の14.5mmに対してiGS630/630S(右側)は厚さが16.5mm。2mmの違いですが、バッテリーの大容量化が進み厚みを増す最近の機種と比べるとかなり薄く感じます(BSC300でも同じですが)。
物理ボタンはこのような配置(BSC300も同じです)。
マウントはGarmin互換です。アウトフロントマウントは付属しないので、必要な方は別途購入した方が良いでしょう。
画面は2.4インチ、320×240ピクセルです。可読性は非常に高い部類です。
■レビュー
BSC300との違い
まずはBSC300との違いを紹介します。
タッチパネル
最も大きな違いはタッチパネル。6つの物理ボタンを残したままタッチパネルを装備しており、好みや状況に応じて使い分けが可能な点が最高です。
雨ライドの場合は誤作動防止のためタッチスクリーンロック(後述)機能を使いタッチパネルを無効化しますが、物理ボタンのおかげで普通に操作が可能です。
動きも良く、最近では大きいとは言えない画面(それでも2.4インチあります)ですがサクサク動作します。
充電ポートの位置が変更
充電ポートの位置が変わりました。まずはBSC300Tですが、側面手前側に付いています。Edgeシリーズで見慣れた位置。iGS800もこのタイプ。
BSC300は裏面ですね。iGS630Sなども同様です。
トップ画面テーマが追加
トップ画面のテーマが増えました。画像のテーマはBSC300にあったもので、BSC300Tにも引き継がれています。
BSC300Tでは他に以下2つのテーマを設定可能です。設定方法はアプリ/本体どちらでも共通で、設定⇒テーマ⇒デスクトップで選択します。アプリでの設定画面では中国語ですが、しっかり日本語になっています。
ランタイムについて
ランタイムは20時間となっています。ブルべでは200kmもしくはギリギリ300kmまで使用可能です。仕様的にも、主にワンデイのライドを想定していると思われます。
アプリで出来ること
こちらがアプリのトップページです。全部で8つのメニューがありますが、主だったものを紹介します。
まずはページフィールドの編集です。メニューのライドモード⇒ページフィールドから進むと以下の画面に。右上のエンピツマークをタップすると編集モードに入ります。
こちらが編集モード。項目の追加/削除は下部にある『データ追加』をタップ。
追加設定可能な項目のリストが出ます。現在設定されている項目は赤いものです。削除する場合は右にあるチェックマークをタップすると、削除が出来ます。一画面に表示できる項目数の上限は8項目なので、上限を超えてタップすると画像の様なエラーメッセージが出ます。
デフォルトではいくつかの画面が用意されています。ページ1~4は自由に項目数を設定可能で、4ページとも1項目のみ表示にする、なんてことも可能です。
ページ順序を入れ替えたい場合は、右端にあるバーをドラッグ&ドロップします。
アラートメニューでは、これらの項目についてアラート表示を設定可能です。
自動記録に対応するのはこれらの項目です。位置による自動ラップにも対応しています。
テーマメニューでは、先ほどのテーマの設定の他にダークモードの設定も可能。
画面表示と明るさメニューでは、これらの設定が可能です。バックライトは昼間と夜間で別々にセットできます。相変わらず夜間だと10%でも明るすぎるので、5%でもセットさせて欲しいところ。
マップについて
表示されるマップはiGS630などと同様のもの。主要な道路が色で区別されており見やすいです。タッチパネルもしくは物理ボタンのどちらでも縮尺を変更できるのは利点です。
ただし画面は小さいので、見やすさという面ではあと一歩です。これは仕方がないですね。
またGPSはGPS、BEIDOU、GLONASS、GALIEO、QZSSに対応しており高精度です。補足する衛星の数は変更可能なので、状況に応じてバッテリー消費を抑えることができます。
※デュアルバンドには未対応で、シングルバンドとなります
タッチスクリーンロック
雨の日には必須のタッチスクリーンロックも備えています。ロックするとタッチパネルは無効化されますが、物理ボタンもありますから雨ブルべにも完全対応。
実走レビュー
さて早速セッティングして走ってきました。
合わせるライトはVS500です。走り出してから信号待ちでセンサー類の登録を行いましたが、Di2も含めてすぐに登録完了。やはりタッチパネルは早い。
※Di2のリモートスイッチには対応していません
※センサーはリアレーダー、スマートトレーナーにも対応
1画面には8項目まで表示可能ですから、必要十分。iGS800では12項目表示させているワタクシですが、消費カロリーや現在時刻など、リアルタイムで確認する必要が無い項目も多いです。
それらの項目は2画面目に設定すれば事足りますし、タッチパネルで『ピッ』とやればすぐに画面が変わります。ヒルクラ中でもストレス無し。やはりタッチパネルは便利です。
これまでのiGPSPORTのサイコン同様、BSC300Tもサイコンとしての性能は申し分ありません。
ナビについても同様で、BSC300と同様に右左折のアラート、オフコースのアラートなどもしっかり出ますし、曲がるポイントでの自動拡大機能も備わっています。この辺りはiGS630から培われたロジックがそのまま移植されており、ノウハウが別機種にもしっかりと受け継がれている安定感があります。
■まとめ
BSC300にタッチパネルが追加になりました。タッチパネルのレスポンスも良好で、非常に扱いやすいです。それでいてBSC300と価格が同一という驚きのプライシングとなっています。
iGS630シリーズからは約30g、iGS800からは約40g軽くなりますので、ヒルクラ用としても最適。
ブルべなどロングライドではランタイムを重視してiGS630、普段のライドではBSC300Tという使い分けも良さそうです。日常的に使っているとバッテリーも劣化してしまいますしね。
アプリや操作方法などもiGPSPORTの他機種と同じですから、既にiGPSPORTユーザーであれば買ったその日から使えると思います。