【レビュー】iGPSPORTが本気で挑むスポーツウォッチ『VeRun』
2026年3月に発売されたiGPSPORTのスポーツウォッチ『VeRun』をiGPSPORTさんより提供いただきましたので、レビューします。
iGPSPORTらしく、非常にコストパフォーマンスに優れた製品です。iGPSPORTアプリや他のiGPSPORT製品との連携がウリですが、製品名の通り主にランニングを想定したスポーツウォッチとなっています。

■総合評価
- iGPSPORTが満を持して投入する本格的スポーツウォッチ
- デイリーに蓄積されるヘルスケアデータの活用に踏み込んだほか、サイコンを通じて取得される既存のヘルスケアデータとの一元管理が可能
- 同価格帯の競合製品と比較して、画面サイズや解像度に優れ非常に見やすい
iGPSPORTが投入する2作目のスポーツウォッチです。前作の『Lw10』は価格的にもエントリーモデルの位置づけでしたが、『VeRun』は後発ながらGarminなど他社のシェアを奪う意図を感じる完成度となっています。
メインターゲットはスポーツウォッチを使用しているユーザーとなっていますが、iGPSPORTにはこれまで蓄積してきたサイクリストのユーザー基盤があります。
サイクリストと言ってもサイクリングしかしないわけではなく、スポーツウォッチを使い日常のログを蓄積したり、時にはランニングも楽しんでいたりします。そういったユーザーのシェアを数%でも獲得できればビジネスとして充分に成立するという判断のもと、リリースされた製品と感じます。
今後は本製品を足掛かりとして、より詳細なログの取得を可能にしたり、iGPSPORTアプリによる分析機能を充実させるといった方向に進化していくものと思われます。
■入手経緯
今回は、iGPSPORTさんよりVeRunをレビューのために提供いただきました。いつもありがとうございます。そのため購入動機ではなく、入手経緯としています。
私はご存じの通り、サイコン(ライトも)については『BiNavi』などiGPSPORT製品を愛用しています。しかしGarminに囲い込まれていた時代には出来ていた、日常の心拍データを始めとするヘルスケアデータをiGPSPORTアプリに統合したいという思いは以前からありました。
※スポーツウォッチにGarminを使っているという前提です
同様のニーズがある方は多いと思うのですが、サイコンにiGPSPORT製品を使うとサイクリング由来のデータはiGPSPORTアプリ、その他のデータはGarmin Connectに蓄積されてしまいます。
そのためデータが一元管理できず、サイコンに高額なGarmin Edgeシリーズを使わざるを得ない…もしくはデータの分断を受け入れるしかないという状況がありました。
今回、VeRunが発売されたことで、すべてのアクティビティデータをiGPSPORTアプリに集約できる可能性が生まれたため、レビューに賛同させていただくこととしました。個人的な状況としては、残るGarminデバイスは体重計のみ。iGPSPORTの体重計をぜひリリースして欲しいところ…。
■製品概要
カタログスペック
まずはカタログスペックの確認です。
- 画面サイズ:1.32インチ
- 本体サイズ:45.3×45.3×14mm
- 価格:33,000円(税込)
- 重量(本体):32.5g
- 重量(バンド含む):47.6g
- ディスプレイ:AMOLED
- メモリ:8GB
- 接続方式:Bluetooth5.2、ANT+
- 防水性能:5ATM(5気圧防水)
- センサー:気圧、加速度、環境光、地磁気、ジャイロスコープ
- GPS:デュアルバンド、FullGNSS
- ランタイム:日常モード(常時表示OFF)で最大14日間
- 充電方式:マグネット式の専用ドック
33,000円とスポーツウォッチとしては手頃な価格ながら、後発の優位性を活かして同価格帯の競合モデルを上回るスペックを備えています。iGPSPORTのこれまでのサイコンと同じ戦略ですね。
iGPSPORTはハードを安価に調達する能力、わずか32gの本体にこれだけの機能を実装する能力など、ハードウェアに関しては非常に秀でているのではないでしょうか。
そしてこの製品ではハードウェアの優位性のみならず、Garminの優位性である『ヘルスケアデータのエコシステム』の分野に切り込んできたことが特徴です。
競合製品とのスペック比較
主な競合製品とのスペック比較です。スポーツウォッチは様々な機種がありますが、同じくコスパに優れ、サイクリストにも『COROS DURA』で知名度のあるCOROSと、定番のGarminを比較対象としました。FRは『Forerunner』の略です。
| VeRun | COROS PACE4 | Garmin FR165 | |
| 価格 | 33,000円 | 36,300円 | 39,800円 |
| 公称重量(ベルト込) | 47.6g | 40g | 39g |
| 実測重量 | 48g | -g | ーg |
| サイズ(mm) | 45.3×45.3×12.3 | 43.4×43.4×11.8 | 43×43×11.6 |
| 画面サイズ(インチ) | 1.32 | 1.2 | 1.2 |
| 画面 | AMOLED | AMOLED | AMOLED |
| 解像度 | 466×466 | 390×390 | 390×390 |
| ランタイム | 約14日間 | 約19日間 | 約11日間 |
| メモリ | 8GB | 4GB | 4GB |
| GPS | デュアルバンド+5衛星対応 | デュアルバンド+5衛星対応 | シングルバンド+4衛星対応 |
| 防水性 | 5ATM | 5ATM | 5ATM |
※4衛星:GPS、GLONASS、Galileo、QZSS
※5衛星:GPS、GLONASS、Galileo、QZSS、BeiDou
今回は3機種ですが、こうして並べてみるとVeRunは基本的な機能を網羅しつつもコストパフォーマンスに優れていることが分かります。画面が1.32インチと大きいにも関わらず、日常使用モードで14日間というランタイムは優秀です。解像度の高さによる見やすさでも秀でています。
COROSは従来から軽量さとランタイムの長さが特徴です。
Garminはこういったスペック表で並べると単に高額な機種になりがちですが、音楽再生に対応していたり、Suicaに対応していたりと便利機能が充実していることが特徴です。しかしGPSに関してはデュアルバンドに対応していない、ランタイムが短いなど欠点もあります。
開封の儀(パッケージと同梱品)
パッケージと同梱品の紹介です。
パッケージはこちら。最近のiGPSPORT製品のデザインを踏襲した白基調の高級感あるデザインです。

パッケージ背面には技適などのロゴが入ります。型式は『QW-WR02』です。

パッケージは立方体に近い形状で、側面に製品特徴が記載されています。主な内容は先ほど記載した通りのほか、ルートナビやトレーニングの分析が可能となっています。

製品本体はこちら。

付属品は以下の通り。USB Type-Cケーブル、検査済み証、クイックスタートマニュアルとセーフティイントロダクション、専用充電器です。

専用充電器はマグネット式です。Type-Cケーブルを挿して使用します。

実測重量
実測重量はシリコンバンド込みの公称47.6gに対して48gと公称通りでした。本体のみであれば、32.5gとのこと。画面サイズの大きさを考慮すると、軽量な部類といえます。

外観
外観です。カラーは2色ありますが、今回はブラックです。画面サイズは1.32インチで視認性は高いです。ガラスはCorning® Gorilla® Glass3を使用しています。

バンドはツートンカラーで、裏側はイエローになっています。

画面は当然タッチパネル対応ですが、物理ボタンは3つ。

各ボタンには、画像の右から以下の機能が割り当てられています。
- POWERボタン:電源ON/OFF、画面ロック解除
- STARTボタン:アプリカード呼び出し、メニュー選択、決定
- BACK/LAPボタン:ラップ、サブメニュー呼び出し
■レビュー
機能や使い勝手の紹介です。
セットアップ
まずは初期セットアップですが、電源を入れると言語の選択画面となります。

すぐにiGPSPORTアプリとの接続を要求されますので、接続します。まずはデバイスタイプを選択しますが、今回はウェアラブル製品ですね。続いて歩数などの目標設定を行います。


設定が終わるとアップデートを要求されます。本稿執筆時点での最新ファームは『V1.02.013』です。

更新が終わると接続完了です。アプリのメニューは以下の構成となっています。


メニューについて
各メニューの内容は以下の通りです。
- アクティブ指標設定:デイリーの歩数目標などを設定。
- 健康上の注意:各種リマインダーの設定です。現時点ではスタンド(そろそろ歩いて!と言われるやつ)と昼休みに関するリマインダーを設定可能。
- デバイスを検索:ウォッチからアラート音が出ます。
- スポーツモード設定:各スポーツモードでウォッチ画面に表示される項目を編集します。サイコンの画面編集と同じです。スポーツモードは22種類あります。
- メニュー管理:各メニューを呼び出した時に表示されるサブアプリやスポーツモードの表示/非表示を編集します。
- データ管理:アクティビティの管理です。
- スマート通知:各種通知のON/OFFを選択します。
同価格帯の競合製品が備える機能はほぼカバーしていますので、VeRun独自の機能を紹介していきます。
ディスプレイについて
独自機能…ではありませんが、まずはディスプレイの視認性の高さを紹介します。
VeRunのAMOLEDディスプレイは466×466の解像度を持っており、同価格帯の競合製品の中では最高クラスの見やすさ。アクティビティ中にチラ見することが多いスポーツウォッチにおいて、視認性の高さは快適さに直結します。

AMOLEDは画面の鮮やかさにメリットがありますが、MIPと比較すると消費電力は増えます。しかし処理能力の向上で、2週間程度のランタイムを実現できるようになってきました。
もちろん常時表示も可能ですし、リストジェスチャーによるディスプレイONにも対応しています。どちらも便利な機能ですが、その分ランタイムは短くなりますので目的に応じて設定しましょう。
iGPLink
そして独自機能の筆頭は、iGPLinkです。
iGPSPORTのサイコンの上位機種(BiNavi Air、BiNavi、iGS800)では、サイコンからライトやウォッチの操作やステータスの確認が可能となっています。その管理機能の名称が『iGPLink』です。
VeRunに関しては、取得した心拍数データをサイコンに転送することができます。
まずはVeRun側でBACK/LAPボタンを長押しして、サブアプリを呼び出し、『iGPLink』を選択して有効にします。

続いてサイコン側(画像はBiNavi Air)でiGPLinkのメニューを開き、デバイスを検索。ウォッチが見つかったら接続します。


接続完了です。無事に心拍数が表示されました。いつも通りVeRunさえ付けていれば心拍数を拾えます。これで管理するデバイスが1つ減りました、素晴らしい!


ちなみに自動接続機能が備わっており、一度接続してしまえば次回以降のVeRunとの接続はサイコンの起動時に自動で行われます(事前にVeRun側でiGPLinkは有効にしておきましょう)。まさにシームレス。
またiGPLinkのメニューには『振動通知』という項目がありますが、ONにするとサイコンでナビをしている時に右左折のアラートなどをVeRun側で受け取ることが可能です。メッチャ便利。

このように右左折のポイントの手前で画面に通知が出るとともに、振動で教えてくれます。ただし振動は上品なうえ、画面の通知も3秒ほどで消えるので注意しましょう。

精度については心拍バンドと併用してみましたが、概ね同じ数値が取得できました。スプリントをした時の追従性も遜色ありません。
が、装着位置がズレると精度が落ちますから(心拍バンドも同様ですが)、アクティビティ中はややしっかり目に装着しておきましょう。
また心拍ゾーンの設定により、上限/下限を超えた場合も振動による通知が出ます。

サイコンの機能を拡張してくれるデバイスですね。
SR miniとの連携
VeRunおよびSR miniの両方をサイコンにiGPLinkとして連携させると、SR miniからのレーダーアラートを振動として受け取れるようになります。
これは、通常通りサイコン側でアラートを出しておけば済んでしまうような気もします。
データ転送機能
BiNavi Airなどに実装されたデータ転送機能が使えます。

トレーニングコースやルートブックなどのコース情報を、他のサイコンに転送可能です。VeRunだけでナビをする場合には便利な機能です。
センサー連携
BluetoothおよびANT+のアンテナを搭載しており、VeRun側でパワーなどのログを取ることが可能です。もはや腕に付けるサイコン。
先ほどと同じくBACK/LAPボタの長押しでサブアプリを呼び出すと『外部センサー』というメニューがありますので、それを選択。『追加』メニューを選択するとセンサーを検索し、このように接続されます。

アクティビティを選択してロギングを開始します。パワーなどデフォルトの画面では用意されていない項目を表示する場合は、予め編集しておきましょう。スマホさえあれば、アプリを使って編集できますので、必要になった時に編集しても十分と思います。

パワーゾーンも表示されます。

ランニングフォーム分析
VeRunの中核をなす機能の1つ、ランニングフォーム分析です。最近のGarminではおなじみの機能ですが、iGPSPORTもついにここまで対応するようになりました。
搭載するセンサーにより、6つの指標『歩頻(ピッチ)・歩幅(ストライド)・垂直振幅・垂直振幅比・接地時間・接地バランス』を計測可能です。測定結果はiGPSPORTアプリから、いつものアクティビティログで即座に確認することができます。

フォームを客観的に確認できるのは、フォームの改善やケガの予防に非常に有用ですよね。
『おなじみの機能』と書きましたが、Garminでもつい数年前まで『ランニングダイナミクスポッド』を別売りしていたくらいですから、iGPSPORTのキャッチアップ力には驚くばかり。
トレーニングデータ評価
アクティビティログに基づき、能力を評価してくれる機能です。これまではサイクリングにのみ対応していましたが、VeRunからランニングにも対応するようになりました。
こちらがランニングの評価項目です。走り込みが足りていないので、一部の項目が未評価になっています…。データを蓄積するとフルマラソンの完走時間の予測もしてくれるようになります。

ちなみにサイクリングではこのような項目で、レーダーチャートやVO2 MAXもしっかり表示されています。明らかに練習不足なので恥ずかしいデータですが…。

先ほどの分析と合わせると、パフォーマンスの向上に非常に役立つはずです。欲を言えば、これらの項目をどうやってトレーニングに活用するのか?も合わせて発信して欲しいところです。
まぁこのあたりの情報はGarmin関連の動画が既に山ほどありますので、それらを見れば十分という話ではあります。
健康管理機能
24時間の心拍数、血中酸素、ストレス、HRV(心拍変動)のモニタリングに対応しています。


睡眠のモニタリングにも対応しており、スコアが表示されます。昼寝も識別してくれるとのこと。

『体力』というボディバッテリー的なスコアも算出してくれます。

iGPSPORTのサイコンユーザーとしては、これらのデータが全てiGPSPORTアプリに統合されることになります。特にランニングのデータが統合されたことは大きく、VeRunを導入する十分な理由になると感じます。
ランタイムについて
約8日間使用した時点でバッテリー残量が95⇒18%と77%の減少。1日あたりでは約9.5%であり、私の使い方だと約10日ほどの稼働時間となります。

『私の使い方』というのは、平日や週末にクロスバイクで近所を数キロ移動する場合も都度アクティビティを記録するというもの。アクティビティの記録中は常にディスプレイが点灯しますし(※設定でOFFにすることが可能です)、GPSとの通信でバッテリーの消費は大きくなります。
今回は4時間程度のロードバイクでのサイクリングのログも取りましたので、更に消費しています。それでも約10日は使用できるわけですから、この画面サイズと解像度を考慮すると十分な性能です。
ちなみに省電力モードは2パターン用意されており、通常モードは輝度を抑えるもの、極限モードは時刻と歩数の表示画面に固定され、解除するまで他の操作を受け付けないというものです。


充電について
充電は前述の通り専用のドックを使用します。30分で65%充電され、75%まで回復。風呂に入る間にでもちょっと充電すれば十分そうです。


ちなみにバッテリー容量は383mAhとなっています。
その他
その他の機能として、音楽のコントロール、スマホの通知を受ける、ウォッチフェイスが選べる、スマホから音を出す『スマホを探す』機能(逆も可能)など、一通りの便利機能は備わっています。
またiPhoneのヘルスケアとの連携や、STRAVAやTraining Peaks、Komootなどのプラットフォームとの連携も対応しています。
■まとめ
これまでサイコンとライトのイメージが強かったiGPSPORTが、満を持してランニング・フィットネス市場に進出した製品です。
搭載するセンサーや画面サイズを考慮すると非常にコスパが高い製品ですが、サイクリングをベースとしたデータだけでなく、日常生活やランニング等、様々なアクティビティのフィットネスデータをiGPSPORTエコシステムで一元管理できるようになった、という点で画期的です。
最大の競合であるGarmin Connectでは多種多様なデータを取り込んでいますので、すぐにスイッチできる人ばかりではないと思いますが、サイクリングとランニングを両方やる人にとっては、VeRunは非常に有力な選択肢だと思います。
これまでのiGPSPORTのサイコンのように、Garminの機能を9割程度カバーした機種をGarminの6割の価格でリリースする…だけでなく、セットとなるアプリ側の機能も充実させています。
単なるハードウェア販売だけでなく、Garmin Connectと同じ方向性の付加価値を乗せる戦略に踏み込んできており、iGPSPORTの野望が感じられる製品となっています。『Garminはオーバースペックだよね…使わない機能が多過ぎだよね…』と感じている人も多いはずですから、iGPSPORTはそういったユーザーにはまるのではないでしょうか。
ちなみに以前のサイクルモードで聞いたお話では、iGPSPORTの部門は『サイコン』『ライト』『ウェアラブル』の3つに分かれて開発を行っているとのことでした。VeRunはまさに『ウェアラブル』部門になると思いますので、VeRunだけで終わらずに、サイコンのように新製品のリリースや機能の改良を継続的に行って欲しいところです。
今後はアプリ側で『蓄積したデータで何をするのか?』という点が差別化には重要になっていくと思いますので、期待したいと思います。














