【レビュー】使い勝手の良すぎる新たなジャケット カステリ ESPRESSO AIR JACKET
カステリの2024年秋冬モデル新製品『ESPRESSO AIR JACKET(エスプレッソエアジャケット)』のレビューです。
2024年に登場した『ESPRESSO』シリーズ。当初は半袖ジャージ(と夏用長袖)、ビブショーツのみでしたが、秋冬モデルではベスト、タイツ、サーマルジャージ、ジャケットなどラインナップを拡大しており一大勢力となっています。
今回の『ESPRESSO AIR JACKET』は冬用の裏起毛長袖ジャケットです。
購入はカステリ公式オンラインストアがお勧めです。本国の倉庫から出荷されるため、各サイズ/カラーの在庫が豊富です。
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■総合評価
- 0~10度という絶妙な対応温度帯
- 新素材『リストレット』は通気性が高く汗冷えを防ぐ
- 非常にしなやか
- PFASフリーの耐久撥水加工
- フィット感の高い厳冬期用ジャケットが欲しい人
- 中強度のトレーニング向け
- ESPRESSOシリーズのカラーコーディネートをしたい人
■購入経緯
『マイナス気温に対応しない』新たなジャケットとして購入しました。
まずマイナス気温対応ジャケットは、カステリには2層構造のアルファシリーズがありますのでそちらにお任せ。しかしアルファシリーズのジャケットは非常に暖かいのですが、その分やや嵩張るんですよね。それでもあの薄さを実現しているのはすごいと思いますが。
その次の対応温度帯としては、これまではPerfettoシリーズが担当していました。対応温度帯は『4~16度』。0度前後に対応させたい場合、Perfettoのジャケットに『FLANDERS WARM LONG SLEEVE』(-2~10度対応)などの高性能ベースレイヤーを合わせる運用が定番でした。
ところが私のニーズは以下のようなワガママなもの。
- 真冬の早朝(気温がマイナスの時間帯)からは走らないよね
- ベースレイヤーをヘビーにすると、昼間に気温が上がった時に対応しづらいよね
今シーズンは、まさにこれらのニーズに応えた『0-10度対応』という製品が登場したため、即購入しました。ESPRESSOシリーズなのでカラーが豊富というのも購入理由です。ちなみに同じく今シーズンの新製品『FLY DIRECT JACKET』も『0-12度対応』という同程度の温度帯のジャケットです。
■製品概要
製品スペック
製品スペックの紹介です。
- 価格:31,350円(税込)
- カラー展開:4色(2024年12月時点)
- サイズ展開:XS、S、M、L、XL、XXL、3XL
- フィット:レギュラーフィット
- 対応温度帯:0~10度
- 公称重量:355g(恐らくLサイズの場合)
価格は31,350円と、カステリの低温対応ジャケットの中では比較的安価です。ESPRESSOシリーズなので、他のESPRESSOシリーズとコーディネート出来ることも特徴です。
製品ポジショニング
カステリには似たようなジャケットがありますので、スペックを並べて比較します。
名称 | 断熱 | 防水 | 防風 | 通気 | 軽量 | 温度帯 | 重量 | 価格 |
ESPRESSO AIR JACKET | 5 | 3 | 4 | 4 | 4 | 0-10 | 355 | 31,350 |
ALPHA DOPPIO RoS JACKET | 5 | 4 | 5 | 4 | 3 | -5-10 | 390 | 49,940 |
FLY DIRECT JACKET | 5 | 3 | 4 | 4 | 5 | 0-12 | 194 | 41,800 |
PERFETTO RoS 2 JACKET | 3 | 4 | 5 | 3 | 3 | 4-14 | 362 | 37,950 |
『ESPRESSO AIR』は、前述の通り下限が0度。真冬の日の出前から走るような人には厳しいですが、私のように9時過ぎからライドする人には十分な性能で、価格も3万と安価です。
『ALPHA DOPPIO』は2層構造のジャケットで、-5度まで対応する言わずと知れたカステリのフラッグシップ。真冬でも早朝から深夜まで走るブルべでは必須アイテム。
『FLY DIRECT』は『ESPRESSO AIR』と同様の対応温度帯ですが、FLY構造により非常に軽量です。スペック的に『ESPRESSO AIR』を全て上回っていますが、価格もその分高価。FLY構造は中綿入りであり、ダウンジャケットの様な独特の生地になるので、ここは好みが分かれるところ。
『Perfetto RoS』はGOREを使ったジャケットで、保温性には劣るものの防風/防水性に優れています。
細部の紹介
全景です。ジャケットとしてはシンプルな見た目。両肩に反射素材が配置されているのは有難いですね。0度対応ジャケットらしく、襟は高め。今回のカラーは『DEEP BORDEAUX』です。
新素材『RISTRETTO(以下、リストレット)』のロゴ。リストレットは高い伸縮性と通気性が特徴です。近年の温暖化を鑑み、このような新素材の開発にいたったとのこと。
タグに付いているリストレットの解説です。微量の乾燥した空気を取り込み、ジャケット内側の汗を取り込んで外側に蒸散させる仕組みです。
またタグには『PFASフリー』のロゴも入っています。
- 有機フッ素化合物の総称
- 衣類に関しては、主に撥水性を付与する目的で使用されてきた
- 環境負荷の高さから使用に関して規制が強まっている
GORE-TEXもPFASを使用しない製品を開発済みですが、リストレットを採用しているためGORE-TEXは使用していません。表面の耐久撥水加工に関してPFASフリーを実現しています。
首元は定番のジッパー裏フラップを装備。ジッパーは意外と通気性が高いので、このフラップが無いと寒いのです。
内側は全面裏起毛です。生地は厚みがあり、保温性が高い。
シリコングリップです。製品により構造が異なりますが、本製品は背面に大きなグリップを配置し、前面~サイドは控えめ。前傾時のずり上がりは強力に防止しつつも、それ以外の部分は緩めのグリップ感で快適さを重視しています。
背面ポケットは3つ。セキュリティポケットは無し。ポケット下部にも反射素材が配置されています。
代わりにセキュリティフラップという『返し』が付いており、中身の脱落を防ぎます。
防水性について
新素材である『リストレット』の防水性を確認するため、シャワーで水をかける様子を動画にしました。
先ほどのスペック比較表の通り、本製品の防水性は3。Perfettoシリーズは4なので、Perfettoよりは防水性が劣ります。しかし本製品は通気性にステータスポイントを振っていますので、トレードオフで『防水性はそこそこ』なのでしょう。
冬用のジャケットに高い防水性を求めるのはヨーロッパで春先のクラッシックを走るプロか、GWに東北や北海道で1,000km以上のブルべを走る一部(私も含まれる)のランドヌールだと思うので、これで十分ですよね…。
■実走レビュー
サイズ感について
今回はXSを購入しました。ちなみに私の体格は、身長170cm/体重58kg。XSがジャストフィットでした。
私は肩幅が狭く体重も軽いので、同じくらいの身長でも体格がガッチリ目で体重がある方は、Sサイズになるかと思います。
実走
着用して早速走り出します。走り出した時点の気温は3度。その後もサイコンの温度表示は4度をキープという寒い日でした。
ちなみにこの日のレイヤリングは、以下の通り。
- ジャケット:ESPRESSO AIR JACKET
- ベースレイヤー:PROSECCO TECH LONG SLEEVE
- タイツ:ESPRESSO BIBTIGHT
- グローブ:DILUVIO C GLOVE
着用した最初の感想は『想像以上に軽い着用感だな』ということ。リストレットはGOREとは異なり、かなりしなやかです。その動きやすさが着用感の軽さにつながっていると感じます。
防水性を少し落とすだけで、この軽さが実現できるのですな。そして、その代わりに得た性能は通気性。通気性といっても、0度対応のジャケットですから走行風が入ってきて寒いということはありません。
寒い中、荒川CRを強度を上げて走ります。心拍数の上昇と共に体も温まってきますが、風はしっかり防ぎつつ、ジャケットの内側はPerfetto系ジャケットよりも若干ドライを保っている印象。
ベースレイヤーは速乾性を重視した『PROSECCO TECH』なので、吸収した汗はどんどん外側に排出します。ヒルクライムなどの高強度域ではさすがにジッパーを開けるなどの対応が必要になると思いますが、中程度の強度では快適です。
リストレットの解説でも触れましたが、Perfettoで使われているGOREほど完璧に風を防がない特性が上手く機能しているのだと思われます。
しなやかなので、信号スタート時のダンシングでも非常に快適。ベースレイヤーとの組み合わせでは0度以下も対応できると思いますし、カラーもPerfettoシリーズとは異なるトーンで構成されているので、これまでとは違ったジャケットが欲しい方にお勧めです。
■まとめ
防水性を少しだけ犠牲にして、しなやかさ、通気性、保温性を手に入れた新たなESPRESSOシリーズのジャケットです。
私の場合ですが冬は出不精になって、日が昇った9時以降のライドが増えるので、ALPHA ROSほどの暖かさは要らないのです。かといってPerfettoシリーズの対応温度帯は4度以上であり、防風性はあるものの保温性が心許ないので、保温性の高いFLANDERS WARMと組み合わせることが多かったのです。
ところがこのジャケットであればベースレイヤーを1段階薄く出来るので、PROSECCO TECHやMERINO SEAMLESS(※新製品)との組み合わせが実現可能。
『カステリさん、分かってるじゃないの…』という製品で、私の使い方では今後はこのジャケットばかりになりそう。唯一の懸念点は洗濯をしすぎると撥水性が落ちるので、どこまでヘビーに使うか悩んでしまうところでしょうか。
ちなみにPerfettoシリーズはGORE-TEXが使われているので、コインランドリーの乾燥機にかけると撥水性が回復していました。しかし洗濯表示を見る限り、リストレットは乾燥機は禁止となっています。
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