【レビュー】エントリーモデルらしからぬ完成度 iGPSPORTのサイコン『BSC200S』
iGPSPORTから2025/01/15に新たに発表されたサイコン『BSC200S』のレビューです。
■総合評価
2023年1月発売のiGPSPORTのサイコン『BSC200』のカラー版という位置づけ…ですが、単にBSC200がカラーになったのではなく、『廉価版BSC300』と呼ぶのがふさわしい性能となっています。
必要な機能がコンパクトにまとまっていながら、地図を搭載しない分だけ300シリーズと比べるとかなり安価になっています。
- 65g(実測)と小型軽量
- 地図の搭載は無いがルート表示によるナビ機能を備える
- ページフィールドの編集など、アプリに関する機能は上位機種と同等
- 筐体と液晶の解像度はBSC300Tと同じ
■入手経緯
今回はiGPSPORTさんからBSC200Sを提供いただいきました。今までiGSシリーズは3機種を使用してきましたが、BSCシリーズはBSC300Tに続いて2機種目の入手となります。
■製品概要
スペック
基本スペックの一覧です。
- 画面サイズ:2.4インチ(320×240)
- 本体サイズ:82×53×14.1mm
- 実測重量:65g(公称66g)
- 価格:11,880円
- メモリ:16GB
- ランタイム:25時間
- 防水規格:IPX7
- 最大表示項目数:8
- インターフェイス:USB Type-C
カラー液晶が搭載され、解像度もアップしてBSC200から大幅に進化を遂げました。よく見るとガワ(筐体)もBSC300Tと全く同じです。
上位機種であるBSC300との差別化要素が少なくなり、それでいて価格は11,880円と相当にお買い得な機種です。
BSCシリーズのスペック比較
BSCシリーズのスペック比較です。BSC200Sが大きく性能アップしたのは液晶で、160×240から240×320になりました。
BSC200S | BSC300T | BSC200 | |
公称重量 | 66g | 67g | 67g |
実測重量 | 65g | 66g | 67g |
サイズ(mm) | 82×53×14.1 | 82×53×14.1 | 82×53×14.5 |
ランタイム | 25h | 20h | 30h |
バッテリー容量 | 600mAh | 600mAh | 600mAh |
画面サイズ(inch) | 2.4 | 2.4 | 2.6 |
メモリ | 400h | 8GB | 400h |
GPS | シングルバンド+衛星5つ | シングルバンド+衛星5つ | シングルバンド+衛星5つ |
防水等級 | IPX7 | IPX7 | IPX7 |
価格 | 11,880円 | 21,560円 | 11,000円 |
パッケージと同梱品
パッケージは白基調。BSC200では黒基調でしたが、変更になっています。
箱の中には、以下のものが収まっています。本体の他、Garmin互換のマウントとゴムバンド、各国語のマニュアルです。充電用のケーブルは付属しません。
実測重量
実測重量は65gと非常に軽量です。
外観
本体サイズは82×53×14.1となっておりBSC300Tとほぼ同じサイズ。と言いますか、良く見ると筐体やボタンなどはBSC300Tと全く同じものが使用されています。
物理ボタンの配置です。左上に電源ボタン、右上に決定ボタン。右下にスクロールボタン、下側にラップボタンとスタート/ストップボタンというオーソドックスな配置。充電ポートは下側ボタンの間に配置されます。
マウントはGarmin互換です。アウトフロントマウントは付属しないので、必要な方は別途購入した方が良いでしょう。
画面は2.4インチ、240×320ピクセルです。これもBSC300Tと一緒。カラー化したこともあり、BSC200と比べて可読性が非常に高くなりました。
■レビュー
アプリで出来ること
iGPSPORTの製品は、電源投入後にまずはアプリでスマホと接続しましょう。
こちらが接続後のトップページです。トップページには主要メニューである8つのメニューが表示されており、まずは主だったものを紹介します。2つある『その他』をタップすると、8つ以外のメニューも表示されます。
まずはページフィールドの編集です。メニューのライドモード⇒ページフィールドから進むと以下の画面に。右上のエンピツマークをタップすると編集モードに入ります。
こちらが編集モード。項目の追加/削除は下部にある『データ追加』をタップ。
追加設定可能な項目のリストが出ます。現在設定されている項目は赤いものです。削除する場合は右にあるチェックマークをタップすると、削除が出来ます。一画面に表示できる項目数の上限は8項目なので、上限を超えてタップするとエラーメッセージが出ます。
デフォルトではいくつかの画面が用意されています。ページ1~4は自由に項目数を設定可能で、4ページとも1項目のみ表示にする、なんてことも可能です。
ページ順序を入れ替えたい場合は、右端にあるバーをドラッグ&ドロップします。
アラートメニューでは、これらの項目についてアラート表示を設定可能です。
自動記録に対応するのはこれらの項目です。位置による自動ラップにも対応しています。
テーマメニューでは、先ほどのテーマの設定の他にダークモードの設定も可能。
画面表示と明るさメニューでは、これらの設定が可能です。バックライトは昼間と夜間で別々にセットできます。相変わらず夜間だと10%でも明るすぎるので、5%あたりでセットさせて欲しいところ。
ランタイムについて
ランタイムは25時間となっています。BSC200では30時間でしたが、性能も向上しているので仕方ないところでしょうか。週末の5~6時間のライドであれば、4回程度は充電せずに使用可能ですね。
実際にライドで試したところ、4時間の使用で約16%のバッテリー減でした。1時間あたりの減少幅は4%ですから、ほぼ公称通りです。条件としてはセンサーを3つ接続、バックライトの設定は0%です。
ブルべでも、300kmまでであれば安心して使えます。
実走レビュー
正月休みに実走で使用しました。
センサーについて
まずはセンサーの登録から。
センサー類は主要なものは全て対応しています。レーダーテールライトには未対応とされていますが、確認したところiGPSPORTのレーダーであるSR30とは接続できました。またパワメはANT+のみとなっています(これはBSC300シリーズも同様)。
実際に追加してみましたが、検索するとすぐに認識し非常にスムーズに接続できました。信号待ちの間に設定が終わります。
ナビについて
マップが入っていないため、画面にルートのみ表示されるタイプのナビです。
ルートはiGPSPORTアプリで『マイページ』⇒『マイルート』メニューから出発前に設定しておきます。BSC200Sをスマホと接続したうえで、BSC200Sにルートを転送します。
転送後はトップ画面の『ナビ』もしくはライド開始後にナビページを表示させ、右上ボタンを押して『ライドメニュー』⇒『ナビ』を選択。
続いて『ルートナビ』⇒『表示するコース』⇒『ナビ』を選択。
開始後は目的地までのルートが表示されます。右左折のガイドが残距離と共に表示されるので、そこそこ実用的です。
この手のルートナビで困るのは、五差路以上の複雑な形状の交差点や、Y字路。例えばこれは近所の交差点ですが、五差路かつY字路という組み合わせ。右前方は陸橋、その左脇にも道があります。行きたいのは陸橋の方です。
表示されるナビはこちら。何となく右にカーブしている…のと、右左折のガイドが右を示しているので分かりますが、際どいのは確かです。
これ以上の性能を求める場合は、素直にマップ入りの機種を買った方が良いでしょう。
ちなみに掲載した画像ではトラックアップ(進行方向が上)になっていますが、ノースアップ(北が上)に変更することも可能です。
GPSはGPS、BEIDOU、GLONASS、GALIEO、QZSSに対応しており高精度です。電源投入後の捕捉速度も良好です。
またiGPSPORTアプリには、最近になって『高速ナビゲーション』という便利機能が追加されています。アプリの機能なのでBSC200S特有の機能というわけではありませんが、紹介しておきます。
この機能、あまり複雑でないルート(数km先の最寄り駅やコンビニまで移動したいなど)をさっと作成するための機能のようです。まずはトップページのメニューから『高速ナビゲーション』をタップすると、近隣の店舗(半径500m程度)などが一覧で表示されます。
半径500mでは近すぎますから、地図上で目的地付近を表示させます。今回は伝説のすた丼屋に行きたいので店舗をタップして『確定』します。
ルートが引かれ、同時にデバイスに転送されます。
ルートの名称を付けて保存するなどの通常の作成手順が簡略化されているので、ナビの使用頻度が増えそうです。
都市部では2~3km先のカフェに行くにも右左折が多くナビが必要なことがあるのですが、通常の手順でコース作成するのは面倒だったのですよね。そのため信号待ちの度にスマホを取り出して確認していたりしたのですが、この機能があれば今後はその必要も無くなると思います。
画面の見やすさ
画面については格段に見やすくなりました。iGS800などの上位機種と遜色のない可読性です。Di2のシフト表示も非常に見やすく、BSC300Tなどとの機能差は縮小しています。
1画面には8項目まで表示可能ですから、必要十分。iGS800では12項目表示させているワタクシですが、消費カロリーや現在時刻など、リアルタイムで確認する必要が無い項目も多いです。
それらの項目は2画面目に設定すれば事足りますので、必要にして十分です。
■まとめ
BSC200Sの液晶がBSC300と同じになった他、筐体はBSC300Tと同一になるなどBSC200から大幅に機能が向上しました。
価格も含めたBSC200の手軽さはそのままで、上位機種と遜色のない機能を実現しており非常にお買い得感の強い機種です。今後はタッチパネルが必要であればBSC300T、不要であればBSC200Sという棲み分けになり、BSC200/300は廃番になってしまうのでは?とすら思います。
重量は65gしかありませんのでヒルクラにも向いています。ブルべなどロングライドではランタイムを重視してiGS630やiGS800を使い、普段のライドではBSC200Sという使い分けも良さそうです。日常的に使っているとバッテリーも劣化してしまいますしね。
アプリや操作方法などはiGPSPORTの他機種と同じですから、既にiGPSPORTユーザーであれば買ったその日から使えると思います。
安くて優秀なサイコンを探している方は、ぜひ一度使ってみてください。