カーボンホイール+ラテックスチューブ。ディスクブレーキの普及でラテックスは日の目を見るのか
前回お伝えした通り、カーボンホイールにラテックスチューブを使ってみます。目的は転抵抗を削減して、かつ効率よくパワーを伝達すること。
この場合の抵抗とは、転がり抵抗やタイヤの変形に伴うヒステリシスロスではなくて、路面の凹凸に伴う走行抵抗のことを想定しています。いわゆる『乗り心地が良くなる』と同じことと思うのですが、私の場合は乗り心地はあまり気にしません。リアタイヤが常に接地しており、ペダルを踏んだ力を出来るだけ推進力に転換したいという目的です。
もちろん乗り心地が良くなることにもメリットはあって、荒れた路面でも車体が跳ねて上下しなくなれば、安定してペダリングが出来るようになります。ボコボコの路面では、そもそもまともにペダリングをすること自体が出来なくなりますからね。如何に車体が安定しているかということも、重要な要素の1つです。
■ヴィットリア ラテックスチューブ
頂き物のチューブを使用します
ということで、早速ラテックスチューブを入れてみます。これは以前ヴィットリアからタイヤと一緒に頂いたラテックスチューブ。ようやく使う日がやってきました。これがタイヤと一緒に送られてきたので、ラテックスチューブに興味を持ったというのが正直なところです。ビットリアジャパンに感謝。
ディスクブレーキ+カーボンホイール(カーボンリム)+ラテックスチューブ
ラテックスチューブは非常にしなやかなので路面追従性が良く、抵抗削減に効果的なことは広く知られています。しかし熱に弱いためカーボンリムとは相性が悪く、カーボンクリンチャーが普及した今では使われる機会も減ってきました。1日で1barくらい空気が抜けていくというのも、ロングライドやブルべと相性が悪いですし。
カーボンクリンチャーにはラテックスチューブが使えないので、むしろ今では抵抗削減と言えばチューブレス化が主流。しかしディスクブレーキにすればカーボンリムは『ブレーキの熱問題』から完全に解放されますので、ラテックスチューブも自由に使うことが出来ます。空気が抜けが早かったり謎のパンクがあるとか言われますが、根強いユーザーがいることからもその性能はお墨付き。
ブチルチューブと同様にタイヤに入れて空気を入れれば済むという運用の楽さも今までと同じです。タイヤをチューブレスにしようと思えば多額の費用がかかりますが、ラテックスチューブは1本1,000円ちょっとなので気軽に試せます。
ラテックスチューブのメリット・デメリット
これからラテックスチューブを使う人向けに、整理のため改めてラテックスチューブのメリット・デメリットをまとめておきます。
[box01 title=”メリット”]
- 転がり抵抗が低く、同じ速度なら出力が削減出来る
- しなやかであり、乗り心地が良い
- パンクに強い(良く伸びるので)
- パンクしても修理が容易
[/box01]
[box02 title=”デメリット”]
- 空気が抜けるのが早い
- 熱に弱い
- 紫外線や温度変化で劣化しやすい
[/box02]
このようにデリケートですが性能が高いのがラテックスチューブです。性能をいくらか犠牲にした代わりに扱いやすくしたのが、ブチルチューブというわけですね。
ちなみにヴィットリアジャパンのwebサイトによると、ブチルは1.5倍まで伸びるがラテックスは7倍まで伸びるとのこと。この伸縮性の高さが振動吸収、快適性、耐パンク性をもたらすそうです。何か刺さっても、少々の突起なら変形するだけで済んでしまうのですね。また空気圧の低下を防ぐには、シーラントをチューブに入れると良いともあります。確かに高価はありそうですが、そこまでやる人は中々いないのでは…。
あとは価格についてですが…。単純に単価を比較するとラテックスの方が1.5倍くらい高価です。しかしラテックスチューブはパンク修理が容易であり(同じラテックスの切れ端があれば、接着剤で貼り付けるとしっかり穴が塞がる)、パンクした際のチューブ交換のコストまで考慮すると同程度になると考えられます。これは極端な例かもしれませんが、数年間使い続けているという人もいます。
ビットリアのラテックスチューブは箱が2種類ある
さてビットリアのラテックスチューブを買おうと思った人は、箱が2種類あることに気づくと思います。上の画像で上げたグレーの箱と、黒い箱です。私は黒い箱も買いましたが、どうやら中身は同じのようです。ビットリアのwebサイトを見ても、商品ラインナップは2つのみ。バルブ長の違いで2ラインあるのではなく、『19-23C 48mm』と『25-28C 48mm』です。
黒い箱を良く見ると、バルブ長51mmと書いてあるのですが、実際に中を見てみるとバルブ長はグレーと同じ48mmでした。
パッケージの数字が間違ってるのか…?48mmだと私のERC1400SPLINE47(リムハイト47mm)はギリギリでエクステンダーを使わないといけないので、51mmが欲しくて黒い方も買ったのです。しかし結果は一緒。
こちらがグレーの箱の中身。バルブは黒いです。
こちらが黒い箱の中身、バルブは金色です。48mmと出代が一緒じゃないか。ここから後3mm伸びてくれたら、エクステンダーが不要だったかも知れないのに…。
一応実測してみました。とにかく2つのチューブは同じバルブ長ということははっきりしています。ではどちらかが間違っているのか?グレーの箱に入っていたチューブを計測してみます。まず48mmというのは、根元からバルブの口のところまで。恐らく、これが一般的な『バルブ長』だと思います。
次にバルブ全体の長さを測ってみると、見事に51mmです。先端のバルブの部分まで含めた長さのことを表記していたようです。
バルブ長の表記方法に規格や決まりはなく、メーカーによってまちまちなのだ…という事は理解していましたが、同じメーカーの中でも表記方法にバラつきがあるとは。
黒い箱は並行輸入品なのでビットリアジャパンでは扱っていません。他国から勝手に輸入して『バラつきがあると言われても困るわ!』とビットリアも言いたいところでしょう。恐らく国や地域によってバルブ長の認識が異なるので、パッケージを使い分けているのではないかと思われます(本当の理由をご存じの方いたら教えて下さい)。なので特に文句は無いのですが、とにかく黒とグレーの中身は一緒。黒い箱はネットショップでもパッケージの通り『51mm』として売っているが、計測方法の違いなのでどちらも48mmである。
■装着してみます
開封・エクステンダー装着
脱線しましたが、話を戻します。早速チューブを入れ替えてみます。まずは箱の中身。ピンク色のチューブがまぶしいです。エロいですね。チューブは薄く、ブチルでこれだけ薄くしたらすぐにパンクしそうです。
継ぎ目もあからさまです。パンク修理が容易なのと同じく、これで強力に接着されているのでしょう。
このままではバルブ長が足りないので、パナレーサーの20mmを装着します。
ここまで出来たら、後は普通にチューブを入れるだけです。薄いので少々気を遣いますが、扱いは一緒です。ということで交換完了です。中に入ってしまえば、もう区別はつかないですね。もちろん前後とも交換しました。
ということで、次回は早速実走してみたいと思います。それとロングライドでの空気圧管理、ラテックスチューブの転がり抵抗について。
ラテックスチューブは、私の知る限り5ブランドがあります。メジャーなヴィットリア、ミシュラン。それと廃版になっていたボントレガーも、ディスクブレーキの普及に合わせてなのか?ラテックスチューブが復活しています。それと究極の薄さを誇るSOYOとヴェレデステインですね。この2ブランドはメーカーが同じらしく、見た目の区別はほとんどありません。SOYO系はその薄さから空気圧が3bar/dayほど減るので、ロングライドではさすがに使えないためここでは取り上げません。
ボントレガーは直営店で買うしかありませんので、買うならヴィットリアかミシュランですね。
ミシュランにはヴィットリアには無い60mmロングバルブがあります。しかし23Cまで…せめて25C対応を出して欲しい。