キャットアイの新型リアライト『タイト(TIGHT)』のインプレ。明るさを測定したら分かった意外な事実
キャットアイの新しいリアライト『タイト(TIGHT)』を買いましたのでレビュー・インプレです。製品の概要、従来のオムニシリーズとの違いについても検証します。
■製品の概要
タイト(TIGHT)とは
キャットアイの新しいリアライト『タイト』は、2019/11頃にリリースされた新製品です。新製品と聞くと、ランドヌール的には『明るさ』『ランタイム(持続時間)』『防水性』『軽量』- これら全てを完璧に備えることを要求してしまいがちですが、今回の製品は違います。
タイトの特徴は『IPX7の防水性』『振動に強い』です。それに加えて『ランタイムの増加』となっています。パッケージの通りですね。どの辺りが防水性や振動耐性になっているのかは、後ほど紹介します。
パッケージには『ブルべ・ロングライドにもおすすめ』とまで書かれています。また狙い撃ちにされていますね~、こんな事が書かれていたら売るほどライトを持っていても買ってしまいます。
スペック
次にスペックです。キャットアイの従来のライトの中で使用率の高い『オムニ5』『オムニ3オート』と比較します。
LED | 重量 | 持続時間 | |
タイト | 5 | 49g | 120h |
オムニ5 | 5 | 41.8g | 60h |
オムニ3AUTO | 3 | 41.6g | 100h |
※持続時間は点灯の場合。
重量が少し重くなっていますが誤差の範囲です。注目はランタイムが点灯でなんと120時間もあります。昼間も含めて5日間もつけっぱなしに出来ますので、これは有難いです。視認性向上のためには昼間の点灯も有効です。これだけ見ると、単にランタイムが長くなったライトにしか見えません。
外観と構造
パッケージの中身です。いつものセットですね。取説、フレックスタイト、電池、クリップ、本体。
本体にはダイヤルがついており、これで内側と外側のケースを固定する方式。この方式なら、今までのように荒れた路面でケースが吹っ飛ぶということが無いですね。
内側のケースにパッキンがついており、ダイヤルを締めるとパッキンが外側ケースに押し付けられることになります。これで防水性を高めています。
電池を入れて光らせてみます。360度配光とうたっていますが、LEDは前に向けて付いています。後ろの明るさは期待は出来ません。スイッチはダイヤルのところにある白いボタンです。発光パターンは3つ。
■使用感
早速ナイトライドで使ってみました。タイトとオムニ3オートを装着しています。画像の上がオムニ3、下がタイトです。暗いという評判を聞いたことがあるのですが、画像で見る限りタイトの方が明るいように見えます。タイトはLEDが5つ、オムニ3は3つですからね。しかし正直なところ、大して違いはありません。
しかしオムニ5とタイトのLEDの数は同じ5つ。にも関わらず持続時間が2倍になっているということは、回路 or LEDが進化して消費電力が半分になったか、明るさが半分になったか。もしくは消費電力が従来の7割+明るさも7割という、合わせ技のパターンなのか。この辺が気になるところ。仮に消費電力が半減出来るなら、オムニ5にも実装されているでしょう。ということは、やはりタイトは幾分暗いということか。
でも特に対策しなくても荒れた路面でフタが取れたりしないし、昼間も付けっぱなしに出来るのが便利です。あと、地味に嬉しいのが縦、横のどちらでも装着出来るうえに、向きを気にする必要がありません。オムニ5と並べてみると、『フレックスタイトのツメ』がハマる溝が4つあるのがお判りでしょうか。オムニ5はボタン部分が出っ張っているためボタン方向からは装着が出来ず、そのため溝が3つしか無いのです。
これが、先ほどの溝がハマるフレックスタイトのツメ。
■明るさ測定・比較
先ほど書いたように、タイトは少々暗いという指摘がありました。何故か自宅に照度計があるので、せっかくなので計測して比較してみたいと思います。比較対象はオムニ5とオムニ3オートです。照度計は家庭用の製品です。趣旨は正確な値を測定するのではなく、あくまで比較のための計測です。
そもそも明るさとは(ルーメン、カンデラ、ルクス)
照度計では『ルクス』を測定します。フロントライトの性能としては『ルーメン』が一般的ですが、ルーメンは大掛かりな計測器が無いと測定が出来ません。ルーメン、カンデラ、ルクスの各単位の意味については下記のキャットアイの説明を見ておいてください。
キャットアイ:『ルーメン、カンデラ、ルクスの違いってなぁに?』
測定方法
測定方法ですが、下記の方法で行いました。
- フレックスタイトを適当な場所に装着。
- フレックスタイトの向きや位置などは一切変えず、ライトのみを交換する。
- 照度計も特定の位置に固定。ライトと照度計の位置関係は変えない。
- 使用する電池は同じものを入れ替えて使う。
ルクスは、単純に『ある地点でどの程度の明るさになっているのか?』を表す単位です。そのため照度計を少し遠ざけるだけでも数値が低下しますし、少し角度を変えても数値が変動します。3つのライトのどれもがバランス良く測定出来る場所を探るのに苦労しました。それぞれ特性があって、光の届き方が異なるのです。結果として照度計は70cmほど離れた場所に設置されることとなりました。
測定結果
それでは測定結果です。数値はあくまでも大小を比較することが目的です。
オムニ5 | 247ルクス |
オムニ3オート | 90ルクス |
タイト | 33ルクス |
意外なことに、タイトの明るさはオムニ3オートの1/3程度しかないという結果になりました。LEDの数ではオムニ3は3つ、タイトは5つなのにです。オムニ5との比較では、1/7程度の数値です。
これはあくまでも『照度計がある場所でピンポイント計測した場合の明るさ』なので、タイトの明るさがオムニ5よりも遥かに劣る…ということにはなりません。
結果の考察
何故ここまで数値に違いがあるのか?を考えると、ライトの性格の違いがあるからでしょう。では『ライトの性格の違い』とは何なのか?その答えと思われるものがレンズ部分にありましたので、見ていきます。
まずオムニ5から。以前から感じていましたが、このライトの光は割と直進性があります。フレックスタイトの角度が悪いと途端に暗く見えるからです。そのため車高の高い大型トラックの運転席から見えるように、私は角度をやや上にして取り付けています。
フタを兼ねるレンズ部分を見てみるとこのようになっています。外側は平面です。
裏側を見ると凸レンズになっています。反対側は平面でしたから、平凸レンズということになりますね。LEDから出た光が凸レンズ側から入りますので、ある程度光が集まる仕組みになっています。これが直進性があると感じる理由でしょう。
次にタイトです。まず外側が見事に凸レンズになっています。
スリーブの内側です。こちらは平面ですね。オムニ5とは逆の平凸レンズになっています。
この事から分かるように、タイトはLEDから出た光をあえて拡散する構造になっています。5つのLEDから出る光の量は、オムニ5もタイトも恐らく同じです。
タイトの場合はそれを拡散しているので『向きが悪いと暗く見える』ということがありません。その分、光は拡散していますので『ある地点での明るさは低い』ということになっていると思われます。
■インプレ・レビューまとめ
タイトは従来のオムニ5の欠点をつぶしてきた優秀なライトと言えます。フタも飛びませんし、防水性も高くランタイムも長いので昼間も点灯出来る。
後はレンズの性質の違いで
- タイト:全体的にそれなりに明るくなる
- オムニ5:角度が良ければタイトより明るいが、ずれると暗い
のどちらを選ぶかという話になります。オムニ5について角度がずれると暗いと書きましたが、ご存じのように『特に不便は無いレベル』です。なので明るさについては好みの問題と思います。あとは明るさ以外の使い勝手になりますが、こちらはタイトの方が優秀なので総合的にはタイトになるのでしょうか。
後は1gでも軽くしたい、価格は安い方が良い、というのであればオムニ5が選択肢になってきます。
ということで、特にこだわりがなければタイトを選んでおけば後悔しないという結論になりそうです。ブルべのリアライトはしばらくタイトだらけになりそうな印象です。
タイプの異なるライトを付けておくというのも有効なので、オムニ5も1つ持っておいて損は無いと思います。
自動点灯が好きな人はオムニ3オートですね。明るさはオムニ5よりも落ちますが、ランタイムは長いです。
ブルベライダーを狙い撃つなんて、さすがキャッツ・アイ!
TIGHTなら輪ゴムでぐるぐる巻にしなくて済みますね♪
ゴムで固定するのは電池交換の時に地味に面倒でしたので、それだけでも有難いですよね。
しかし一般の人でそんな対策している人が果たしてどれだけいるのか?と思いますので、やはりブルべ・ロングライド向けの狙い撃ち商品ですかね(^_^;)