【レビュー】ベスラ 自転車用ディスクブレーキパッド Trail(トレイル)BP-052

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ベスラの自転車用ディスクブレーキパッド『Trail(トレイル)』を使用して4か月が経ちましたので、レビュー/インプレします。今回の型番はシマノのロード用キャリパーに対応する『BP-052』です。

■総合評価

  • シマノのメタルパッドに近いブレーキフィール
  • 入手しやすく、シマノと同程度の価格
  • パッドの減りが遅く、総合的にコストパフォーマンスは良い

ブレーキパッドの老舗メーカー『ベスラ』ブランドの自転車用ディスクブレーキパッドです。今回使用した『Trail』はエントリーグレードとされていますが、低価格ながら非常に使いやすいです。他のタイプも試してみたい。

■購入動機

購入動機は以下の2つ。どちらも、シマノ純正パッドに対する不満です。

  • 品薄で入手出来なかったため
  • 減りが早くコストがかかるため

コロナ真っ盛りの頃、シマノのパーツが全く入手出来ない時期がありました。それまではサードパーティーを使う気にはなれなかったのですが、純正品が入手出来ないなら使うしかありません。

ショップに相談したところ『性能の高さ』『入手しやすさ』『価格』から勧められたのがこの商品。MTBでは以前から普通に使われているとのことで、使ってみることに。

一番のお勧めはロード向けの『Road』とのことでしたが、価格が1ペアで約4,000円もするためまずは安価(約2,000円)な『Trail』を使ってみることに。

ベスラの自転車用パッドの素材は全て『セミメタル』(形状はフィン無し)となっているのですが、シマノのメタル/フィン無しの型番はK04S、価格は1,978円です。ほぼ同等品と言えると思います。

■製品概要

ベスラとは

私はモーターサイクルの世界を知らないのですが、ベスラはモーターサイクルでは非常にメジャーな企業です。設立は1972年。主にベスラブランドのブレーキパッドの企画、販売を行っています。

ベスラにはタカラという親会社がありますが、そもそもタカラの貿易部門が独立して出来た会社です。そのタカラは1950年に自転車用ブレーキパッドの製造から始まり、バイクのブレーキパッド製造などに進出して今に至る社歴となっています。

ベスラのwebサイトを見ると分かりますが、完全にモーターサイクル用のブレーキパッドの会社で、自転車用はおまけ程度に手掛けていることが分かります。

製品ラインナップ

ベスラの自転車用パッドは、以下の7つがあります。

  • Trail
  • Down Hill
  • Cross Country
  • Trial
  • Corss Country-SL
  • Road
  • Cyclo Cross

『Trail』と『Trial』が非常に紛らわしいですね。今回試した『Trail』はエントリーモデルという位置づけで、性能は控えめながらロングライフな特性となっています。以下のリンクからベスラの自転車用パッドカタログを見ることが出来ますが、その中に各製品の性能レーダーチャートが載っています。特性を見る限り『Road』が最もロードに向いているとは思います(ただし高価)。

参考
ベスラ 自転車用パッド(ページ下部にPDFカタログへのリンクがあります)
ベスラ 自転車用パッド(ページ下部にPDFカタログへのリンクがあります)

その他のモデルも特性の違いはありますが、Trailでも全く問題なく使えることを考えると、好みによってどれを使っても問題ないと思います。
※ただし『Trial』だけはロード用キャリパー適合モデル(BP-052系)が出ていません。

型番

今回は『BP-052』を使用。この型番がロード用ディスクブレーキキャリパー(BR-R9270やBR-R8170など)に適合するモデルとなります。

パッケージ

日本製であることを大きく謳うパッケージです。

材質は『セミメタル』となっています。

その他、高性能であることをアピールする各種のPRが並んでいます。さすがパッドの専門メーカー。

外観

見慣れたシマノ互換の形状です。バックプレートの材質が気になりますが不明です。

全体の厚みは約4.0mm。

バックプレートの厚みは約1.6mm。パッドの厚みは約2.4mmとなります。シマノと同様です。

重量

片側で約8g。ペアで約16gです。

シマノのK04Ti(メタルパッド・チタンバックプレート)と同等の重量です。シマノパッド(ロード用)の重量一覧は以下の記事に載っています。

■レビュー

それではレビューです。

パッド交換

フロントのパッドが減っているので、今回はフロントを交換します。パッド交換の方法はいつも通り。まず古いパッドを外します。ついでに清掃も。

外したパッドの残りはこれだけでした。約1mm弱といったところ。約6,700km使用しました。

ベスラのパッドを装着します。

ホイールを装着して、センターを調整したら完了です。特別な手順は不要です。

パッドの減りについて

パッドを交換したのは2022年3月です。それから4か月経過した走行距離は約3,100km。減り具合の確認のため、パッドを外して厚みを計測しました。初期のパッド全体の厚み(バックプレートも含む)は、前述の通り約4.0mmです。ちなみに私の体重は57kg。

計測すると、左右どちらも約3.8mm。0.2mm減っています。

パッド自体の厚みは約2.4mmでした。またシマノは、パッドの残りが0.5mmになったら交換しろと言っているため、実際に使えるパッドの厚みは1.9mmということになります。約3,000kmで0.2mm減るということは、単純計算で28,500kmも使えることになります。あくまで体重57kgの場合ですが。

ちなみにベスラを使い始めてからの雨天走行は、エベレスティング中に雨に降られた時の20km程度のみ。これから雨ブルべも走るでしょうから、もう少し短くなると思います。何となくですけども、私の走り方なら8掛けして22,000~23,000kmくらいでしょうか?
※400kmのブルべで全行程が雨でも走るとか、そういう走り方をすることを想定しています

またブレーキシューやパッドの寿命は、周囲の話を聞いていると雨よりも体重による影響が大きいと感じます。雨はその時だけ影響しますが、体重は常に影響を及ぼすファクターだからでしょう。私の体重57kgはそれなりに軽量級と自覚していますので、皆さんの体重に応じて減り具合を想像していただくと良いと思います。

それでもシマノ純正(メタル、レジンとも)よりは、パッドの減りは圧倒的に遅いです。

ローターの減りについて

摩擦材であるパッドが減りづらいということは、普通に考えるとローター側が減っていることになります。そこでローターの厚さ及び重量も測定します。ちなみに私はローターだけカンパを使っており、フロントのローター径は140mmです。

このローターはパッド交換の1か月前に交換したものであり、使用距離は約3,300kmです。パッドの使用距離と同等と考えて差し支えないと考えます。

まずは厚さ。新品時の厚さは1.76mmです。位置を変えて3か所ほど測定すると、1.71/1.72/1.73(mm)。ここは中央値の1.72mmを採用。0.04mm減っています。
※記事の掲出当初は『厚みに変化はない』と記載していましたが、計測方法の不適切さによる誤りでした。申し訳ありません。

次に重量。新品時の重量は99gです。約2g減っています。

一方の比較対象は、フロントローターを140mmに交換する前の160mmローターです。交換前の160mmローターは、シマノのレジンパッドとの組み合わせで約11,000km使いました。その時の減り具合の詳細は、以下の記事に残してあります。

それぞれの数値の変化について、まとめると以下の通りとなります。

  • シマノパッド使用時:走行距離は約11,000km、ローターの重量減は約6g、厚みは0.04mm減。
  • ベスラパッド使用時:走行距離は約3,000km、ローターの重量減は約2g、厚みは0.04mm減。。

比較のため、1,000kmあたりに揃えます。

  • シマノパッド使用時:1,000kmあたり重量減は約0.55g、厚み減は0.0036mm。
  • ベスラパッド使用時:1,000kmあたり重量減は約0.67g、厚み減は0.0133mm。

重量の減少度と厚みの減少度が全く異なりますが、これはローターの直径が異なるためと思われます。比較対象としては重量が適切と思われますので、シマノのレジンパッドとの比較ではベスラの方がローターの減りが2割ほど早いという結果になりました。

使用感

ブレーキフィールです。『セミメタル』と謳われていますが、正にその通りの感触がレバーから返ってきます。シマノではレジンもメタルも使いましたが、シマノのメタルほどはゴリゴリしないものの、メタルっぽい固い感触です。レジンとメタルの中間だけど、メタル寄り。

ベスラのラインナップは、メタルとレジンの2つは用意せずにセミメタルの1つしかないわけですが、ラインナップを1つにするなら『メタルとレジンの中間で、メタル寄り』という味付けはアリだなと感じます。その方が長寿命にも貢献するでしょう。

ただしパッドが固めの分、コントロール性は10点中7点ほど。もう少し微妙なタッチに応えて欲しいと感じる状況はあります。このあたり、『Road』モデルを使えばもっと改善するのでしょう(減りも早そうですが)。

また音も少し鳴る時があり、気になる人もいると思います。しかし価格と寿命の長さを考慮すると、十分に許容範囲なのではと感じます。もちろん、制動力自体は何の問題もありません。

■まとめ

ブレーキパッドの老舗、ベスラが販売するロード向けディスクブレーキパッドの『Trail』モデルです。シマノのメタルパッドのタッチをマイルドにしたブレーキフィールで、汎用性が高いです。

またロングライフを謳っているだけあり、多少のローターの減りの早さと引き換えに減りは遅いです。エントリーグレードとしては、価格も含めて良い商品だと感じます。

とにかくシマノのパッドは、体重57kgの私ですらあっという間に減っていくと感じています(ただし7,000kmくらい使える)。一方でローターはほぼ減らないわけなので、非常にバランスが悪い。パッドとローターの減りのバランスとしては、ベスラくらいがちょうど良いと思います。このあたり、やはり『分かっているメーカー』ということになるのでしょうか。

この『Trail』が無くなったら(当分先の話になりそうですけど)、『Road』や『Cross Country』も使ってみたいと思います。

※シマノパッドの評価がよろしくない内容となっていますが、2022年4月から新型の『05』系のパッドが流通しています。シマノによると耐摩耗性が50%アップしているとのことで、実際に長寿命化を果たしているようです。詳しくは以下のbaruさんの記事をご覧ください。

■私の体格、走り方のスタイル

ブレーキ関係は、体格や走り方のスタイルが大きく影響しますので以下に記載します。

・身長:170cm、体重:57kg
・走りのスタイル:月に1度のブルべがメイン。ブルべなら雨でも関係なく走ります。合間に峠に出かけます。

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  1. 匿名

    「どうもカンパのローターは、厚みがほとんど減らずに重量が減っていくようです。」
    ノギスはその測定方法からして最厚部を測ってしまっているのでは?つまり摩耗した部位を測れていない。

    • morou2

      アドバイスありがとうございます。
      摩耗している中心部のみを計測する必要があるということですね。当てるのが難しそうですが、試してみます。

ABOUT ME
@morou2
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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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