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【レビュー】PFASフリー対応!第3世代の防水透湿素材『Polartec® AirCore™』を使う全く新たなジャケット『PERFETTO RoS3 JACKET』

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2025年9月に発売された、PFASフリーに対応したカステリの新型ジャケット『PERFETTO RoS3 JACKET』のファーストインプレッションレビューです。

PFASフリーの流れを受けて、GORE-TEXに代表されるePTFEを使用する製品が使えなくなりました。そのためカステリとポーラテックは、新素材『Polartec® AirCore™』を新規に共同開発。PFASフリーを達成しながらもGORE-TEXを上回る性能を実現するという、ブレイクスルーを達成していることが特徴です(俺達のGORE-TEXは何だったんや…)

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PERFETTO RoS 3 JACKET
PERFETTO RoS 3 JACKET

■入手経緯

通常は『購入動機』となるこのパートですが、今回はカステリ社のご厚意によりこちらのジャケットを提供いただきました。いつもありがとうございます。そのため『入手経緯』としています。

■製品概要

Perfettoシリーズとは

GOREを使っており対候性が高く、秋~冬~春の定番ジャケットであるカステリの『PERFETTO RoS』シリーズ。特に春先の天候が不安定な時期に真価を発揮します。私も予報に無い雨に降られた時に、これを着ていたおかげで助かったことが何度かあります。

その人気から、半袖のGABBA(半袖が本家なのですが)や袖が外せるコンバーチブルやベストなど兄弟製品も多数ラインナップされています。

PFASフリー

ところがGOREに使われているPFASが規制されることになり、数年前から代替となる素材が開発されてきました。

PFASとは?
  • 有機フッ素化合物の総称
  • 衣類に関しては、主に撥水性を付与する目的で使用されてきた
  • 環境負荷の高さから使用に関して規制が強まっている

カステリでは、昨シーズンの新製品としてPFASフリーの新素材『RISTRETTO(リストレット)』を使った『PERFETTO AIR』や『ESPRESSO AIR』がリリースされていますが、保温性と通気性に優れるものの、GOREのような防水透湿に優れる生地ではありません。

そこでカステリとポーラテックが共同で、GOREに代わる(むしろ進化した)生地を開発したのが今回の『AirCore』です。

製品スペック

続いてWebサイトに載っている製品スペックをおさらいします。

  • 価格:39,820円(税込)
  • カラー展開:4色(2025年9月時点)
  • サイズ展開:XS、S、M、L、XL、XXL、3XL
  • フィット:タイトフィット
  • 対応温度帯:4~14度
  • 公称重量:244g(恐らくLサイズの場合)

PERFETTO RoS2と比較すると価格が若干上昇していますが、大幅に軽量化しています。また、スペック以外で一番の違いはPFASフリーであるということです。

製品ポジショニング

次にカステリの他のジャケットとの比較です。

名称断熱防水防風通気軽量温度帯重量価格
PERFETTO RoS 3 JACKET245354-1424439,820
ESPRESSO AIR JACKET534440-1035534,650
FLY DIRECT JACKET534450-1219443,450
PERFETTO RoS 2 JACKET345334-1432437,950

前作のPERFETTO RoS2と比較すると、重量が80gも軽量化。どちらも同じ3レイヤーのメンブレンなのですが、圧倒的にPERFETTO RoS3が薄いです。その他のスペックは2と3でほぼ同じですが、生地が薄くなった分、断熱性が低くなっています。これは物理的に仕方ない。

ESPRESSO AIRやFLY DIRETと比較すると通気性と断熱性で劣りますが、PERFETTO RoSは防水透湿素材を使った全天候型のジャケットというコンセプト。スコアを見ても防水性と防風性に優れているということが良く分かります。

詳細は後述しますが、今作の3は透湿だけでなく通気性も獲得してより進化したというのがウリですね。

■AirCoreとは

ここからは製品詳細です。

まずは最大の特徴である『AirCore』の紹介から始めます。

防水透湿素材の種類

素材の紹介の前に、まず最初に防水透湿素材の種類をまとめます。色々調べた結果、大まかに以下の3タイプに分類されると思われます。

防水透湿素材の種類
  • 親水性無孔:主に親水性のポリウレタンを使ったもの。穴は無く、生地が吸湿して水分を排出するプロセスを経るため蒸れやすいが、メンブレンを薄くできる。
  • 疎水性多孔:主に疎水性のテフロン(ePTFE)を使ったもの。微細な穴が多数あり、この穴を通じて水分を排出する。穴は必ずしも貫通しているわけではない。また穴があるので薄くすることが難しい。
    ※ePTFE:expanded Polytetrafluoroethylene
  • ナノファイバー:疎水性のポリウレタンに電圧をかけて超極細の繊維を作り(エレクトロスピニング法)、膜を形成する。膜といいつつナノレベルの繊維から成る構造体で、通気性がある。

疎水性多孔の代表的なものがGORE-TEXで、基本的な原理はフィルムを物理的に引き延ばして孔を形成するものです。

ナノファイバー系メンブレン

AirCoreはナノファイバー系のメンブレンで、20,000ボルトの電圧をかけシリンジから髪の毛の約100分の1の細さのフィラメントを積層し、空気を通す極めて緻密な膜を形成するとのこと。

膜を引き延ばして製造するGOREとは全く異なる製法のため、このように書くと新しい製法のように感じますが、エレクトロスピニング法によるナノファイバー系のメンブレンは数年前からありました。

ポーラテックでは『ネオシェル』というメンブレンがそれで、これはカステリの『BETA RoS JACKET』に使われているのですが、残念ながらPFASフリーではないためにAirCoreなどを使った製品にいずれは置き換わっていくと思われます。

AirCoreの特徴

それではAirCoreは、同じくエレクトロスピニングで作られたネオシェルや、PFASフリーに対応した新GORE(ePEメンブレン)とどこが異なるのでしょうか。
※ePE:expanded Polyethylene(延伸ポリエチレン)

PFASフリーを実現しながらも従来と同等の防水透湿性を持つだけでも十分に優れていると思いますが、以下に特徴を列記します。

  • 通気性(Cubic Feet per Minute、CFM):従来の温度や湿度の差異による水蒸気の拡散ではなく、空気が出入りする。通気性はCFMという値で表されるが、AirCoreについては0.7に調整されており、新GOREは0。
  • 透湿性(Moisture Vapor Transmission Rate、MVTR):35,000g/㎡・24hと非常に高い値を誇る。旧GOREは20,000g/㎡・24hあたり、ePEの新GOREで10,000g/㎡・24hあたり。
  • 高いストレッチ性:これまでの生地の2倍以上の伸縮性を持ち、フィット感が高い。
  • 耐水圧:5,000mmの耐水圧を備える。新旧GOREは20,000mmの耐水圧を備えるが、サイクリングでは過剰なスペックであるため(通常の雨は800mm程度)、性能のバランスを考慮し上記スペックに設定している。

まず最大の特徴として、新旧GORE(や、それに類するメンブレン)は内外の温度や湿度の差を利用して水蒸気の移動を行うのですが、ナノファイバー系のメンブレンは通気するため、それらの勾配差が無くとも対流により一定以上の透湿性を発揮します。

一方、防水性だけで言えば耐水圧を見てもGOREの方が高いのですが、その代わりGOREの通気性(CFM)は0です。登山に行くと分かりますが、ひとたび悪天候になるとサイクリングの比ではない過酷な状況になりますからね…。

一方のAirCoreは耐水性をサイクリングで現実的な5,000mmに抑えながらも、CFMを高く設定していることが、サイクリング向けの絶妙なチューニングです。

それでいて透湿性は高く、生地が薄いのでフィット感も高い(2倍の伸縮性がある)という、利用シーンを明確にしたおかげで理想的な製品に仕上がっていると言えるのではないでしょうか。

ここがまさにAirCoreの優れている点で、高強度のサイクリングにおける『蒸れ』を解消するという点にスペックがフォーカスされたために実現した性能であり、GOREには真似の出来ない点。

シリアスな登山まで幅広く使われるために、結果として登山以外の用途では最大公約数的な性能にならざるを得なかった新旧GOREの限界を克服する製品に仕上がっています。

ちなみにAirCoreは、カステリ(やスポーツフル)が独占的に使用することが出来る素材とのこと。ポーラテックとしては販路が限られることになりますから、この優れた素材であるAirCoreは色々な製品に応用されると思われます。

■製品詳細

細部の紹介

ここからは通常の?製品詳細です。まずは全景です。外観はPERFETTO RoS2と区別が付きません。両脇腹のベンチレーション、フロントジッパーフラップもこれまで同様に備えています。

肩口のシームテープも健在。反射素材です。

左の袖口には『PLLARTEC AirCore』のロゴが入ります。これも反射素材。

前作との大きな違いは、このドロップテール。リアからの巻き上げによるレーパンへの浸水をかなり防いでくれそうです。ジッパーは我らがYKKのダブルジッパーで、グリップは『CASTELLI』のロゴ部分がシリコンとなっており中程度の固定力です。

これだけの大きな面積の生地が追加されたにも関わらず、重量は前作と比較して2/3となっています。生地の軽量化の影響がどれだけ大きかったのか分かりますね。『この生地を追加しても240gに収まるだと?よし、やろう!』的な感じでしょうか。リアのマッドガードが無くてもレーパンが濡れないのは、プロには有難いですな。

バックポケットは3つ。セキュリティポケットはありませんが、ポケットの底に大きなドレンホールが設けられました。背面上部には『ROSSO CORSA』のロゴ入り。ドレンホール周りのシルバー部分は反射素材。

脇にはこれまでと同様に『PERFETTO』のロゴが入り、PERFETTO RoSの3代目であることを主張します。最後の『O』にわざわざイタリアカラーを入れるところ、芸が細かい。

生地は3レイヤーで、内側は前作と同様のマイクロフリースで保温性を確保。4度まで対応するスペックとなっています。製造国はモルドバです。

素材です。メインファブリックはポリエステル100%。ポケット部分は素材が異なっており、ポリウレタンが10%混紡されています。伸縮性を出すためですね。

実測重量

実測重量です。今回はSサイズですが、なんと219g。ちなみにこれより小さいサイズとして、XSもあります。

こちらは前作であるPERFETTO RoS2 Convertibleの重量です。XSで310gと約90gもの重量差があります。コンバーチブルのため両腕のジッパーの分だけ重量が若干(20g程度?)増加しているはずですが、それでもかなりの重量差です。

防水性

防水性です。PFASが使われてきた理由の1つは撥水性ですが、PFASフリーであるAirCoreの撥水性はどの程度なのでしょうか。

実際に水をかけて試してみました。シャワーで至近距離からかなり強めに水をかけていますが、しっかりと撥水しています。ドレンホールからの排水は中々見ることが出来ないかも…。

こちらがテスト後の裏側。さすがに背中の縫い目からは多少浸水していますが、それ以外はしっかりと防水性を発揮しています。

さすがPERFETTOシリーズ。ちなみに『PERFETTO RoS』の『RoS』は『Rain or Shine』の略。『雨でも晴でも』というコンセプトで防水、通気、防風を高いレベルで実現しています。

■まとめ

PFASフリーという難題を解決しつつ、サイクリングに必要な機能はしっかりと備えながら、むしろ機能向上するというブレイクスルーを達成しています。

これまでは防水透湿素材といえばGOREでしたが、やはりGOREは登山など過酷な環境にフォーカスして開発されている面があります。

カステリはポーラテックと独占契約を結びながら共同開発を行うという方法によって、ナノファイバー系の素材で課題を解決。サイクリングに最適化された防水通気メンブレンを使った新製品となりました。

ちなみに2025年9月現在でAirCoreを使った製品としては、PERFETTO RoS3 JACKETの他、以下の3製品があります。

  • COMPETIZIONE JACKET
  • ENTRATA 2 JACKET
  • POLARE 4 BIBTIGHT

今後も他製品に展開されることと想定されますので、私のようなランドヌールを始めとする、雨でも走るサイクリストには心強いアイテムになってくれることと思われます。今後、実際にブルべで使ってみますので、詳細なレビューをお待ちください。

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ABOUT ME
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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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