【レビュー】多機能リアライト Bontrager(トレック)の『Flare RT Rear Bike Light』
トレックの昼間用ライトを買いました。cannondale教の私としては抵抗がありますが、良い製品でしたのでレビューします。
■総合評価
TREKから販売されているBontragerブランドのリアライト。昼間の点灯を想定しており、小型ですが実用的な明るさとランタイムを兼ね備えています。またANT+とBluetoothでサイコンと接続することが可能で、サイコンからライトの状態を確認したり、モード操作が可能になります。
■購入動機
普段の昼間ライドの安全性向上のため、昼間に視認可能な明るさを持ちつつ、12時間程度は持続するライトが欲しかったためです(ブルベ以外でそんなに走らないけど)。
競合する製品として、キャットアイからもラピッドXシリーズが出ています。こちらは点滅時の持続時間は問題無いものの、明るさの記載が無かったため見送りしました(スペックから推測するに、10時間以上持続するモードだと明るさが不足しそうです)。
ボントレガーの方は『2km先からも視認できる』との謳い文句でしたので乗ってみる事に。本体がコンパクトなのもポイントでした。
■製品概要
パッケージ
パッケージです。トレックは『昼でも点けよう』というデイライト推奨運動を展開していますので、『DAYTIME』というイラストがあります。ANT+とBluetoothに対応する記載もあります。商品名に入っている『RT』は、『ボントレガーTransmit Remote、またはANT+互換デバイスと組み合わせるとリモートコントロールが可能になるデバイス』と定義されています。
箱の中には本体、ブラケット、充電用のmicroUSBケーブル、取説が入っています。取説は情報量が少ないので、商品ページから最新のマニュアル(日本語)をDLした方が良いです。
外観
外観は非常にコンパクトなキューブ型をしています。ブラケットは16度の角度が付いており、シートポストに装着した時に水平に近くなるように工夫されています。
本体の上面にはスイッチが、下面には充電用のポートがあります。マニュアルに『雨の日は充電ポートのカバーを確実に閉じろ』という表記はありますので、しっかりフタをしましょう。本体は『IPX7』防水規格に対応しているとのこと。何個も水没させてきた私の目では、数時間の雨なら耐えられそうな構造ではあります。
重量
重量は合計で32g。キャットアイのラピッドXは22gなので、コンパクトな割に重いです。ブラケットだけで10gあるので損していますね。
ラピッドXシリーズの固定方法はゴムバンド(GarminのEdgeシリーズを買うと付いてくるあの黒い輪ゴムみたいなもの)ですので軽いんですよね。
取り付け
取り付けは先ほどのブラケットで行います。形状はシートポストへの装着を前提としているように見えますが、シートステイにも取り付け自体は可能です。ただしこのライトの場合、視認性を高くするために光の方向が揃っています(指向性が強い)。そのためライトの正面から見ないと明るさが半減します。この角度ですと、運転席が高い位置にあるトラックなどには良く見えると思いますが、それ以外の車には明るさ半減です。
ちなみにブラケットについては、シートポスト用の他にサドルバッグ装着用のクリップ、ラック用のマウントがオプションとして用意されています。またトレックがオプションとして用意している『Blendr Saddle Accessory Mount』を使うと、同じくトレックのブレンダー対応サドルにライトを装着することが可能です。サドルという自転車で最も高い位置にマウントされますので、被視認性の向上が期待出来ます。
バッテリー
バッテリーには420mhAhのリチウムポリマーバッテリーが使用されています。使用中はLEDが点灯し、色と点灯/点滅の区別によりおおまかなバッテリー残量を表示します。
ライトのモード
ライトのモードとそれぞれの明るさ、持続時間は以下の通り。
明るさ(ルーメン) | ランタイム | |
デイフラッシュ | 90 | 6 |
オールデイフラッシュ | 45 | 12 |
デイステディ | 25 | 4.5 |
ナイトフラッシュ | 5 | 15 |
ナイトステディ | 5 | 13.5 |
ステディというのは常時点灯です。45ルーメンのオールディフラッシュでも十分な明るさなので、基本はこのモードで使う事になりそうです。
機能
この他に『自動調光機能』『サイコンとの接続機能』『モード固定機能』を備えています。サイコンとの接続機能は、長くなるので1つの記事になるので別記事にします。
自動調光機能は周囲の明るさに応じて自動で昼間のモードと夜間のモードを切り替えます。昼間点滅(2種)からはナイトフラッシュ、デイステディからはナイトステディに変わります。デフォルトでは無効になっていますので、消灯の状態で電源ボタンを8秒長押しすると周辺光センサーががONになります。また自動調光機能をONにすると、ナイトモードの2種には手動で切り替えることが出来なくなります。
※以前はデフォルトでONの状態で出荷されていましたが、仕様が変わりました。マニュアルのPDFファイル名の先頭が『BT18』のものは、内容が古いので注意して下さい。
■レビュー
明るさ、視認性について
先ほど紹介したようにいくつかのモードがあるのですが、オールデイフラッシュ(45ルーメン)でも晴れの日の昼間で十分な明るさです。デイフラッシュ(90ルーメン)も撮影しましたが、正直なところ近距離だと違いが分かりません。2kmくらい離れると違いが分かるのだと思います。
これで12時間持続してくれるのであれば、十分な実用性です。※ブルベで使う事は想定していません
デイライトについて、トレックでは基準を持っていて、以下の3つを挙げています。
・点滅
・集中照射
・範囲
コンパクトな本体でこれだけ明るいのは、集中照射というコンセプトが効いていると思います。ライトから発生する光の総量としては多くても、集中されていなかったら昼間には全く見えません。トレックは最初から昼間に使うライトとして設計しているので、キャットアイのように『面』での発光は切り捨てていますが、『点』での明るさ及び持続時間では非常に優秀です。
90ルーメンのデイフラッシュでは、日本の都市部の環境だとむしろ車に迷惑なのではないか?と思うほど。2km離れていても見えると謳っているのですから、すぐ後ろにいる車には明るすぎるでしょう。オールデイフラッシュでも1.8kmのレンジがあるとしていますが、ルーメン数は半分になりますから刺すような眩しさはかなり軽減されます。
トレックのwebサイトを見ると、いかにもアメリカらしい荒野部での画像を載せています。このような何もない場所で、後ろからトラックが走ってくるような状況において1秒でも早く視認されることを想定されているのでしょう。
実際にこのライトを点灯して市街地を走っていると、点灯していない場合と比較して車が真横すれすれを抜いていくとか、ひやっとする頻度は幾分減ったと思います。ひねりのない典型的な感想で申し訳ないですが、これだけ明るければ確実にいくらかの効果はあると思います。
本体の起動について
使い慣れたキャットアイと異なり、起動が『電源ボタンの1度押し(ワンクリック)』です。そのためサドルに座ってしまった後でも操作しやすいです。無造作にボタンを押しても起動してくれます。長押しの場合、サドルに座ったまま適当に押していると失敗することがあるのでこれは地味に有難い仕組みでした。
ただし電源OFFは『長押し』です。この違いを覚えるのが少々面倒です。未だに起動時に長押しして『あれ?点かない…』とかやってます。
バッテリー残量について
バッテリー残量表示ですが、25~100%までがグリーンの点灯となっています。そのためかなりバッテリーが減らないと、満充電と区別が出来ません。この表示については、せめて50%という区分を設けて欲しかったと思います。
ちなみに接続機能を使ってサイコンと接続すると、6段階くらいでバッテリー残量が表示されるようになります。
■まとめ
トレックが提唱する『昼間でも点灯しましょう』という理念に基づき、デイタイムライトとして販売される製品です。実際に12時間持続するオールデイフラッシュモードでも、晴れの昼間に十分な明るさを保ち、実用に耐えうる性能を有しています。
価格は7,000円程度するためライトとしては高価な部類ですが、事故のリスク軽減を考えると妥当と言えます。
トレック製品は店舗に行かないと買えないのがデメリットですが、近くに販売店があれば試してみることをお勧めします。
キャットアイでもラピッドXシリーズが同様の位置づけで、デイタイムライトとして使えると謳っていますね。