新型デュラエース(R9200)に変えると、果たしてどれほど重くなるのか?

新型デュラエースが発表されて、早ければ10月にはデリバリーされると言われています。今回は12速化とそれに伴う機械式変速の廃止、油圧ディスクのメインシステム化など、機能の大幅アップデートよりは機械式変速とリムブレーキが脇役になるというシステムの交代が目立つ内容でした。

そこで先日こんな記事を書い新旧アルテグラの重量を比較したのですが、やはり新型デュラエース(R9200)にした場合の重量も気になるところです。

新型デュラエース一式の重量は色々な雑誌やwebメディアに掲載されているのですが、新旧の重量を比較した記事はほとんど見かけません。恐らくですが、旧型(R9100)の構成にバリエーションが4つもあるため、記事にしづらいのだと思われます。そこで今回も、自作の重量シミュレーションツールを使って新型デュラエース(R9200)の重量比較を行ってみます。

■ 新型デュラエース(R9200)の構成と重量はどのくらい?

まずは基準となる新型デュラエースの構成と重量を確認しましょう。リムブレーキ版もありますが、こちらを選ぶ人は少数派と思いますのでDi2+油圧ディスクという構成に絞ります。R9100系の構成も含めて、スプロケは11-30T、チェーンリングは52-36Tでパワメ無し、クランク長は170mm、ローターは前:160、後:140に設定します。

すると以下の構成でトータル2,296gです。これを基準に、旧R9100系から移行すると重量はどう変化するのでしょうか。

■R9100系のバリエーションと重量の増減一覧

最初に結論です。R9100系からR9200系に移行すると、基本的に(ほんの少しですが)重くなります。

特にリムブレーキを使っていた人の場合は、ディスクブレーキに移行することになるので当然と言えば当然です。ローター2枚分(約200g)だけ重くなります。しかしR9100系で、Di2+ディスクブレーキの構成から移行する場合でも、多少ですが重くなってしまいます。

R9200系のデュラエースは一式で40万円以上もするのですが、それだけ投資しても重量だけ見ると重くなるというのはちょっと残念なところではあります。

ちなみにR9100系ですが、ブレーキと変速の組み合わせにより以下の4パターンがあります。それぞれの重量と、R9200デュラエースに移行すると重量がどう変化するのかを一覧にしたものが下記の表です。

総重量 R9200へ移行した場合の増減
R9200 2,296g
1.R9170(Di2+油圧) 2,251g +45g
2.R9120(機械式+油圧) 2,326g -30g
3.R9150(Di2+リム) 2,014g +282g
4.R9100(機械式+リム) 2,005 +291g

※機械式とは、Di2ではないワイヤー式の変速方式。リムとは、油圧ディスクではないリムブレーキ。

それでは旧R9100系の構成1~4まで、どの部分が重量に影響を及ぼしているのか順に見ていきます。

1.R9170系(Di2+油圧ディスクブレーキ)

最初は新R9200系の基本構成と同じDi2+油圧ディスクブレーキのパターンです。ブラケットの型番が『ST-R9170』なので『R9170系』と呼ぶ事にします。R9170⇒R9200へ変えた場合の重量の変化は『45gの増加』でした。R9170系の構成は以下の通りです。

重量増になるパーツも重量減となるパーツもあるのですが、重量増となるパーツの中で最も大きなものはクランクセットで+64g。旧型ではクランクが折れる、接着が剥がれるというトラブルが発生していたため、左クランクは鍛造になるなどの強化のため重くなってしまったものと思われます。

他に目立つものでは、(R9200に移行する場合は共通ですが)やはりブラケットの+30g、RDの+11g、スプロケットの+12gです。ブラケットは有線ポートも維持したままの無線化によるパーツ増、RDは34Tに対応したロングケージ化、スプロケットは12速化によるものです。

ちなみにRDには、充電ポート、ジャンクションA、無線ユニットの機能まで備えるようになりました。R9200系ではこれらのパーツが不要になりますから、その上にロングケージ化して+11gというのは優秀だと思います。

ちなみにR9200系になった場合、セミ無線化でブラケットから(主に)BBにあったジャンクションBまでのケーブル、及びジャンクションBが不要になります。またケーブル自体も細くなるため、これらにより15g程度の軽量化になるはずです。スペック表には出ない部分ですが、これを考慮すると実際は30g程度の重量増で済むと思われます。12速化して+30gというのは、誤差の範囲と言えるのではないでしょうか。

2.R9120系(機械式変速+油圧 ディスクブレーキ )

R9120⇒R9200へ変えた場合の重量の変化は『30gの減少』でした。R9120系の構成は以下の通りです。

この構成は、とにかくブラケットが大きくて重いことが特徴。R9200にすると強制的にDi2になるため、ブラケットだけで200gの軽量化になります。ただしトータルでは-30gの軽量化にしかならないのは、Di2化によるバッテリーの追加、FD・RDの重量増があるためです。

またR9100系からR9200系への移行に共通する事項としてクランクの重量増があるため、わずかな軽量化にどとまるという結果になっています。

3.R9150系(Di2+リムブレーキ)

R9150⇒R9200へ変えた場合の重量の変化は『282gの増加』でした。R9150系の構成は以下の通りです。

この構成の場合、リムブレーキから油圧ディスクブレーキへの移行となります。そのためどうしても重量が大幅に増えることになります。ただリムブレーキからディスクブレーキへの移行による重量増は、R9200に限ったことではありません。R9100でもリムブレーキからディスクブレーキへ変更すると同様の重量増となっていましたから、その点は切り分けて考える必要があります。

しかし、300g弱も重量が増えるというのは受け入れがたい人もいるのではないでしょうか。

参考までに、R9200系でリムブレーキを選択すると以下の通りの重量となります。各パーツはR9100からの流用なので、きっちりクランクの重量増の分だけ重くなっています。12速化したいが重量増も嫌だという人は、有力な選択肢となりそうです。ただしギアが1枚増える以外に大した違いが無いのに総入れ替え(ブレーキはR9100が使えそうですが)せねばならず、コストパフォーマンスは低いです。それを考えるとR9100系をそのまま使うというのが賢そう…。

4.R9100系(機械式変速+リムブレーキ)

R9100⇒R9200へ変えた場合の重量の変化は『291gの増加』でした。旧R9100系の構成は以下の通りです。

基本的には前述の3と同じです。Di2になるとバッテリーが増えたりFD・RDが重くなりますが、ブラケットが軽くなることで相殺されますので、重量的にも3とほぼ変わらず。

ここから正攻法でR9200系に移行するとDi2化して油圧ディスク化するということになり、変化が非常に大きいです。これを機会に諦めて全面移行するのも考え方の1つですが、まずはR9250系にしてDi2+リムブレーキにするのもありでしょう。

ただしリムブレーキ用のホイールはほとんど新製品が出ない状況なので、リムブレーキと心中するか、結局はどこかでディスクブレーキに移行する、の選択を迫られていることには変わりありません。

シマノからR9200系のリムブレーキ用ホイールが出ましたが、これはチューブラーのみとなっています。チューブラーの方がレースで需要があるため、こちらの方が新しいホイールを使えるという状況になってしまいました。

■まとめ

ユーザーの意向とは別に、市場環境はどんどん変わっていきます。デュラエースについても、現行命名規則の祖である7400系では最初は6速から始まり、モデルチェンジや段数が上がるにつれて、何度も旧規格の切り捨ても行われてきました。

今回は特に機械式変速が無くなってしまったことが悲しいですが、多段化という市場の要求に応えるには致し方ない面もあると思います。しかしR9100までの製品は、一定の技術的な到達点に達していると言っても過言ではありません。その技術が無くなってしまうというのは、さすがにシマノにも考え直して欲しいところ。

せめてR9100系も当分の間はラインナップから外さずに作り続けて欲しいものです(現時点ではまだディスコンにはなっていませんが、暫定的な措置で残しているという印象が強い)。

新型が出たといっても、必ず買う必要は全くないのですが、気になるのも正直なところ。『新型よりも、R9100、R8000の製品を早くデリバリーして!』という人の方が多いと思いますが、今後の身の振り方も含めて皆さんの選択肢はいかに。