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お知らせ

【正式発表】パイオニアがサイクル関連事業(パワーメーター関連事業)をシマノに事業譲渡

⇒パイオニアより、サイクルスポーツ事業に関してシマノと事業譲渡契約を締結したとの正式発表がありました。(2020/02/04追記)
パイオニア:『サイクルスポーツ製品をご愛用の皆様へ ~製品販売終了のお知らせ~』

さて今日もTwitterを眺めていると『パイオニアがサイクル関連(パワーメーター関連)事業をシマノに事業譲渡する』という真偽不明のニュースが流れてきました。

■ソースはどこなのか?

パイオニアは2019年3月27日まで東証一部上場企業でしたが、事業譲渡相手先のシマノは今も東証一部上場企業です。株価に影響しかねないニュースを適当に流すなんてことはありえません。シマノのサイトを見ても、パイオニアのサイトを見ても、そのようなプレスリリースはありません。

では、情報ソースはどこなのか?

どうやらパイオニアから販売店向けに『販売終了のお知らせ』なるものが通知されているらしい。

自転車のウエサカ ⇒ 『パイオニア、シマノへ事業譲渡。

もう一つ、東京のイレブンサイクルというお店も同様にフライングしていたのだが、その後にこのようなツイートをしています。パイオニアの情報管理体制がどんなものか分かりませんが、仮にも1年前まで上場企業だったわけで、そんなに適当とも思えません。私がパイオニアの営業担当ならこんな危ないお店とは付き合い方を考えます。

パイオニアはちゃんと情報公開日を設定していたのに、フライングと称してリークするお店がいるのですね…。お客さんに勧めてしまったからという理由は、リークしても良い免罪符にはならないと思いますが。

上記のツイートを見るに、情報公開日は2/4からのようなので、今日からは一斉に情報が流れるのではないでしょうか。現時点では『情報公開日が設定されているにも関わらずリークしてしまうお店』のブログが情報ソースなので、どうかな?と思いますが…。
(こんなだからお客が離れていくのだと思いますが…Amazonでも海外通販のせいでもなく。)

■パイオニアの行く末

情報によると、新規注文は3/31まで。または在庫が無くなり次第終了とのこと。以前からこの話を見込んで生産調整をしていたのでしょう。いずれにしても、あと2か月でパイオニアのロゴが入ったパワーメーターは新規で入手することが出来なくなります。

【2/4追記】シクロスフィアに関しては、シマノからの新サービス導入後にユーザー移行が行われるとのことです。それまでは引き続きサービスを利用出来ることが出来るとあります。新規IDの作成も可能との事。

しかし、以前から感じていましたがパイオニアのサイクル事業はかなり細々と運営していた様子で、シマノに譲渡されて良かったのではないでしょうか。

サラリーマン的にはですね、買収されると『外様』になるわけでして…シマノは技術だけ欲しいわけですから、進退を考えてしまうシチュエーションです。しかしながら、パイオニア全体の中でのサイクル事業の位置づけを考えると、遥かに大企業であるシマノに行ってよかった、ユーザーとしてもシマノが買収してくれて良かった、と感じます。

ちなみに私はパイオニア製品に関しては、

  • 旧型のサイコンSGX-CA500
  • 新型のサイコンSGX-CA600
  • 105の旧型左クランクペダリングモニター
  • 新型のR8000ペダリングモニター

を持っていますので、そこそこのパイオニアユーザーを自負しています。仕事上のお付き合いでお世話になったパイオニアの方がおりまして、個人で買ってもタカが知れていますけれども、お返しするために忠義を尽くしています。もちろん製品が良くなければ買いませんが、パイオニアの製品が(シマノに買収されるほど)良いものであるのは周知の事実です。

左右の出力差(違い)は改善出来るか?ペダリングモニターの右脚とアルテグラクランク(FC-R8000)を導入しましたパイオニアのペダリングモニター『SGY-PM930HR』を購入しました。久しぶりの高い買い物です。 ■パイオニアが両脚になりま...

今後の製品開発

今後の製品開発ですが、3月末で全ての製品が終了になることを考えると、従来のパイオニア製品のロゴだけシマノにして販売再開される、というのは期待が薄いのではないでしょうか。パイオニアのセンサーが付いているクランクが壊れた場合、シマノは『改造品なので保証対象外』と言い切っていましたからね(当然の対応ですが)。

【2/4追記】パイオニア製品に関しては、完全に販売終了になる模様です。単に製品を受け継いでロゴだけshimanoになっての販売は無さそうです。アナウンスの文章によると
『シマノは当社の強みである電子技術やIT技術を取り込み、製品、サービスの機能拡充を図っていく予定です。』
とありますので、技術の譲渡がメインであると伺えます。

皆さんご存じの通りシマノにはクランク内蔵型パワーメーターという強力な製品がありまして、使い勝手はさておき、電源は充電型でクランクシャフトの中、ユニットは非常に薄くて小さいという理想的な製品を出しています。はっきり言って、価格も安いです。

例えば、こちらは販売価格で約10万円。いまはpaypayのキャンペーンをやっていますので実質8万円くらいで買えてしまいますが『これってデュラクランク+パワーメーター付きの価格ですよね?』と確認してしまう値段です。パイオニアならセンサーのみで10万円です。

パイオニアの優位性は、サイコンが優秀なところ、『Analysis』という解析アプリが優秀なこと、というソフト面にあります。単純に数値を表示してくれるセンサーを買って終わりではないのが強みであり、我々ユーザーがペダリングモニターに10万円出す理由です。

事業譲渡後、まずは『クランク内蔵型+ペダリングモニター+解析アプリ+サイコン』という製品をシマノから出す事を当面の目的とするのではないでしょうか。シマノはサイコンも微妙なものが多いですからね。と言うか早く出して下さい。買うから。

当然、企業同士の事業部譲渡が1か月や2か月で話が付くはずも無く、早くても1年位かかる話です。パイオニアの技術を次期デュラエースのラインナップにどう組み込むか?というのも以前から検討されているはず(次期デュラの当初のリリース時はパワメ無しモデルが先行販売で、パワメ内蔵は半年後、とかもあると思います。R9100の時はそうでした)。

当然ながら、シマノとしてはパイオニアのサイクル事業買収に投じた資金をどのように回収するのか?という事業計画があるわけです。事前に全部決めてから買収しますよね。

例えば今回の買収額が1億円だったとして、
・1億円出して技術を買いました
⇒移籍してきた技術者には次期デュラエースパワメの開発をしてもらう
⇒シマノのパワメがまともになる
⇒デュラのパワメ内蔵モデルが売上倍増
⇒アルテにもパワメ内蔵モデルを出す、全世界で大ヒット
⇒1億円は2年で回収!
という計画を事前に策定するわけです。その計画を取締役会なりで諮って(他社からの事業買収なので恐らく取締役会の決議事項でしょう)、『その計画なら2年で回収出来そうだな』と投資を判断するのです。何が言いたいかと言うと、パイオニアを買って何をするのか?は、1年前にはシマノの中で既に決まっていることなのです。

奇しくも、次期デュラエースは2020年に出るのか?2021年なのか?というタイミングです。パイオニアのエンジニアには両社製品を統合した新製品の開発に専念してもらい、自社製品の販売は3月末で完全終了、という選択肢になるのでしょう。

ユーザーとしては好きだったパイオニア製品が終わってしまい大変残念ですが、これから出るであろうデュラエースパワメにパイオニアの技術が流れていることを想像すると期待の方が大きいというのが正直なところです。

シマノの真の狙い?

またこの後に書きますが、パイオニアのサイクル関連の売上は微々たるものでした。売上高3,480億円(2018年12月期、連結)のシマノにとって、今更パワーメーターの性能が多少良くなったところで全体的な売上にはほとんど影響が無いでしょう。

有価証券報告書を見る限り、今やシマノの敵はMTBで後塵を拝しているSRAMではなく、市場が急拡大しているe-bikeマーケットでシェアを争うboschのはずです。

同じく2018年12月期(昨年)の有価証券報告書【研究開発活動】の内容をまとめてみます。2018年度には、研究開発費として自転車セグメントで94億円使ったとあります。その内訳は、上から順に

  1. MTBでのXTRの12速化と、ミドルグレードのラインナップ充実
  2. ロードでの105フルモデルチェンジ
  3. 需要増加中のe-bike分野で、最大マーケットのヨーロッパで投入している『SHIMANO STEPS』向けにMTB系を1シリーズ、シティ・トレッキング向けに2シリーズを新たに展開
  4. アーバン・トレッキング分野で新しいハブダイナモと油圧ブレーキを投入

の4つ。特に3のe-bikeに関する表現に力が入っています。MTBもロードも、市場の大きさは既に頭打ちです。e-bikeは上記の通り特にヨーロッパで急速に普及しており、シマノも北米でもアジアでもなくヨーロッパ地区の売上が会社の命運を握っています。

前述の3,480億円のうち、ヨーロッパ地区での売上は何と1,400億円。売上の実に4割です。シマノもかなり以前からヨーロッパにシマノヨーロッパという子会社を作って販売を行っていますが、boschもヨーロッパの企業であり、規模も段違いです。

e-bikeの完成車が100万円近くしたりしますが、これはパワーユニットが高価だからです。e-bikeを完成車として販売するのはスペシャライズドなどの完成車ブランドですが、その心臓部はパワーユニットです。パワーユニットは、モーター、バッテリー、基盤や配線などから構成される高度な統合システムです。

この1セットで数十万する高価なパワーユニットが、いくつのブランドに採用されるか?がシェアに大きく影響するわけで、中でも特にヨーロッパでのシェアが重要なのです。

シマノは、そのためにもパイオニアの技術が必要だったのではないでしょうか?e-bikeは単なる電動アシスト自転車と異なりスポーツライド向けの出力の制御、味付け(それと小型化)が非常に重要になってきます。今後はサイコンも統合し、シマノのe-bikeユニット(これの商品名はSHIMANO STEPS)でもパワーベクトル表示が可能な強みを生かしてboschとの差別化を図る…。

こんな絵を描いていたら良いな、と個人的には考えています。

■パイオニアについて

さて、最後にパイオニアの企業としての実態を数値で見てみましょう。

パイオニアの業績について

まずパイオニアの業績についてです。パイオニアは2019年3月に東証一部を上場廃止になり、ファンドの傘下になりました。パイオニアの決算期は3月ですが、3月27日に上場廃止となり、2019年3月期通期での決算報告書が開示されていません(通期とは、1年間のことです)。パイオニア最後の決算報告は、2019年3月期の3Q決算短信です。2018年4月~12月までの9か月間の業績ですね。

これを、前年同期である2017年4月~12月の同じく9か月間の業績と比較してみます。

【売上】
・2018年の9か月間:約2,600億円
・2017年の9か月間:約2,700億円
※9か月間の実績です

9か月間同士の比較ですが、100億円も売上が減少しています。約-4%です。

【経常損失】
・2018年の9か月間:約46億円
・2017年の9か月間:約21億円
※9か月間の実績です

注意したいのは、経常利益ではなく損失ということです。前年でも21億円の経常赤字だったものが、1年後には46億円もの赤字に拡大しています。

次に貸借対照表を見ると、現預金が約356億円から約269億円と90億円近く減少しています。一方で在庫や固定資産などはあまり減っていませんので、固定費などはそのままで売上だけが減少し、赤字が急拡大していたことが見て取れます。

また2018年3月期は、通期ですと約71億円もの純損失を計上しています。9か月間の経常損失が21億円なのに通期の純損失が71億円にもなった理由は、法人税も大きいですが構造改革費用と固定資産の除却損および減損損失が計上されており、多額の特損を計上していることもあります。現金が出ていく一方なので、利益を生まない固定資産は売却して少しでも会社をスリムにする必要があったのですね。

ここから見るように、非常に厳しい状況であったということが分かります。

事業構成

次にパイオニアの事業構成です。我々自転車ユーザーはサイクル部門に過剰な期待を抱いてしまいますが、サイクル部門の存在感は事業の発足当初から微々たるものでした。パイオニアの経営危機が表面化してから開始された期待の新規事業の1つではありますが、パイオニアの業績には全く影響がなかったと言っても差し支えありません。悲しい現実ですが、事実です。

まずパイオニアの2018年3月期有価証券報告書から持ってきた事業セグメントです。これを見ると、事業セグメントは2つ。メイン事業であるカーナビ関連の『カーエレ(カーエレクトロニクス)』と『その他』です。この2つしかありません。売上の規模的に、そういう事なんですね。カーナビ以外にも色々やっていますけれども、規模的に全部『その他』で一緒くたにして問題が無いのでそうしているのです。

じゃあ『その他』の中にサイクル関連があるんでしょ?と思ったそこのあなた。良く見て下さい。『その他』の中にも、サイクル関連の文字はありません。『その他』の中の事業として記載されているのは、光ディスクドライブ、FA(ファクトリーオートメーション)機器(既に売却済)、電子部品、有機EL、DJ機器(既に売却済)、ホームAV(売却しようとしたが頓挫)。以上です。サイクル関連は『その他』の中の、更にその他なんですね。また一般的には上記の事業の並び順は、売上の大きい順に記載されます。

ちなみにカーエレとその他のそれぞれの売上ですが、2018年3月期だとカーエレが2990億円。その他が660億円です(それぞれ12か月間の売上です)。規模が全然違いますね。上記のようにいくつもの事業が合わさって660億円なのですが、その一覧にすら記載されないサイクル関連事業。売上は一体いくらだったのか…。

サイクル事業の歴史

最後にサイクル事業の歴史です。パイオニアのwebサイトの沿革を見ると、サイクル事業が初めて出てくるのが2010年。サイコンとペダリングモニターをサイクルモードに参考出品したとあります。ポタナビではありません。

しかし最初の製品化は、2012年のポタナビ。翌年の2013年に初代サイコンのSGX-CA900とペダリングモニターのSGY-PM900H-90を発売したとあります。それ以降、順調に製品ラインナップを拡充してきたのですが、この歴史も2020年に終わってしまうことになりました。

以上の様に、パイオニアもカーナビの一本足打法であったために(更にその前のプラズマテレビへの過大投資も大きな要因)会社が傾き、ファンドの傘下に。売れる事業は買い手がいる内に売却し、復活を目指しています。サイクル事業も例外ではありませんでした。

これからは、シマノに技術が受け継がれることを願って次期デュラエース(とe-bike)の新製品に期待したいと思います。

SGX-CA600は今も機能が追加されていますし、名作サイコンだと思うのですが…。今から買っても全く問題無いと思いますよ。引継ぎ先もシマノですし、保証も継続するのでは(想像ですが)。

パイオニアがマーケットから退場してしまい、やはりサイコンはガーミンなのか。シマノからも、フライトデッキ以来のまともなサイコンを早く出して欲しいものです。

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