【レビュー】小型化・高機能化した第2世代 iGPSPORTのレーダーテールライト『SR mini』
2025年3月に発表されたiGPSPORTのスマートレーダーテールライト『SR mini』のレビューです。第1世代である『SR30』の進化版です。

■総合評価
- 前作のSR30よりも小型化したうえ、低価格化
- ライトが全周に配置され視認性が向上
- 車の検知能力も向上し、Garminに迫る性能
■入手経緯
前作のレーダーテールライト『SR30』(発売は2023年)は、スペックとしては平均的でしたが、競合との比較で価格は最も安いという製品でした。
それから約1年半。性能はアップ、本体は小型化、価格はダウンと進化を遂げた新製品が出たとあらば買うしかありません。
Garminは性能の向上に伴い価格も右肩上がりに上がっていきますが、iGPSPORTは性能が上がると価格が下がるという不思議なブランドです。ハードの部材単価は下がっていくから価格も下がるという理屈なのだと思いますが、ここはG社も見習って欲しいところ…。
■製品概要
今回は開封動画を撮影しました。概要を把握したい方は動画をどうぞ。
スペック
まずは製品スペックの紹介です。他社を上回るスペックを実現しながらも、小型化を実現している点が特徴です。
- サイズ:77×37×19mm
- 重量:50g
- 価格:13,750円(税込)
- ランタイム:最大20時間
- バッテリー容量:1,100mAh
- 通信:Bluetooth、ANT+
- 防水規格:IPX7
- ライトの明るさ:30lm
- レーダー検知距離:160m
- レーダー検知相対速度:4~110km
- レーダー検知角度:水平45度
続いて前作のSR30や他社製品との比較です。
SR mini (iGPSPORT) | SR30 (iGPSPORT) | RTL515 (Garmin) | L508 (magene) | GARDIA R300L (Bryton) | |
価格(税込) | 13,750円 | 16,830円 | 34,800円 | 15,900円 | 18,480円 |
寸法(mm) | 77×37×19 | 99×39.7×20.3 | 98.6×39.6×19.7 | 94×38×25 | 97×40×20.9 |
重量(g) | 50g | 68.8g | 71g | 65g | 66g |
最大ランタイム | 20h(レーダーのみ) | 25h(レーダーのみ) | 16h(デイフラッシュモード) | 16h(レーダーのみ) | 24h(レーダーのみ) |
最大探知距離(m) | 160 | 150 | 140 | 140 | 190 |
検出角度(水平) | 45度 | 40度 | 40度 | 40度 | 40度 |
検知相対速度(km/h) | 4~110 | 10~120 | 10~160 | 10~120 | 不明 |
加速度センサー | あり | あり | なし | あり | あり |
防水 | IPX7 | IPX7 | IPX7 | IPX7 | IPX7 |
充電端子 | USB Type-C | USB Type-C | microUSB | USB Type-C | USB Type-C |
前作と比較すると小型化に伴いバッテリー容量が低下。ランタイムも20hになっていますが、それでもGarminやmageneよりは長い。
また検出角度が広がっているほか、検知相対速度が4km/hと他社よりも低速で捕捉が可能です。交差点などで車が停止する直前まで捕捉し続けてくれるので、この機能向上は非常に有用ですね。上限は逆に110km/hに下がっていますが、公道を走る分には誤差の範囲です。Garminは160km/hの速度差を検知する仕様ですが、海外ではこれを検知する必要があるのだと思います。
レーダーテールライトについてBryton以外は全て使いました(レビュー記事も書いた)が、1年前の段階では機能が優れていたのはGarminであり、他はiGPSPORTも含めて横並びの性能でした。Garminはカタログスペックに出ない検知ロジックの完成度が抜きんでていたのですが、果たしてSR miniはどう進化しているのでしょうか。
SR miniも、カタログスペック的には他社を上回っており、そのうえ価格もダントツに安い。後は検知ロジックの完成度次第でSR miniの評価が決まると思います。
GarminはそろそろmicroUSBを廃止して欲しいですね…。
開封の儀(パッケージと同梱品)
パッケージです。最近のiGPSPORTに共通する白基調のパッケージです。

裏面にはスペックの他、各種規制に関する対応状況が記載されています。技適も取得済み。

同梱品はマニュアル、Type-Cケーブル、Garmin互換マウント、サドルレール用クランプ、脱落防止用ストラップ、六角レンチ、検査済証です。

外観
本体はレーダーにしてはコンパクト。レーダー部の周囲をライトを取り囲むデザインが特徴です。Garminにはレーダー機能のみの製品である『RVR315』がありますが、RVR315の全長は72mm。SR miniの全長は77mmと、ライトを搭載しているのに5mm長いだけです。

裏面です。Garmin互換マウントでマウントします。

充電ポートはUSB Type-Cです。防水性はそれなりに高そうです。

実測重量
本体重量は49gとほぼ公称通り。非常に優秀でした。

■レビュー
それでは製品のレビューです。
取り付け
取り付けは付属のサドルレール用マウントを用いて行います。


マウント一式の重量は24gでした。

マウントはGarmin互換ですから、例えばSR30に付属のシートポストマウントを使うことも可能です。

サイコンとのペアリング
ペアリングはセンサー追加のメニューから行います。iGPSPORTではレーダーおよびライトとして登録が可能です。
※画像追加予定
iGPSPORTの上位機種では、ライトとしてセンサー登録を行うと、スマートライト接続という機能が利用できるようになります。

このメニューに入ると、サイコンの画面からバッテリー残量の確認や各種機能のON/OFFが可能です。スマホアプリで操作した方が楽だと思いますが、覚えておきましょう。

GarminのEdge1040ではレーダーとしてのみ登録が可能です。

登録するとこのような警告画面が出ますが、問題なく稼働します。

iGPSPORTのBiNaviとGarminのEdge1040に同時接続することもできます。表示される内容やタイミングに差異は無く、接続するサイコンはどのブランドでも構わないと思います。

アプリについて
iGPSPORT製品は、スマホアプリとの連携が前提となっています。電源を入れたらまずはアプリと接続しましょう。接続後の画面およびメニューは以下の通り。

『レーダ検出』はスマホ画面で車両を表示する機能です。

レーダーの表示に対応したサイコンは一定以上の高機能モデルになります。対応していないサイコンを使っている場合や、サイコンは不要なのでレーダーのみ使いたいという場合に便利です。
『ライトモード』はライトのパターンを設定可能。モードは以下の7パターン。

『ライトを消す』はレーダーのみ使用するモードですが、車両検知時に高輝度でフラッシュする機能はオフになりません。レーダーのみのランタイムは最大20時間とされていますが、交通量の多い道路を走行すると車両検知のたびに点灯するため、ランタイムは短くなってしまいます。
個人的には、この『車両検知時にフラッシュする』機能はOFFにしたいのですが、コンセプト的に仕方ないのでしょうか。
カスタマイズの機能は以下の通り。常にオン(点灯)と点滅が選択可能です。点灯であれば明るさが1%刻み(最低0%)で調節可能。

点滅モードは更に細かな設定が可能です。明るさの他、消灯と点灯の時間をそれぞれ設定できます。

最後に『スマート機能の設定』です。以下の機能が設定可能となっています。

レーダーの表示について
ペアリングが完了したので実走です。
まずは画面上での表示ですが、こちらの動画を見てもらうのが早いと思います。
これはGarminを始め他社でも同様ですが、車両を検知するとアラートが鳴ると共にオレンジ色のレーンと車両を示すアイコンが表示されます。アイコンは検知した車両の数だけ(最大8台)出ます。レーンを左右どちらに表示するかは、センサーの設定から変更することが可能です。
速度差が大きい場合はレーンが赤くなります。車両がレーダーの範囲から消えた場合や速度差が無くなってしばらくすると、レーンがグリーンに変わったのち、数秒後にレーンも消えます。
レーダーの仕様についてですが、峠道のような曲がりくねった道ではレーダーの検知範囲から外れることがあるため、すぐに車両をロストしてあまり役に立ちません(後ろから車が来たことが分かる点は有難い)。
水平方向の検知角度は拡大しているのですが、電波は道路の形状に沿って曲がってくれるわけではありませんから、ここはいかんともし難い点ですね。
ちなみに『車両』と総称していますが、自転車はもちろんのこと、速度差があれば走っている人でも検知します。現実的には、ロードバイク等で走行中にランナーや自転車を検知することは(速度差の面で)ほとんどありませんが…。
検知精度について
車両を検知する精度ですが、見通しの良い状況ではスペック通りに160m程度から捕捉していると思われますし、検知漏れもありません。160mというのは車がミラーに映っていても気付かない距離なので、早めに認知できるのは助かります。
次に前作のSR30やMagineで課題であった『誤検知』です(『ゴースト』と呼ぶ人も多い)。
誤検知とは、後方に車両がいないのに『何か』を検知してアラートが出る場合のことです。パターンとしては2通りあって、1つ目は対向車とすれ違った場合。2つ目は全く車両がいないのに出るパターン。
いずれのパターンでも車両のアイコンが表示された後、すぐに消えてしまうため誤検知であることが分かります。SR30のみならずMageneでも同様でしたので『こんなものか』と思っていたのですが、アラートのたびに画面に視線を移動することになりますので、改善して欲しい点でした(ちなみにGarminは誤検知がほぼない)。
今回のSR miniではどうかと言うと、誤検知がほぼありません。Garminと同レベルの精度を実現していると感じます。
アラートが出るときは本当に車両を検知している場合なので、無駄に視線を移動する必要が無く、非常に快適です。
ちなみにミリ波の特性として、雨が降っていると精度が低下します。
レーダーの使い勝手について
使い勝手についてです。
先ほどの誤検知に続きSR30やMageneで気になっていた点として、最低検知速度差の10km/h未満になると、それまで検知していた車両があっさりと消えることが挙げられます。仕様通りではありますが、なかなかもどかしいのです。
例えば後方からトラックが来た場合、狭い片側一車線の道では対向車がいるとトラックは自転車を追い越し出来ずに、等速で走行することになります。
するとレーダーは車両がいなくなったと判断し、すぐに表示が消えます。しかし自分の真後ろにはトラックがいるわけです。途中でトラックが右左折した場合も当然ながら表示は消えますが、どちらの状況なのかは、ミラーでの確認や振り返るなど、目視しないと判別できません。
これがGarminだけは、速度差が0km/hになってもしばらく(5秒程度)はロストすることなく画面に表示され続けるのです。
Garminも他社同様に『検知する相対速度は10~160km/h』と明記されているのですが、判定ロジックが優れているようで、価格の高さを説明できる付加価値でありました。
これもSR miniではどうかと言うと、Garmin同様にロストするまでの時間が長くなっていました。右左折していなくなった場合は即座に消えますので、多少の区別が付いて大変便利です。やれば出来るんですねぇ、素晴らしい。
個人的な感覚としては、等速になってから消えるまでの『粘り』がGarminの方が1秒ほど長い気がするのですが、それでも前作からすると大きく進化しています。
ライトについて
ライトは以下の7つのモードを備えています。モードは本体上部のボタンを押すたびに変わります。
- 高輝度点灯:12lm
- 中輝度点灯:6lm
- デイフラッシュ:25/0lm
- ナイトフラッシュ:12/2lm
- コメットフラッシュ:30lm
- ウォーターフォールフラッシュ:30lm
- カスタマイズ
※各モードの詳細は、先ほどの開封動画の4:25あたりにあります。
車両を検知すると数回のフラッシュが入る他、ブレーキを検知すると数秒点灯し、ブレーキランプとしても機能します。これらの機能はレーダーのみモードでも作動し、OFFにすることが出来ません。そのため実際のランタイムは車両検知やブレーキの回数分だけ短くなります。
■まとめ
iGPSPORTから、2025年3月にリリースされたスマートレーダーテールライトです。
前作のSR30から大きく機能がアップし、スペック面での向上だけでなく、スペックに出ない使い勝手も改善されGarminに迫る性能を実現しています。
それでいて競合の中では最も安い価格を実現しており、非常に競争力のある製品となっています。現時点では買うならSR miniが最有力と言えるのではないでしょうか。
私はブルべでも使いたいので、このクリップタイプのマウントを買いました。これをAPIDURAのクリップホルダーに刺して使う予定です。脱落防止ストラップを付けておけば、衝撃で外れても紛失は防げると思います。