Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更して電動化10 変速調整編
【Di2化 記事一覧】
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- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更2 パーツ調達編1
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更3 パーツ調達編2:サポートボルト
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更4 パーツ調達編3:ファームの泥沼
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更5 重量編
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更6 取付編:3TのAERONOVA(エアロノヴァ)にエレクトリックワイヤーを通す
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更7 取付編:仮組み、配線1
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更8 取付編:仮組み、配線2
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更9 取付編:カバー取付
- Supersixを外装アルテグラDi2(6770)に変更10 変速調整編
前後の変速を調整していきます。基本的にはマニュアルに書いてあることを、バカ正直にそのままやるだけです。重要なことは、本当にマニュアルの通りにそのままやること。上手く行かない大抵の理由は、少しでも自己流が入っていたり、面倒だからと『これ位は問題無いよね?』と勝手に手順を省略していることが多いです。
■FDの調整(取付け位置調整)
マニュアルでは、RDの調整が先に記載されているのですが、RDの調整ではFDを動かすことが必要になるため、FDの調整を先に済ませておかないと実際はRDの調整が出来ません。早速先ほどの話と矛盾しますが、ここだけはページの通りにやる必要は無いと思われます。
Di2全般に言えることですが、調整においてはワイヤーの張り具合という、感覚に依るところが大きい作業が一切ありません。そのためディレイラーの位置を調整してあげるだけで終わりなので、作業難易度のハードルは非常に下がっています。機械式で調整が狂うのが面倒臭い、という方はこの理由だけでもDi2がお勧めです。
まずは取付位置を微調整します。マニュアルには、アウターのチェーンリングとFDの外側のプレートの位置関係を『外側プレートは、アウターの真上。ただし、外側プレートの後端は、0.5~1.0mmだけ内側に入れてね』とあります。一旦アウターの真上に平行に仮で取付けてから、後端が1mm程度内側に入るように角度を調整してあげれば良いでしょう。
続いてサポートボルトによる調整を行います。マニュアルには、『アウターとFDの外側プレートが平行になるようにサポートボルトを回します』とあります。いったん僅かに内側にセットした後、サポートボルトを押し出すことで平行にしてあげるということですね。
改めて、サポートボルトは裏側のこの位置にあります。
これを表側から2mmという細いアーレンキーで回します。
私の場合だけかも知れませんが、サポートボルトは結構固く固定されているので、しっかり力をかけて回して下さい。2mmという細いアーレンキーを使用するので、折れやしないかと不安になります。しかし躊躇してはいけません。
■FDの調整(変速位置調整)
FDの羽の向き調整が完了しましたら、FDの変速位置調整に移ります。
まずはインナーの位置調整から行います。
・チェーンをフロント:インナー、リア:ファイナルロー にセット
・ロー側調整ボルトを回して、ガイドプレートの内側と、チェーンの隙間が0~0.5mmになるように調整します。
ロー側の調整ボルトは上記画像の位置にあります。これを回して、チェーンとの隙間を調整するだけ。
次はトップ側の調整です。
・チェーンをフロント:アウター、リア:トップ にセット
・トップ側調整ボルトを回して、ガイドプレートの外側と、チェーンの隙間が0.5~1.0mmになるように調整します。
トップ側の調整ボルトはこの位置です。『H』の刻印が見えますね。このボルトで、FDがアウターに入った時に羽根が移動する位置を決定します。
インナー側・アウター側でFDの位置を決定したら、次は微調整。まずはチェーンをアウター×ローにかけます。そしたらジャンクションAのボタンを長押しして、調整モードに切り替えます。赤いLEDが点灯したら、調整モードに入ったサインです。2秒程度押せばすぐに点灯します、これ以上押し続けるとセーバー回復モードに入るので、押しすぎないようにしましょう。
調整モードは、FDの微妙な位置調整を行うためのモードです。このモードになると、STIでFDを動かしても、コンマ数ミリづつしか動かなくなります。これを利用して、コンマ数ミリ単位の位置の微調整を行います
。
作業としては、この状態でチェーンとFDのガイドプレートの隙間を0~0.5mmになるように調整します。
位置調整が終わったら、再度ジャンクションAのボタンを長押しして、通常の変速モードに戻します。
FDの調整は、これだけです。ワイヤーとか張らなくて良いので超簡単。インナーとアウター、それぞれで羽根の位置を微調整するだけです。
■RDの調整
FDの調整が終わったら、次はRDです。
■Bテンションアジャストボルト調整
まずはBテンションアジャストボルトの調整ですね。これは機械式と同様に、Bテンションアジャストボルトを回して、スプロケットとガイドプーリーの隙間を調整するものです。
・チェーンはフロント:インナー、リア:ファイナルローにセット。
・クランクを回してチェーンづまりしない位置までボルトを回して調整します。要は普通にチェーンが回転すればOKです。
・インナー×ローでOKだったら、インナー×トップにチェーンをかけかえて、同様に調整します。
■変速位置調整
次はRDの位置調整です。これもFDと同様に、RDの位置を微調整するものです。RDの移動量は恐らくプログラムで決まっており一定で、移動量についての調整は行いません。機械式だとワイヤーテンションを調整して、RDの適切な移動量を探っていく調整が必要になりますが、それが無いので圧倒的に調整が楽です。
・まずはRDをロー側から数えて5枚目のギアに変速させます。アウターについては指定が特に無いため、インナーでもアウターでも良いと思われます(私はアウターでやりました)。
・次にジャンクションAのボタンを長押しして、調整モードに切り替えます。赤いLEDが点灯したら、調整モードに入ったサインです。2秒程度押せばすぐに点灯します、これ以上押し続けるとセーバー回復モードに入るので、押しすぎないようにしましょう。
調整モードは、RDの微妙な位置調整を行うためのモードです。このモードになると、STIでRDを動かしても、コンマ数ミリづつしか動かなくなります。これを利用して、コンマ数ミリ単位の位置の微調整を行います。
・まずはRDを少しずつ移動させ、下記の画像の様にチェーンを4枚目のギアとかすかに接触して、チャリチャリ音が出る位置まで移動させます。場合によっては、最初からチャリチャリ音がすることもあるかもしれませんので気を付けて下さい。この作業が唯一の感覚や主観に頼る作業です。
・そのポジションからRDを外側に移動させます。4回、外側へのシフト操作をして移動させた位置がベストポジションです。
・再びジャンクションAのボタンを長押しして、通常モードに戻します。
たったこれだけの位置調整をするだけで、変速がばっちり決まるようになります。今までの機械式の手間からすると信じられません。
もし変速がイマイチな場合は、チャリチャリ音がする位置が微妙にズレていることになりますので、その位置を再度調整して下さい。
・最後に、ストッパー調整ボルトの調整を行います。これでロー側・トップ側の最大可動範囲を決めます。RDを裏から見た変な画像ですが、左側のボルトがロー側、右側がトップ側のストッパー調整ボルトです。
・まずはギアをファイナルローにして、ロー側のストッパー調整ボルトをリンクにギリギリ当たるところまで締めます。
・次にギアをトップに入れて、トップ側のストッパー調整ボルトをリンクにギリギリ当たるところまで締めます。
・ギリギリ当たるところまで締めたら、ボルトを反時計方向に1回転分だけ戻します。これはオーバーストロークといってDi2ならではの制御を行う為です。確実にトップに変速させるために、いったんトップよりも更に少しだけ外側にディレイラーが動きます。チェーンがトップに移動完了すると、余計に動いた分だけディレイラーが戻って、本来の適切な位置に収まります。トップの位置でボルトを固定してしまうと、このオーバーストロークが出来なくなってしまうので、その分を見込んでボルトを調整する必要があるということです。
実際にDi2を使ってみないと『何のこっちゃ、難しそう…』と思うかも知れませんが、この調整もマニュアル通りにボルトを1回転分だけ戻すだけなので簡単です。作業の意味を理解していなくても出来ちゃいます。この辺りはインデックス調整ボルトを回しながら感触を確かめて…という作業が必要な機械式と比べると大幅に楽ちんです。
とりあえず、これで変速調整も完了!ようやく乗れるようになりました!いやー、ゼロから知識をつけたから長かったし、お金もかかった(笑)
ヘッドチューブ横のアウターケーブルガイドがぽつんと寂しげですね…中にはグラインダーで削ってしまう人もいるようですが、機械式に戻す可能性もあることを考えると(無いと思うけどw)、残しておこうと思います。
ともあれ、譲っていただいたbakkyさん、Di2に出会う機会をいただいてありがとうございました(^_^)/
次回はDi2を使ってみた感想を。