TREKが徐々にリムブレーキの生産を中止…ついにミドルグレードまで
■Emondaリムブレーキモデルが販売終了
Emonda SLとALRのリムブレーキモデルが販売終了
TREKから、ミドルグレードのEmonda SLとEmonda ALRのリムブレーキモデルの販売終了を決定したとTwitterにてアナウンスがありました。
トレックは現行モデルをもってÉmonda SLおよびÉmonda ALRのリムブレーキモデルの販売終了をグローバルで決定しました。
今後、リムブレーキ用バイクおよびホイールの開発は予定されていません。 pic.twitter.com/6AiXBm8wJx
— トレックジャパン (@TREKJapan) April 7, 2020
EmondaはTREKの中で、ヒルクライマー御用達の軽量モデルです。現在販売されているEmonda SL6は264,000円。 Emonda ALR5は143,200円となっています。今年の2月に、Emondaのリムブレーキモデルは価格改定がなされ20%OFFとなっています。この値引きは販売終了の布石だったのですね。
TREKのwebサイトを見る限り、Emondaに関しては完全にリムブレーキモデルが無くなるということになります。
■ハイエンドモデルは以前から生産終了している
ハイエンドはディスクブレーキのみ
実は昨年(2019年)の6月に、ハイエンドもリムブレーキモデルは生産を終わるというアナウンスがなされていました。
トレックはグローバルの生産体制において、ハイエンドのリムブレーキモデルの生産を終了いたしました。今後の追加生産も予定されていません。
現在、Project Oneのリムブレーキモデルの完成車、フレームセット共に、税抜価格から56,000円を割引するクローズアウトセールを行っております。 pic.twitter.com/fAsDlPlejw
— トレックジャパン (@TREKJapan) June 10, 2019
TREKに関しては、リムブレーキのロードバイクはほぼ無くなってしまうという状態になります。
スペシャライズドも同様ですが、アメリカンブランドは完全にディスクに舵を切っており、他のメーカーも徐々に流れに追随していくと思われます。両方開発するのは費用がかかりますが、資金力があるはずのTREKとスペシャがやめてしまうという状況に。
今のところDEROSAやBianchi、LOOKなどはしっかりハイエンドのリムブレーキモデルも販売されています。恐らくですが、まだそれなりに売れているのでしょう。
TREKがやめてしまうのは、リムブレーキモデルの販売に関して北米のマーケットがヨーロッパよりも縮小が早いか、もしくは早々に見切りを付けたか、どちらかと思われます。
この『早々に見切りを付ける』というのは、私のお仕事の業界ではIBMに通ずるものがあります。IBMも、業界の先頭を切って事業部を『高い値段が付く内に』売却してしまいます。PCも『ThinkPad』ブランドが強い内にLenovoに売却しましたし、PCサーバーもLenovoに売却してしまいました。
そして数年後に他社が『儲からない事業同士を切り離して合併させる』ことで存続を図るも、どうにもならない…というのが歴史です。NECと富士通のPC事業は、今やLenovoの傘下です。
これはビジネスです
先ほどのTREKのツイートに対し、移行が強引という意見もありました。気持ちは確かに分かります。しかしこれはビジネスです。TREKが企業として製品の生産を終了するのは、その方がビジネスが最大化するという合理的な見通しがあるからであり、別に意地悪している訳ではありません。
Emondaについても、ハイエンドは既にディスクブレーキモデルのみとなっていますから今回のアナウンスでは影響は少ないでしょう。ヒルクライムのために軽量なバイクが欲しい人は、TREKを見限って他のブランドでリムブレーキモデルを買えば良いのです。GIANTあたりも普通に出しています。
TREKの判断が時期尚早であったというならば、その内にTREKが衰退して、代わりに他のブランドが(リムブレーキが販売好調なお陰で)勢力を伸ばしてくるはずです。しかしロードバイクのマーケットは世界中が対象であり、日本はその中の一部に過ぎません。『日本でヒルクラのレースが盛んだから』などど言う理由で、リムブレーキの開発を継続してくれるブランドが果たしてあるのでしょうか。
■シマノはどうするのか
そして日本人として、結局気になるのは『デュラエースのブレーキはどうなるのか?』という事。TREKもスペシャもリムブレーキを買ってくれなくなってしまった今、デュラエースのキャリパーブレーキもかなり出荷数量が減少しているはず(その分、ディスクブレーキが伸びているはずですが)。
となるとこちらも同じ話で、限られた開発費の中で『デュラエース』のキャリパーブレーキとディスクブレーキの開発を両方並行して進めるメリットがどこまであるのか?という事になります。
単純に研究開発の投資が回収出来れば開発費が投入されますけれども、完成車と同じく需要がリムブレーキとディスクブレーキに分かれてしまったいま、『キャリパーブレーキにどこまで費用を投入するか』というのは、中々判断が難しい状況では無いでしょうか。
次のデュラエースでいきなりディスクブレーキのみになってしまうことは無いでしょうが、従来のような進歩はあまり期待出来ないですよね。もはやツールでも普通にディスクブレーキが使われるようになっている程ですし…。
ということで、ついに公式にリムブレーキをやめますというブランドが登場したという記事でした。
無くなってしまうのは寂しいですが、これも時代の流れですね。もちろん完全に無くなりはしないでしょうから、そこまで心配しなくとも良いのかな?と思いますが。
以前書いたリムブレーキは無くなるのか?という記事はこちらから。
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