チューブレス

チューブレスタイヤ、そこが知りたいシリーズ ~半年経ったチューブレスタイヤのタイヤ、リムの中の状態(ヴィットリア編)~

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今回は装着から半年が経過したチューブレスタイヤの中がどんな状態になっているのか?を確認します。使用しているタイヤはヴィットリアのコルサ28Cチューブレスです。

■記事の趣旨

この知りたいシリーズは、チューブレスタイヤに関する『実際の運用はどうなっているの?』に焦点をあてて紹介します。私がチューブレスを導入する時に、疑問があり調べたけれども良く分からなかった内容が中心です。

MAVICが推進している『UST』や、ZIPPやGIANTからチューブレスが前提の『フックレスリム』が登場するなど、徐々にチューブレスタイヤが広まってきています。ホイールとタイヤの組付け性も楽になってきていますし、何より性能が良い。

しかしいざ導入しようとした時に少しでも疑問点があると、導入に踏み切れないのも事実です。起こりそうなトラブルやアクシデントを想定して、それに対する対処方法もある程度は準備しておかないと、出先で立ち往生する事態になりかねませんからね。

そこでまず今回は、シーラントが入っているタイヤの内部がどんな状態になっているのか?について書いてみます。この点にフォーカスを当てた記事って中々無いのですよ。

『チューブレスからチューブレス』のタイヤ交換時や、パンクの修理をする場合にタイヤを外す場面が出てきます。クリンチャーならただ外せば良いですが、チューブレスの場合は中にシーラントが入っています。

タイヤを外した時に『中がどうなっているのか?』がある程度想像出来ることは、準備しておく道具や手順の想定にも必要です。またパンク時にはチューブを入れれば良いと皆さん簡単に言いますけども、シーラントでベトベトなのに本当にチューブが入るのか?手がシーラントまみれになったらどうするの?など疑問はつきません。

■現在の使用状況

それでは早速見ていきましょう。まず今回はタイヤ交換を行います。現在使っているヴィットリアのコルサチューブレスレディからコンチネンタルのGP5000チューブレスに交換します。

現在の使用状況は以下の通り。

  • タイヤ:ヴィットリア コルサ チューブレスレディ28C(前後とも)
  • ホイール:DTswiss ERC1400 SPLINE 47(カーボンリム&ディスクブレーキ)
  • 使用開始日(フロント/リア):2019/12/10、2020/1/10
  • 走行距離(フロント/リア):1,600km/1,300km
  • 使用したシーラント・量:スタンズのNOTUBES。フロントは40ml、リアは56ml(2オンスなので)。28Cなので多めに入れた。リアは気づいたら全部入れていた。注ぎ足しはしていない。

この記事を書いているのが2020/06/30です。記事を書けるということはタイヤ交換は終わっていますので、フロントは約6ヶ月、リアは約5ヶ月経過しています。コロナのせいであまり乗れないまま半年経ってしまいました。タイヤの山はまだ残っていますが、GP5000TLを使ってみたいので交換します。

シーラントについても『注ぎ足しした方が良いのか?』と迷っている内に半年経ってしまいました。果たしてタイヤの中はどうのようになっているのでしょうか。

■チューブレスタイヤの中はどうなっているのか

それでは予定通りタイヤ交換をします。タイヤは『2人いないとハメられない』『凶悪過ぎる』『650Bが届いたのかと思った』と言われるとても(性能は)評判の良いGP5000チューブレスです。サイズは25C。

サイスポのインプレで絶賛されていたので、使ってみたかった

■半年経過したチューブレスタイヤを外す

それでは早速タイヤを外していきます。今回の記事の趣旨はタイヤ交換ではなく『タイヤの中の状態を確認する』ですのでお間違えなく。もちろんタイヤ交換の記事も書きます。

初めてのチューブレス化だったので、エアが漏れない状態にするのが大変だったのですよね。

ヴィットリアコルサのチューブレス導入 チューブレス化導入編(ロードバイク・チューブレス)

あの時の苦労を考えると、気持ちとしては外したくないですが記事のためにタイヤを外してしまいます。まずはフロントホイールから作業します。

タイヤを外す前に、ローターも外します。リアならスプロケも外しましょう。シーラントがローターに付着したら大変です。

ビードをはがす

まずはシーラントにより接着されているタイヤとリムのビードを剥がしていきます。固着していて剥がすのに力が必要と思っていましたが『粘性の高い液体が付着しているだけ』という感じで、特に力は不要でした。シーラントがタイヤの内部からビードの間にまでしっかり浸透しています。

少し押すと場所によっては泡立ちますので、乾燥して固着している訳では無いことが分かります。半年経ってもこの状態を維持しているとは。

中を見ると半乾きの状態です。

ネバつく個所もあります。

ビードを外す

ある程度ビードを落としたら、タイヤキーを突っ込んで一気にビードを外します。ビードの間にあるシーラントがタイヤキーに付着します。

タイヤを外す

ヴィットリア コルサの場合、タイヤはリムに対してかなり緩く、片側のビードであれば手で外せてしまいます。タイヤを外すとシーラントがリムに付着します。半年経過していますが、ベトベトとまではいかず、多少粘り気がある程度。

リム側の状態

リム側のシーラントは、うっすら残っている程度。

バルブ付近はこんな感じです。バルブが曲がって装着されているので外して直そうとしましたが、ガッチリ固着しており微動だにしません。無理やり剥がすと逆に気密性が低下しそうです。エア漏れもなさそうなので、ここはこのまま触らずに様子を見ることにします。

タイヤ側の状態

タイヤの内側は、まんべんなくシーラントで覆われています。シーラントが溜まっているような個所はありません。乾燥はしていないものの、このシーラントの残り具合ではパンク時にシーラントで穴を塞ぐことは難しいと思われます。3~4ヶ月程度でシーラントを追加した方が良さそうです。

ホイールを洗う(シーラントを落とす)

リムにシーラントが付着してしまったので、水で洗い流しました。シーラントはオーソドックスなスタンズのNOTUBESを使っていますが、固まる前ならあっさり流れてくれました。

綺麗になって良かった

リアホイールも外します

続いてリアホイールからタイヤを外します。まずはビードを外します。

フロントの使用期間は約6ヶ月、リアの使用期間は約5ヶ月です。リアの方が残っているシーラントが多そうです。リアホイールについては、気密性をより高めるためチューブレステープを余分に巻いています。

ビードを落としました。明らかにシーラントが多く残っています。

慣れてきたので、一気にタイヤを外します。リアホイールはシーラントがかなり残っています。これ位残っていたら、パンク時にも穴を塞いでくれそうです。

リム側の様子です。シーラントがそれなりに残っていたことが伺える付着の仕方です。半乾きだったフロントとはずいぶん異なりますね。

タイヤ内側の様子です。中央部にシーラントの筋状の跡があります。シーラントがたくさん残っていたので、ホイールの回転中は中央部にシーラントが留まっていたのでしょう。

この後、フロントと同様にホイールとタイヤを水洗いしてシーラントを流しました。タイヤ側に固着したシーラントは、タイヤを再び装着するなら掃除する必要があると思います。ビード部分は除去しておかないとダメでしょうね。それ以外の部分は気密性向上に貢献してくれますので、むしろそのままで良いと思います。ちなみにビード部分のシーラントを除去するには、ニトリル手袋をしてこすると割と楽に除去出来るみたいです。

■まとめ

フロント、リアとも状態の確認が終了です。開けてみて分かったチューブレスタイヤの中ですが、自分へのメモとしてちょっとまとめてみます。

  • パンク時に塞いで欲しいなら、シーラントは3~4ヶ月おきに補充した方が良い
  • 乾く前のシーラントは水で流せる
  • 注ぎ足しをしないまま半年経過しても、中は乾燥していない

というのが分かった事です。そしてフロントとリアには状態に違いがあり、フロントは乾燥する一歩手前という状態でしたが、リアは十分なシーラントが残っていました。

フロントは6ヶ月経過、リアは5ヶ月経過。また使用したシーラントの量は10ml程度の違いしか無いのですが、これだけの差が生じるのは何が理由なのでしょうか?

1つ考えられるのは、フロントの方が気密が甘く、リアと比較すると空気が抜けるのが早かったこと。1週間経つとフロントは1.5bar、リアは1.0bar減るという具合です。そのため乾燥が早く進んだのではないのか?という仮説を立ててみます。ちなみにフロントの気密が甘かったのは、初めてチューブレス化を行ったため、スキルが未熟だったからです。

空気が早く抜けるということは、中の空気がそれだけ入れ替わっていたということになります。もし仮に『空気が全く抜けないチューブレスタイヤ』があったとすると、シーラントも全く蒸発しないはずです。

ということは、

  • シーラントの蒸発は空気の抜けに伴い発生するものである
  • 空気の抜ける量が多ければ、シーラントもそれだけ蒸発する

ということが言えると思われます。

また空気圧を高めてタイヤ内部の圧力が高まれば、それだけ空気の抜けも早くなります(そして1.0barに近づくにつれて抜けるスピードは低下する)。練習を毎日していて常に空気圧が高い状態の人は、シーラントの蒸発も更に早まるはずです。

ということで、チューブレスタイヤのそこが知りたいシリーズの初回は、半年経ったチューブレスタイヤの中でした。私の状態を参考にしていただき、

  • タイヤ装着時に気密をしっかり確保する
  • シーラントの定期的な補充を怠らない
  • 補充が面倒なら、最初に多めに入れても可

を意識して快適なチューブレスタイヤライフを過ごしましょう。チューブレスは本当に快適なので、ロードでもディスクブレーキに続いて広まっていくと思っています。

やはりシーラントは大容量を買うのが良さそうですね…。

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鮮度を求めるなら2オンス(56ml)ですね。

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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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