【レビュー】GP5000と並ぶ高性能 シュワルベ プロワン、ワン チューブレスイージー(レビュー/インプレ)

シュワルベのプロワンとワンを両方使ってみましたので、レビューします。今回は、どちらもチューブレスイージー(チューブレスのことです)で28Cを使いました。

■総合評価

4.5

まずはプロワンからです。性能は非常に良いです。転がり抵抗、適度なしなやかさ、適度な軽量さを兼ね備えています。個人的には硬質なGP5000TLよりも良い。価格が1本で11,000円(税別)もするのが唯一のデメリットです。GP5000もチューブレスだと9,800円(税別)もしますが。

4.0

次にワンです。プロワンをそのまま少し性能劣化した版と考えて良いです。こちらは耐久性を重視しているためトレッドが厚く、全体的に(プロワンと比較すると)硬めの乗り心地になります。ただしその分だけ耐久性、耐パンク性はプロワンよりも優れています。ブルベならこっち。こちらも1本7,800円(税別)するだけあって、ハイレベルなタイヤです。セカンドグレードとは思えません。

■購入動機

プロワンについては、サイスポでのインプレ評価(2020年3月号)が非常に高かったことで興味を持ちました。その時はまずGP5000TLを買ったのですが、ホイール新調(ENVE45の購入)のタイミングに合わせてシュワルベのワンを買いました。

ENVE45はフックレスリムなので、どんなタイヤでも適合するわけではありません(不自由しない程度には色々選べます)。シュワルベのプロワン及びワンはどちらも『Tire Compatibility List』に入っています。タイヤを買いにショップに行ったところ、在庫があったのがプロワンではなくワンでした。『たまにはセカンドグレードも使ってみよう』と思いワンの28Cを購入。それでも1本7,800円もするので、悪くはないだろうと。ワンで800kmほど走った後にプロワンを入手出来たので、プロワンにチェンジしました。

■製品概要

まずそれぞれの製品概要です。本国サイトの製品ページを見ると、とにかく『Souplesse(スープレス:しなやかさ、柔軟性)』という単語がしつこい位に出てきます。グリップと転がり抵抗だけでなく、しなやかさも追加しようというのが開発テーマだったようです。私はタイヤの『路面追従性』の事と理解しています。

プロワン チューブレスイージー

プロワンの概要

  • チューブラーのような乗り心地を求めて開発されたチューブレスタイヤ
  • 新ETRTO規格に対応
  • 重量:25Cで245g、28Cで270g
  • 価格:11,000円(税別)

シュワルベ(本国サイト)の性能チャートでは、しなやかさ:10.0、転がり抵抗:9.0、グリップ:10.0、耐パンク性:9.0、耐久性:9.0となっています。コンパウンドは『ADDIX RACE』、耐パンクベルトは『V-Guard』を使っています。タイヤ幅の寸法は、新ETRTO規格(リム内幅19Cが基準)に基づいています。例えば25C表記だとリム内幅19Cの場合に25mmになります。

ワン チューブレスイージー

オールラウンドワンの概要

  • プロワンをベースに作られたオールラウンドなタイヤ。
  • コンパウンド、耐パンクベルトにおいてセカンドグレードを使用
  • 重量:25Cで275g、28Cで295g
  • 価格:7,800円(税別)

シュワルベ(本国サイト)の性能チャートでは、しなやかさ:8.0、転がり抵抗:8.0、グリップ:10.0、耐パンク性:9.0、耐久性:9.0となっています。コンパウンドは『ADDIX』、耐パンクベルトは『Race Guard』を使っています。タイヤ幅ですが、ワンについては新ETRTOに基づくとの記載がありません。

■レビュー/インプレ

ここからは実際に使用した感想を紹介していきます。

タイヤの嵌めやすさ、ビードの上がりやすさ

今回はチューブレスなので、まずはタイヤの嵌めやすさから。実は今回一番気になっていたのがここだったりします。まずワンからですが、トレッドが厚いため非常に嵌めにくいです。GP5000TLと同等かそれ以上の嵌めにくさで、IRCのタイヤレバーが必須でした。

一方、プロワンですが『手で嵌められる』との評価をちらほら見かけます。ワンであれだけ苦労した身からするとにわかに信じ難い。そこで実際に買ってみたわけです。

まず両方のタイヤを比較すると、実際の重量差は25g程度なのですが明らかにワンが分厚いことが分かります(さすがに画像だけでは分かりませんが)。プロワンは非常にしなやかです。しなやかで有名なヴィットリアのコルサと同じような感触。これなら確かに手で嵌められるかも。

ということで実際に装着してみると、あっさり手で嵌まってしまいました。

残りはこれだけ

タイヤレバーなんて一切使いません。ワンであれだけ苦労したのは何だったのか…。しなやかさを目指したというのは伊達ではないようです。どのタイヤもこれ位に嵌めやすかったら良いのですけど。。。
※嵌めやすさは、チューブレステープの巻き数に大きく影響されます。

次はビード上げです。手で嵌められてしまう様なタイヤは嵌め合いがゆるゆるで空気が漏れるので、ビードが上がらなかったります。まずフロントから試してみたところ、フロアポンプでは空気が漏れまくってビードが全く上がりませんでした。

次の手段は、インフレーターを出してきて一気に空気を入れます。空気が漏れる量よりも入る量が勝るので、ビードが上がる可能性が高まります。フロントは、この方法で無事にビードが上がりました。

リアは、フロアポンプだけでビードを上げる事が出来ました。私がこれまで使ったタイヤのように『パキン』という音が無かったのですが、確認するとビードが上がっています。かなり緩めの嵌め合いなので、音がしないのでしょう。

『手で嵌められる』という噂は本当だった

タイヤ幅

装着後のタイヤ幅です。プロワンは、リム内幅が19mmでタイヤの最大空気圧まで入れた場合に表記通りの幅になります。今回装着したホイールは、内幅21mmのENVE45です。内幅21mmの場合は+1mm、28Cなら29mmになると記載があります。今回は最大よりも低い空気圧3.8barの状態で測定したところ、前後ともほぼ28mmでした。
※ワンについては計測せず

実測重量

次に、気になる実測重量です。プロワンの28Cは先ほども書いたように公称で270gですが、実測すると279gでした。9gなら、まあ誤差の範囲です。私が驚いたのは前後ともぴったり279gだったこと。たまたまと思いますが、全く同じ重量というのは初めてでした。ちなみにワンは実測し忘れました。

2本とも全く同じ重量だったので、1枚で済ませます

走行感、グリップ

プロワン

肝心の走行感です。最初はプロワンから(※何度も書きますがチューブレスです)。私の体重は58kg、ENVEのサイトに従い3.8barの空気圧で運用しています。まずタイヤサイズが28Cなのですが、ENVE45のインプレで書いたように28Cとは思えない『タイヤの腰』があります。これはフックレスリムによるところが大きい気がしますが、エアボリュームのある25Cという感触です。段差でしっかり振動を吸収しつつ、タイヤがまったくヨレません。

一方で『しなやかさ』を追求したというだけあり、非常にしなやかです。しかしちゃんと腰があり、転がり抵抗もかなり軽い。GP5000よりも少しだけ劣るくらい。グリップについては、倒しこんでも28Cなのに変形が抑えられている感じで、荷重をかけた方向にしっかりグリップしてくれます。でもGP5000、ビットリアコルサと比較すると少しだけ接地感が少なくて、コーナーリングは10点満点で8点くらいの感じです。平地の感じからすると確実にグリップはしていると思うのですけれども、挙動が分からないので限界が不明、という印象です。

ライバルのGP5000は転がり抵抗こそ軽いものの、走行感が硬めで路面の凹凸をしっかり伝えてきます。段差に突っ込むと『バコン』という感じのやや大きめの衝撃と共にタイヤが変形し、衝撃を吸収します。

一方、プロワンは転がり抵抗こそGP5000にわずかに負けるものの、路面の凹凸にしなやかに追従している感触があります。これがヴィットリアのコルサだとベタっと貼り付く感覚なのですが、GP5000とコルサの中間の感触で、わずかにGP5000寄りの硬さという印象です。このバランスが良い。非常に良い。

路面の段差に突っ込んだ場合、プロワンの場合は幾分マイルドになって『タン!』という感じ。かなり滑らかに衝撃を吸収しています。プロワンの方がパワーロスが少ないと感じます。実際にアスファルトがバキバキに割れた箇所をしばらく走りましたが、GP5000よりも更に衝撃が少ないです。28Cのチューブレスはすごいな。少なくともクリンチャー+ブチルチューブには戻れないです。

プロワンもGP5000も非常に良いタイヤなので、後は個人の好みという感じですね。GP5000は製品開発の出発点がとにかく転がり抵抗重視なので、硬くても仕方ないでしょ、という印象。23Cタイヤからそのまま進化した感じです。多少の段差でバイクが跳ねても気にしない(チューブレスなので、実際にはしっかり衝撃を吸収してくれます)人向け。プロワンはしなやかさが出発点で、そこから転がり抵抗を向上させた感じ。どんな時もしっかり路面に接地してくれているので、TTのように一定トルクで回すのに向いています。その割にヴィットリアコルサのようにベタっとした感じが無いのが素晴らしい。

ワン

次にワンです。こちらは、プロワンと方向性は一緒ですがトレッドが厚くなった分だけ少し硬くなります。それでも硬さの割に非常に良く細かい衝撃を吸収するし、いかなるときもちゃんと接地している感触はプロワンと同じです。むしろ、この硬さの割に上手に衝撃が吸収出来ているな、と思います。こっちも十分にハイレベル。

倒しこんでも変に変形せずに、しっかり荷重がかけられるのもプロワンと同じ。しなやかさが少し足りないので返ってくる感触も硬めなのですが、十分にグリップは良いと思います。むしろコーナーリング中の感触があるので、この点だけは私はワンの方が好みかも。全体的には、性能やキャラクターはプロワンを踏襲しつつ、耐パンクや重量などの面でちょっとコストダウンしたのがワンだと思います。十分に良いタイヤなので、沢山走る人はワンで全く問題無いと感じます。嵌めるのが大変だけど。

耐パンク性能

耐パンク性能については、シュワルベはプロワンもワンも同等の点数をつけています。まだ数百キロしか走っていないので分かりませんが、プロワンについては非常に高性能な耐パンクベルト『V-Guard』を使用することで耐パンク性を高めているとのこと。前作よりも耐パンクベルトの幅が4mm広くなっており、更にパンクしづらくなっているそうです。

ワンの方がトレッドが厚くてやや硬いので、パンクには強そうなのですが…。同じ点数というのは腑に落ちないところです。メーカーから『耐パンクベルトの性能がxx%アップ!』とか言われても、素直に信じる人がどれだけいるのか…。もちろん嘘では無いのでしょうが、重量と価格は据え置きで耐パンク性能だけが20倍くらいにアップしてもらわないと、一般ユーザーには体感出来ないのでしょうね。

耐久性

耐久性ですが、こちらもシュワルベはプロワンとワンで同じ9.0点をつけています。ワンの方が明らかにトレッドが厚いので、耐久性がありそうですけれど…。

■まとめ

今回は最上位モデルのプロワンとセカンドグレードのワンのチューブレス(28C)を使いました。プロワンは、シュワルベがチューブラーを廃止して満を持してリリースしたモデルだけあって非常に高性能でした。同じくドイツのメーカーであるコンチネンタルのGP5000TLと同等レベルです。どちらも甲乙つけがたく、好みで選んで良いと思います。

ワンもとても高性能なので『タイヤに1本1万円も出す気がしない』という人は、こちらで問題無いと思います。それでも1本7,800円(税別)しますので、十分に高級タイヤです。

シュワルベは名作タイヤ『マラソン』のイメージが強く、ブランド的にはやや地味なポジションです。世間ではGP5000の方が認知度が高いように感じますが、プロワンも非常に良かったので広まって欲しいと思います。

下記のアマゾンの表記は25Cですが、商品ページで28Cも選択可能です。

価格が高いのが泣き所ですが、海外通販なら割と安く購入出来ます。在庫があったり無かったりするので、2つ貼っておきます。商品名の『EVO』というのは『エボリューションライン』というシュワルベのレース用タイヤのことを表しています(プロワンのことです)。現時点で、だいたい1本6,000円くらいです。