チューブレス

フックレスリムとは何なのか?メリットとデメリットをまとめてみる

次に購入するホイールのことを調べていると、フックレスのリムが気になってきました。購入候補にする以上は調べたうえで購入する必要がありますので、そのメリットとデメリットについてまとめてみます。

前回の話はこちらです。

新ホイールを検討中2年ぶりに新しいホイールの購入を検討しています。 ■きっかけ きっかけは、現在使っているDTswissのERC1400とフレームとの...

■フックレスとは

そもそもフックレスとは、現在のリムの定番形状であるビードフックが無いリムのことです。下記の図はENVEによるフックレスの模式図ですが、左からクリンチャータイヤ、フック付きリムで使用するチューブレス、フックレスリムで使用するチューブレスです。

ENVE.comより

私には、フックが無くてもタイヤが外れないということが感覚的に理解出来ません。タイヤの保持に必要だったからフックがあったのではないのか?いきなりフックを無くしてしまって、何故タイヤが外れないのか?

『フックレスリム専用タイヤ』があるのならまだ理解が出来ます。しかし使用可能なタイヤはこれまでの製品でOKらしい。もちろんリムとタイヤの相性があるので何でも良いわけではなく、適合タイヤリストが各ブランドから出されています。

推測するに、フックレスが成り立つ構造は以下のようなものではないでしょうか。まずタイヤ側のビード部分の形状がフックレスにも適合するように(結果的に)比較的平らである、そしてリム側はハンプ(画像の『RIM BEAD LOCK』の部分)がしっかり作られており、フックが無くてもタイヤが外れない。

そして空気圧は低圧(最大で6.0bar程度)で運用すること。高圧(10.0bar)にするとさすがに外れてしまうようです。低圧での運用が必要ということは、28Cなどのワイドなタイヤが必要です。28Cで最適化するためには、ワイドなリムも必要です。ワイドなタイヤ&リムにするには、ディスクブレーキも必要です。低圧での運用には、これらの条件が必要なのです。

総合すると、タイヤとリムの形状及び低圧で運用すること、この2点でフックレスが実現しているのではないでしょうか。

MTBでは既にフックレスリムは珍しくありません。のむラボさんのブログにもフックレスのリムは何度も登場しています(ENVEが多い)。自動車やオートバイはとっくの昔にフックレスになっていることを考えると、騒ぐようなことでは無いのかもしれません。

■採用しているブランド

まず現時点で、ロード用ホイールとしてフックレスリムをリリースしているブランドは私の調べた限りでは以下の3社。

  • ZIPP
  • ENVE
  • GIANT

ZIPP

ZIPPは303Sと303 Firecrestにフックレスが採用されています。特に303 Firecrestはリムハイト40mm、内寸が25mmもありながら重量が1,352g。ディスク用ホイールとしては驚異的な軽さです。

ENVE

ENVEはSESのAR系及びFoundation Collectionでフックレスを展開しています。ARは『All Road』の略です。グラベル向けですが、スペック的にはディスクロードでも普通に使えます。

フックレスを採用するSES3.4ARディスクは、リムハイト39/43(フロント/リア)、リム内寸25mm、重量1,417gと軽量です。リムの外寸が32mmもあるので、入らないフレームもあるでしょう。その場合はほぼ同スペックのSES3.4ディスクにすると良いと思います。こちらはフックありリムです。

最近リリースされたミドルグレードの『Foundation Collection』は、価格が消費税込で20万円を切るというENVEらしからぬ価格が魅力です。それでいてリムを製造している工場は、これまでの上位モデルと同じ自社の工場なので非常にお買い得。リムハイトは45mmと65mmがありますが、どちらもフックレスなのでチューブレス専用となります。

GIANT

GIANTは2020年にリリースされたSLRシリーズからフックレスを採用しています。SLR1とSLR2ですね。1と2の違いはハブとスポークです。

SLR1はリムハイト42mmですが、重量は1,452gとかなり軽量です。しかも価格は16万円(税別)。さすがGIANT。リムの内寸は19.4mmなので、ワイドリムが好みではない人はこちらを使うのも選択肢です。

GIANTのフックレスリムはGIANTブランド(CADEX含む)しか使えないことがデメリットでしたが、『GIANTテストプロトコル』というフックレスリム向けのテスト基準が策定されており、これに合格すれば適合タイヤとして認定される仕組みを持っています。

現在のところ、認定されている他社ブランドはシュワルベとマキシスとなっています。GIANT以外のタイヤも使えるのですね。他にはヴィットリア、コンチネンタル、ピレリをテストしたと記載がありますが、こちらはテストに不合格。しかしこれらのブランドとは協力してGIANTのフックレスで使用出来るように対応を進めていくとあります。

■メリット

さてフックレスリムのメリットについてです。

  1. リム内幅が広がることで、同じタイヤでもエアボリュームが増える
  2. リムウォール先端の構造がシンプルになり、頑丈になる
  3. タイヤのビードとリムウォールの接触する面積が増えるため、タイヤの変形が抑えられる(グリップとハンドリングの向上)
  4. リムとタイヤがツライチになるため、空力が向上する

各ブランドの主張をまとめると、概ね以上のような4つに集約されます。

1については、GIANTは『23Cのタイヤを25Cの幅で使えるため、その分が軽量化になる』ともしています。ZIPPとENVEは『特定のタイヤ幅(主に28C)』にリム形状を最適化していると謳っているため、このようなPRは行っていません。

またフックが無くなることは確実に軽量化になると思うのですが、その分は頑丈にする方向に使われているようです。

こうして見ると何か革命的な進化がある訳では無く、フックという不要な要素を排除することで構造がシンプルになるので、ホイールとしての基本性能が総合的にアップしますよということのようです。

■デメリット

一方デメリットとしては、以下が挙げられます。

  1. 使用可能なタイヤが限られる
  2. チューブレス以外で使用出来ない
  3. パンクした際にチューブを入れる事が困難
  4. ビードが上がりづらい

ブランドがデメリットを教えてくれることはありませんので、海外も含めてフォーラムなどから集めてみました。主に運用面でのデメリットになりますね。

大きなものとしては、チューブレスでの使用が大前提であるうえ、使用できるタイヤが限られているということでしょうか。特にコンチネンタルのGP5000チューブレスはどのブランドでも対象外となっています。ハメるのがあれだけ大変なタイヤですから簡単に外れることは無いと思うのですが、相性が悪いようです。

まぁメジャーブランドのヴィットリア、シュワルベ、IRCなどは問題が無いようですから、それ程デメリットではないのか?とは思います。ENVEなどはハッチンソンのOEMでタイヤまで作ってしまいましたね。

チューブレスの使用が前提のホイールなので『チューブレスの使用をやめたい』という場合でも、チューブドとして使う事が出来ません。これもデメリットではありますが、慣れてしまうと特に何も感じません。チューブドも使いたくなったら、まずはZONDAあたりの安いホイールを2本目として買うと思います。

むしろチューブレス派に転向したおかげで家に沢山あった使いかけや穴の開いたチューブが無くなりましたし、未使用の在庫チューブの劣化を気にすることも無くなりました。その一方でシーラントやチューブレステープの在庫が増えているのですが(笑)

■まとめ

構造としてはメリットが多いのですが、使える人が限られるという印象です。

使用に向いている人

既にチューブレスを使っている人には、特にデメリットは無いのでは?と思います。私も特にデメリットがあるとは感じません。タイヤの選択肢が少ないというのはデメリットとまでは言えないと思いますし、ビードが上がりづらいなども、工夫したら何とかなる話です。

パンクしたらシーラントが何とかしてくれますし、それでダメならMTB向けに沢山売っている『パンク穴に何か詰める系』の修理キットで対応します。チューブレスでパンクした差に、チューブを入れてチューブドにする発想は捨てた方が良いと思っています。

やれば分かりますが、チューブレスタイヤにチューブを詰める気にはなりません(笑) タイヤをはめるだけでそれなりに大変だからです。修理キットで穴が塞がらなかったら、潔くDNFですね。その前にチューブレスならパンク自体ほとんどしません。

そしてこれって『フックレスのデメリット』ではなく『チューブレスのデメリット』ですよね。

このように、フックレスリムはチューブレスの進化系であることが分かりました。性能自体はフックありリムよりも理論的には確実に向上していそうです。

フックレスリムを買うとチューブを入れて使う事が出来ませんので、私の様にチューブレスを使い続けるのだ!という人や、『2つ目として持っておけば良いでしょ』という人には非常に向いていますね。さて、どのホイールを買いましょうか…。

新ホイールを検討中2年ぶりに新しいホイールの購入を検討しています。 ■きっかけ きっかけは、現在使っているDTswissのERC1400とフレームとの...

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