【レビュー】独自の口金が超有能!パナレーサーのワンタッチフロアポンプ『BFP-02AGEZ2』
独自のワンタッチ口金を搭載しているパナレーサーのフロアポンプ『BFP-02AGEZ2』を買ったのでレビューします。
■総合評価
- とりあえずこれを買っておけ的な優秀な商品。
- 口金が優秀。直観的に使えるうえ固定力が非常に高い。
- 軽い。
- 軽さと引き換えに安定感がなく、高圧を入れる際に辛い。
■特徴
パナレーサーから出ているフロアポンプです。ワンタッチで脱着が可能な独自の口金を搭載しており、この口金が差別化の最大のポイントです。
ワンタッチの口金を採用したフロアポンプ
この独特の形状をした口金が高性能なのです。
詳細は後述しますが、確かに使いやすい。割と直観的に使えるという点と、固定力の高さが両立しています。プシュッと差し込むだけでコツとか不要。これなら私の家族でも使えそうです。
一般的なポンプヘッドの『ヘッドをバルブに挿しこんだ後、レバーを引き上げて固定する』という方式の製品は、面倒過ぎて2度と買う事は無いと思います。
仏/英が利用可能
この製品はデフォルトで仏式と英式のバルブに対応しています。一般的には仏/米ですよね。しかし米式に対応していても、使ったことなんてほとんどありません。むしろどの家庭にもあるママチャリが英式なのですが、その際にはアダプターをかます必要があります。
これが原因で我が家の家族はいつまで経ってもママチャリのタイヤに空気を入れることが出来ず(覚えてくれない)、4台もあるママチャリの空気圧当番は私でした。ところがこの口金は英式ならアダプター不要なので、かなり画期的です。
米式を使う際はアダプターが必要な方式です。恐らく一生使わないと思いますが。
■製品概要
価格
まずお値段ですが、この性能の割に安価です。メーカーサイトに記載の価格で4,700円(税別)。樹脂のパーツが全体的に多用されており、コスト面からも他社と差別化を図っているようです。
その反面、レザインのように重厚感があったり(その代わり15,000円位する)、ヒラメのように所有欲まで満たされる(ポンプヘッドだけで約5,000円)…という商品ではありません。そのような競合とは、しっかり差別化出来ているという点では良いと思います。
重量
樹脂が多用されているおかげで重量が非常に軽いです。何と約1.1kg。
持った時にその軽さに驚きました。特に台座が樹脂製なことが軽さに貢献しています。ただし台座が金属製の商品に比べると、安定感にやや欠けます。その分だけ価格も安いのですが…。
一方、今まで使っていたトピークのJoeBlowは何と1.7kg。重さは安定感にもつながりますので、重さ=悪ではありませんが、重いのは事実。ちなみにトピークのフロアポンプは2.5kgというものもありますので、1.7kgならトピークの中では軽い方です。
エアゲージ
この製品のエアゲージは手元についているパターンです。価格が高い製品に多いですね。単純に見やすいので、良いと思います。
また空気圧を調整するリリースボタンも、このエアゲージのところに付いています。立ったまま調整が可能なので、こちらも有難いですね。
兄弟製品
この製品の型番は『BFP-02AGEZ2』ですが、廉価版として『BFP-PGEZ1-B』という製品があります。特徴である口金は同じなのでコア機能としては同性能ですが、以下の違いがあります。
(左がBFP-02AGEZ2のスペックです)
- 上限空気圧:11bar/7bar
- 本体の材質:アルミ/樹脂
- その他、台座の形状が異なる(BFP-02AGEZ2の方が安定感がありそうな形状)
こうしてみてみると、廉価版の『BFP-PGEZ1-B』で十分だという人は多そうですね。とにかくこの商品の特徴は口金なので、ここが一緒であれば他は割り切るという選択肢は十分にアリです。最近はリムのワイド化に伴ってタイヤも太くなり、10barとか入れるのも過去の話になりつつありますからね。割り切ると言っても、上位機種の『BFP-02AGEZ2』も造りにこだわった製品…ではないですし。
■購入動機
私はフロアポンプを既に2台も持っており、自分の事ながらフロアポンプをこれ以上増やしても仕方がない状態です。それでも新たに買ってしまった理由を以下に紹介します。
airbone ZT-A15がENVEのバルブと相性が悪い
一番の理由は、ENVEのホイールを買ったことでチューブレスバルブもENVEになったのですが、それから今まで使っていたポンプヘッドが装着しづらくなったことです。
今まで使っていたポンプヘッド『ZT-A15』についてはこちら。
このヘッドは、DTswissのホイールを使っていた時に買いました。こちらも優れた商品でかなり気に入っていたのですが、ENVEのチューブレスバルブが相手だと非常に装着しづらくなってしまったのです。装着時にヘッドを装着する角度や押し付ける力加減を微妙に変えたりしながら何度もやり直さなければならず、非常にストレスでした。
ちなみにENVE45に付属のチューブレスバルブはこの長さです。露出部分が若干短いので、それで掴みが悪い気もします。ZT-A15のインプレ記事にも書いたようにバルブ本体にネジが切っていなくとも十分に固定出来る優れたヘッドなのですが、奥まで入らないと厳しいようです。長いバルブに交換しれば解決するかもしれません。
携帯ポンプが何やら凄いらしい
このように困っていたところ、同じパナレーサーの携帯ポンプが『使える』というbaruさんのツイートを見つけます。なぜ同社の携帯ポンプが使えるのかというと、口金が優れているからだと。そしてその口金は、同じものがフロアポンプにも使われていると。
困っている時はまず物欲で解決すべしということで、早速フロアポンプを買ってみたのでした。
■使用感
それでは実際に使ってみた感想です。
装着方法
まずは装着方法から。この口金の特徴は、とにかく簡単である事。『お作法』的なものを覚える必要はありません。
フレンチバルブに空気を入れる時は、まずこの青パーツが出た状態にします。
青パーツが出た状態で、バルブに押し付けます。そうすると青パーツが引っ込むと共にがっちりと固定されます。これが一般的なヘッドの『レバーを引き上げて固定する』工程に該当します。
そういったレバーを引き上げたり、ネジを締めるといった『いかにも固定します』というアクションが不要です。たったこれだけで強力に固定され、11barまで空気圧を上げる事が可能です。
と言っても、最近はワイドタイヤ化が進みましたので『5.0barでも高圧』という状況だったりするのですが…。とにかく簡単、確実に高圧まで入れる事が可能です。
外し方
次に外し方です。装着した時に、青パーツは中に引っ込んでいくと説明しました。その分、反対側ではグレーパーツ(英式用の口)が飛び出てきています。
ソイツをぐいっと押し込むと、また青パーツが出てきます。青パーツが出てきたということは、バルブがリリースされているということです。もう固定力はありませんので、後はヘッドを抜くだけ。抜くと言うか、グレーパーツを押し込んだ時点で勝手に抜けていると思います。
ちなみに私はズボラなので、固定された状態のままヘッドを引き抜いています。このやり方でも青パーツが出てくるので、問題無く引き抜くことが可能です。
外し方が簡単な事も重要なポイントですね。何故なら容易に外れてくれないと、せっかく入れた空気圧が下がってしまうからです。
■まとめ
非常に使い勝手に優れたワンタッチ口金を搭載している上に、リーズナブルなフロアポンプです。このポンプが狙っている層はこのような人達かと思いますので、当てはまる人には非常にお勧めできます。
- スポーツバイク(ロードやMTB)を買ったばかりの人
- スポーツバイクの他に、ママチャリの空気も入れる人
- 軽くて高性能なフロアポンプが欲しい人
- 高性能なフロアポンプが欲しいけど、安い・簡単が良い人
とにかく分かりやすいので、スポーツバイクを買ったばかりの人には、最初の1台としてお勧めです。『フロアポンプはこの世にヒラメ以外いらない!ヒラメ最高!』という様な人はターゲットではありませんので、気にする必要はありません。
しかしヒラメも万能ではなく、色々面倒だったりしますので(一番の弱点は、1個で色々なホイール・バルブに使えないことが多いという事でしょうね)、その辺に疲れてしまった人も検討の余地はあるでしょう。
他には重いポンプは辛いという人や『フロアポンプの収納場所は倉庫の奥なので、ポンプが重いと腰に悪い』みたいな人とか、軽くて高性能なポンプを求める人にも良いと思います。
難点は、樹脂パーツが多用されているので高級感が無い(4,000円台の商品なので当然ですが)、安定感がやや少ない、パーツの摩耗が早そうという点だと思われます。
しかしこのあたりが気に入らない人は、最初からヒラメやレザインを購入していると思います。パーツが摩耗したらヘッドだけ売っていますから交換すれば良い話です。自分の求めるものは何か?という優先順位を常に意識して、賢い買い物をして欲しいと思います。
繰り返しますが、この商品は『4,000円台で非常に優れた口金のポンプが買える』という点が最大のポイントです。4,000円台を実現するために、他の部分は割り切った造りになっています。しかも国内メーカーなので、入手性が良いこともメリット。このポンプが必要な多くの人に広まると良いですね。