スペシャライズドのロード用シューズ『S-WORKS 7』を買いましたのでレビューします。

■総合評価
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- 軽い、十分な剛性、フィット感の調整のしやすさ
- カラー展開も豊富(個性的なカラーが多いが)
- 41,800円と他社も含めた高機能シューズの中では安い
■購入動機
2023年のPBPで使用する想定のシューズの1つとして購入しました。あと2ヶ月で2022年ですから、PBPは1年8ヶ月後くらいです。のんびりしている場合じゃないです。今回はフィジークのシューズ『TEMPO POWERSTRAP R5』も同時に購入したので、1200kmを走る必要のあるPBPにはどちらが適しているのか使いながら確かめる予定です(一応、ブルベでは硬すぎないフィジークかな?と想定はしていますが)。
このシューズを選定した理由は以下の通り。
- アッパー、ソールとも剛性が高くパワーロスが少なそう
- 薄いアッパー素材で足にフィットする
- 2BOAダイヤルで調整が容易
お店で試着をしてみましたが、とにかくホールド性能が高い。アッパーは軽量かつ強靭なことで有名なダイニーマが使われています。そのためアッパーを薄くすることが可能になり、足にぴったりフィット。しかも伸びないので剛性も高い。薄くて軽くてしっかりフィットする。試着してみて『これは買うしかないな~』というのが最初に出てきた感想でした。
■製品概要
製品カテゴリーについて
スペシャライズドの『S-WORKS』にカテゴライズされるシューズです。『S-WORKS』はスペシャライズドの最上位のモデルに付けられているグレードですが、ご存じの通りフレームなど幅広い製品に『S-WORKS』のグレードがついています。
シューズについては『S-WORKS』ファミリーが増殖傾向にあって、2021年11月現在では以下の派生モデルが存在します。それぞれ超軽量とか通気性が良いなどの一芸を持っています。
- S-WORKS ARES
- S-WORKS VENT
- S-WORKS EXOS
S-WORKSシリーズの他は『TORCH 2.0』と『TORCH 1.0』の2モデルしかありません。廉価モデルは2つなのに、S-WORKSは4つもあるという強気のラインナップになっています。
ソールについて
ソールはカーボンソールです。『FACT POWERLINE』という名称のソールは、剛性指数15。スペシャライズドはソールの剛性を数値化しているのですが、S-WORKS 7が最高の15です。前述のTORCH2.0もカーボンソールですが、剛性指数7と半分ほど。TORCH1.0は樹脂ソールで6.0です。

アッパーについて
アッパーは上側2つをBOAダイヤル、つま先側をベルクロで固定する方式です。BOAダイヤルはBOAと共同開発した『S3-Snap』というS-WORKS 7の専用品です。


単純に反対側のフックにかけて固定するだけですが、意外とフィット感が高いです。
BOAが付いている部分がダイニーマで、つま先部分は少し伸縮性を持たせたTPU(熱可塑性ポリウレタン)生地が使われています。生地どうしは圧着で繋がっているため縫い目がありません。ちなみにダイニーマは様々な分野で使われています。私が使っている『suew』のサドルバッグもダイニーマです。

ヒールについて
非常の収まりの良いヒールカップが装着されています。これのおかげで非常に引き脚がやりやすい。ケイデンスが高い人は重視すべき項目ですね。

ちなみにインソールを取るとボルトが見えます。交換可能なヒールになっています。

インソールについて
インソールは若干立体的になっていまして、そこそこ収まりが良いです。

サイズ、カラー展開について
サイズは36(23cm)から45(29cm)まで。ハーフサイズもあります。カラーは全部で8色もあります。コストのかかるフラッグシップモデルにしては珍しいです。カラー展開は売れる色と売れない色がはっきりしますからね。
またこのモデルにはワイドモデルがあります。カラー展開も7色ありますし、サイズ展開も全く同じ。物凄いコストの掛け方で、スペシャライズドの気合の入れようが分かります。
重量について
メーカー公称重量は42サイズで224gです。実測すると、左:238g、右:240g。インソールが12gなので、インソールを抜きにすると226g程度とほぼ公称通りの重量です。



価格について
価格は41,800円です。シューズのS-WORKSファミリーの中では最も安いので、お得に感じてしまいます。我ながら金銭感覚の狂い方がすごいです…(ちなみにpaypayのキャンペーンで2割安く買えた)。
■レビュー
フィット感について
2つのBOAで固定する方式ですが、単純に反対側のフックに掛けるだけのシンプルな構造です。なのに非常にフィット感が高い。薄くて強度が高いダイニーマのおかげだと思います。

またフックを外すと簡単にフルオープンになるため足の出し入れも非常にやりやすい。ちょっとした休憩時にテンションを緩める事も容易です。タン部分にも微妙にクッションが入っており、フィット感向上に貢献しています。

ペダリングについて
全体のバランスが非常に良いのでペダリングしやすい。レーダーチャートにすると、全方位が高得点のやつです。まず感じるのが軽さ。軽さ is 正義。ヒールカップも収まりが良く、シューズとの一体感がすごい。アッパーはしなやかなのに剛性が高く、歪まない。
10の力で踏んだら10の力をきちんとペダルに伝えてくれるという、当然のことをしっかり実現してくれている感じです。
ソールについては見た目ほど硬い印象は無く、600kmブルべでも普通に走れてしまいそうな感じがします。ただ踏み込んだ時の反応は速く、ダンシングの時なんかは速くなった気分になれます。
インソールについて
フィジークのインソールは母指球部分にクッションが付いています。感覚が変わるかな?と思いインソールを入れ替えてみましたが、スペシャのインソールの方がフィット感が良かったです。

次に更なるフィット感を求めて今まで使っていたシダスのカスタムインソールと入れ替えてみました。しかし重くなる(だいたい40g程度は重量が増えます)のと、圧迫される感じになってしまったので見送りました。現状でも十分フィットしています。

クリートの取り付けについて
高級シューズなので、クリート位置調整の目安となる目盛が付いています。地味に有難い機能です。ちなみにクリート取付用のボルトはチタンです。ボルトは前後に5mm移動させることが可能です。

ブルベでの使用について
100km程度走ってみたり、坂も登ってみましたが、懸念していたカーボンソールによる疲労みたいなものはありません。今まで使っていたシューズより軽いし、ロスが無いので逆に効率的だと思います。
ただ10%超のキツい坂を何キロも登り続けるようなシチュエーションでは、かなりの力で硬いソールを踏み続けることになりますのでさすがに疲れを感じました(その分、速く登れるのですが)。
またコンビニに立ち寄った時などに簡単にBOAのテンションを緩める事が出来るのも嬉しい。200kmのブルベ程度なら全く問題無さそうです。フィジークのPOWERSTRAP R5はブルベ用として買ってみたのですが、使い分けに悩みそうです。こんな感じで簡単にフルオープンに出来るので、足を休ませるのが簡単です。

■まとめ
今さら私が何か書く必要もない完成されたシューズだと思います。4万円のシューズを買ったのも初めてですが、不満な点は特にありません。
フィット感が良くて、軽さを実現しながらアッパーとソールの剛性も高いという教科書通りの高機能シューズです。それに加えて足の出し入れも非常にやりやすい。
『S-WORKSを買おうか悩んでいる…』とツイートした時に、アーツさんが『途中で中途半端なものを試す時間とお金が無駄になるのが目に見えてるので、トップグレードを揃えるのが正解、回り回ってリーズナブル』と言われて買ってしまったのですが、正にその通りの感想です。
今までフィットが甘かったり、アッパーが歪むことでロスになっていた分があったのだという気付きもありました。カラーバリエーション、ワイドモデルも含めたサイズ展開が豊富なのもメリット。これで41,800円なら十分安いと思います。
唯一の欠点を挙げるとすれば、ついつい踏みすぎてしまい脚が売り切れ気味になることくらいでしょうか。あと、階段を降りる際にタンが足首に食い込んで痛いです。これ位しか欠点がありません。

シューズを買う時は必ず試着をすると思いますが、近所に特約店やスペシャショップがある方は、ぜひ一度履いてみる事をお勧めします。