ロードのディスクブレーキパッドをチタンモデルに交換する。
ディスクロードのブレーキパッドを交換しました。今回は、メタルパッドのフィン無し+チタンバックプレートというマニアックなモデルに交換します。以前から使ってみたかったのです。
今回はディスクロードのブレーキパッドを交換する記事ですが、パッドの交換作業を詳しく紹介した記事は別に書いています。こちらからどうぞ。
■今回交換するパッド
今回のエントリの主旨であります。交換に使用するパッドはシマノ型番:『K04Ti』、メタルパッドのフィン無し、バックプレートが『チタン』のモデルです。みんな大好きチタンですよ、チタン!
そもそもチタンバックプレートモデルとは?
シマノ純正ロード用ディスクブレーキのパッドには、用途に応じていくつかのモデルがあります。
- パッドがレジン or メタル
- 放熱フィンの有り or 無し
- 『バックプレート』がスチール or チタン
上記の違いにより、シマノ純正のパッドは全部で6モデルあります。一番安価なモデルが『レジンのフィン無し』、一番高価なモデルが『メタルのフィン有り』です。バックプレートがチタンのモデルは放熱フィンの無いタイプに設定されています。放熱フィンがあるタイプは、プレート及びフィンの材質はアルミですからね。
バックプレートがチタンになると、当然ながら高価になります。それでは、あんな小さなプレートをチタンにするとどんなメリットがあるのか?カタログには特に記載が無いので、メリットが全く分かりません。価格はノーマルよりも約700円も高くなるのに、何の説明も宣伝も無いと売れないと思うのですが…。
そこでシマノに確認したところ『ノーマルと比較すると軽量、高剛性です。そのためフィーリングがカッチリします。』との回答でした。主にブレーキフィールに影響するようです。微妙な差ですね…。
※チタンの特性は、高剛性ではなく高強度です。シマノの中の人も勘違いをしているようです。
各モデルのより詳しい違いは、以下の記事に解説しています。
ちなみに、K04Tiの性能レーダーチャートはこちら。パッドが同じなので、性能もノーマルタイプと同じとなっています。果たして700円を余分に払う価値はあるのか?インプレは最後に記載しますが、インプレ記事としても別に書く予定です。
■パッド軸も交換する
また今回は、パッドをチタンモデルに交換する他に『パッド軸』も別モデルに交換します。交換するのは『Y8JZ98010』。パッドを固定している軸ですが、ロード用はネジの駆動部(ネジ頭のこと)がマイナスのタイプ。こちらはMTB用のBR-M785に使われているパッド軸で、ネジ頭は六角穴付きとなります。この軸の脱着の為だけにマイナスドライバーを出してくるのが面倒なので、ついでに交換してみます。
ただし、あのシマノがわざわざ作業性の悪いマイナスの駆動部にしているという事については当然ながら理由があります。一般的には、わざわざマイナスの駆動部を採用する理由は『トルクをかけて欲しくない(締めすぎると壊れる)』『汚れが溜まる箇所である』等でしょうか。
しかも今回は、ブレーキパッドを固定する軸ですから少々リスクがあるかもしれません。安易に自己責任という用語は使いたくありませんが、個人的には影響は少ないと考えているので交換してみます。しかしお勧めはしません。またこの『Y8JZ98010』ですが、ノーマルと比べると2mmほど長いのです。ブレーキングの際、横方向の負荷は発生しないと思うのですが、この辺も使ってみないと分からない部分です。
とにかくシマノがベストとして市場に出しているにも関わらず、特にブレーキのパーツを勝手に自己判断で交換するのはリスクがあるということは認識しておきましょう。自転車でも車でも、ブレーキに関するサードパーティーのパーツはいくらでも販売されていますが、この辺はバランス感覚が求められる部分であります。
■交換作業
パッドを外す
それでは交換作業です。まずはパッド軸をマイナスドライバーを使って外します。軸が取れたら、パッドは手で引き抜くだけです。
外したパッドです。レジンのフィン無しタイプですが、非常に汚い。。。減り具合では半分程度なのですが、それでもパッドの上側には削りカスがかなり溜まっていました。またプレートについているピストンの跡を見ると、パッドの中央に当たっているわけでは無いことが分かります。ピストンが押す位置は、中心から少しオフセットしているんですね。
このパッドはまだ半分ほど残っているので、水で洗って保管しておきます。
ピストンの戻し
パッドを外したら、次はピストンを戻してあげます。油圧ディスクは、パッドが減ってもその分だけピストンが出てくることでクリアリンスが一定なのが特徴です。パッドを半分も使うとピストンもそれなりに出てくるので、専用工具を使って力で押し戻します。これをしないと新品の厚いパッドが入りません。キャリパーの内側は光が当たらないので見づらいですが、画像中央の赤い線の分だけピストンが出てます。
キャリパー内を清掃
続いてキャリパーを清掃します。キャリパーの外側にパッドのカスが付いているので清掃するのは当然として、内側のピストンも真っ黒なので清掃します。ピストンが汚れていると動きが悪くなるので、ピストンが戻りきらずにパッドとローターが接触する原因になったりします。
ウエスで清掃すると、これだけ綺麗になりました。完全に綺麗にしたい場合は、オイル交換の際にピストン自体を外して清掃しましょう。
パッドの重量測定と取り付け
ピストンが綺麗になったらパッドの取り付けです。取り付ける前に、軽量かつ高剛性高強度が売りのチタンバックプレートモデルの重量を測定しておきます。まずこちらがK04Ti:チタンバックプレートモデルの重量です。ペアで15g。
こちらが先ほどまで使っていた半分使ったレジンパッドです。重量は14g。新品の状態では恐らく16~17gではないでしょうか。軽量化の効果は2~3gというところですかね…。
パッドの取り付けは、バネを間に挟んで2枚のパッドを上手にキャリパーに挿入。その後、千枚通しのような細い棒でキャリパー、パッド、バネの穴の位置を一直線に揃える。揃ったらパッド軸を挿入して、スナップリングを装着して完了です。
先ほど、今回新たに取り付けるパッド軸『Y8JZ98010』はノーマルよりも2mmほど長いと書きましたが、実際の画像は以下の通り。まずこちら(フロント)がノーマルのパッド軸。スナップリングの装着位置は、キャリパーから1mmほどの位置です。
こちらのリア側が、交換した『Y8JZ98010』です。少しだけ長いことが分かります。特に問題はなさそうに見えます。
これが装着したチタンモデル。バックプレートがチタンの鈍い輝きを放っている(ように見えます)。
■感想
また別の記事として新たに書きますが、確かにカチッとしたブレーキフィールになります。メタルのノーマルモデルとも確かに違いがありますし、レジンとは全然違います。レジンはスピードコントロールに向いていますから、パッドとローターが接触してから効きがじわっと立ち上がってくるのに対し、メタル+チタンだとパッドとローターが接触した瞬間からガツっと効きます。そのフィールがメタルよりも更に強調されています。
私はこちらの方が好みです。リムブレーキの時も、私はリムとシューの遊びがほぼ無いようなセッティングをしていて、少し握っただけですぐに効くような感じにしていました。ここは好みが分かれる部分だと思いますね。レジン+チタン(K03Ti)だとちょうど良い具合になりそうなので、こちらも使ってみたくなりました。
■まとめ
今回は、ロード用ディスクブレーキのブレーキパッドを『K04Ti:チタンバックプレートモデル』に交換しました。若干ですが軽く、ブレーキフィールも確かに変わります。チタンバックプレートモデルにはレジンパッドもありますので、そちらも試してみたくなりますね。
パッドが品薄な状況が続いていますが(2021年6月現在)、在庫があるお店もあります。特に今回のチタンバックプレートモデルはマイナーなので、在庫があるお店もあるでしょうし(今までは売れなかったでしょうから)、もしかすると発注すればすぐに入荷されるのかもしれません。興味があればお試ししてはいかがでしょうか。