【レビュー】パナレーサー アジリスト ライト25C(AGILEST LIGHT)
パナレーサーの『アジリスト ライト(AGILEST LIGHT)』を購入しました。エベレスティングに使用して340km走りましたので、レビューします。今回は25Cを使用。
■総合評価
- 一言でいうとアジリストのトレッドを薄くして軽量化したバージョン
- 走りの軽さと、グリップが両立
- 最初からトレッドが薄いため、路面追従性も良い
エベレスティングのために『軽量さ』の1点だけを目的として買ったタイヤですが、意外と(と言っては失礼ですが)走りが良かったです。ノーマルのアジリストよりも先にライトを使ったのですが、完成度の高いタイヤと感じました。
転がりの軽さを求める人はアジリストですね。先日レビューしたIRCのASPITE PROとはキャラが全く異なります。
■購入動機
エベレスティングにチャレンジするにあたり、クリンチャーで軽量なタイヤを使いたかったためです。何しろ獲得標高で約9,000m、距離にして340kmを走ります。まずは単純な重量の軽さ、次にそれなりの走行性能を兼ね備えているであろうタイヤとして、リリースされたばかりのアジリスト ライトを選定しました。
■製品概要
概要
アジリストシリーズの軽量タイヤです。アジリストのクリンチャーには、ノーマルな『アジリスト』、軽量な『アジリスト ライト』、耐パンク性能を強化した『アジリスト デューロ』の3つのラインナップがあります。
アジリスト ライトの謳い文句には『走りの軽さを実現するために』とありますので、単純に重量だけが軽いモデルではなさそうです。
パッケージやwebサイトを見ると、アジリスト以上の走りの軽さを実現するためにトレッドパターンや原材料も専用設計したとあります。コンパウント『ZSG AGILE Compound』、耐パンクベルト『Tough & Flex Super Belt』はアジリストと共通の名称なのですが、名称が同じでも中身が違うという意味なのでしょうか?
パナレーサーの商品ページでは、ヒルクライム:10点、レース:8点、ツーリング:6点という点数配分がなされています。ノーマルのアジリストは全て8点。レースにおいては同じ適性があるということになっています。
重量、サイズ展開、価格
アジリスト ライトのラインナップは以下の通り。タイヤ幅は23Cと25Cの2つとなっています。
- 23C:160g
- 25C:170g
参考小売価格はいずれも6,820円(税込)となっています。重量については、先代の軽量タイヤ『GILLAR』と同じとのこと。
新ETRTO対応
新ETRTOの規格に対応しています。規格の通り、内幅19mmのリムにセットすると25mmになるとのこと。
今回は内幅21mmのMAVIC SLR32にセットします。タイヤ幅は26mmになるはずですが、計測したところ27mmでした。写真は撮り忘れました…。空気圧は5.0barです。
■レビュー
それではレビューです。
実測重量について
まずは重量を測定します。公称は170gですが、166gおよび161gでした。2~5%下振れしています。
トレッドパターンについて
トレッドパターンが専用設計という謳い文句がありました。アジリスト ライトのトレッドはこのようになっています。サイドに模様がついています。トレッドには明確なパターンがあるわけではなく、若干光沢のあるシボのようになっています。
ちなみにこちらはノーマルのアジリスト。模様がありません。またシボなのは同様ですが、光沢が少なくマット感が強いです。こちらの方がグリップがありそうな印象。ライトの方が少しだけさらっとした感触なので、転がり抵抗が低い…のかもしれません(そんなに単純ではないと思いますが)。
脱着のしやすさについて
タイヤの脱着のしやすさについて。タイヤを箱から出して触った時の第一印象は、『トレッドがなんて薄いタイヤなんだ』ということ。ペラペラです。
アジリストも薄いですが、それよりも更に薄い。それだけに脱着は非常にやりやすかったです。タイヤレバーを使用せずに手だけで装着出来ました。対象ホイールはMAVICのSLR32。
その後、フロアポンプで空気圧を5.0barまで上げると『パン!』という音と共にビード上げも完了。ちなみにチューブは同じくパナのR’AIRです。
トレッドが薄いということはそれだけでかなりの軽量化につながりますが、アジリストのトレッドも結構薄いんです。そのため単純にアジリストのトレッドを薄くするだけでは(ライトとノーマルの)25Cの重量差である20gも軽くならないと思います。やはり細かい点で耐パンクベルトなどの仕様を変えていて、軽量化を果たしているという印象です。
走行性能について
走ってみた感想です。私のスペックは身長170cm、体重57kg。チューブはパナのR’AIRで空気圧は5.0barでセットしました。
私はアジリストよりも先にライトを使ったのですが、確かに走りは軽い。軽量さと抵抗感の無さで登りはもちろん平地も非常に快適。
感触でいうとコンチネンタルのGP5000系で、グリップ感よりも転がり抵抗の少なさにステータスを振っている感じです。iRCとは反対のドライな走行感ですが、グリップ感が希薄とまでいかないところがバランスが取れていると思います。
意外と下りも安心してバイクを倒せたのですが、そもそものトレッドの薄さが大きく貢献していると思います。単純にトレッドが薄いほどしなやかになりますので、パンクのリスクや寿命を考慮しなければ、高性能な部類に入ると思います。
ただし…手に取れば分かりますが、非常にペラペラなのでツーリングに使おうという人は少ないと思います。レースなどリスクを取れるシーンでは非常にお勧めです。
こちらはエベレスティングで340km走った後のトレッドの様子です。私は体重57kgで非力なためと、半分の170kmは下りであったためあまり減っていません。こちらはフロント。新品と言われても分からないレベル。
こちらがリアです。さすがにセンターが減っていることが分かりますが、まだまだ乗れそうです。
■まとめ
ラインナップが一新されたパナレーサーのアジリストシリーズの中で、軽量部門の担当です。単に軽いだけでなく、走行感の軽さと薄さによるしなやかさを上手に生かしてハイレベルにバランスが取れていると思います。
これで6,820円(税込)なのですから、コストパフォーマンスは非常に良いです。慣らしを終えたものを1セット常備しておいて、ここぞという時にスムーズに使えるようにしておくのが賢い気がします。