【レビュー】シマノ ディスクローター『RT-CL800』

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シマノが2022年に発売した新型ディスクローター『RT-CL800』のレビューです。これまではカンパのローターを前後とも140mmで運用していましたが、今回は160mmと140mmを購入しました。

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■総合評価

ハードブレーキングをすると、すぐに『反り』が生じてパッドと擦れることで『シャンシャン音』が発生し、悪評の高かったシマノのディスクローターがモデルチェンジ。変形のしづらさを謳っていますが、意図した性能が出せているのではないかと感じます。

  • ハードブレーキングでも反りづらい
  • 前作よりもフィンの面積が減少し軽量化
  • 軽量かつ安価、シマノなので入手性も良い

■購入経緯

今まで使用していたカンパのローターが寿命となったためです。

使用距離は約30,000km。見た目が気に入っていたこと、制動力には何の問題も無いことから、気づくと約4年も使い続けていました。厚さは当初の1.76mmから1.1mmに。重量も99gしかないローターが16gも軽量化(約16%)され、目視でブレーキトラックの段差が判別できるようになり、さすがに交換を実施。

2022年の発売当初に購入していたシマノの『RT-CL800』がありましたので、2年間も寝かせてしまいましたが交換した次第です。

■製品概要

今回はRT-CL800を購入しました。本製品はロード・MTB共通のパーツですので、グレードはアルテグラ/XTです。

パッケージについて

パッケージ右下には、ローター径が140mmであること、同梱のロックリングが内セレーションであることが示されています。

MTB向けとして、180mmおよび203mmのローター径もラインナップされています。ちなみに140mmと160mmは4アームですが、180mmと203mmは5アームとなります。

同梱品について

箱の中身です。ローター本体のほか、説明書、ロックリング(左上の白い包み)が入っています。

使用限界について

説明書には、パッドの厚さが0.5mm以下になったら使用しないこと、ローターの厚さが1.5mm以下になったら使用しないこと、などが記載されています。

私はカンパのローターを1.1mmまで使用してしまいましたが、これはカンパローターが1枚の金属から構成されているため、たまたま問題が無かったことによるもの。シマノの場合はアルミをステンレスでサンドイッチしている構造ですから、摩耗でステンレス部が無くなると非常に危険です。

ローターの初期厚みを測定したところ、約1.76mm、使用限度は1.5mm。0.26mm摩耗したら交換ですから目視では判別が困難です。ノギスなどを購入して、定期的にチェックする必要があります。

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ロックリングについて

ロックリングは『SM-RT81』が付属します。私は外セレーションの『SM-HB20』を使用しているので、こちらは使いません。

SM-HB20であれば、工具は『TL-FC36』のみで着脱可能です。

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重量について

重量です。まず140mmは95g。公称96g、誤差1gなので非常に優秀です…と言いたいところですが、どうもサイレントで仕様変更がある様子(詳細は後述)。

先に160mmの重量を測定します。こちらは112g。公称114g。

この公称値ですが、私が2022年に購入した当時の2022年7月時点シマノカタログによると上記の重量でした。カタログの記載は以下の通り114gと96gです。

ところが2023年1月のシマノカタログでは以下の通り。発売して約半年しか経っていないですが、早くも重量が増加しています。

この後、2024年11月現在に至るまでシマノからは特に仕様変更のガイドはありません。160mmの場合は約11%と結構な重量増を果たしているわけですが、現在の重量はどうなっているのでしょうか。

良く見ると『RT-CL800』が出るまでは軽いと言われていた『RT-MT800(160mm)』の重量が108g⇒127gと約18%も重量増になっていたりします。

ちなみにデュラ(XTR)グレードの『RT-CL900』は、2022年当時も現在もカタログ重量は160mm:114g、140mm:96gです。RT-CL900とRT-CL800の違いは、放熱性を高める塗料(RT-CL900の黒い部分)の有無のみと言われています。

これが『RT-CL800(160mm)』は実は重かったのです、127gでした…と言うことでシマノから訂正が入り、実測重量も127gであれば分かりやすいのですが、『RT-CL800(160mm)』の実測重量は先ほどの通り112gなわけでして。

現在店頭在庫として出回っている個体の重量が、果たして何gなのか興味のあるところです。ネットで検索しても2022年当時の記事しか出てこないので、購入して試してみるしかありませんね。

■レビュー

カンパローターから交換後、500kmほど使用しました。

制動力

直前まで使用していたカンパのローター、および前作のSM-RT800と比較しても特に違いは感じられません。当たり前ですが、ダウンヒルでも雨でも特に意識することなく普通に使えます。

ちなみに現在使用しているパッドは、ベスラの『Trail』というオーソドックスなレジンパッドです。

音鳴り

多くの人が気にするであろう音鳴りですが、前作と比較して明らかに改善しました。

シマノのローターは放熱性の高いアルミを芯材として、耐摩耗性の高いステンレスで挟むというサンドイッチ構造を採用しています。そのことがハードブレーキングに伴う高温による音鳴り(シャッ、シャッという音)を引き起こしていました。

これはシマノローターがサンドイッチ構造であることによるのですが、詳しくは以下の記事にまとめています。

メーカーに特注のサンドイッチ構造鋼板(クラッド鋼板と言います)を作らせるなど、放熱性についてはかなりのこだわりを持っているシマノ。しかしその結果、高温になると膨張率の違いにより反りが発生し(詳細は先ほどの記事を見てください)、パッドに接触する現象が発生していたと思われます。

そして本製品ではどうかと言うと、着実にそのネガを解消していました。時速50km/hからのブレーキング後でもかすかに音が鳴る程度です。前作であれば、確実にしばらくは音が鳴っていたシチュエーション。

この音鳴りが嫌でカンパを使っていたのですが、これならシマノも選択肢に入ってきますね。

シマノとしては新設計のアームに変更して堅牢性を高めたそうですが、確かに裏側を見ると変形しづらそうなアームの形状をしています。

耐久性

耐久性については、まだ500kmしか使っていないため不明です。使い込んだら追記しますが、1年後くらいになりそうです。私の体重は58kgなので、タイヤもブレーキも中々減らないのです…。

■まとめ

前作の欠点を着実に解消したシマノの新型ローターです。

この記事の執筆時点で発売から2年が経過していますから、普通にシマノのロード用ローターを買うと本製品を入手することになるはずです。

以前は音鳴りがひどかったので私の様にカンパを買うか悩むユーザーも存在したと思いますが、現在は解消しています。後は見た目の好みで選択しても問題ないと言えます。

またロード用としてローターを在庫しているお店のほとんどはシマノローターを在庫しているでしょうから、入手性に関しても非常に優れていると言えます。

シマノとしては珍しく、重量・制動力・入手性・反りにくさなど様々な要素を高レベルで実現している製品と思います。とりあえずこれを買っておけば良いという製品に仕上がっていると感じました。

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ABOUT ME
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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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