R9150系デュラエースDi2 新登場したパーツからシマノの方向性を探る①
パワーメーターの話が途中ですが、シマノのサイトでDi2のマニュアルを漁っていたら新型デュラエースのR9150系Di2のマニュアルがアップされていましたので、目を通してみました。
(機械式のデュラエースはR9100系の型番ですが、Di2はR9150系の型番がナンバリングされています)
特に気になっていたのは、今回のR9150系から登場したDi2系のパーツがいくつもあることです。新型の『バーエンド内蔵式ジャンクション』や『ワイヤレスユニット』などが筆頭ですね。しかし、いくつかのサイトを探してもシマノから発表された概要だけは記載されているのですが、ジャンクションやワイヤレスユニットなどのマニアックな小物に関しては、実際にどのような使い方をするのか詳しく紹介したサイトは流石にまだ無い様子。
私にとってDi2は最高のおもちゃ。今回のデュラエースR9100系へのモデルチェンジは、内蔵パワーメーターや油圧ディスク、Di2はシンクロシフトなどMTBの流れがロードにも降りてきており、単なるマイナーチェンジとか言われています。
でも私にはシンクロシフト対応とか全体的な性能向上はどうでも良くて(本当はよくないけれど)、細かいデバイスで遊ぶのが楽しいのです。お金があったらすぐに一式発注して人柱になりたいところですが、さすがにそうもいきません…。そこでディーラーマニュアルを読んで分かった範囲で、自分の理解内容を整理することも兼ねて、細かい製品の紹介をしたいと思います。
まず今回出た新しいデバイスで主だったものは以下の通り。ちなみにロード用に関して記載します。
1、EW-RS910(内蔵ジャンクションA・2ポート)
2、EW-RS911(ジャンクションA・3ポート)※詳細不明
3、EW-WU111(新型ワイヤレスユニット・bluetooth対応)
4、EW-JC200(新型2ポートアダプター)
5、EW-JC130(Y型分岐ケーブル)
6、SW-R9150(新型サテライトスイッチ)
7、BM-DN100(新型バッテリーマウント)
8、BT-DN110(新型内蔵バッテリー)
9、EW-WU101(旧型の形状のままbluetooth対応になったワイヤレスユニット)
それでは順に見ていきます。
■新型ジャンクションA(EW-RS910)
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従来はステム下か、レックマウントなどを使用してハンドル裏に固定していました。これをハンドルエンド部、またはフレームのダウンチューブに内蔵しましょうというもの。
これのポートは、2ポートとなっています。ちなみにシマノのサイトを見ると、EW-RS910の隣に、型番が非常に似ている同じくジャンクションAの『EW-RS911』というものがあり、こちらは3ポートという記載があります。しかしシマノサイトには画像が載っておらず、海外のサイトなどを見ても画像が出てこないので、単にポートが1つ増えただけの製品なのかどうか、判別がつきません。
日本語以外のシマノサイトを見ると、EW-RS911の説明文には『Junction for around Cocpit Area』とあります。またタキザワのECサイトを見ると『外装仕様』という説明がありますので、もしかすると内蔵タイプでは無いのかもしれません。じゃあ一体何なんだよ、となるのですが、画像も説明も無いので全く分からないですね…。現行のジャンクションAには3ポートと5ポートがありますので、EW-RS910のポートが1つ増えたもの、と想像するのが順当でしょうか…?
※2017/04/28追記:EW-RS911は少し前に、シマノのサイトから削除されています。闇から闇に葬り去られたようです。
■新型ワイヤレスユニット(EW-WU111)
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次にワイヤレスユニット。従来と比べて随分すっきりした形状になりました。これで従来のANT+によるサイコンへの各種データ送信と、Bluetooth LEによるスマホ・タブレットとの通信機能を備えています。従来のユニットは下記の画像の様にケーブルを並列でつなぐような形状になっていましたが、今回は直列でつなぐ形状になっています。これはユニットを接続する場所を変更しますよ、ということですね。
ちなみに、これの通信機能を省いたものが2ポートアダプター・ジャンクションBの『EW-JC200』(約1,800円)となります。
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■Y型分岐ケーブル(EW-JC130)
諸悪の根源、エレクトリックケーブルの新型です。Y型は1つで5千程度で売っておりますが、通常のケーブルでも1本3千円しますので、何故かY型ケーブルがお得に見えてしまいます。しかしエレクトリックケーブルは1本千円くらいにして欲しいですよね、異なる長さのケーブルを複数調達して、ケーブルの取り回しを試行錯誤したりしたいのですが…。
この製品、最初見た時には一体どこに使用する目的でリリースされた製品なのかと思いましたが、従来のジャンクションAの代わりのように用います。ちなみに分岐している方の短いケーブルですが、ここの長さはたったの5cmしかありません。
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また長い方の2本のケーブルは、長さのバリエーションで3タイプあります。
・250/350mm
・350/450mm
・550/550mm
恐らくハンドルの大きさ、及び内蔵ジャンクションをどこに設置するかで使い分けるようになっていると思われます。
続けて3種類を紹介しましたが、この3種類はセットで使用します。どのように使うの?ということは、このディーラーマニュアルの構成図を見れば一目瞭然です。
自転車全体が載っていますが、ハンドル回りだけご覧下さい。
アルファベットのコードはそれぞれ、
・F:Y型分岐ケーブル
・G:内蔵ジャンクション
・H:ワイヤレスユニット
を表しています。
どのように接続するのか、と言いますと…
1、まずハンドルのバーエンドに、内蔵ジャンクションを装着します。
2、内蔵ジャンクションと右STIを接続します。
3、Y型ケーブルを使って、左STIと内蔵ジャンクションを接続します。
4、Y型ケーブルの短い方にワイヤレスユニットを接続します。
5、ワイヤレスユニットからBBにあるジャンクションBにケーブルを伸ばします。
この通りです。ちなみに私がやるのであれば、右側のバーエンドにはミラーがついていますので、左側のバーエンドに付けることになるでしょう。
このメリットは、下記の2点でしょうか?
・ジャンクションAがステム下から消えることで、空力と見た目が良くなる。
・ワイヤレスユニットがチェーンステーから消えることで、(サイコンと近づくので)通信がより安定し見た目が良くなる。エレクトリックワイヤーの取り回しも非常にシンプルに。
(今までのワイヤレスユニットでも、今回の構成と同じにしていた人がいますよね)
シマノとしては、eTapのように無線には出来なかった(しなかった)けれども、空力向上のためにジャンクションAについては隠せるようにしましたよ、ということですね。また後から追加されたために明らかに取付位置がおかしかったワイヤレスユニットも、ケーブルを延長するジャンクションの役割と兼用になり、またブレーキのアウターと一体化が出来るようになって(後述)、これも空力向上に一役買っています。
とにかく、ごちゃごちゃしていたハンドル付近が少しでもすっきりするのは大歓迎です。このハンドル下にあるジャンクションAは早く無くしたいと思っていました。ハンドル回りがとかく大変なことになりがちなブルベでは、すごいメリットがあります。
この画像の丸の中がジャンクションAですね。ちなみに今回はサテライトスイッチも、下側へ出っ張ることが無いような空力向上に寄与するデザインの新製品に代わっています(次回後述)。
またワイヤレスユニットは、エレクトリックケーブルを延長する役目もするということですね。何しろY型ケーブルの短い方はたったの5cmしか無いのですから、ワイヤレスユニットを使ってBBまでケーブルを中継しろ、ということですよね(ワイヤレス機能が不要な人は、2ポートアダプターのJC200で代用することになります)。
マニュアルには、ワイヤレスユニットを付けた後のエレクトリックケーブルは、付属のクリップでブレーキのアウターケーシングとまとめて下さい、という指示があります。これでエレクトリックワイヤーがブレーキのアウターと一体化することで、空力や見た目も向上するでしょう。
■ハンドルにケーブル内蔵用の穴が空いていない場合は?
ジャンクションを内蔵するということは、当然ケーブルもハンドルの中を通るということです。私のハンドルはケーブル内蔵タイプなので問題ありませんが(ケーブルを通す作業は恐ろしく面倒ですが…)、ケーブルを内蔵出来ないハンドルでは、ハンドルをこういうタイプに買い替えるか、この場所に穴を開けるしかないようです。シマノのPROシリーズのハンドルは、このあたりはキチッと対応製品を出してくるようです。
■ダウンチューブ内蔵タイプって?
上記のジャンクションAの説明で記載しましたが、新型ジャンクションAはダウンチューブにも内蔵することが出来るようになっています。内蔵イメージはこんな感じ。
これはピナレロのDOGMA F10ですが、こんな感じで埋め込まれます。さすがピナレロは早速対応フレームを出してきましたね。別にバーエンド部分に内蔵すれば良い気がしますが、ハンドルの中にケーブルを通すのは面倒ですし、ハンドルもケーブル内蔵タイプをチョイスする必要がありますからね。でも、今でこそDi2対応フレームは沢山ありますが、さすがにダウンチューブに穴を開けてくるメーカーはしばらくは少なそうな気が。
とりあえず今回はここまで。次回は残りを紹介します。