ミノウラ キャリア用スルーアクスルはフェンダー固定用として使えるか?
先日、フカヤからミノウラの新製品がリリースされました。その名も『キャリア用フロントスルーアクスル』及び『キャリア用リアスルーアクスル』の2種。
ミノウラのwebサイトを見ても掲載が無いので、この商品は『FK商品』と思われます。FK商品とは、ミノウラの製品でも日本総代理店であるフカヤでのみ扱うことが可能な製品のことです。以前からの制度ですけれども、フカヤは商流を優遇されているんですね。
リリースは4月中旬でしたが、既に流通しており即発注をかけて入手しました。
どちらも1,000円前後の商品なので、それ程高価ではなく気軽に入手出来ます。
製品の趣旨としては、スルーアクスルの車種にもフォークエンドとリアエンドのダボ穴を増設してキャリアを付けましょうという製品です。
■購入目的
これは商品名の通りキャリアを付けるための商品なのですが、私はシナプスのフェンダーの固定をより確実にするために購入しました。これを使って思い通りの結果になるか分かりませんが、Let’s人柱です。
現在、シナプスのフロントフェンダーは下記の様にステーを自分で曲げ加工して取り付けています。
これはフォークのダボ穴が下から1/3ほどの変な位置に空いているためで、舗装の状態が良くない場所を長時間走って衝撃が加わり続けると、フェンダーの固定ネジが緩んでくることがあります。ステーも1本しかないので、固定力も不足しているのでしょう。
この位置に穴が空いているせいで、使えるフェンダーも限られる上に加工もしないといけない、固定力も不足する場合がある、と完璧ではありません。そこでフォーク先端にダボ穴を増設することで、2本ステーで固定するタイプのフェンダーに交換して固定力をアップさせたい、というのが目論んでいる事です。果たしてうまくいくでしょうか。
■製品概要
スペック
それでは商品を見ていきます。スルーアクスルの径はフロント/リアとも12mm。今では一般的となったフロント12×100、リア12×142の規格に適合します。フロントアクスルの長さは125mm。ネジピッチ1.0と1.5の2種類が用意されます。ネジピッチというのは、フレームやフォークによってネジ切りのピッチが違うんですね。なので、スルーアクスルはクリックリリースの様に汎用的では無く、フレームの付属品と言われるのはこのためです。
リアは長さ177mm。ネジピッチは1.0、1.5、1.75の3種があります。
ちなみにネジピッチは、スルーアクスル側に刻印してあります。
重量
重量です。従来のレバー付きの付属品(フロント)は60g。
キャリア用スルーアクスル(フロント)は、アクスル単体だと35gと軽量です。レバーが無いので当然です。これを回すには6mmのレンチが必要になりますので、キャリアを付けずに軽量スルーアクスルとして使う事も出来ると思いますが、レンチを携行する分の重量が増えます。
付属品
付属品です。付属品の中身はフロント/リアとも共通です。
長さ調整のための平スペーサーが2枚、臼型スペーサーが1枚。
キャリア固定用のボルトが長さ違いで4本。M5×12mmとM5×16mmです。それとワッシャーが5枚。ネジは基本的には長い方を使います。
外観
既存のアクスルと並べるとこんな感じです。こちらはフロント。同じ長さですね。
こちらはリア。スペーサーを装着しています。キャリア用スルーアクスルの方が長く、エンドから飛び出る事になります。これはエンドの形状が様々なので、その分のマージンを見ているためと思われます。取り付けをして理解が出来ましたが、最初は『これって長すぎでは??』とお店に確認に行ってしまいました…。だってフロントは同じ長さだったのですよ…。
ともかくこれで間違いはありませんので、早速取り付けてみたいと思います。
■取り付け
フロント側
特に難しい部分はありませんが、フェンダーを付けるとなると少々面倒です。輪行の時は余計に時間がかかりますね。まずは既存のスルーアクスルと交換します。レバーがありませんので、固定には6mmのレンチを使います。スペーサーは臼型のものも含めて、3枚全て使用しました。
ローター側はこのようにツライチになります。リアもこうなるものでは?と思ってしまったんですよね…。こちらにもネジが切ってあります。
それではフェンダーを装着します。今まで使っていたフェンダーはディズナのロードフェンダーでしたが、在庫してあったSKSのブルーメルスを使いました。まずはクラウン裏から固定。
フォーク側を固定します。最初の位置決めが大変でしたが、ステーをフェンダーにいったん固定してしまえば、次回からは楽です。フォークから3mmほどアクスルの頭が出ています。その上からステーを付属のワッシャーをかまして固定します。
ローター側です。反対側はアクスルの頭が5mmほど外に出ていますので、左右均等にするためにこちら側にはワッシャーを4枚重ねなさいと取説に指示があります。ワッシャーをこんなに重ねるのは少々不安を感じますが、その通りにします。
思ったよりも上手くつきました。バランスも良く、しっかり固定されています。実走した感じでは、以前の1本ステーよりも安定感があります。今後はブルーメルスでいきましょう。若干不安なのが、ローター側は4枚もワッシャーを重ねているのでどこまで振動に耐えられるのか…という点。そもそもがキャリア用でもっと負荷がかかるでしょうから、その点では大丈夫なのか?
リア側
続いてリアも交換してみます。リアはフロントとは違いダボ穴が変な場所に空いていないので今でも十分に固定されており、この商品を使う必要性を感じていません(笑) それでも買ってしまったので、交換してみたいと思います。
まずはメンテスタンドに固定した状態で、アクスルだけを装着してみます。こちらは頭の方。
反対側です。8mmほどこのように出てきます。私のフレームのエンド形状では何の問題もありませんでしたが、場合によっては上側が覆うように出っ張っているタイプもありますので、その場合でも固定出来るように出ているのでしょう。
フェンダーを固定してみます。全く問題無く固定が可能です。
こちらの方が多く出ているので、ワッシャーは不要。
突き出し幅を揃えるため、リアの場合はこちら側にワッシャーが必要になります。
ホイールを装着するとこんな感じです。こちらの方が衝撃には強そうではありますが…大して変わらないかな。
輪行時は少々手間が増える
リアについては、逆に輪行時に面倒なのでキャリア用スルーアクスルの採用は見送りたいと思います。
従来は
『ホイールだけ外す ⇒ フェンダーを取り外す』
という手順で輪行時に分解が出来ました。ところがこれを使うと、
『アクスル部分のフェンダー固定のネジを外す ⇒ ホイールを外す ⇒残りのフェンダーを固定しているネジ(BB裏とシートステー集合部)を外す』
という様に手順が増えます。スルーアクスルにフェンダー固定とホイール固定の2つの役割を担わせているので、当然です。ただフレームにダボ穴が空いていなければ選択の余地はありませんから、このキャリア用スルーアクスルが神製品に見える人も多いと思います。私のようにフェンダーの固定に使う人は少数派でしょう。この商品があったとしても、シナプスのようにBB裏やフォーククラウン裏にダボ穴が無いとフェンダーは装着出来ないですからね。
その他の使い方も
ちなみにフォークにダボ穴が増えるということは、こんなことをしなくても(これはこれでメリットがあるのですが)クイックの時と同じようにライトホルダーが増設出来てしまいます。
■まとめ
この『キャリア用スルーアクスル』、フロントフォークとリアのエンド部分にダボ穴が増設出来ますので、かなり便利に使えると思います。商品名の通りのキャリア用としては申し分ないと思います。
シナプスの様に元々ダボ穴が空いているグラベル系のディスクブレーキのバイクでも、キャリパーとの干渉を避けるために穴の位置が中途半端な場所であることが多いです(特にフロント)。
私のようにフェンダーが上手く付かないという場合でも、この製品を使えばバッチリ装着可能になる人が多いと思います。何しろかなり理想的な位置にダボ穴がきますからね。しかもミノウラだけあって製品の質も良く、ガッチリ固定してくれます。
フロントとリアは別々に買えますから、興味がある方はとりあえずフロントだけとか、まずはそういう買い方をしてみてはいかがでしょうか。色々使い道がありそうですので、フロントだけでも1本持っておいて損は無いかもしれませんね。