【ENVE】ディスク用ホイールはこれだけある!2021年度版まとめ
2020年時点でのディスクブレーキ用ロードホイールをまとめています。今回はENVEです。
■ENVEを簡単に紹介
性能もさることながら、価格が高い事でも有名なENVE。ホイールだけでなく、カーボンのハンドルやステム、シートポストなども作っています。アメリカのユタ州に拠点を持ち、Made in Americaを強力にPRしています。日本での代理店は2019年からダイアテックに変わりました(その前はアメアスポーツ)。
ロード用のディスクブレーキホイールでは、2020年現在で『SES』と『FOUNDATION COLLECTION』という2つのラインがあります。
SESは『Smart ENVE System』の略で、フレームに装着した状態を考慮して前後ホイールを統合的に開発したものです。そのため前後でリムの形状が異なっており、風を最初に受けるフロントはリム幅が広くハイトは低め、リアはリム幅が狭くハイトが高くなっています。またMTBでは今や普通となった『フックレスリム』も早くからロード向けに展開しています。
カーボンリムも自社で製造しているため技術力が高いとも謳っており、カーボンのレイアップを1枚単位で調整したりとか、スポークホールを最初から穴の空いた状態で成型するなどしています。プリプレグの状態から自社で作っていることになりますね。
※プリプレグ:樹脂を含侵させたカーボンのシート
FOUNDATION COLLECTIONは、従来SESしか無かったENVEが初めて出したセカンドラインで、フックレスリムなどの技術はそのままで前後のリムは同じものを使うなどしてコストを抑えたラインです。20万円代の市場を狙った製品ですね。
ENVEは価格が1パターンしか無いというのも特徴で、SESシリーズの価格はどれを買っても393,800円。FOUNDATIONは217,800円です(価格はいずれも税込)。税込みで40万近くしたENVEが、FOUNDATIONなら半額の約20万円で買えてしまいます。
※FOUNDATIONシリーズは、2020年12月に217,800円に値上げされました。
⇒2022年4月に更に値上がりして272,800円になりました。
■SESシリーズ
それではまずはSESから並べてみます。ARを含め全部でモデルとなります。
※代理店であるダイアテックのサイトのとあるページには『SES4.5 DISC』が掲載されているのですが、誤りだと思います。
※リム高はフロント/リアの順です。
リム高 | 内寸 | 外寸 | 重量 | 価格(税込) | |
---|---|---|---|---|---|
SES 3.4 DISC | 38/42 | 21 | 27.5 | 1,420 | ¥393,800 |
SES 3.4AR DISC | 39/43 | 25 | 32 | 1,417 | ¥393,800 |
SES 4.5AR DISC | 49/55 | 25 | 31/30.5 | 1,569 | ¥393,800 |
SES 5.6 DISC | 54/63 | 19 | 29/28 | 1,553 | ¥393,800 |
SES 7.8 DISC | 71/78 | 19 | 29/27.5 | 1,651 | ¥393,800 |
モデル名について
まずARというのは『All Road』の略です。舗装路もグラベルも走ることを想定しており、太いタイヤを履くためにリム幅が広くなっているモデル。次にモデル名の数字ですが、数字が大きいほど平坦コースの走行を想定しており、空力が重視されリムハイトが高くなります。
重量について
ENVEのホイールはハブが選択できることも特徴です。上記の重量はオーソドックスなENVEハブの場合の重量を記載しています。クリスキングも選択肢にあるのですが、重量についてはクリスキングを選ぶと逆に重くなります。
またノーマル3.4と3.4ARを比較すると、3.4ARの方がリム幅が広いにも関わらず軽量になっています。これはARシリーズがフックレスリムだからです。そのためチューブレスタイヤの使用が前提となります。
こうしてみると、SES3.4の40mm近いハイトと21mmのリム内幅がありながら1,430gという重量はかなり優れています。例えばカンパのWTO33はリム内幅19mm、ハイトは33mmですが重量は1,485gです。価格も違いますし、設計思想も異なりますから一概には言えませんが。
例えばカンパはバルブを装着した状態で重量バランスが最適になるよう、最初からバルブと反対側の位相のリムを厚くしていたりします。バルブは約10gほどありますので、カンパのリムはこの機能を無くせば10g軽くなるということです。
■FOUNDATION COLLECTION
次にセカンドラインのFOUNDATIONです。こちらはロード用で2モデルあります。foundationはリムブレーキモデルは無く、ディスクブレーキ専用ラインとなっています。
※ENVE45の重量を1,541gから修正。こちらはSRAMのXDRフリーの場合の重量でした。
※2022年4月の価格改定を反映(217,800円⇒272,800円)。
リム高 | 内寸 | 外寸 | 重量 | 価格(税込) | |
---|---|---|---|---|---|
ENVE 45 | 45 | 21 | 28 | 1,561 | ¥272,800 |
ENVE 65 | 65 | 21 | 28 | 1,641 | ¥272,800 |
セカンドラインはSESの7割程度の価格となっています。SESと同じ工場でリムを作っているのですから、お買い得に見えてしまいます。重量は特に軽いわけではありませんが、ENVEブランドが欲しかった人にはお勧めです。。カンパばかり引き合いに出してアレですが、WTO45は1,520gで324,500円ですからね。
こちらもチューブレス前提のフックレスリムです。ディスクブレーキオンリーに加え、チューブレスオンリーです。ディスクブレーキじゃないとダメ、チューブレスじゃないとダメ、と最新のホイールを買うのも楽ではありません。
パンク時にはチューブを入れる事も可能です。しかしチューブレスの状態で推奨空気圧が4.0bar程度ですから、人によっては非常に低圧です。あまり速度を出さない様にする必要がありそうです。ちなみに私の体重は58kgなので、クリンチャーの時から5.5barくらいで走っていました。なので空気圧が4.0barでも『走りが重いなぁ』と感じる程度で、全然問題はありません。
ちなみに安いのはフックレスだから、という部分が大きいと思います。フックレスのリム自体は以前からMTBではありますので珍しくはありません。やっとロードにも波及してきたというところです。
フックレスのメリットは、構造がシンプルになることで同じ重量で頑丈に出来ると言っています。また製造工程も単純になるのでコストが下がります(それならSESのARも価格が変わっても良い気がしますが…)。カーボンの成型方法を考えると、構造をシンプルにするというのは強度も上がるしコストも下がるし良い事づくめのはずです。
またより理想的な形状でタイヤがはまるため、タイヤのサイドウォールの変形が減り転がり抵抗も減る。リムとタイヤがよりツライチになるので空力も向上する、などもメリットとして挙げられます。
ハブについてはSESと同等グレードのものを使用。フランジの加工を減らすことでコストを削減しているとのこと。この価格でこのスペックは気になりますね。デザインも、個人的には好みです。
※結局、ENVE45を買いました。
■まとめ
価格が2種類しかないので、FOUNDATIONのコスパの高さが際立ちます。SESも性能はかなりの高さなので、欲しい人は買うべきでしょう。
しかし最近のロード用ホイールも内幅が21mmというのが普通になってきました。リムの重量が幅広になっても変わっていないのは、技術の進歩を感じさせます。単純にリムの断面の三角形を広くすると、剛性も上がるという理由もありそうですが。
しかし28Cのタイヤを装着すると、確実に重くなってしまうのがデメリットです。いったん走り始めてしまえば現実の路面では25Cと比べて28Cの方が軽やかなのですが、タイヤメーカーの進歩が追い付いていない印象を受けます。そろそろ21mmの内幅を前提に軽量な28Cタイヤを作って欲しいところ。
ENVEも自社ブランドのタイヤ(OEM元はTUFO)を出していますが、特に軽いという訳ではありません。25Cから2mm刻みで太さがあるところはメリットですね。特に27Cが、21mmのリムにはめると28mmになるとなっており、絶妙な太さですね。
次はZIPPあたりをまとめる予定。他のブランドはこちらから。