楽して速くなるためのタイヤとチューブ選び ~パワー伝達効率向上~
■ディスクブレーキ+カーボンホイールを使い始めて1年
ディスクロードを買って1年半。ディスクカーボンホイールを買って約1年が経ちました。タイヤもコンチネンタルのGP5000が出たり、ヴィットリアがリニューアルしたりと商品も新しくなっています(タイヤメーカーも、時流についていかねばならない事情があるようですが)。自分の場合はタイヤがヴィットリアのコルサになり、28Cにもすっかり慣れてしまいました。
■練習したくないのでパワー伝達効率の向上を目指す
効率向上を目指す
日頃はブルべばかり走っていますが、ロードバイクはやはり『速く走りたい』という気持ちがあります。そのため、ブルベは超長距離のタイムトライアルみたいなものとして楽しんでいます。
しかし矛盾しているようですが、速くなりたいと言ってもフィジカルを向上させる練習はしたくありません…。これをやると多大な時間を投資しないといけないからです。そしてやめるとあっさり落ちる。それまでに投資した時間が大きすぎて、他のことに時間を使いたくなってもやめられなくなったりします。
そのためずっと『効率を向上させる』という視点で普段のライドや機材の選択を行ってきました。具体的にはパイオニアのサイコンを導入してペダリング効率を改善したり、28Cのタイヤを導入したりしました。
走行時の抵抗の大きさは?
ペダリング効率の改善は、効率向上でもありますがスキルの向上ですね。機材による効率の向上は、エアロフレームやホイールによる空気抵抗の削減が思い浮かびそうですが、言われている通り機材自体の空気抵抗は大したことはありません。一番重要な『見た目』には、どちらも大きく影響しますが(笑)
では空気抵抗の他にどんな抵抗が大きいのかというと、地面と接するタイヤおよびタイヤと一体の機構であるチューブの影響が大きいです。そのタイヤやチューブによる抵抗の影響が果たしてどの程度なのか?という事について、この『BICYCLE ROLLING ESISTANCE』というひたすらタイヤの抵抗を計測している有名なサイトによると、一般的なハイグレードタイヤで10Wくらいの転がり抵抗があります。これは屋内の試験環境で計測した場合の抵抗ですが、それでもこれ位あります。
実際の道路はひび割れだったり工事の跡の段差だったりがそこら中にある訳なので、現実の環境におけるタイヤに起因する走行抵抗というのは最低でも20~30Wはあると想定されます。
パワーメーターを見ながら走っていると、何もないところを30km/hで巡航している時の出力はだいたい150W程度です。ところが段差やひび割れの舗装を通過する時にそれまでの速度を維持しようとすると、必要な出力が突然250Wくらいに跳ね上がりますから、場合によっては30Wどころではありません。
この辺の抵抗というのはまた別途書きたいと思いますが、タイヤやチューブを工夫すればこの抵抗がかなり削減出来るはずなのではないか?そしてその削減はかなり効果的なのではないか?というのが私がやろうとしていることです。
ラテックスチューブという選択肢
これも以前からくどいくらいに言っているのですが、その抵抗を削減するための具体的な方策としてまずタイヤを太くするというのがあります。これは28Cにしたことでかなり効果を体感出来るようになりました。ビットリアは全般的にケーシングがしなやかなので、抵抗の大きめの路面には効果的です。
コンチネンタルのGP5000は転がり抵抗が低いと言われていますが、転がり抵抗の低さを十分に発揮できるのは綺麗な路面の場合ではないでしょうか。
次に、ラテックスチューブを使用するというのがあります。これも昔からの定番なのですが、ラテックスチューブは熱に弱いためチューブラーの中に用いられるか、アルミクリンチャー用としての使用が一般的でした。
5年前くらいから出始めたカーボンクリンチャーホイールは今ではかなり一般的になりましたが、それでも『リムブレーキ用』においてはラテックスチューブの使用は各メーカーから『使用はNG』と言われています。ラテックスチューブは非常にしなやかなのでヒステリシスロスが減って速く走れることは確実なのですが、アルミと違ってカーボンは放熱性が悪いため熱に弱いラテックスチューブを使うと、下りの途中で突然パンクする可能性があるからです。ヘタをしたら死んでしまうのですね。
ところがディスクブレーキ+カーボンホイールという組み合わせですと、リムブレーキのようにホイールのリムがブレーキで熱を持つという事はありえませんので、熱に弱いラテックスチューブを何の心配もなく使用することが可能になります。これはかなりのアドバンテージです。
今までは転がり抵抗の少なさで圧倒的に優れていたラテックスチューブを使うには重いアルミリムを使うしかなかったのですが、ディスクブレーキにすればカーボンホイールでもラテックスチューブを使うことが可能になるのです。
チューブレスは次のステップ
そして、その転がり抵抗が少ないラテックスチューブよりも、更に抵抗が少なそうなのがチューブレスです。シーラントを入れたりするのが面倒そうで私も敬遠していたのですが、段差やひび割れの抵抗を大幅に削減して速く走るためには、低圧で運用可能なチューブレスはうってつけのはずです。手間はかかりそうですが、これは是非使ってみたい(今更ですが)。
ところがチューブレスも今となっては別に目新しくも何ともない訳ですが、普及しているとは言えない状況と思います(特にロングライドにおいては)。
ブルべにおいては自己完結が前提なので、多少効率が向上しようが何よりも信頼性が重要な訳です。午前2時に山の中でパンクして修理も出来ないでは、時として命に関わります。私の周りのベテランランドヌールに聞くと、一度はチューブレスを使ってみたものの結局普通のブチルチューブに戻ったという人が多いのもこの辺りに原因があるのでしょう。
先日もツイッターで色々相談してみたのですが、そもそもチューブレスはパンクしづらい。パンクしてもシーラントが穴を埋めてくれる。…という理想的なシステムのはずなのですが、走行抵抗の少なさを考慮してもその他のデメリットの大きさで使う人が増えないというのが現実のところのようです。
しかしながら、4bar程度が標準的な空気圧というのがチューブレスのすごいところ。段差やひび割れの抵抗削減に素晴らしく効果的というのは、以前から言われているところです。まずはラテックスチューブを使ってからにしてみたいと思いますが、パンクの無い私としては是非チューブレスも使ってみたいと思っています。むしろチューブレスがファイナルアンサーだと思いたい。
いずれにしても、まずはリムブレーキ時代には禁断であった『カーボンホイール+ラテックスチューブ』から試してみたいと思います。前述のローリングレジスタンスによるとラテックスチューブの抵抗削減量は5W程度あるそうです。何も努力せずとも5W削減出来るというのは、相当すごいことです。
私なんか200W出していたらかなり頑張っている方ですから、20W削減出来たらなんと1割以上も効率向上が出来ることになります。屋内の試験環境で5W違うとしたら、実際の路面で20Wくらい(※荒れた場所を通過する場合)は余裕で削減出来る可能性があります。投資の費用対効果が非常に高い分野となるわけです。皆さんも、楽して速くなりたい方は一緒に試してみましょう。
※早速ラテックスチューブを入れてみました。
カーボンホイールでなければ、リムブレーキでもラテックスは普通に使えます。使えるものは積極的に使いましょう。私はビットリアを買ってみました。ミシュランは23Cまでしか無いのですが、バルブ長を選べるので良いですね。
ラテックスとTUBOLITO(ディスク用)の違いとか気になりますね。
試したいのですがラテックスでバルブ80ミリのものはないので・・・
うみさん
遅くなりました。確かにディスク用TUBOLITOは激軽なので気になりますが、路面追従性は低そうなのでちょっと迷っています。高額な上に品質もハズれがあるようなので。。。1本1000円程度なら、ハズれがあってもホイホイ交換出来るのですが。