【レビュー・インプレ】OGKの新作ヘルメット IZANAGI(イザナギ)購入
【暑くなってきましたので、昨年の記事を再掲します】初稿:2020/08/07
連日の暑さに負けて、ヘルメットを衝動買いしてしまいました。OGKのフラッグシップモデル『IZANAGI(イザナギ)』です。早速使ってみましたので、レビューとインプレです。
■購入経緯
本体価格のみで33,000円もするヘルメットを、何故私は買ってしまったのか?その理由は、暑かったからです。現在使用中のヘルメットは3年前に買った『AERO-R1』。出た当時はかなり話題になりましたが、今ではエアロヘルメットは珍しくも何ともなくなってしまいましたね。
画像を見てもらえれば分かりますが、カラーが黒い。そしてエアインテークが少ない。とは言え最初から分かっていたことでもあり、既に3年使っているのですが…遂に耐えられなくなりました。特にカラーが黒というのはかなりのネガティブ要素で、表面は明らかに熱くなります。
ヘルメットの素材は発泡スチロールみたいなものなので、断熱材でもあります。表面の温度は実は内側には全く伝わっていないのでは?と思うこともありますが、真夏に黒い被り物をしているのは、精神的にかなりきついものがあります。
特にここ数年は昼間に平気で35度を超える中、黒くて開口部の少ないヘルメットを着用して走っている自分はバカなのではないか?と思う時もしばしば。その位暑さがキツい。人間の活動する気温ではないですよね。東京オリンピックは来年今年開催するらしいですが、本当に大丈夫なのか?
まあ、このヘルメットも3年使っているし、そろそろ買い替えても良いかな…と思いお店に行くと、店頭在庫されていたのがこのイザナギのホワイトでした。
本当は、軽量モデルの『FLAIR(フレアー)』か、1つ前のフラッグシップの『ZENARD(ゼナード)』にしようと思っていました。ところが店頭にあったのがこの『IZANAGI(イザナギ)』だったので、仕方なく買ってしまいました…。カラーもホワイトだったし、サイズもぴったりだったし。しかもイザナギとゼナードって、価格が1,000円しか変わらないんですよ。来週からお盆で物流が止まりますからね、発注しても入手出来るのは2週間後ですから…。仕方ない。
というわけでヘルメットが新しくなりました。
■概要
ここからレビューです。
見た目
まず重要な見た目です。外観はこのようになっています。製品コンセプトとしては『最高の空冷効率、至極のフィーリング』となっています。日本を作った神様であるイザナギの名前を冠しているのも最高のモデルだから、ということでしょうか。これよりも上位のモデルをリリースする時は、どうネーミングするのでしょうか?
デザインは、定番のエアロを重視した形状になっています。被った時の第一印象は『被りが浅い』。店長さんにも『浅いですよ』と言われたのですが、被ってみると本当に頭の上にちょこんと載っている感じ。しかし実際に鏡を見るとそんなことはなく、耳とヘルメットの隙間がAERO-R1よりも数mm多いかな?という程度です。
では見た目が変になったりキノコになるのか?と言うとそんなことはなく、非常にすっきりした見た目でなかなか良い。縦方向だけでなく、横の張り出しも最小限に抑えられているのでは…。イザナギの素晴らしさは、この『コンパクトさ』にあると思います。
店長さんと2人で会話した限りでは、剛性と軽さを追求した結果、『小さく作れば軽くなる』という発想のもと、影響の無い範囲で微妙に小さく作った結果なのでは…ということになりました。
外観ついでにホワイトとブラックについては、表面に麻の葉(OGKはIZANAGI文様と呼んでいる)があしらわれています。こんなの言われないと分からないですね…。
重量
肝心の重量です。今回購入したのはLサイズです。前回のAERO-R1ではS/Mサイズを買ったら見事にキノコになり、L/XLサイズを買いなおしたという黒い過去がありました(OGKではサイズ区分がモデルにより異なります)。Lサイズの公称重量は240g。実測は245gなので誤差2%です。
AERO-R1は202g(公称205g)でしたが、この画像はS/Mサイズのもの。私はこの後にL/XLサイズに買い直していますので、そちらの重量は235g。重量的にはイザナギとAERO-R1はほぼ一緒ですね。
機能
このヘルメットの特徴は『レインフォースメント・ブリッジ』にあります。剛性を保ちつつ冷却機能を高めるため、この様な薄い樹脂製のパーツでシェルをつないでそれらを両立しています。従来はこの位置にも分厚いブリッジがあったわけですから、この薄さはエアフローの向上にかなり貢献していると思われます。
その他、後頭部の締め付けには、細かな調整が可能なBOAダイヤルを使用しています(ZENARDにも使用)。
アジャスターアームは、頭の形状に合わせて8段階に位置調整が可能。
ヘッドレストの幅も2段階に調整が可能です。アジャスターアームの前後調整と合わせて、かなり細かい調整が可能。しばらくいじってみましたが、ちゃんと調整するとびったりとフィットさせることが出来ます。ヘルメットって多少はぐらぐらするものだと思っていましたけど、これは違いますね。
また前頭部のパッドは『ウルトラスウェットパッド』と交換が可能です。額からの汗を左右に流し、目に入るのを防いでくれる効果があります。こんなものが最初から同梱されているのは素晴らしい。ヒルクラをしていると、キャップやバンダナをしていても目に汗が入ってきますからね…。
このスウェットパッドですが、フロー構造になっており本体からは離れて装着されます。額との密着度を上げる地味な工夫がなされています。
もう1つ嬉しいのが、このサングラスホールド機能。最近はサングラスをヘルメットに挿しておける形状のものが増えています。私もAERO-R1でヒルクラする時はよく挿しています。汗が目に入ってくるのを拭わないといけないんですよね。
その機能の利便性を上げるのが、このノンスリップラバーです。高さが3mmと4mmの2種が入っているという手の込みようで、サングラスの『つる』の太さにより高さを使い分けることが出来ます。ヘルメットに挿していても滅多なことでは落ちないのですが、やはり心のどこかで落ちないか気にしていました。このラバーは有難いですね。
■インプレ
さて実際に150kmほど走ってみた印象です。
被った第一印象は、思ったよりも頭にフィットします。各部の調整をしっかりやると更に快適です。重さは今までと変わりません。
肝心の冷却性能ですが、今までよりは確実に頭に風を感じることが出来ます。それは『今まで(AERO-R1)より良い』という感じのもので、いきなり頭が涼しくなるかと言うとさすがにそこまでではありません。
ただ、走っていて確実に感じたのは『ある程度以上は頭が熱くならない』ということ。このクーリング機能は確実に効果があると思います。AERO-R1の使用時は『熱気がこもっている感じ』があったのですが、それが普通だったため気になっていませんでした。ところがイザナギを被っていると、酷暑の中を走っていても今までのような『頭が熱い感じ』がありません。ある一定の温度から上がらないのです。
AERO-R1と比較すると、イザナギは開口部の大きさも数も全く違いますからね。この穴は意味があるということが分かりました。AERO-R1はいかにも暑苦しいです。イザナギの価格はお高めですが、ヘルメットのおかげで夏場の暑さとパフォーマンス低下が少しでも軽減出来るなら、私はお金を出しますよ。
あとはフィット感が良いです。面倒がらずにしっかり調整すると、頭にぴったりはまります。AERO-R1と重量がほぼ同じなのですが、頭と一体化しているので重さを感じません。フィット感が調整出来るって、意味のあることだったんですね…。
あとはあご紐の調整をもう少ししっかりやって、しばらく使い込んでみようと思います。久々に乗るモチベーションを高めてくれる投資が出来ました。昼間は長時間走れませんが、メリハリをつけてマメに走ろうと思います。
2021年の4月に新製品『VOLZZA(ヴォルツァ)』が出ました。空冷機能を重視しており、イザナギの廉価版というポジショニングですが価格は約6割の16,000円程度。『レインフォースメント・ブリッジ』が無いのでイザナギほどの冷却性能は無さそうですが、価格は魅力的ですね。
なんだかんだでAERO-R1はお勧めですね。イザナギの半額ですよ…。
とにかく軽いのが欲しい方は、フレアーです。こちらとかなり迷いました。