【ZIPP】ディスク用ホイールはこれだけある!2022年度版まとめ
各ブランドのディスクブレーキ用ロードホイールをまとめています。今回はZIPPです。各ブランドごとのディスクブレーキ用ホイールのまとめを2年前(2018年)に始めましたが、当時より格段にラインナップが増えました。
■ZIPPを簡単に紹介
ZIPPは今でこそ知らぬ人はいないブランドです。しかし当初(と言っても30年以上前ですが…)はロードバイクよりも、ドラフティングが禁止されているため単独走での空力が重視されるトライアスロン界において、性能の高さから大流行しました。
ZIPPのヘッドオフィスはモータースポーツで有名なインディアナポリスです。ZIPPのサイトを見ると、モータースポーツでの技術の蓄積がZIPPの高品質の背景にあると述べられています。ちなみにZIPPは2007年にSRAMに買収され、今ではSRAMグループの一員です。
現在もインディアナポリスの本社敷地内に工場を構え、樹脂を含侵させたカーボンシート(プリプレグ)を保管する冷凍庫(プリプレグは冷凍保管が必須。冷凍しても2年程度で反応が進んで劣化するため)から焼き上げを行う施設までを自社で保有しています。ENVEと同様、ZIPPもカーボンのプリプレグを自社で製造しているということになりますね。高品質なカーボンプロダクトを製造するためには、自社で製造設備とエンジニア(職人)を抱える事が必要な時代なのです。
■ZIPPホイールのラインナップ
ZIPPには、FirecrestとNSWという2つの製品ラインがあります。一言でいうとNSWがハイエンド、Firecrestがミドルエンドという製品ラインになります。最新技術はまずNSWに導入され、その後にFirecrestに降りてくるという流れになっています。
2022年現在の製品ラインとしては、この図が詳しいです。
2021年の製品ラインはこれだけありました。随分と製品ラインが整理されたことが分かります。
Firecrestがラインナップに追加されたのは2010年。当初はFirecrestがハイエンドのラインでした。それ以前からのZIPPの代名詞である幅広リム(当時は内幅17mmで幅広リム扱いだった)と、ディンプル加工が他社との差別化ポイントです。
そして2015年にFirecrestの上位モデルとしてNSW(Nest speed Weaponry)が追加されます。2016年には、生態模倣学を用いて開発された454NSWがリリースされます。ザトウクジラのヒレを研究したと言う、あのギザギザのリムですね。
2018年に、FirecrestにもNSWの技術が降りてくるというアップデートが行われます。リムサイドのディンプルとブレーキ面の加工です。この際、NSWについてはクリンチャーモデルがチューブレスに対応するというアップデートが行われました。
そして2020年になり『フックレス』のホイールがラインナップに加わります。『303 Firecrest』と廉価版の『303S』です。続いて2021年以降も404や808のFirecrestがフックレス化、更にNSWもフックレス化し、ディスクブレーキ+チューブレスが必須となってきました。
それでは順に見ていきましょう。
■Firecrest
まずはFirecrest(303Sを含む)です。
※価格は2022年8月の価格改定後の価格。
※Tubular以外は全てフックレスです。代理店のサイトにはフックありの旧モデルも掲載されていますが、いずれ販売終了すると想定してフックレスのみ掲載しています。
※重量はXDRフリーの場合。
名称 | リム高 | 内幅 | 外幅 | 重量 | 価格(税込) |
303S TUBELESS | 45 | 23 | 28 | 1,530 | 223,800 |
303 FIRECREST TUBELESS | 40 | 25 | 30 | 1,352 | 365,400 |
303 FIRECREST TUBULAR | 45 | – | 27 | 1,372 | 471,800 |
404 FIRECREST TUBELESS | 58 | 23 | 28 | 1,450 | 345,400 |
808 FIRECREST TUBELESS | 80 | 23 | 27 | 1,635 | 398,700 |
まずFirecrestシリーズのハブは、全てZR1ハブです。303Sは302の後継モデルなので、76/176ハブを引き継いでいます。808までリニューアルしたことで、全てフックレス仕様に。フックレスはチューブレスタイヤの使用が前提です。
また全てリム内幅が23mm以上ありますので、28Cタイヤの装着を前提にリム形状が最適化されています。
中でも目立つのが303Firecrestですね。リム内幅が25mmという超ワイドリムなのですが、フックレス化により重量わずか1,352gです。お店で見せてもらったことがありますが、リムサイドは紙のような薄さなのでは?と感じてしまうほど。
チューブレステープとシーラントが加わる(両方で60g程度)とは言え、他社のチューブレス対応ホイールも同じくテープもシーラントも使うのですから、デメリットにはなりません。
■NSW
次にNSWシリーズです。
※価格は2022年8月の価格改定後の価格。
※Tubular以外は全てフックレスです。代理店のサイトにはフックありの旧モデルも掲載されていますが、いずれ販売終了すると想定してフックレスのみ掲載しています。
※重量はXDRフリーの場合。
名称 | リム高 | 内幅 | 外幅 | 重量 | 価格(税込) |
353 NSW TUBELESS | 40-45 | 25 | 30 | 1,255 | 785,000 |
454 NSW TUBELESS | 53-58 | 23 | 28 | 1,358 | 785,000 |
454 NSW TUBULAR | 53-58 | – | 27 | 1,463 | 785,000 |
858 NSW TUBELESS | 82-85 | 23 | 27 | 1,530 | 818,100 |
まずNシリーズのハブは、全てCognitionハブです。磁力で噛み合うというハブですね。
NSWシリーズはリムハイトが2つ記載されていますが、これは例のギザギザのリム(Sawtoothプロファイル)だからです。製造工程も超絶面倒であろうことが一目瞭然な形状ですので、価格も高いですね。
以前は先にフックレス化を果たしたFirecrestシリーズの方が軽量だったのですが、NSWもフックレス化して大幅に軽くなりました。2022年8月の価格改定で2割ほど価格が上昇したため、価格もすごいことになっていますが…。それでも454や858は空力が非常に優れているとのことなので、一度は乗ってみたいホイールです。
今やZIPPだけでもこれだけのディスクブレーキ用ホイールがラインナップされており、ホイール選びに困ることは全く無いと言えます。しかもディスクブレーキならリム幅を広く作ることが可能なため、空力に優れたホイールが次々に出ています。
そこにチューブレスを組み合わせて、リムもフックレスにしてしまうと従来のリムブレーキ用ホイールに迫る重量のホイールが出てくるようになりました。
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