PBP(Paris-Brest-Paris)

【2023 PBP】PBPへ参加します。フランスの気候とカステリのみで乗り切るウェア選択について

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PBPの準備編、今回はウェアに関してです。PBPの開催は8月ですが、同じ8月でも日本とフランスでは気候がかなり異なります。

日本の8月は『屋外での運動が危険なレベル』に暑くなります。そのため8月のフランスのとのギャップが大きすぎて装備が不足しがちです。日本人の完走を阻んできた要素の1つと考えています。

私は所有するウェアの9割以上がカステリな『カステリアンバサダー(自称)』状態です。そのフランスの気候をカステリのウェアで押し切るにはどんなチョイスをすべきか?を紹介します。1つでも参考になるウェアがあれば良いと思います。

■フランスの気候について

いくつかの旅行サイトや経験者の話、過去のブログなどを総合すると、8月のフランス(パリ)の気温はGWの東北地方と同じ程度の様子。といっても青森まで北ではなく、福島あたりでしょうか。具体的には最低気温は5度まで下がることもあり、最高気温は30度まで上がることもある。

上記リンク先のグラフを見ると平均最高気温は約23度、平均最低気温が約13度。これは都市部のパリでの気温なので、郊外に行くと2~3度は低くなるでしょう。またパリとブレストは緯度的にほぼ同じであるにもかかわらず、ブレストはパリよりも約5度ほど気温が低く、最も気温が低下する5度前後が出現するケースはブレスト前後の明け方とのこと。

PBPに既に3回参加している某Bさんからも『PBPは寒さに気を付けろ』と100回くらい聞いていますので、日本の暑さとかけ離れていることは確かです。

またこの『気温差に苦労する』というのはアジアからの参加者全体に言えることらしく、インドからの参加者などもかなり苦労していたとのこと。日本は北海道がありますから夏の北海道を走った経験があればある程度想像がつきますが、赤道に近くなればなるほど『8月なのに気温が1桁になる』ということは想像しがたい事象なのでしょう。

気温がマイナスになることなどありませんからサイクルウェアもPBPのためだけに耐寒性能の高いものを準備せねばならず(それも海外通販などで)、その点でもハードルは高いと思います。

ちなみに4月半ばに走ったアタック二本松では、埼玉と福島の二本松市を往復しましたが、最低気温は5度、最高気温は27度でした。完全に2パターンの装備が必要になる気温レンジです。荷物が増えて大変ですが、PBP経験者は『PBPの練習にぴったりじゃないですか』と口を揃えて言います。

また基本的な前提ですが、フランスは北海道よりも全体的に北に位置しており、フランス南部のマルセイユは旭川と同程度の緯度。パリに至っては稚内よりも更に緯度が高い。そのため湿度が低く、同じ気温でも日本よりははるかに過ごしやすい。

最近は温暖化によりパリでも40度を超えたというニュースを目にしますが、どうも7月が最も暑く、8月は暑さの峠を越してどちらかというと秋が近いというイメージのようです。このあたりの感覚も北海道に近いものがあります。

■PBPのウェア戦略

まずは低温に対応する

気温の低下に対応できるウェアを持っていないと活動不能になってしまうため、まずは寒い方向に対応することになります。

しかし話を聞く限りでは5度まで低下するのは早朝に雨が降った場合など、それなりの悪条件が重なった場合であるようです。

奇跡的に全行程が好天に恵まれてそのようなシチュエーションが発生しなかったり、早朝はPCに滞在し仮眠に充てるという対応が出来れば、1桁の気温に対応するウェアは不要ということに。ただしそのような計画を立てても計画通りに行かない可能性の方が高いですし、どんな悪天候に見舞われるか分からないため、やはり準備は必要でしょう。

何せ国内ですら計画通りにいかないわけなので、海外、ましてや8,000人以上が参加する初参加のPBPで計画通りに進むはずがありません。

寒さ/暑さ耐性について

次に感覚の問題について。ブルべを長く走っていると良く分かりますが、寒さ/暑さに対する耐性(感覚)は人によって大きく異なります。私の場合は体型がやせ型のため、比較的寒さに弱く、暑さに強い傾向があるかなと感じています。

逆に体重のある人は発熱量が大きいため寒さに強く、暑さに弱い傾向があると思います。その辺りも加味してウェアを選定することが必要です。

例えば私の場合は、25度以上の気温でもGOREを使った薄手の長袖ジャケット(カステリのPerfettoのこと)で走れてしまいますが、あり得ないという人も多いのではないでしょうか。

これから私が紹介する組み合わせは、基本的に私の感覚に基づくものです。それに加えて、寒さに強い人向けの組み合わせもなるべく紹介するようにしています。

レイヤリングについて

8月にも関わらずこれだけ大きな気温差がある場合、一般的にはウェアの重ね着(レイヤリング)で対応する人が多いように思います。

しかしその場合、荷物が増える、ウェア着脱の手間が増える等(面倒で着ない/脱がないで後悔するパターンもある)のデメリットがあります。

カステリのウェアはヨーロッパのレースで使用されることが前提です。それもミラノ~サンレモ(3月に開催されるので雪になることもある)のようなワンデイレースから、ツールドフランスのようなステージレースまで多様です。

レース中にウェアを重ね着したり脱いだりする余裕などありませんから(ウィンドブレーカーやジレを着る程度)、基本的には悪条件から好条件、雨から晴れを1着でカバーできるようなウェアが求められます。

カステリのウェアはそのような前提に立って開発されていますので対応する気温差が大きく、対候性も高い製品が多いです(その代わり安くは無い)。面倒なレイヤリングをしなくても、基本の『ベースはこれ』という組み合わせで1日を乗り切るという前提です。

それにプラスして『もし寒くなり過ぎたら(暑くなり過ぎたら)これ』の2パターン程度の使い分けで対応が可能と考えています。この点はカステリのウェアを使うメリットと思いますので、この記事ではその視点でウェアを選択しています。

基本はベースの組み合わせのみで1日を乗り切るという前提のため、低温になったり酷暑の場合に着替えをすることになります。この運用は、逆に着替えをするのが面倒というデメリットがあります。そこで、レイヤリングをする場合の選択肢も併せて紹介します。

■使用予定のウェアについて

さて実際にPBPに持っていく予定のウェア類です。基本は4月のアタック二本松で使用したものと同じで、更に暑い展開になった場合に備えたウェアを追加しています。

ブランドはカステリで統一、全てこのブログでレビュー済み。ちなみにPBPの場合、夜間はフランスの法令に準拠する反射ベストの着用が必須であり、体幹を覆う防寒具が強制的に1着追加されることになります。

  • ジャケット:Perfetto RoS Convertible(4-16)
  • ジャージ:PRO THERMAL MID SS JERSEY(半袖)(15-20)
  • ベースレイヤー1:CORE SEAMLESS BASELAYER SS(8-20)
  • ベースレイヤー2:CORE SEAMLESS BASELAYER (袖なし)(8-20)
  • ベースレイヤー3:PROSECCO TECH LONG SLEEVE(6-16)
  • ビブショーツ:NANO FLEX PRO RACE BIBSHORT(12-20)
  • レッグウォーマー:NANO FLEX 3G LEGWARMER(8-20)
  • その他:グローブにLIGHTNESS2(12-18)とSPETTACOLO(3-12)、つま先をカバーするTOE THINGY 2を使用。

ジャケット

メインのウェアはPerfetto RoS Convertible。選定したポイントは『低温を含む幅広い気温に対応可能』『多少の雨や濃霧ならレインウェアが不要なこと』『防風性がある』の3つ。

このジャケットは袖が取れて半袖になるので、半袖にしてベンチレーションを開けると25度程度まで余裕です(私は)。

GORETEXを使用しているので通気性と防風性が両立しており、表面は撥水加工がなされているため多少の雨なら弾きます。

これに合わせるベースレイヤーは、少しだけ裏起毛で微妙な保温性のあるCORE SEAMLESS BASELAYER(袖なし)。体幹だけを保温してくれるので、強度を上げても問題ありません。

ジャージ

それ以上の気温になった場合に備えて、裏起毛半袖ジャージのPRO THERMAL MID を持っていきます。これも15~30度くらいまでは対応可能な製品です。日中は日焼け防止に夏用のアームスリーブを合わせます。日焼けは焼けどと同じなので、じわじわ体力を削られますからね。

寒さ耐性のある人はこれにNANO FLEXのアームカバーを合わせて反射ベストを着て、ベースレイヤーも暖かいものを装着すると、気温1桁まで耐えられると思います。PRO THERMAL MIDは通気性があるので厳しいという場合は、Perfotto RoS LightというGORE TEXを使っているが通気性も重視した製品を選びましょう。もしくはPerfotto RoS2 Vestもジャケット0.5枚分の暖かさが追加されるのでお勧めです。

レーパン

レーパンは、こちらも裏起毛で幅広い温度帯で使えるNANO FLEX PRO。これにNANO FLEX LEG WARMER を合わせると私でも5度まで耐えられます。少し前までこの裏起毛レーパンの存在意義が分からなかったのですが、PBPや国内における春先の600km(およびそれ以上の距離)など季節の変わり目の長距離で活躍します。

これ1着で5度から25度超まで(私の場合は)問題なく対応可能なので、レーパンはNANO FLEX PROの1択。ブルべを走らなければ日本では必要ないアイテムなのですが、春の東北や夏の北海道などでは中々便利なアイテムと思います。

またNANO FLEXを使っているため、多少の雨なら浸水することなく弾いてくれます。ジャケットと同じく多少の雨ならレインウェア不要。

寒さ耐性の高い人は、このNANO FLEX PROと薄手のレッグカバーでいけるのではないでしょうか。冬用タイツを持っていくよりもかさばらず、レインパンツを着るよりもペダリングはしやすいですし、空気抵抗も低い。

私がPBPでのウェアを調べていて不思議に感じたのは、レーパンはペラペラの夏用レーパンを使うという人がほとんどだったことです。もちろん昼間はそれがベストアンサーでしょうけども、気温1桁はもちろんのこと、15度以下あたりから寒くなってくると思うのです。

脚はレッグウォーマーをすればカバーできます。しかし…下腹部のあたりがあの夏用レーパンの生地のままというのは、どう考えても寒い。私なら確実にお腹が冷える。その対策として『レインパンツを着る』というのは確かに有効ではありますが、ペダリングしづらいとか、デメリットも色々あります。

そんな時に裏起毛レーパンは良い選択肢だと思っているので、もうちょっと広まって欲しいところ。

ベースレイヤー

ベースレイヤーはメインで以下の2つ。基本はCORE SEAMLESSの袖なしを着ます。夜間は上からPROSECCO TECH LONG SLEEVEを重ね着。

  • CORE SEAMLESS BASELAYER (袖なし)
  • PROSECCO TECH LONG SLEEVE

CORE SEAMLESSは微妙な保温性がある生地を使ったベースレイヤーで、袖なしでも体幹の保温性があります。半袖だと気温が上がると少々暑いため、袖なし版がPerfetto RoSとの相性が良いです。PROSECCO TECHは速乾性を重視した生地なので、重ね着しても暑くなりすぎずちょうど良い。

CORE SEAMLESSの半袖は、雨天時など想定よりも寒かった場合に着用する予定。そこそこ暖かいので、私のように寒さ耐性が低くなければ夜間はCORE SEAMLESSの半袖のみでちょうど良いという人も多いと思います。

グローブ

こちらも2つ持っていきます。場合によっては使わないケースもあると思うのですが、本当に5度になったら対応するグローブを持っていないと走れません。

  • SPETTACOLO GLOVE
  • LIGHTNESS GLOVE

SPETTACOLOはPRIMALOFTを使った冬用グローブです。これがあれば5度まで気温が下がっても余裕です。PRIMALOFTは高性能の断熱材なので、出番の無い時はサドルバッグの中で嵩張らないのもポイント。

LIGHTNESSは薄手のロングフィンガーグローブなので日中はこちらを使用。20度を超えたらLIGHTNESSでも暑くなってきますが、面倒なので素手で走るつもりです。

ちなみに雨が降ったらテムレスの出番です。

以上がPBPでの大きな気温差に対応しながらも、携行するアイテムを少なくする組み合わせかなと考えています。

既に開催の3ヶ月前ですから参加予定の人はウェアの選定も終えていると思いますが、『カステリにはこんなウェアがありますよ』という紹介と、4年後のために残しておきたいと思います。参加後の答え合わせは、9月頃に別途記事にする予定です。

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ABOUT ME
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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。2022年エベレスティング達成、2023年PBP認定、2024年キャノボ達成。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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