【レビュー】夏場ライドの救世主 キャメルバック(CAMELBAK) シャワータイプリプレイスメントキャップ
あまりの酷暑に耐えかねてキャメルバック(CAMELBAK)の『シャワータイプリプレイスメントキャップ』を買いましたので、レビューします。
※夏になりましたので、以前の記事の再掲です。内容も一部修正しています。
■評価
非常に良いアイテムだが、やや価格が高い。税込み1,000円程度だと気軽に買えるのですが。
■製品概要
キャメルバッグのボトルのキャップだけをこの製品につけかえることで、ボトルの水をシャワーの様に浴びる事が出来るというものです。現在販売されているものだけではなく、既存のキャメルバックのボトルならどれでも利用可能です。
シャワーの様に浴びてどうするのか?と言うと、『かけ水』を行って気化熱により体温を下げるためです。
■かけ水について
そもそもかけ水とは?
真夏の昼間に走る時、暑さのしのぎ方はひとそれぞれだと思います。首周りに『白くまのきもち』の様な冷間グッズを巻く、徹底的に肌を露出させない、など。私はと言うと、かけ水派です。要するに水をかぶる。水が蒸発する時の気化熱で体温が下がりますし、その分汗をかかなくなりますので体力の節約になります。
夏場のライドは2本あるボトルの内、1本は水道水を入れて水をかけながら走ります。そうするとツールボトルの居場所がなくなるので、ダウンチューブ下にボトルケージを増設するほどです。
夏場はこんな装備になりますね。サドルバッグは重心が高くなるため基本的に使用せず、ドリンク、水、ツールボトルを使おうとするとこうするしかありません。
かけ水の効果
かけ水の具体的な効果は以下の通り。
- 水をかけると気持ちが良い。
- 体温の上昇を防ぐ。
- 汗と共に失われるミネラル類の流出が抑制出来る。
- 汗をかかないことで、疲労も抑制出来る。
- 同じく汗をかかないので、水分補給が減る。
と良い事づくめ。
そもそも汗をかくのは、体温の上昇を防ぐためです。なぜ体温上昇を防ぐために汗をかくのか?それは液体が蒸発にいたるまでの間に、周囲の熱を奪っていくという『気化熱』と呼ばれる現象が起こるからです。
もちろん汗をかくことで体温上昇を防いでも良いのですが…汗をかくことはデメリットがあり、なるべくかかないに越したことはありません。そのデメリットとは、『汗をかくと疲れる』。
実は、汗の原料は血液です。血液から水分を抽出して汗を生産します。大量に汗をかくと『汗を生産する行為』『減った血液を補充する行為』のダブルで身体に負担がかかります。このあたりのメカニズムは、以下の花王のサイトが分かりやすいです。
夏場のライドは負荷を上げると死んでしまいますので、プロでもなければどうしても低負荷になりがちです。低負荷ですから筋肉痛にはなりませんが、翌日はしっかりダルい。それは大量に汗をかいているせいです。内臓にかなりの負担がかかっているんですね。
自転車は走り出すと遅くとも20km/h程度の速度が出ます。そのため汗がどんどん蒸発するので、走行中は汗をかいている実感がありません。風を受けることで体温が下がる効果もあります。しかしいったん停車すると、滝の様に汗が出てくることを体感している方も多いでしょう。走行中は実感していないだけで、実はそれだけ汗をかいているのです。
かけ水は、汗の代わりに水を蒸発させることでなるべく汗の量を減らす!という効果があります。例えばアームカバーにかけ水をすると、15分もしたら乾いていますからね。それだけの熱を、かけ水が身代わりとなって受けているのです。
■導入経緯
ところで今までもかけ水はやっていました。ボトルに水道水を入れて体にかければ良いのですから。コンビニでは2Lの水の価格と500mlの水の価格が同じですから、2Lの水を購入して飲めなかった分をかけても良いでしょう。
しかし今までのノーマル形状のボトルキャップではあまりにドバドバと水が出るので、実際にウェアを濡らしていたのは消費した水の2割程度しかないのでは?というのが体感です。はっきり言って、体を濡らすと言うよりは自転車と地面を濡らしている様なものです。
真夏だと水をかけても15分もすると乾いてしまうのですが、真面目に15分おきに水をかけているとボトルの水があっと言う間に無くなります。なにせ体にはほとんどかからないのですから。そのため、どうしても『暑くて我慢がならない』という時(主に車の多い市街地を走る時)に使っていました。
ところがこのシャワータイプキャップを使えば、水の使用量が節約出来る上に、非常に効率よくウェアを濡らすことが出来そうです。仮に常時ウェアを濡らした状態で走ることが出来たら、かなりの体力を節約出来るのではないか?と思い、購入することにしました。
■製品概要
外観
ようやくレビューです。まず製品のパッケージ。キャップだけなのに、しっかりしたパッケージです。
表面です。2つのつまみがついており、これを回転させることでモードを選択します。モードは、左からドリンク、ロックアウト、シャワーモードのの3つがあります。シャワーモードの際は飲み口の周囲にある8つの小さな穴から水が出ます。
裏面です。2種類の穴が開いており、それぞれドリンク、シャワーモード用です。小さい方の穴がシャワーモード用なので、水の流入量が抑えられている事が分かります。
ドリンク用の飲み口から飲んでみましたが、通常のドリンク用としてもそれなりに使用可能です。しかし実際は『一気に水をかける用』と思った方が良さそうです。一応分解して洗うことも出来るのですが、初期型よろしく分解の難易度は高いと言うか、面倒です。ポカリを入れたりしたらすぐにカビそうです。もしカビても、水を浴びる用途がメインなら問題無さそうですけど。。。
水をまいてみます
それでは実際にボトルにセットして、水を出してみたいと思います。まずはドリンクモード時。見慣れた放物線を描いて水が一か所に出ていきます。この勢いでウェアに水をかけても、ほとんど地面に飲ませることになりますよね。濡らせる範囲があまりにもピンポイント過ぎます。
次にシャワーモードです。8つある穴から均等に出ます。水量も抑えられており『最低限だけ濡らす』事に特化しています。我々が求めていたのはコレですよ。
ドリンクモード(と普通のボトル)では一気に出て終わり!だったのですが、これは広範囲を適度に湿らせる事に特化しています。調子に乗って自宅の玄関周りに打ち水をしてみました。
かなりの面積を濡らすことが出来ました。私の自宅は埼玉県の平野部なので、8月半ばの気温は余裕で35度以上ありましたが、これだけ地面が濡れると涼しかったですね。気化熱の効果は馬鹿に出来ません。この面積と同じだけウェアを濡らすことが出来るという事ですね。
■実際に走ってみます
真夏に使わないとレビューになりませんので、気温が35度を超えている内に使ってみたいと思っていましたが、何とか8月終わりに使えました。そもそも欠品していて入手困難だったのですが、在庫のあるお店を発見して購入。この辺は、日傘と同じで季節性の高い商品ですよね。
その日は例によって最高気温が37度。実際は、場所によって間違いなく40度を超えています。ここまで来ると、東京オリンピックは開催して大丈夫なのか?と思ってしまうレベルです。私が心配してもどうしようも無いのですが…。
※2021/07/27追記:実際に開催されましたね。
午前9時頃で明らかに30度を超えています。荒川CRに出るまではさいたま市を横断することになるため、信号ストップが非常に多いです。本格的に走り出す前に体力を消耗するわけにはいかない、と言う事で積極的に水をかけます。
ボトルを持って『チュー』っと水を出すと、少量の水が広範囲に出てきます。腕(アームカバーをしている)、肩、胸、太もも周辺の風を受ける前面に水をかけます。いやいや、これはすごい。地面が飲む水が全くない。
もう一度言いますが、各ノズルから少量の水が広範囲に出てくるのでほぼ全ての水が体にかかる。ノーマルノズルの時とは雲泥の差です。
気持ち的には一気にドバっと水を浴びて『涼しい!』とやりたい所ですが、それをやると実際には水がいくらあっても足りません。常にウェアが最低限に湿っている状況を作り出し、いかに汗をかく量を減らすか?という事が重要です。
先ほども言いましたが、15分もするとウェアは完全に乾きますので半渇きになる度に遠慮なくウェアを濡らしました。濡らした部位は、腕・胸(アンダーウェア)・股周辺の風を受けるところです。それでも4時間程度はボトルの水が無くなりませんでした。その分、汗をかく量が減っていますからライド中から非常に快適。今までかけ水を節約していたのがアホらしくなりました。しっかりかけ水を行うと、こんなに効果があるんですね。
あくまでも気化熱の効果を最大限に活用するという事が目的なので『ウェアは最低限に濡らす』『半渇きになったら、水をかける』という事を徹底するのが重要です。一気に水をかぶって気持ち良い、というのとはまた別の話です。これらを徹底すると、明らかに疲労度が違います。かけ水が一気に実用的になった瞬間でした。
■まとめ
かけ水の効率性を一気に5倍は向上させてくれる神アイテム。今までかけ水をしていた人はもちろん、やっていなかった人でも買う価値があります。このアイテムの登場により、かけ水が『2~3回かけたら終わり』だったのが『遠慮なく最低10回程度はかけられる』に変わり、実用性が一気に向上しました。
夏になってから買おうと思うと欠品して買えないアイテムなので、今のうちに買っておきましょう。オススメレベルは高いです。
ついでに保冷ボトルも買っておきましょう。組み合わせると完璧ですね。