【レビュー】シマノ サテライトシフター(サテライトスイッチ) Di2の魅力について

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シマノではついに105にもDi2が設定され、その一方で『出るのでは?』と言われている機械式変速の12速105は未だリリースされず(2023/07現在。間もなく出るという話もある)、Di2が強制的に普及するフェーズになっています。

価格の高さから敬遠されることもあるDi2ですが、Di2には機械式変速には無いメリットがあります。その1つが「サテライトシフター」により変速用スイッチを増設できるという点。

今回はイマイチ普及していないように見えるサテライトシフターについて、10速Di2時代から使っている私がレビューします。

■製品概要

まずは名称について。

名称について

11速までは、下ハンに付けるものが『スプリンタースイッチ』。上ハンに付けるものが『サテライトスイッチ』という名称が定着していました。

しかし12速からは名称が迷走しています。

まずシマノwebサイトを見ると『サテライトシフター』という呼称です。下ハンと上ハンの区別は『サテライトシフター ドロップ』『サテライトシフター トップ』というように、上下ハンの区別を追記する方式に。ついでにTTバー用のスイッチも統合され『サテライトシフター エクステンションバー』となりました。

https://bike.shimano.com/ja-JP/product/component/dura-ace-r9200.htmlより

一方、製品パッケージでは『SHIFTING SWITCH』と表記されているそうです。名称が統一され上下の区別が『ドロップ』『トップ』になった点は同様。詳しくは、ワイズロード福岡天神店のブログにあります。

またシマノのサイトからダウンロードできるデジタルカタログを見ると『リモートスイッチ』という名称です。

シマノデジタルカタログより

このように製品名が複数ある状況ですが、この記事ではwebサイトに記載されている『サテライトシフター』の名称を優先することとします。でも名称としては『スプリンタースイッチ』『サテライトスイッチ』の方が分かりやすくて良いですよね。

スペック

各製品のスペックは以下の通り。

  • サテライトシフター ドロップ(SW-RS801-S):ケーブル長100mm、ペア重量6.4g
  • サテライトシフター トップ(SW-RS801-T):ケーブル長260mm、ペア重量11.8g
  • サテライトシフター エクステンションバー(SW-RS801-E):ケーブル長740mm、ペア重量16.5g

価格はドロップ/トップが16,170円。エクステンションバーが17,052円(税込、2023/07現在)。

構造について

シフターは『スイッチ部』と『アタッチメント』2つのパーツから構成されています。スイッチ部はどれも同じものが使われており、型番によってケーブルの長さとアタッチメントの形状が異なるだけです。シマノが名称を『サテライトシフター』に統一したのは、これが影響していると思われます。

従来はサテライトスイッチ1つとってもこのような専用品でしたので、構造を共通化して汎用性を高めるのは良い取り組みだと思います。

サテライトスイッチ
10速時代のサテライトスイッチ
11速時代のサテライトスイッチ

この共通化されたスイッチ部を、用途に応じたアタッチメントで固定する構造になっています。

またケーブルはSTIレバーの根元にあるポートに接続します。ポートは2つあるのですが、下側がサテライトシフター専用のポートとなっています。

ケーブル末端のコネクタも突起のある専用形状となっており、下側ポートにのみ接続可能になっています。

これにより、サテライトシフターの接続可能数は1つとなってしまいました。

対応するSTIレバーについて

現在、12速に対応するDi2のSTIレバー(デュアルコントロールレバー)にはデュラエース(ST-R9270)、アルテグラ(ST-R8170)、105(ST-R7170)の3つがあります。

このうち、105(ST-R7170)にはサテライトシフター用のポートが装備されていません。105にはフードスイッチもありませんので、購入する際は注意が必要です。

その分だけ低価格になっている(セットで約6万円)ので機能が不要な人には良いのですが、Di2のメリットが薄れてしまっているグレードとなっています。

■レビュー

実走レビューです。私はサテライトシフター ドロップ(スプリンタースイッチ)は使用したことが無いためサテライトシフター トップ(サテライトスイッチ)のレビューとなります。

変速ポイントが増える

まずはDi2ならでは、機械式変速では絶対に実現不可能なメリットです。ヒルクラで上ハンを握っている時でも変速が可能というのは、ヒルクラ勢には大きなメリットです。

斜度に合わせて最適なギアを瞬時に選択可能。これがサテライトシフターが無い状況ですと、変速のたびに上ハンから手を伸ばしてSTIレバーを操作する必要があります。一度サテライトシフターに慣れてしまうと、もう戻れません。

ちなみにサテライトシフターは楽をするためではなく、タイムを短縮するためにあります。

私がよく走りに行く埼玉県の白石峠などは、約6.4kmで538mを登るというそこそこ厳しい峠です。基本的に10%の斜度を延々と登らされる…というイメージですが、斜度が7~8%になるポイントがいくつかあります。

そこは休むのではなくシフトアップしてタイムを稼ぐポイントです。サイコンに表示されるパワー値を確認しつつ、値が低下したと感じたら即座にシフトアップして心拍とパワーを一定に保ちます。これこそがサテライトシフターのメリット。峠はサテライトシフターなしでは登れません。

(ちなみに本当に速い人は白石峠でも上ハンなど持たず、ブラケットを持ってダンシングで一気に登っていきます…)

上ハンでフロント変速が可能

またサテライトシフターを使うと、上ハンを持ったままフロント変速が可能になります。

Di2にはシンクロシフトという機能があります。これは例えばリアを徐々にシフトダウンしていく状況で、予め設定したギアまで落としていくと

  • フロントはアウター⇒インナーに変速
  • リアは予め設定したところまでシフトアップ

という動作を同時に自動で行い、アウターからインナーへの変速をしつつ、変速後のギア比も好みのギア比に出来るという機能です(インナー⇒アウター時の設定も、もちろん可能)。ロードでは11速のデュラエースから導入されました。

この機能の主眼は『アウターのまま登るか、インナーに落とすか』という人間の逡巡を無くし、予め設定した条件を満たすと勝手に変速してギア比を一定に保つことで効率を向上することにあります。

前後の変速を同時に行ってくれるので、人間が変速するよりも圧倒的に短時間で変速が完了します。

この機能とサテライトシフターを併用すると、上ハンを握ったままでフロントの変速も可能になり効率が大幅に向上します。

例えば斜度が徐々に緩やかになる場面。リアを徐々にシフトアップしていくわけですが、あるポイントからは『これはアウターに入れた方が速い』という状況になることがあります。

そんな場面でもわざわざSTIレバーに手を伸ばすことなく、手元のボタンを押していくだけでアウターに入れることが可能です。

私が白石峠を登る場合ではアウターに入れるポイントがいくつかあるのですが、それぞれ距離にして200mほどだったりします。STIレバーを持って走りたいところですが、すぐに斜度10%に戻るので上ハンのままの方が効率が良かったりします。

そんな場面に非常に役立つ機能なのです。先ほどの『上ハンを持ったままで変速が可能になればタイムが向上する』を更に突き詰めた機能と言えるでしょう。

※ちなみにDi2の設定で、サテライトシフターにフロント変速を割り当てることも可能です。そのためサテライトシフターでフロント変速を行う事自体は、シンクロシフト以外に方法が無いわけではありません。現実的にはサテライトシフターにフロント変速を割り当てることは、ほぼ無いと思いますが…。

向かい風に強い

これまで紹介してきたメリットと同様ですが、上ハンを持ったままで変速できますので向かい風の場合に効率が向上します。

埼玉県では冬期の荒川サイクリングロードで『荒川峠』と言われるほどに北風が強くなるのですが、向かい風には前面投影面積を減らすことが効果的です。

そのためにはブラケットよりも上ハンを持つことが有効なのですが、上ハンを持つと変速が出来ません。しかしサテライトシフターがあれば前面投影面積を小さくしたまま、自由に変速して平均速度を向上させることが可能です。

また向かい風の場合は坂以上に負荷の上下が激しいです。突発的に凄まじい強風があったかと思えば、突如無風になったりします。そんな時にタイミングを逃さず上ハンを持ったままシフトアップが出来れば、平均速度の向上に確実に貢献します。

デメリット

ハンドル上の貴重なスペースがサテライトシフターで消費されます。

私の場合はクランプ部のギリギリに装着しているため影響は最小限ですが、適当に装着すると、ライトやサイコンをマウントするためのスペースが減ります。

画像を見ると意外とスペースがあるように見えますが、キャットアイのフレックスタイトを装着するにはギリギリのスペースです。

ブルべでは色々なアイテムを装着する必要があるので、ハンドルクランプ部のスペースは大変貴重です。そのためこのようなエクステンションマウントを導入したりするのですが、サテライトシフターはハンドル上の住環境を悪化させます。

またSTIレバーとは有線で接続され、ケーブルはバーテープの下を通ります。そのため気軽に脱着が出来ません。良く検討した上で導入しましょう。

■まとめ

ロードバイクのドロップハンドルは、複数のポジションをとれることが利点です。その一方で、変速は(STIレバーの普及後は)STIレバーに手を伸ばして行う必要がありました。

ところがDi2になりサテライトシフターという製品が登場したことで、変速の入力ポイントが増えるという変化が生じました。これは割と大きな出来事なのでは?と感じています。

Di2では、変速に際しての各レバーの操作は単なる電気信号の入力ポイントです。そのため機械的な操作感は無くなっていますが、一方でサテライトシフターを簡単に増設することができるようになりました。

上ハン、下ハンのどこを持っても変速が可能になることはDi2ならではのメリット。ワイヤレスユニットなどによるギア位置の確認などと同様に、これらのメリットを最大限活用して楽しく走れるようになりたいものです。

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当サイトは自転車関連のパーツレビュー、ブルべの走行記録を中心としたブログです。
管理人は40代のロードバイク乗り。20年前にCannondaleのCAAD3を買って以来、Cannoncdaleばかり乗り継いでいます。 昔はメッセンジャーやレース、今はロングライドとブルベ中心。ブルべの主担当もやります。
年間走行距離は約10,000km。身長170cm、体重57kg。
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