【ENVE】ディスクブレーキ用ホイールのまとめ。2023年版
各ブランドのディスクブレーキ用ロードホイールのラインナップをまとめています。今回はENVEです。
■ENVEを簡単に紹介
性能もさることながら、価格が高い事でも有名なENVE。ホイールだけでなく、カーボンのハンドルやステム、シートポスト、更にフレームなども作っています。2024シーズンからはフランスのTOTALENERGIES(トタルエナジー)にホイールはもちろんのこと、フレームを含むコンポーネント一式を提供するパートナーとなっています。
拠点はアメリカのユタ州で、Made in Americaを強力にPRしています。日本での代理店は2019年からダイアテックに変わりました(その前はアメアスポーツ)。
ホイールのラインナップですが、ロード用では、『SES』と『FOUNDATION COLLECTION』という2つのラインがあります。
ENVEはカーボンリムも自社で製造しているため技術力が高いとも謳っており、カーボンのレイアップを1枚単位で調整したりとか、スポークホールを最初から穴の空いた状態で成型するなどしています。プリプレグの状態から自社で作っていることになりますね。
※プリプレグ:樹脂を含侵させたカーボンのシート
また価格設定がシンプルというのも特徴で、本記事執筆の時点ではSESが499,950円、FOUNDATIONが299,860円となっています。
■SESシリーズ
まずはSESです。
リム高 | 内幅 | 外幅 | 重量 | 価格(税込) | |
SES 2.3 | 28/32 | 21 | 25 | 1,222 | 499,950 |
SES 3.4 | 39/43 | 25 | 32 | 1,380 | 499,950 |
SES 4.5 | 50/56 | 25 | 32 | 1,433 | 499,950 |
SES 6.7 | 60/67 | 23 | 30/29 | 1,457 | 499,950 |
※リム高はフロント/リアの順です
※重量は、フリーボディがXDRの場合
※2024/01/11に、リニューアルした新型SESシリーズが発表
SESは『Smart ENVE System』の略で、フレームに装着した状態を考慮して前後ホイールを統合的に開発したものです。そのため前後でリムの形状が異なっており、風を最初に受けるフロントはハイトは低め、リアはハイトが高くなっています。SES 6.7については前後でリム幅も異なっています。
また2022年のリニューアルでSESも全てフックレスリムとなりました。そのため、以前はフックレスモデルのラインだったARシリーズの名称は消滅しました。続いて2024年1月にリニューアルされたSESシリーズにチェンジ。ハブが新型となり軽量化。ダイアテックのサイトによるとスポークがストレートになり全体のバランスも見直されたとあります(今までJベントだったのが驚きですが)。
モデル名の数字は数字が大きいほど平坦コースの走行を想定しており、空力が重視されリムハイトが高くなります。ENVEのホイールはハブが選択できることも特徴でしたが、リニューアルされてからはオリジナルのENVEハブのみとなりました。
スペックですが、SES 2.3はリニューアル前は1,200gを切る軽さ(1,197g)でしたが、リニューアル後は逆に重くなりました。ただしダイアテックの実測によると1,178gだったとのこと。その他の3モデルもリニューアルによりかなり軽量化されています。
グラベルも想定しているためリムの内寸は25mmというかなりのワイドリムに。想定タイヤ幅は27~55mmで、重量も1,390g、1,452gと旧ARから大幅な軽量化を果たして競争力のあるスペックに。例えばシマノのWH-R9200-C36は1,350g、WH-R9200-C50は1,461gです。
■FOUNDATION COLLECTION
次にセカンドラインのFOUNDATIONです。ロード用のFOUNDATIONは2モデルです。
リム高 | 内幅 | 外幅 | 重量 | 価格(税込) | |
ENVE 45 | 45 | 21 | 28 | 1,561 | 299,860 |
ENVE 65 | 65 | 21 | 28 | 1,641 | 299,860 |
※2022年4月の価格改定を反映(217,800円⇒299,860円)。
FOUNDATION COLLECTIONは、SESしか無かったENVEが初めて出したセカンドラインです。フックレスリムなどの技術はそのままで、前後のリムは同じものを使うなどしてコストを抑えたラインです。リリース当初は18万円台で販売されていましたが、度重なる価格改定によりそこそこ良いお値段のホイールになりました。
セカンドモデルといえどもSESと同じ工場で作っているため品質はお墨付き。重量は特に軽いわけではありませんが、私が購入した実物を見ると非常にゴツく『この肉厚でこの重量なのか』とむしろ驚きます。ENVEの工場は田舎にあるので、グラベルでの使用も想定しているのだと思います。
FOUNDATIONも全てフックレスリムです。ENVEとしては構造がシンプルになることで同じ重量で頑丈に出来ると言っています(同じ剛性で軽く出来る、ではない)。また製造工程も単純になるのでコストが下がります。カーボンの成型方法を考えると、構造をシンプルにするというのは強度も上がるしコストも下がるし良い事づくめです。代わりにチューブレスタイヤしか使えないのですが…。
※ENVE45を買いました。
■グラベル
最後にグラベルモデルです。
リム高 | 内幅 | 外幅 | 重量 | 価格(税込) | |
G23 700C | 25 | 23 | 31.5 | 1,262 | 499,900 |
G27 650B | 25 | 27 | 35.5 | 1,275 | 499,900 |
AG25 | 21 | 25 | 35.5 | 1,480 | 299,860 |
AG28 650B | 21 | 28 | 36.5 | 1,480 | 299,860 |
上の2つはGモデルというラインで、価格的にもSESに相当します。重量も軽いですね。下の2つはFOUNDATIONラインです。AGは『Adventure/Gravel』の頭文字です。こちらのG23もSESと同様のリニューアルが行われ、重量は1,305g⇒1,262gと大幅に軽量化されています。
ZIPPとともにフックレスを推進するENVEです。ENVEはTUFOのOEMでタイヤも販売しているのでENVEタイヤの装着を基本として設計されています。例えばSESシリーズの最小タイヤサイズは4モデルとも27mmとなっていますが、これはENVEのタイヤに27Cがあるからです。
ENVEはカーボンハンドルやカーボンステムも作っていますので買ってみたいのですが、価格もスペシャルなので中々手を出せずにいます。タイヤであれば気軽に買えそうですが、価格が1本1万円以上しますから、結局使ったことがありません…。
しかしそれでこそENVE。これからも価格は気にせず良いプロダクトを作り続けて欲しいところです。
2022年の記事はこちらから。